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第六夜 変幻自在の神の妖手

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「んー、今夜はこっちの姿でいこうかな」

 初めて会ったときの白い神が、そこにいた。
 中性的で透き通るような美しさ。
 ずっと黒い男の色気に慣らされてきたから、かえって新鮮だ。

「今日は中イキの特訓だからね」

 どきんと胸が跳ねる。

(特訓……)

 昨夜だって充分に特訓ではなかったか。
 朝までずっと中をいじめられて、泣いても気を失っても赦されず、泪も声も枯れ果てた。

「中は中でも、昨夜は浅いところだったでしょ? 今日は奥を教えてあげる。深イキはすごいよ?」

(あれで浅いって、嘘でしょ?!)

 ごくりと喉を鳴らした女に、白い神は人差し指をさしだした。

「握ってごらん」
「こう?」
「ん。目をつぶって。何があっても離さないでね」
「はい……きゃあっ?!」

 飛び上がって驚いたのも、無理はない。
 目を閉じた途端、手の中の指がむくりと大きくなったのだ。

「ダメじゃん、離さないでって言ったのに」
「だって、え、嘘でしょ?」
「ほら、もう一回。握って。両手で」
「あ」
「今度こそ離さないでね。目も開けない。いいね?」

 はい、とは言えなかったが、言われた通りにした。
 包んだ手の中で、神の指は膨れ上がり、長く伸びた。

「変幻自在だって言ったでしょ? 神だからね。指の形くらい、ちょちょいのちょいだよ」
「はい……」
「その様子だと、わかってないね」
「?」
「今からこれで中を特訓するってこと」

 ばくんと、血が沸騰した。

 包んだ手の中で、むくりと膨らみ、ずにゅんと伸び上がる、神の指。まるで生き物のように脈打ち、あちこちがぼこぼこと膨んでは、その膨らみが移動していく。柔らかな手の肌をごりごりと刺激しながら。

 これで中を、昨夜のようにされるのだ。

 そう想像しただけで、甘い疼きが腰に灯った。奥から溢れてしたたるほどに濡れていくのが、自分でもわかる。
 緊張と期待に膝が震える。

「さ、ベッドに行こうか」

 *

「あっ、あっ、ああああああんっ、ひあんっ!」

 まだ普通の指のまま、昨日のところを執拗に弄られていた。
 ざりざりと強く擦られて、手足が跳ねる。

 ビクンッ、ビクンッ、ビクンッ!

「あん!やんっ」
「慣れたらここだけでも全然いけるようになるからね」
「あ、んっ、んんぅ」
「あとはお婿さんと練習して」
「ああああっ、はうっ」

「じゃ、いくよ」

 不釣り合いに明るい声が、そう告げた瞬間。

 指が、どくんと膨らんで、伸びた。
 蜜道の中をぬちぬちと押し開く。

「ぁっ……!」

 ぐちゅ、ずちゅ、ぬぷ──

「か、はっ……!」

 みちみちと押し入られる圧迫感は、これまでの比ではない。

「あ゛あ゛あ゛あ゛」

 びくっ、びくっ、びくびくっ…!

 指にはありえない奥の奥まで暴かれ、まさぐられて、抉りまわされ、あっという間に意識が飛ぶ。

「ここだよ、いちばん奥。覚えてね」

 とん、とん、とん、とんっ──

「わかる? 今とんとんしてるよ。大事な子宮の入り口」
「ひ、あっ、あっ、んっ」

(待って待って待って待って……!)

 奥がしくしくと泣き出し、全身が発熱する。

「言ってること、聞こえてる?」
「あっ、あっ、あっ、ひぁっ」
「とんとんしてるのも、聞こえてる?」

 指のわずかな動きひとつで、重い振動が身体を引きずり回していく。
 呑みこまれる。

「んあああああああああああぁ」

「だいぶよさそうだよね。子宮も降りてきてるし」
「あああああああああああぁっ」
「すっごいふかふか。これはちょっと、僕でもたまんないね。すごい。君、自分ではわかんないだろうけど、いわゆる名器だから」

 ぐにゅぐにゅと掻き回されて、腰が大きく螺旋した。

「はああああっ」

 ざりり、ぐちゅん、ととんっ──

「ああ、すごい。旦那さん幸せ者だね」

 弱いところを不規則に煽って、ほしいままに奥まで押し入る。
 その手を腹の上からも揉み込み、逃げ場なく責め立てていく。

「っ、あっ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああっ……!」

 もはや男神の言葉もどこまで耳に届いていただろう。
 すでに息も絶え絶えで、目の焦点もとびきっている。

「さっきからもう、いきっぱなしだ」
「っ、かは……!」
「ほら、ぜんぜん不感症じゃなかった。よかったね」

 ちょん、と脇腹を突つかれた。
 そんな小さな刺激が、極まり続ける今の身体には、雷のように響く。

「はぁああああああああああああああああああああああああっ」
「だから言ったでしょ? 花開いてないだけだって」

 もはや言葉もなく、すすり泣く甘い喘ぎが閨を満たす。

「中も浅いところはこれから開発しなきゃだけど、君の奥はとっても素直だ。何もしなくてもこんなに感じて。素敵だ。すごく、可愛い」
「……!!!」
「特訓は要らなかったみたいだね。もうあとはしっぽり楽しむだけでいいかな」

 くいん、くいん、くいん──

 自在を極めた神の指だ。動きばかりか、長さ太さ形まで気の向くままに、柔襞を掻き回し、蜜壷の奥の奥の秘められた口までぐにぐにと捏ねて突いてこじ開けて、なおもさんざんに女を囀(さえず)らせた。

 昨日までとは快感の次元が違う。
 体の奥底からどろどろに爛れ落ちる。
 もう、それ以外のことが何も考えられない。

「ああああああああああああああああああああああああッ─────────!!!!」

 ビィイイイン……!!!

「かは……」

 がくんがくんと震えつづけた果てに、とうとう糸が切れたように崩れ落ちる。
 失神して脱力してなお、白い肢体はぴくんぴくんと痙攣をやめなかった。

 *

 そうしてすっかりぐずぐずにされ、どれほどかぐったりと力尽きていたらしい。
 口移しに水を飲まされ、意識が浮上した。

「元気になるお水。もうひとくち飲んで」

 ぼんやりとした視界に、白い神の姿が見える。
 のどを過ぎる水が甘い。

「ね、深イキは凄かったでしょ?」

 身体がびくとも動かない。
 手指さえ持ち上がらない脱力の深さは、あのめくるめく快楽の代償なのだろう。

「……っ」

 出そうとした声は、かすれた吐息にしかならなかった。

「まだ動けないよ。子宮でいくと、すごく体力使うからね」

 さらにもうひとくち、甘く優しく飲まされた。

「大丈夫、後は任せてればいいから」
「あ……」
「次は、じっくり感じて」

 耳元を甘い低音にくすぐられて、ぞくんと震えた。
 そして目を上げた女の顔が、驚きに染まる。

 白くたおやかな麗姿が、ふわりと滲んでいくではないか。
 黒々とした影が落ちる。
 やがて冴えた輪郭がひと回り逞しい姿を浮き上がらせた。

「続けよう。最後の夜だ」

 彼女にのしかかって影をつくっているのは、あの妖艶な黒い男神。
 獰猛な片笑みに危険なまでに色気をあふれさせて、見下ろしている。

 有無を言わさぬ支配者の手で、白い脚が大きく割り開かれた。
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