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1-2 騎士団員フェルト

25 得体の知れないもの(フェルト視点)・後 ※

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「うああああッ!!!」

 尻に当たっていた熱い棒が、一気に俺の内壁を貫いた。
 熱いと思っていたけど、まるで内側から灼熱に焼かれるような衝撃が走る。
 引き攣るような、裂けるような痛みと、とてつもない違和感……それから、なんかの喪失感が俺の体をかけめぐった。どうにかして痛みを逃そうと腰を引こうとすると、そんな俺を嘲笑うかのように、その熱棒が強引に律動を開始した。

「ヒッ……痛って……ぐぅ……ぁ"」

 俺の目から自然と涙が溢れ、ぶわっと悔しさが胸に広がった。ぎゅっと唇を噛み締めながら、俺はいまだ混乱の中にある。
 一体なんだっていうんだ。
 だけど――。
 目隠しした布越しに、涙が優しくなぞられる感覚があり、どうしてか力が抜けてしまった。
 そのまま、まるで慰めるように顔に、唇っぽいものをちゅ、ちゅ、と優しく落とされ、よくわからない気持ちになる。
 ひどいことをしているのはこいつなのに、どういう理屈なんだ。
 混乱しながらも、尻の中を擦っている棒にただ耐えるしかない。
 でも――ぐりっと熱棒が、ある一点をやたらと刺激してくるなと思った途端、変な感覚が広がった。

「ふあっ……わッな、なにっ……ちょ、ちょっと待って!」

 あろうことか俺の体の中に淡い快感が走ったのだ。
 あまりにびっくりして、きゅうっと尻の中の熱棒を締めつけてしまい、余計にその存在を感じてしまった。ぐんと熱棒が硬さと質量を増したかんじがして、そのまま俺の中を乱暴にかき回していく。
 痛い……ことは痛い。
 でもさっきまでとは明らかに違う感覚があった。
 なにかに犯されているんだっていう屈辱の中で、静かに快感の芽が育っていく。

「ぁっ……な、ぅあッ……ふ、ぅっ」

 じゅぷっじゅぷっと濡れた音が聞こえる。
 ひどい行為の中で、なにかが内股を優しく撫でるのが気持ちいい。
 体のぶつかる音とその湿った性交の音だけが、ただただ静かな部屋に響きわたり、耳からも羞恥に侵されていく。みっともない最悪な状況だっていうのに、きっとまた上を向き始めてるであろう自分の陰茎を思うと、顔に熱がぶわわっと集まる。

(犯されて……感じてんの? 俺??)
 
 そんなわけない。そんなわけないって思うのに、さっきまでとはなにかが違う。
 熱棒が舐めるように内側を擦っては、グゥッと最奥を貫かれる。
 まるでペニスみたいな楔にぐりっと内壁を引っかかれると、ビクンッと反応してしまう。
 自分がこんなことになるなんて、思ったことなかった。拘束されてる俺にできることは、せめて顔を横にそらすことだけだった。
 
(恥ずかしい……どうしよう。すげえ、恥ずかしい)
 
 こんなとこ誰かに見られたら、死ねる。
 目隠しされていてよかった。もしかしたら、顔もだらしなく緩んでしまっているかもしれない。少しでも隠れているなら、それはありがたいかも。

 はあっはあっと荒い息を吐きながら、尻ってちょっと気持ちいいんだ……と、熱に浮かされて、わけのわからない思考が頭をよぎる。さっきまで痛いだけだったのに、腰がひくひくと期待するように揺れてしまう。
 熱い棒で突き上げられるたびに、ゆっくりとねぶるようにこすられ、ぐりっと奥をえぐられるたびに、自分の口からありえない嬌声があがる。
 だめだ、なにこれ。まじで――……
 俺の思考を読んだかのように、突然、前方から声がしたのはそのときだった。

「――……はあ、気持ちー」

 ビクウッと俺の体が硬直した。そして、つい変な声をあげてしまった。

「へぁッ?!」
 
 ――……こ、言葉、話すの?!
 何者なのかは、いまだにわからない、けど……普通に男の声だった。
 嘘ッ! モンスターかと思って流されてたけど、今までの様子を観察されてたんだろうか。
 ぶわわわわと体中の血が沸騰したように体温があがる。
 嘘、どうしよう……嘘ッ!!!
 
(……は、恥ずかしすぎる!!! 死ねる!!!)
 
 度の過ぎた羞恥に、動きを完全に止めて硬直する俺に、おや? と思ったのか、熱い棒の動きがゆるくなる。

「あ、やべ……せっかく怖いけど気持ちよくなっちゃう……な、とこ堪能してたんだった」
「お、おお、おおおお前、言葉ッ!!! 言葉話すの?!」
「――は? ……ああ、ゴブゴブ言ってたほうがよかった? そういう趣味?」
「ち、ちがッ! ああん……ッ!」

 しゃべっていた途中なのに、突然、熱い棒が最奥を突き上げた。
 喘ぎ声ですよ! ……と言わんばかりの、女の子みたいな声をあげてしまい、くうっと俺は涙目になった。
 
(恥ずかしい。恥ずかし過ぎる……!)

 くすくす笑いながらも、男の腰(多分)は止まらない。
 パンパンパンと肉のぶつかる音が聞こえ、いたたまれない気持ちになる。
 耳元で、追い打ちをかけるように羞恥を煽られる。

「集中してケツ締めろよ――……フェルト」

 低い、掠れた声。
 隠しきれない熱を孕んでいて。
 思わず、きゅううっと熱棒を締めつけてしまう。はあ、と荒く吐き出される息を肌に感じ、男も感じていることがわかる。
 俺の名前知ってるの? なんて疑問は浮かんでも、沸き起こる快感の波にですぐに流されてしまう。
 ぐちゅぐちゅという濡れた音が、どこから出ているかなんて明らかすぎて……もうやだ。じゅぷじゅぷと抜き差しされ、俺はあまりの気持ちよさに、おかしくなってしまいそうで必死に頭を振る。
 熱い棒の動きはラストスパートをかけるように、一気に俺の内壁を擦りあげた。

「ひ、ぁッあっ……あああッ!」

 だめだ。イク。出そう……。
 おそらく俺の陰茎はパンパンに張りつめているはずだ。男もそれに気づいたのか、おもむろに俺の陰茎に手を伸ばすと、追い立てるように俺の陰茎をしごきあげた。

「んあぁッ……だめ! や、……やめっ、ん、ふ、あああッ」

 いまだかつて感じたこともない快感の渦に呑まれ俺の陰茎から、ドピュッと精液が吐き出された。
 頭を殴られたみたいな強烈すぎる快感に、目の前がチカチカする。

「あぁ……ああ……ああぁ」

 俺はビクンッビクンッと体を震わせながら、どこか喪失感にも似た、ひどい快感が体の中を縦横無尽に荒れ狂っていた。こんなに精子って出るんだっけ? と思うほど、噴き出すように自分の中から白濁が勢いよく出ていく。
 数回強く腰を揺すられ、熱い迸りを最奥に感じた。

 そして、――俺は意識を失った。

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