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第七夜① 開花

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 頭が真っ白になる。

「あ……」

 奥の奥まで弄りたおされたとはいえ、これまではまだ指だった。
 だが、今度という今度は違う。
 ぼってりと濡れた淫唇を、猛る杭が撫であげてくる。

「ひあっ」

 ぬぷ、ぬぷ、と、入口をうかがうように圧をかけられて、膝ががくがくと震えた。
 とうとう今から、されてしまうのだ。

 ぢゅっぷ──

「あ、あ、あ、あぁ……」

 入ってくる。
 無造作なほどあっさりと。

 ぬめる先端は、硬くて熱い。

 本当なら、初めては夫のはずだった。
 それでもやはりこうするしかなかったとは思う。
 ただ、どうしようもなく涙が滲む。

 脚を抱え直され、あ、と思った途端、一気に貫かれた。
 ずん、と打ち込まれたものの、衝撃は思ったほどではなかった。

「入ったぞ」

「あ……」

 もっと気を失うほどのものかと思っていたが。
 これなら指と変わらない。

 ただ、言い知れない喪失感が、新妻を襲った。
 深い闇にどこまでも沈んでいく。
 失墜する感覚に絡め取られて、もうどこにも逃れられない。

「このくらいならまだ余裕だな」

 長く美しい指が、火照った頬をそっと撫でる。

「今は指ほどに細くしている」

 細くしている? 何を?

「神の身体は変幻自在だと言ったろう。指が伸びるのだから、ここも細くできる」

 男根を指ほどに細くしているのだと、神は言った。

「ただ、あれだけほぐしたにもかかわらず、また元通りほどに締まっている。男にはたまらぬ身体だが、慣れぬ夫に難しかったのはわからんでもない」

 それを聞いて、女は少し我に返った。そして焦った。

「待って、あのでも、私今夜からすぐにあの人と結ばれなくては困るの。ご存知なのでしょう?」

 神はすべてお見通しだと言った。実際にそうだった。
 ならば、彼女達に迫る危機も知っているはずだ。

 男神の口元が苦々しく歪んだ。

「下卑た義兄らよな」

「おお、神よ……!」

 心からの祈りがため息となってこぼれた。

「ならばお願いです。どうか……」
「心配せずともよい。“今は”と言ったろう。まだ夜は長い。これからどんどん太くしてやる」

 言いざま、ずずずずずっ──と引き抜かれる。
 奥から口まで、膣壁を逆しまに擦りぬかれて、背中が浮くほど身震いした。

 ぞわぞわぞわぞわ…──

「ひあぁっ……! ッ───!!!」

 かえす刀ですかさず突き込まれる。

 ずちゅっ、ぬぷぷぷ、みちみちみちみち…──

 さっきより太くなっている。
 圧迫感がすごい。

「かはっ……!」

 その太くて熱いもので突き上げた奥先をごりゅごりゅと捏ねくられ、ちかちかと星がとんだ。
 身体が発火しそうだ。

「指よりよさそうだな。……まあ当然か」

 ぐちゅちゅっ、ぐごりゅっ、ずずずずずずッ──

「あ、あ、あ、ああああああああああああああぁ」

「抜くときが随分いいらしい。どう抜かれるのが快い? ん?」

 こうか? こうか? と何度も突いては抜かれ、その度に角度や向きを変えたり、強さを変えたりして、身体を試される。
 動き方も、速く出し入れしたかと思えば、ゆっくりじわじわとしてみたり、ねちゅねちゅと捏ねながらねじり抜いたりと、ありとあらゆる方法で責められた。

「はあっ……、はあ……」

「まあ、これだな」

 奥の突き当たりより少し左上、突くよりも練りこむように捏ねて押し上げ、抜くときはまっすぐに、はじめゆっくり、最後は加速して引き切る。

「あああああっ! それっ……あっ、ああぁ……」

「花開けば大輪とはわかっていたが、ここまでとは。君はおそろしいな」

 すすり泣きながら乱れさえずる姿は、雄の劣情をそそってやまない。
 何よりこの身体だ。一度抱けば、どんな男も虜になるだろう。道を狂わされる者も出るだろう。

 神にもそう確信させるほどに、艶めかしく、蠱惑的だった。

「まだ君の夫の太さにも足りない。いくぞ」

 みちみちみちみちっ──

「ッ…………!!!! く、はっ」

 柔襞が悦びの悲鳴をあげてざわざわとさざめき、子宮は待ちわびて震えている。

 ずちゅ、ぬ、ぬ、ぬ、ずりりり、ずりっ──

 もう熟知した弱いところを責めぬきながら、神はじわじわと強度を上げていった。

「ああ、熱くて柔らかくて、よく締まって。それにこの這いずるように絡みつく動き。君は本当になんという……くっ…」

 男の息も荒くなっている。

「そんなに咥え込まれると、さすがに少々おかしな気分になってくるな」

「あ、あ、あ、あ、あ、ああああああああああああああああああっ」

「もう少し、いけるか」

 ぎち、ぎちちち──

「─────ッ!!!」

 息ができない。
 全身をつっぱらせた女の身体は、細かい痙攣を繰り返して震えている。

「このくらいで限界だろう。奥までぎっちり入ったぞ」

 蕩けきった目は、すっかり男を通り越して、遠くを泳いでいる。

「気分はどうだ? ……とは、訊くまでもないな」

 恍惚。
 としか言いようのない忘我の表情が、全てを物語っていた。

 何より中が。
 ざわざわと歓喜し、初めて迎えた男に総掛かりで群がり喰らいついている。

「しばしそのまま、味わえ」

 そう言って、男の手が下腹に当てられた。
 ねっとりと愛撫する長い指と熱い掌の下、円やかな白い腹の中には、猛々しい鉄杭がぎっちり挿入っている。
 
「わかるか? 奥まで入っている」
「あ……」

 あらためて言葉にして示され、女の頬がさっと染まる。

「君の中に、俺のものが」
「は、あっ……」

 心ざわつく新妻に、男はかまわず言葉を重ねる。

「さすがにきつい。ぎちぎちだ」
「んぅ」
「だがしっかり咥えて、健気に動いている。わかるか?」
「はっ……」
「感じるだろう?」

 ぐ、と手で腹を揉みこまれて、外からの圧に腰が浮いた。

「ああっ」
「締めてみろ」
「ふぇ…?」
「中をぎゅっと。引き締めるんだ、自分で」

 何もかもが初めての年若い娘に、そんなことができようはずもない。
 それどころか、何を言われているのかすら、頭に入ってこない。
 とろんとした目で首を傾げて、二人の繋がっている部分に顔を向けた。
 途端、ぶわりと上気する。さっと朱を走らせた羞じらいの表情の、初々しいこと、無防備なこと。
 熱い掌で丸く腹を撫でられて、切なげな吐息をこぼした。

「さすがにまだわからぬか」

 男の手が、脇腹に回る。

「ならばこれでは? どうだ?」

 散らした指先で、前触れもなく、くすぐられた。

「ひゃん!……っ、ああっ、ああんっ」

 くすぐったさに身が捩れたところまでは、あの夜のくすぐり責めの時と変わらない。
 ただ違うのは、今は男の怒張に中を占領されているということ。少しの身動きすら子宮を激震させる快感をもたらすということ。
 そんな状態でくすぐられてはたまらない。

 痙攣したのは、手足だけではなかった。
 臓腑もひくひくと咽び泣くように痙攣した。
 無論、中も。

「ひあっ」

 男の指が、羽で撫でるように腋窩に触れ、脇腹をまさぐる。

「あああああああっ、……はぁ、はぁ、っ! ああああああああああああああああっ」

 くすぐっては止め、止めてはくすぐり。
 気まぐれな悪戯はひとしきり続いて、女はさらにぐずぐずに崩された。


===

※あと二話で終わります。この後、約6時間おきに完結まで投稿予約済です。
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