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番外編:拗らせ天才魔術師の、華麗なるやり直し

VS エミル・カシアフ

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※※ここから先は、長い間がんばりすぎて、性癖がかなり拗れちゃったヒューを、労る番外編です笑
※※本編の、かっこいいままのヒューが好き!!という方には、あまりお勧めしません。
※※拗らせてますから、本当に注意!!
※※性描写を含みます
─────────────────────

 

 そして、───僕は今、砂漠の国の王都・カラバトリにあった、エミル様の寝室そっくりの場所に、立っていた。羽里と隼斗と一緒に異世界に転移してしまって、一週間後のことだった。

「え……ヒュー何ここ?」

 エミル様の部屋の、涼しげな麻の白いカーテン。それから、異国情緒のある、青にベージュの糸で模様のついた、砂漠の国独特の織物が幾重にも垂れ下がる、天蓋つきベッド。ベッドの前に置かれた、ラタンの編み込みのテーブル。青系統でまとめられた、連なるモザイクランプの光が、キラキラといろんな色に、壁を照らしていた。

 返事がなくて、後ろを振り返ると、そこには、───。

「え?エミル様??どういうこと?」

 白いさらりとした髪、水色の氷のような瞳。顔の造形は、シルヴァンにちょっと近い。大天使です、と言われたら、「あ~!」ってなりそうな、大人っぽい、美しい人。白い長衣に身を包んだ、エミル様がいた。僕が別れたとき、そのままの懐かしい姿があって、嬉しくなった。
 でも、エミル様が、一歩。また一歩、僕に近づいてきて、それで、ぎゅっと抱きしめられた。ミミズをやっつけた後、抱きしめられて、ラウマで帰ってきたのを思い出して、きゅん、と心臓が跳ねた。
 あれも、あの時も、エミル様は、ヒューだったんだと思うと、もっと、心臓が、きゅんきゅんした。ヒューが、変身できることになんて、もう驚かないけど、一体、何事なんだろうと思って、ちらっと上をみたら、───

「すごい…我慢したから。乃有、やり直し、させて」
「やり直し?」
「うん。全部の世界の、やり直し」

 それを聞いても、よくわからない。
 でも、この家具は、カラバトリでエミル様が使っていたもの、そのままなのだ。ヒューは、どこからでも物を取り出せる、信じられない四次元ぽ…じゃなくて、異空間収納袋を作ってしまったらしい。ただの宿屋の部屋だったはずが、そこはもう、カラバトリだった。そこで、ヒューがしたい、やり直しとは?

「コスプレ」

 ───え。
 エミル様の口から出た、その、いかにも地球の、日本の、言い回しにビクッとする。よく、理解ができずに、うん??と、首を傾げて、目の前の、エミル様の寝室を見る。そう、ここは、エミル様の執務室ではなくて、寝室なのだ。それを見て、まさか、という恐ろしい想像が頭を過ぎる。

「やり直し、したい。俺が主人。乃有は、───」

 あれ。僕は、カラバトリの、一体何のコスプレをさせられるんだ?と、考え、自分が、カラバトリで、一体、何だったのか、を思い出した。その瞬間、───僕をミミズの大群に突き出して、楽しそうにしていたエミル様の顔で、にっこり笑ったヒューに、言われた。

「───奴隷」

 ─────────え。


 ←↓←↑→↓←↑→↓←↑→


「……そんなに一生懸命舐めて、かわいい」
「むうっ へ、えみるさまっ 僕、もう」

 僕は床に座って、今、寝台の端に腰掛けたエミル様の、熱く、そそり立ったペニスを、口に頬張っていた。一生懸命、ぺろぺろと竿を舐め、先端を口に含み、吸い上げる。エミル様の先端が、上顎にぷにっと当たる度に、僕の体は震えた。

「そんなやらしい格好をして。腰が揺れてるよ」
「ふっ うう」

 舐めながら、ゆらっゆらっと、腰をびくつかせているのを指摘されて、僕は、まっ赤になってしまう。だって、僕は、今、ひどい格好をさせられてるのだ。
 これは僕だって、見たことがあった。首には、金の輪をつけられ、そこから、細い鎖がいくつも伸びて、それは、僕の下着に繋がってる。そのせいで、僕が身動き一つする度に、シャラっと音を立てて、鎖が乳首に当たるのだ。
 それから、僕のつけてるその下着は、全く隠すつもりのない、薄い透けた素材でできていて、今、エミル様に言われた通り、僕の、濡れたペニスが、布を押し上げているのが、丸見えなのだ。
 これは、踊り子の衣装で、いや…踊り子の衣装は、ここまで布が透けてるってことはない。背中は大きく開いていて、というか、何もなくて、腰のところで、後ろに回ってる鎖が、下着のTバックのところに向かって、ゆるく続いている。

(こんな…こんな恥ずかしい格好…!)

 そう思うのに、ヒューが何回も、免罪符のように「たくさん我慢して、頑張ったから」って言うから、僕は断れないのだ。わかる。ヒューが大変な思いをしたことくらい、わかる。それに、ずっと我慢してたことも、わかるのだ。
 でも、我慢って、───

(エミル様の時、僕のこといじめながら、こんなこと…考えてたの??)

 僕の頭はパニックだった。
 でも、僕のことを愛おしそうに見ているエミル様を見て、僕の胸はどくんっと跳ねた。こんなに恥ずかしい格好で、ペニスを舐めさせられてるのに、あんなに優しい目で見られてると思うと、腰が揺れてしまうのだ。
 だって、こんな格好の僕に、興奮してくれてるってことで。でも、僕の気が散っているのがわかったのか、白く長い布でできた服の裾から、エミル様の足が伸びてきて、天を向いてる僕のペニスを、すうっとつま先で、撫で上げられた。

「ああんっ やっ ひゅうっ」
「───他の男の名前を呼ぶなんて、いけない子だ」
「や、違っ エミル様。や、足っ だめ、だめっ」

 なんでそんなに、嬉しそうなんだよ!と、頭の中で突っ込むけど、今のヒューは、エミル様なのだ。確かに四年間、ずっと『エミル様』って感じだった。たまに、ヒューっぽいところもあったけど、基本的には、距離を保って、主人として僕に接していたヒューなのだ。ヒューの感覚では、演じてるっていうよりは、ただ記憶を辿ってるだけなのかもしれない。
 でも、僕からしてみれば、ずっと主人だと思ってた人が、本当は大好きな人で、それで、その大好きな人が、その主人だった時のコスプレを望んでいるのだ。

(訳がわからない!)

 でも、その、嬉しそうな顔見ると、───…断れない……。


 ←↓←↑→↓←↑→↓←↑→


「乃有、すごいやらしー…」
「あっん、いまっ、今、隼斗だった!絶対!んんっ」
「ほら、ちゃんと奉仕してよ。俺、今、童貞なんだから」
「ふぇ?!ず、ずるいっ ひああんっ」

 僕は、踊り子の衣装を着たまま、今、大量のクッションに寄りかかったエミル様の上で、今まさに、腰を下ろしているところだった。ゆっくり、エミル様のペニスを飲みこもうとしたら、ぷちゅ、と水音が響いて、僕は、まっ赤になって固まってしまった。
 僕が間違えて怒られたのに、ヒューはエミル様の役じゃなくなっても、そのまま続行なんて、ずるい。
 不満そうな顔をして、エミル様のことを見てると、すっと美しい手が伸びてきて、首を引き寄せられる。耳元で言われる。

「ほら、これで早く気持ちよくなりたいでしょ」
「やっ」

 言い方がエミル様で、僕はびくうっと体を震わせた。
 否定は、できない。だって僕のペニスは、こんなことになってから、ずっと涙を流して、期待して元気いっぱいで。こんなに恥ずかしい格好で、死ぬほど恥ずかしいことをさせられてるのに、さっきから、早く、気持ちよくして欲しくて、仕方ないのだ。
 キュンっと、少し入ったエミル様のペニスを締め付けて、しまう。これでは、言われた通りだと、エミル様に伝えてしまっているようなものだ。

「あっあっああんっ え、エミル様ぁ」

 僕は、エミル様の昂りを、全部、体の中に収め、のけぞって、ぴくぴくと痙攣した。中に入ってるってだけで、僕の体は、この先を期待して、歓喜に震えていた。
 だけど、意地悪な声が聞こえる。

「違う男の、飲み込んでる気持ちはどう?」
「ふあっ ん、い、言わないで」

 いやいやと首を振って、その言葉をなかったことにしたい。なんで、どうしてって思う。だって、中身はヒューで、ヒューがこんなことしたいって言ったのに、そんな責めるみたいな言い方されて、嫌なはずなのに、僕は、でも僕は、なんでか、興奮したままなのだ。
 浮気してるみたいで、ズキッと心臓が痛むのに、でもエミル様がヒューで、僕は、エミル様と繋がってることも、浮気相手も本当に好きな人も、中身が同じことが、嬉しくて、仕方がないのだ。

(どうしよう…これが…背徳感……?)

 あんまり見ないようしてた、エミル様の顔を怯えながら、覗く。
 いつも、僕に意地悪するときにしてたような、女神みたいな美しい笑顔で、僕を見て、すっと僕の頬に、指を滑らせながら、エミル様が言った。

「ずっと、こうしたかった」
「っっ え、エミル様っ」

 優しい笑顔でそう言われて、ちょっとだけ、そうだよね…と、しゅんとする。だって、僕だって、ずっとヒューに会いたかった。それから、会ったら止めることなんてできない欲望があることも、知った。

(それでも、ヒューは頑張って、ずっと我慢してたんだもんな…)

 眉毛が下がる。ごめんねっていう気持ちでいっぱいだった。でもそれを見たエミル様が、そんな僕の気持ちなんて、お見通しって感じの笑顔を浮かべて、すごいことを言い出した。

「じゃあ、謝って」
「え??」
「奴隷らしく、ごめんなさいしてよ」
「あっ あんっ」

 そんなひどいことを言いながらも、エミル様は僕の腰を掴んで、ぐっと下から突き上げた。
 腰を押さえ込まれて、ヒューが何を求められてるのか、よく分からなくて、ただ、その腰の動きに、甘い嬌声をあげた。弱いところばっかり突かれて、ヒューって、こんなに意地悪だったっけって考えて、普通に意地悪だったなって思い出した。

「んっ はあ」

 ただでさえ透けてた下着の布は、もうびしょびしょで、僕のペニスが完全に丸見えになってて、自分で見てても、なんて卑猥なんだと思う。腰を強く掴まれて、揺すられて、「ほら、許してって言いなよ」と、くすくす笑いながら言われる。そのまま、上半身を起こしたエミル様に、逆向きに押し倒され、ぽすんとシーツの音がした。
 腰を止めることなく、僕のペニスを、布越しにやわやわと扱かれて、僕は「あっやっ」と声を上げることしかできない。
 ひどいって思うのに、でも、ご主人様にそう言われて、つい、そのまま口にしてしまった。

「ああっ えみ、エミル様ぁっ いっちゃう。ゆ、許して。も、ああんっ」
「……………ねえ、淫乱なノアのこと、お許しくださいって言って」
「……へ?!なっ?!や、やだっ そんなの、そんな恥ずかしいの、む、無理っ」

 そう言って、精一杯否定すると、目をうっそりと細めたエミル様が「ふうん」と、意地悪そうに言って、僕のペニスの根本を指でぎゅっと握りしめた。

「ひあ?!」
「じゃあ、ちゃんとごめんなさいできるまでは、こうしとこ」

そのまま、エミル様のペニスが、僕の中の弱いところを攻め立てる。布越しにペニスを扱かれて、でも達することはできなくて、僕はガクガクと腰を震わせながら、のけ反って、その荒れ狂う快感に、いやいやと首を振った。
涙で滲む視界で、エミル様の顔を見れば、もう、なんだかすごく幸せそうに微笑まれて、ひくっと顔が引き攣った。そして、絶対に言わせたいんだっていう、確固たる決意が伝わってきた。

(なんで…別に、怒ってないくせに…なんでそんなっ)

ぽろっと涙が溢れる。気持ちよくて気持ちよくて、どうにかなってしまいそうで、解放して欲しくて、解放してもらって、もっともっと気持ちよくなりたくて。過ぎた快感に、頭がおかしくなった僕は、もう、愛する人のしたいように、するしかないってことだけしか、わからなくなった。
半開きになったままの、口から涎が垂れる。エミル様のペニスが、ものすごく気持ちいいところを掠めた。
もう、───

「あ、い、いんらっな の、ノアのこと、ゆ、許してっ」

思わず、そんな恥ずかしすぎることを言ってしまった直後、エミル様はピタッと動きを止めた。僕の浅ましい腰だけが、ビクビクと貪欲に震え、飲み込んだ熱い、硬い、愛おしい存在に、もっと動いてっておねだりしてるみたいだった。
エミル様は、自分の顔を片手で覆いながら、ため息をついた。

「───はあ~~~~~。だめだ。マジでかわいい。こっちが許して欲しい」
「ああんっ ひゅう た、 助けてっ ゆるしてっ ねがいっ」

 もう、エミル様じゃないじゃんって思うけど、どうにもならない。堰き止められたペニスを、解放して欲しくて、腰を揺らしては、エミル様のペニスで内側を擦ってしまい、「ひあ」と、あられもない声が上がる。
 そして、僕の頬にちゅっと唇を落としたエミル様が、優しく、女神みたいな笑顔で言った。

「許してあげる」

そして、その瞬間、最奥まで貫かれた。

「ひああああああああっっ」

びくんっびくんっと痙攣するのに合わせて、僕のペニスから漏れた白濁が、じわあっと薄い布を汚していく。それすらも丸見えで、恥ずかしくて、でも、じっとエミル様に見つめられて、もう、もっと恥ずかしい僕のことを見てほしい、みたいなわけの分からない思考になってた。
イッたばかりだというのに、離したくないとばかりに、ゆらゆらと腰を揺らしてる僕の、舌ったらずな声が聞こえた。

「溶けちゃう。エミル様ぁ…ひゅう…も、溶けちゃうよぅ」
「………じゃあ、もっと、溶けるまで、しよ」
「ひゅう、ちゅーして。も、エミルさまぁ」

くったりした重い腕を伸ばして、エミル様の首に伸ばした。ちゅっと、エミル様の唇が重なるのを感じて、目を閉じた。僕の中の熱くて硬い存在を感じて、うっとりしてたら、エミル様の、苦々しい声が聞こえた。

「あーー……ほんと、まじで、俺、よく我慢したなあ…」

よくは分からない。
よくは分からないけど、もしかしたら、ユノさんやミュエリーとも、抱き合う日が来るのかな、なんて恥ずかしいことを考えて、でも、そんな思考は、すぐにまた、快感の波に、飲まれて、消えた。

頭の中に浮かぶことは、一つだけ。
どんな姿だって、誰だって、それがヒューなら。


「好き、大好き…ヒュー」
「ん、俺も」






───────────────
ここまで読んでいただき、本当に本当に、ありがとうございました!!
ノアも薄々感じているようですが、VSユノ、VSミュエリーも続きます。かなり拗れちゃってるので。とりあえず『完結』で締めますが、1月くらいにまた番外編再開します。
ありがとうございました!
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