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2. と、暮らす
52 レイナの敵
しおりを挟む「な、なんだあれ。クマ??」
「クマだけじゃない。いろんな人形が触手の先についてるんだ」
「待って。あれって、人間ってこと?違うよな??」
「………多分、あれは人形遊びのつもりなんじゃないかな」
それを聞いて、こんなおかしな触手で操られてる人形遊びなんて、全然かわいくない!と思ってしまった。
噴水広場にいた大きな白クマのぬいぐるみを思い出す。まさか、レイナはあんなにたくさんの人間を、手にかけてしまったんだろうか、と思い、背筋が凍るような思いだった。触手と同時に、その人形たちが、まるで操られているかのように、ネルと俺に向かって、殴りかかってくる。よくわからないけど、───
(ぬいぐるみ……すごい、肉体派!!!)
まさか自分よりも大きなぬいぐるみや人形に、殴りかかられる日が来るとは思わなかった。人形に、銃弾は効きそうになくて、ただひたすら逃げ回る。ネルはいつもの青白い剣で、スパンスパンと頭を切り落としていた。そして、ネルが叫ぶ。
「ソーマ!これ、ただの人形みたいだ!発見された奴は、中に死体入ってたから」
「な、中ッ え?!」
なんでそんなおぞましい情報を、今、伝えてくれるんだよ!と、怒りが込み上げた。しかもそれを、今、人形の首を落とすことで確認したのか…と、ゾッとする。もし中身生きてたらどうするんだよっと思わないでもなかったが、よくわからないけど、きっとネルはわかってやったはずだ…そう思おうと、無理やり納得した。
でも、次々に触手で操られた人形たちは、ネルに向かって、獰猛なパンチを繰り出してくる。だが、──どうも、俺に向かってくるぬいぐるみは、脇が甘いというか…ただ、俺のことを押さえこもうとしているだけのような気がする。ちらっとネルの方を見てみれば、触手もバシバシ向かっていくし、人形たちも数が段違いだった。
「お、おい!なんかレイナ、お前のことばっかり狙ってないか??」
「…………もしかしたら、僕のことを殺そうとしてるのかもしれない」
「はあ??」
「でも、そういうことを考えたらだめだよ、ソーマ。何回も言ってるけど、あれは、ベスィでしかない」
何故かネルの方にばかり飛んでいく巨大な触手を見ながら、走りながら、そうだったと思い直す。
昼間のレイナの姿からは想像もできないほど、彼女の背中からは、大きな触手がうねうねと立ち上っていた。ぬいぐるみだって、うっかりしてしまえば、ちょっとかわいいと思ってしまいそうだが、繰り出されるパンチの威力は本物だ。
ネルのことを殺そうとしているのが、ありありと伝わってくる。頭の中で、毎秒ごとに祈るように唱える。あれはレイナではないってことを、ちゃんとそう思っておかなくては、心がどうにかなってしまいそうだった。
(あれはベスィ…あれはベスィ…あれはベスィ)
リボルバーを斜め横に構えながら、ただひたすら、触手の根源であるレイナの元へと足を進めた。ネルの方は、次から次へと触手が振り下ろされる。それを跳ねたり、くぐったり、切り裂いたり、相変わらずの常人離れした動きで、ネルは俺よりも少し遅れて、前を目指していた。
でも、俺の必死の努力も、次の、ベスィの、レイナの一言で打ち破られてしまう。
「ソーマ!そのお兄ちゃん、悪い人だから近づいちゃダメよ!」
「…え?」
「レイナのこと、たくさん噛んで、嫌なことたくさん言って、意地悪なことばっかりするの……」
どういうことだ?と、動きを止めそうになる。意味がわからなかった。レイナは、こんな姿になっても、まだ普通に自我を保っているのか、と、怒りと、悔しさで、吐きそうになった。それに、今、レイナは一体なんて言ったんだろう。走りながら、考える。
どうやら、レイナは、おそらくネルのことを、『悪いお兄ちゃん』だと勘違いしているようなのだ。
確かに、レンツェルとネルは、背格好は似てるかもしれないけど、ネルはそんなことしない。でも、レイナの言うことが本当なのだとしたら、吸血鬼は、レンツェルは、一度噛むだけで致死量だと言うのに、レイナのことをわざとたくさん噛んで、しかも、こんな幼い子に意地悪をした、ということだろうか。
(意味が、わからない…意味が、わからない…!)
ネルの方へと、また大きな触手がバシィンと、振り下ろされた。レイナの背中から出ているように見えるその触手は、容赦無く、ネルへと降り注ぐ。思わず、ちらっと振り返った俺に、ネルは「僕はいいから」と、言った。
こくっと頷きながら、レイナのことを視る。
インクを被ったみたいに真っ黒になってしまっているレイナ。日中とは違い、腐臭もひどい、息だって口から漏れ出る液だって、真っ黒で、あの美しかった緑色の瞳は、まっ赤だ。ふぅっ、と、堪えきれなかった憤りが、息として漏れた。
さっきのネルの「あんな小さな子に…」という、小さな呟きが思い出された。
「感情が、ないだなんて…悪霊だと、……思えだなんて…」
よくわからないが、今レイナは、俺のことを守ろうとして、ネルのことを倒そうとしているのだ。ベスィなんだって、見てればわかるのに。ベスィなんだって、思いたいのに、その難しさに、その辛さに、もう、何がなんだかわからなくなる。
唇をしっかり噛みしめていないと、泣き出してしまいそうだった。
レイナは俺には攻撃してこないのだ。今、リボルバーの引き金を引けば、弾だってきっと届く。でも、どうしても、どうしても、レイナに向かって、引き金を引けずに、非道になれずに、叫んでしまった。
「でも、だめだ。レイナ!悪い奴でも、たとえそうだとしても、殺しては、いけないんだ!」
自分の口から出てきた言葉の、綺麗事の美しさに、反吐が出た。
レイナの想いは、間違ってはいない。悪い奴は、倒せばいいのだ。だけど、それでも、人間は、ベスィではない人間は、それをしてはいけなかった。人間は、耐えなくては、いけなかった。そして、レイナのように、力を持っていないのだ。
でもそのために、と思う。そのために、存在している人間がいた。まだ、俺には自覚がない。まだ、働きはじめて間もない。本当にそう名乗っていいのかどうか、それもまだ、自信がない。それでも、───その人間は。
そのために存在してる人間は、───俺たちだった。
祈るように叫ぶ。
「そのために、レイナのお父さんは、がんばってるんだから!!!」
レイナの赤い目が、バッと大きく見開き、だけど、それは、ひどく悲しそうに、歪み、そして、レイナは言った。
「………お父さん。お父さんは、私のところに帰ってこないのよ!悪い奴がいなくなったら、きっとレイナのところに戻ってくる!きっと、きっと、おうちに帰ってくるんだもん!!!」
その言葉にハッとする。
ベスィは、様々な思いを抱えている。そうだったのか、と思った。誘拐犯を見つけたレイナは、正義の気持ちから、手を下したわけでは、なかったのかと思う。そりゃあそうだ。五歳の女の子に、そんな正義を求めては、いない。レイナはきっと思ったんだ。
(悪い奴がたくさんいる世界なんて。お父さんを忙しくする、悪い奴なんて、死んじゃえばいいって……)
レンツェルのことは、レイナにとって、ただ単純に嫌なやつだっただろう。きっと、レンツェルが悪の親玉だってことは、多分、レイナは知らない。でもレイナにとって、悪い奴は、ただ悪い奴というだけではなくて、お父さんの敵だった。そして、レイナの敵だった。
思わず見たレイナは、目にたくさん涙を貯めて、でも、その目はもう、正気ではなかった。まるで癇癪を起こしている子供のように、レイナは叫んだ。
「私のことを邪魔するソーマなんて!そうか、ソーマも、悪い奴だったのね!!そうよ。そのお兄ちゃんといるんだから!!」
「ネルは違う!!レイナの思ってる人とは、違うよ!!」
思わず、そう叫んでしまった。
別に、ネルのことを深く知っているわけではなかった。でも、世界一不可解な人間だと思ってるのに、それでも、ネルがそんなことをしないってことは確信が持てた。なんでだかはわからない。それでも、───。
今までネルの方にばかり行っていた触手が、俺に向かって、急激に方向転換をしたのはその時だった。背後から、ものすごい速さで、俺に向かって触手が放たれた。不意を突かれて、そのまま、前へとズンッと全身を殴られるような強さで弾き飛ばされ、そして、路上に投げ出された。辺りに弾け飛んだ瓦礫が、降り注ぐ。思わず、腕で頭を覆った。
「ソーマ!!」
あれだけの触手を相手にしていて、一撃も食らっていないネルの、慌てた声が、後ろから聞こえた。次の一撃が振り下ろされようとしていた。ペッと、口の中に広がった血を吐き捨て、急いで立ち上がる。
ちょっと涙が出てしまいそうになって、それでも、俺はリボルバーの銃口を、レイナに…違う、ベスィに向けた。レイナが唇を噛み、むっと泣くのを堪えるような顔をした。俺も同じような顔をしてるに違いなかった。でも。
(違う。レイナはこんなこと…絶対にしない。魂が呪いに引きずられてるんだ。レイナは、絶対に、こんなことしない!)
ぎゅっと目と瞑り、どうにかして、どうにかして、そう思うことだけに集中する。だけど、──そっと、銃口の上にきれいな白い手が置かれ、ぐっと下にリボルバーを下ろされる。青白い閃光のような残像。瓦礫がそこかしこから舞い落ちる中、全てがスローモーションのように見えた。
レイナに向かって走り抜けたネルが、泣きそうなレイナの心臓に、狙いを定める。俺は、ただ震える足で、立ったまま見ていた。そして、ガクンッと、膝から崩れ落ちてしまった。
ネルの剣が、今、レイナの心臓に突き刺さろうとした時、その剣とレイナの間に、バサッと闇色のカラスが舞い降りたのは、その時だった。だけど、──立ちはだかったカラスの羽根ごと、ネルは躊躇なく、レイナの心臓に剣を突き立てた。
「ぎゃあああああああ」
レイナの悲痛な叫びが響き渡った。
それと同時に、凄まじい痛みが、俺の頭に広がる。がくっと地面に手をつきながら、でも、どういうことなんだと、ふらつく体で、薄く目を開ける。ズドーンと、すごい音を立てながら、立ち上っていた触手が道へと、落ちてきた。
砂埃が舞い、瓦礫が降り、俺の場所からは、二人のことは見えなかった。でも。
「………彼女は、ベスィです。この恨みは、全部、僕に」
ネルの、誰に伝えているのかわからない、小さな呟きが聞こえたような気がした。
どうして、レイナに敬語を使ってるんだろうって、不思議に思う。でも俺は、頭を押さえてうずくまったまま、動けそうになかった。レイナの側に、行ってあげなくちゃって、そう思うのに、体がぴくりとも動かなかった。
レイナの声が聞こえる。
「知ってるよ、悪いお兄ちゃん。あなた、お父さんの『ぶか』でしょ。遊園地に、私のこと迎えに来た。お父さんは、悪い奴を倒すのに忙しくて、私のこと、嫌いに、なっちゃったって、言った。だから一生迎えになんて来ないって、私がいい子にしてても来ないって。悪いことしたら、お父さんが来るかもねって」
「…………」
「でも、私は悪いことなんて、できなかった。ずっと、お留守番して、待ってた。でも、悪い人見つけて、大きなサリーにしちゃったから。だから、お父さんが、私のこと、やっつけに来たの?」
レイナの声は聞こえるのに、言ってる内容は何一つ理解ができなかった。
でも、辺りに舞っていた砂埃が引いて、だんだんと、レイナとネルの姿が見えてきた。心臓に刺さったままの剣を抜かないネル。心臓を貫かれてからも、少し話をすることができた他のベスィを思い、きっと、ちゃんと消えるまではそうしているんだと思った。
レイナの痛みは、どれほどのものだろう。それを考えるだけで、涙が込み上げる。
だけど、あのカラスは…どうしてあんなところにカラスが?と思いながら、額を押さえながら、立ち上がった。
ぐらっと視界が揺れる。それでも、レイナの側に行かなくちゃと思う。
足が重い。一歩踏み出すだけで、頭痛がひどくなる。
朦朧とする意識の中で、レイナの、意味がわからない言葉が続く。
「…………でも、それじゃあ、お父さんがレイナのこと、やっつけるんじゃなくて、お父さんが、痛いじゃない」
「ごめん。レイナ。遅くなって。お父さん、遅くなって、……………ごめん」
聞こえてきたのは、低く、渋い、最近聞き慣れてきた中年男性の声。
カラスが、刺されていない方の、左側の羽根で、そっと、レイナの頬を撫でた。目にいっぱい涙を貯めたレイナの瞳から、ぽろぽろと、美しい涙がこぼれ落ちた。
(………え??)
レイナは泣きながら、話した。
「お父さんは、私のことなんて、嫌いになっちゃったのかと、思ったの。忙しいのわかってたのに、移動遊園地行きたいって、お願いしたから」
「そんなわけ…な"い"だろおおおおおお。レイナは、お父さんの天使だ!!」
「私がわがまま言ったから、遊園地に置いてかれちゃったんだって、悪いお兄ちゃんが…」
「う"お"ぅぅ、そんな、そんなわけあるか!!お前がいなくなって、お父さん、ずっと、ずっど探して…!あ、あのどぎ、お父さんが、お前の手を、はな、はな"さ"なければ……!」
どういうことなのかは、わからない。
でも、もしかして、本当にスパロウ課長が、レイナのお父さんだったんだろうか。どういうことだ?どういうことだ?と、割れそうな頭で考える。父親がカラスなことを見ても、レイナが驚かないところを見ると、もしかして、これもネルみたいな、特殊能力なんだろうか…と思ったら、娘からツッコミが入った。
「ていうか、なんでカラスなの?お父さん」
「う"う"う、い、色々あったんだよレイナ。考えてもみろ。お父さんがカラスになっちゃうくらいだ。いろんなことが、あったんだよおお。レイナも、辛かっただろう。ごめんよ。ごめんよおおお」
「そう、なの。カラスになっちゃうのは、確かに大変だね…でも、お父さん…」
つい、レイナの方が大人に見えるのは、どうしてだろうと考えてしまった。
でも、だんだんと、レイナの体が光り出す。あ…と俺は思った。オルガさんの最期を、思い出したのだ。そのレイナの様子を見た課長がビクッと大きく震えた。少しずつ、白く薄れていくレイナは、ぽつりと、悲しそうに言った。
「私……悪いことしちゃったから、もう、死んじゃうみたい」
「ああ。ああ。ごめんよ、レイナ。お父さんがもう少し、もう少し早く、見つけてあげられたら…!うお"おおお!ごめんよ。ごめんよおおお………ううっお父さんも、レイナと一緒に逝ぎだい……もう、レイナのことを一人にはさせられないよ…」
しゅんとした課長がレイナのことをぎゅっと抱きしめた。もう霊送が始まったとわかったのか、ネルの青白い剣がスッと闇の溶けて消えた。
その、次の瞬間───。
レイナの腕が振り上げられ、想像だにしなかった勢いで、バシンッと、その小さな手が、カラスの頭を思いっきりぶん殴った。ぐったりと地面にはたき落とされた課長を見て、「えっ!」と、思わず声をあげる。だけど、カラスはぴょんと飛び上がり、レイナに向かって、嘴を大きく開けて怒鳴った。
「い"っだ!!ひ、ひどいじゃないかレイナ!お前、今のお前の身体能力の高さを知らんな!?」
「そんな弱いカラス。私のお父さんなんかじゃないわ!」
「なっなに!?」
「───ダメに決まってるじゃない。お父さんは、悪い奴をやっつけるんでしょ!やっつけるまで、ちゃんとやってよ!」
そう怒鳴られて、課長はハッと動きを止めた。そして、そのつぶらな瞳から、また、滝のように涙が溢れる。
「うお"おおおおおおうれいなあああああ」
再び涙を噴き出しながらも、レイナに課長は飛びついた。
まるで老人のようにぷるぷると立っていた俺の横には、いつの間にか、ネルが立っていた。そして、無言のまま、スッと足を掬われ、横抱きにされて、「うわあ!」と思わず叫んだ。だけど、そんな俺なんて、どこ吹く風といった様子のネルは、つかつかとレイナの側まで、俺のことを抱いたまま、歩いて行った。
その様子を見て、レイナが言った。
「ソーマも、ごめんね。遊園地、楽しかったよ」
「レイナ。ごめん…俺、全然、気がつかなくて…」
「だけど、そのお兄ちゃん。本当に、大丈夫なお兄ちゃんなの??騙されちゃ、だめだよ。ソーマ、単純そうだし」
「え」
正直なところ、俺も、このお兄ちゃんは信用していいものかどうか、よくわかってないんだとは思ったが、その後に、5歳児に「単純そう」と言われたことの衝撃と、頭痛で、よくわからなくなっていた。
だけど、──もう、レイナに残された時間はなかった。きらきらとレイナから白い光が、星が散るように、弾ける。
スパロウ課長が、その光に手を伸ばす。まるでレイナが、課長を抱きしめるみたいに、白い光が課長を包んだ。
嗚咽を漏らす課長を見て、俺の目からも涙が溢れた。課長が、レイナが、どういう理由で、何がなんなのか、わからないことは多すぎだ。だけど、でも、この悲劇が、一体誰によって引き起こされたかっていうことだけは明確だった。
恥ずかしくも、ネルに抱えられたまま、肩を震わせることしか、できなかった。
(こんなの…こんなのって……)
聞きたいことがたくさんあった。
でも、俺はその壮絶な痛みに、そのまま、意識を失ったのだった。
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