引きこもりの俺の『冒険』がはじまらない!〜乙女ゲー最凶ダンジョン経営〜

ばつ森⚡️4/30新刊

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1-3 ラムレイ辺境伯領グレンヴィルより

42 辺境伯軍の失敗・後

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※ちょっと悪ふざけで女体化します(性描写はないです)




(…………懲らしめよう)
 
 俺は自分の胸を改造し、例のぷよんぷよん巨乳に改造した。「あッ」と驚くオリバーに向かって、唇に人差し指をあてて諌めると、そおっとフェルトに近づいていく。

 寝椅子で横になっているフェルトの腰をまたぎ馬乗りになると、Tシャツ(仮)の裾をたくしあげ、俺は自分の豊満な胸を露にした。
 ぼんやりして「ん……」と目を擦っているフェルトの両手を取り、俺の両胸に置き、その手ごと押さえるように……一気にもみこんだ。

「あんッ」

 俺のわざとらしい嬌声に、寝ぼけていたフェルトの体がビクウッ!!!と跳びはね、俺の顔と胸を何回も見直し、「え? えッ?!」というのを繰り返した。
 俺はわざと荒い息を吐き出し、フェルトの手ごとおっぱいを揉みしだきながら甘い声で言った。

「ふぁ……フェルト様、……ゃめッ」

 涙目で責めるような表情をすると、ピシッとフェルトは石にように固まってしまった。
 ガチガチになったフェルトの大きな手は、俺にされるがままに、そのぷよんぷよんの感触を揉み込んでいたが、ピクリと動きを止めたかと思うと……ばれないようにそおっと指を滑らせてきた。この『爽やかイケメンナンバー1』ってかんじのフェルトですら、目の前のおっぱいの誘惑には抗えないのだ。
 指そおっと動いてんの、全然バレてっけど。

(やっぱ、胸は女のほうが需要はあるだろーなー……『飴』といえばってかんじだし)

 ちらりとフェルトの表情をのぞいてみると、おっぱいに視線は釘づけだった。まあ、童貞だから仕方ないとは思う。
 俺に掘られたからって、ゲイってわけじゃないもんなー。童貞の乳への憧れを断つ気はないよ。
 さあ、俺のぷよんぷよんの巨乳で昇天するがいい。

「ゃあッ……あんっ……ふぇ、ふぇるとさまぁ……」

 非常に優しく慈愛に満ちた俺は、童貞の背中を押すべく、かわいい声で煽ってやる。フェルトの指はもはやだんだんと自分の意志を持ち、だんだん大胆な動きをするようになってきた。
 いくら女にモテそうなかわいい顔してても、童貞だもんな……。一生懸命おっぱいを揉んでる余裕のなさが、気持ちが悪い。

 俺はそこでオリバーを振り返り、大きな声を出した。

「オリバー。女に改造するのはどーう? 『飴』的に」
「………………言いたいことはわかりますけど、男性は男性のままが自然なのでは? ていうか、わかりましたけど! 俺は一体なにを見せられてるのかと……」
「こんな爽やかなフェルトですら、目の前のおっぱいには抗えないんだから、いいかと思ったんだけどなー」

 フェルトはオリバーに気づき、ハッと我に返った。
 そして、いつもの通り、かああああとトマトみたいに真っ赤になり、プシューと湯気を出しながら口をぱくぱくさせた。それから、ゆっくりと両手で顔を覆ったまま黙ってしまった。
 俺はふふっと笑いながら、そのままの態勢でフェルトのかっちりと着込まれた騎士の服を脱がせていく。「ぇッなに、ちょッ!」と慌てているフェルトを「俺の胸揉んでただろ」と制して、中に着てるシャツのボタンも外していく。
 ぐっと不満そうに奥歯を噛みしめてるフェルトに構わず、オリバーに話しかける。

「男同士の恋愛は別にOKなんだろー? だったら男の胸だって揉みたくなるやつもいる?」
「そうですね。冒険者たちは筋肉もついてますし、胸は柔らかそうですよね」
 
 筋肉がついてるっていう意味ではフェルトの胸筋だってしっかりぷよぷよなはずだった。
 手を滑らせ、ふにふにとフェルトの胸を撫でまわすと、フェルトの眉間に深い皺が寄った。
 鍛えてるやつの胸は、感触も女のとあんまり変わらない。

(……でも、わざわざここだけを揉むってこともないな、俺は。耐えてる顔はかわいいけど)

 さっき自分で揉んでしまった自覚があるのか、真っ赤な顔のまま、むぐっと口をつぐんで耐えてるフェルトの表情を見たら、ちょっと満足した。
 俺は、くす、と笑いながら立ち上がると、机に戻っていく。これ以上触れてたら――

(なんか止まらなそ……)

 ガシガシと頭を掻きながら、「休憩できそうな神殿作って、そこのオブジェにするとかー?」とオリバーに聞く。廊下みたいなところに捕まった冒険者たちが並んでたら、それはそれで怖くていいかもしれない。
 フェルトは悔しそうな顔で騎士服をきっちり着直していた。
 それにしても……

「全然思いつかない」

 第4階層にたどり着くのはかなりの強者だから数も少ないだろう。
 たどり着いた先で、壁から生えた冒険者たちが嬌声をあげてるのをみたら、怖さよりも……エロさ特化になる? それは『飴』カウントになるだろうか。うーん、どうだろう。
 そんなことを考えていたときに、オリバーが俺に訊いた。

「第4階層ですよね? 砂漠の中に休憩所をってこと」
「そうだな」

 なにやら考えてる様子のオリバーを横目に、俺は小さくため息をつきながらスクリーンに目をやった。
 ヒストリフは無策のまま、ついに総攻撃を仕掛けていた。
 これで下級貴族たちもダンジョンに取り込むことができるし、冒険者たちも逃げたやつ以外は共倒れだろう。
 そんなことを考えてたら、オリバーがぽつりと言った。

「うーん……休憩所なら、催淫の香でも焚いて淫行を促しますか?」
「催淫の香?」
「砂漠をさまようってすごい消耗してると思うんですよ。そこでついに見つけた休憩できる場所だけど、実は催淫の香が炊かれてて、今まで信頼してた仲間が豹変して襲い掛かってくるんですよ。仲違いで殺し合ってもいいし、無理やり性的な流れに……なんてことになったら、関係がギクシャクするだろうし、その先の砂漠を乗り越えられる感じしないじゃないですか。あ、でも結局これじゃあ……冒険者の上半身いらないですね」

 フェルトがサアッと青ざめていくのが見えた。
 
「………………お、オリバー、お前…………」
「………………あッ」

 
 
 ――ということで、第4階層には無事に催淫の休憩所が設置されることとなったので、冒険者の上半身の扱いは保留となった。ていうか……

(全然『飴』になってねーな!)

 ま、こんな感じで、日々あーでもないこーでもないと考えながら、ダンジョンの『極悪化』ばかりが進んでいく。
 まさか決死のダンジョン攻略の裏側でこんな話が行われているとは、ヒストリフたちは夢にも思わないだろうな。
 辺境伯の軍も、依頼も、結局なんの収穫もないまま、あっさりと幕を閉じた。
 肩をコキコキと回したら、ぷよよんと俺の胸が揺れ、「あ」と思って元に戻した。

 俺にはなんの損害もなかったけど、このとき辺境伯の士官たちが行ったことが……あんな未来につながるとは、――俺はまだ、まったく知らなかった。

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