【BL】死んだ俺と、吸血鬼の嫌い!

ばつ森⚡️4/30新刊

文字の大きさ
上 下
6 / 92
1. と、出会う

06 厄日

しおりを挟む


「なあ、───さっきの。ベスィには感情なんてないっていうやつ。あれって経験則?それとも、吸血鬼に関わってる奴らの常識?」

 三軒目の事情聴取を終えた後のことだった。シェラント女帝国の秋冬の日暮れは早い。時刻はもう午後五時で、辺りはすっかり暗くなっていた。街行く人たちも、家に向かって足早に歩いているようだった。
 流石にもう解散だろうな、と思っていた頃合いだったが、俺はどうしても気になったことを、少し前を歩いているネルに尋ねた。
 ネルは俺の言葉に、ちらっと振り返り、じとっとした目でため息混じりに言った。

「はー。なんでそんなこと、僕が教えないといけないわけ?」
「っっ」
「あいつらに感情はない。破壊衝動だけって言ったよ。耳悪いの?聞こえなかった?」

 その、明らかに嫌そうな言い方に、俺は頭に血が上っていくのを感じた。なんだってこの男は、こんなに俺につっかかってくるんだ。そんなに面倒なら、そもそも、俺を警察署になんて、連れていかなければよかったじゃないか!と、思う。
 しばらく、こんな感情を抱くこともなかったから、余計に腹が立つ。
 鬱陶しいなあって感じの顔を、隠すことなく、ネルは、俺の心臓に、ドンッと指をつき立てた。びっくりしている俺に、トンットンッと強めに指を押し付けながら、言った。

「ほんと、変なこと考えないで。心臓ここに、ぶちこむの。弾を。それだけ」

 まるで、物分かりの悪い人間に、心底辟易してる様子で、そう言うと、ネルは、少し体をかがめて、俺の顔の目の前に、顔を寄せると、次は、指を俺の額にトンッと押し付けながら、「わかった?」と、高圧的に尋ねた。それから、「僕は今日、女の子と約束あるから。あ……怖がりなソーマは、家まで一人で大丈夫?」と、にやにやと笑った。
 その様子に、その態度に、もう俺の怒りは頂点に達した。俺はその指をネルの腕ごと、振り払いながら、大声で言った。

「余計なお世話だ!」

 そして、ドスドスと音が出そうなほど、強く歩を進めながら、家に向かって歩きはじめた。
 後ろから「明日は朝九時に警察署の前ねー」という、ネルの声が聞こえたけど、俺は振り返りもしなかった。そもそも、俺が、銀時計も持っていない俺が、本当に、本当に、警務官なんてものに、なれてしまったのかって、まだ、実感もなかったのだ。
 何がなんだか未だにわかってない俺が、一つわかること、それは、───

(なんだ今日は…厄日かよ……)

 今日がくそみたいな1日だったってことくらいだった。
しおりを挟む
ばつ森です。
いつも読んでいただき、本当に本当にありがとうございます!
↓↓更新状況はTwitterで報告してます。よかったらぜひ↓↓
感想 6

あなたにおすすめの小説

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

【R18+BL】ハデな彼に、躾けられた、地味な僕

hosimure
BL
僕、大祇(たいし)永河(えいが)は自分で自覚するほど、地味で平凡だ。 それは容姿にも性格にも表れていた。 なのに…そんな僕を傍に置いているのは、学校で強いカリスマ性を持つ新真(しんま)紗神(さがみ)。 一年前から強制的に同棲までさせて…彼は僕を躾ける。 僕は彼のことが好きだけど、彼のことを本気で思うのならば別れた方が良いんじゃないだろうか? ★BL&R18です。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

処理中です...