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二章 接吻
1 そこで見ていろ
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※二章プロローグです。KW:NTR/寝取られ、軽い緊縛、晒され。
あの日からずっと、夢と現(うつつ)の浅瀬にたゆたっている。
あの日。
夜が明けても苛まれつづけていたところに、帰宅した夫が踏み込んできたという。
だが、力で義父に敵うわけがない。
あっさりねじ伏せられ、彼女はそのまま義父に囲われた。
はっきり意識が戻ったのは、翌日だったか、数日後だったのか。
「どこに行くのも、誰と会うのも、お前の自由だ」
長い夢を見ていた気がする。
しあわせだった。
哀しかった。
苦しかった。
怖かった。
切なかった。
それでもたしかに、しあわせだった。
(どうして? そんなわけないのに)
何か大事なことを、忘れている気がする。
「お義父さま……」
見上げた義父の顔は、いくつもの表情が重なり、揺れて、一定しない。
夫の留守にこの人に犯され、何度も彼岸と此岸の行き来を重ねて、どちらが夢かもわからなくなってしまった。
いま、自分がいる“ここ”はどの現実だろう。
何が本当なのだろう。
義父の表情は、見つめるほどに、険しくなっていった。
「あれに抱かれたければ、抱かれるがよい」
だが、新たに与えられた部屋は義父の隣室で、二室は内扉でつながっている。
「誰に抱かれていようと、お前は私のものだ」
夫と彼女の婚姻が続いていようとも。
この家で、当主が“そう”と言えば、それが法だ。
「そして、私はお前のものだ」
顎を取られて、そう頬に囁かれ、娘は身を震わせた。
ぞくん──。
抗いがたい疼きが甘く残響して、内側から娘を崩していく。
「お前が望むなら、欲しいだけ、してやろう」
そう言って寝台に置き去りにされ、そのまま、義父は彼女に指一本触れてこない。
そうして十日近くが、静かに過ぎていった──。
*
ギィ……。
深夜、どこかで扉の開く音がした。
ひそめた足音。
ぼそぼそと囁く声。
また、息子が嫁のもとに忍んできたのだろう。
夜毎、奪われた妻を寝室に訪ね、手を握ってしばらく話し、そのまま帰っていく。
何を腑抜けたことを、と思う。
そんなことだから奪われるのだ。
男はこの日、どうしてか、ふと興が乗った。
生ぬるい逢瀬を冷やかしてやろうと、勢いよく扉を開け放つ。
若い二人が、揃ってぎょっとした顔で彼を見つめた。
寝台に身を起こした女と、その横に腰掛ける男。
女の小さな手が、男の両手に挟まれている。
彼を見るや引っ込めようとしたが、夫にぐ、と押さえられて、とどまった。
華奢な手だ。折れそうに細く、汚したくなるほどに白い。なだめるように撫でられ、ほだされて、とろりとしなだれ落ちる。しどけなく緩んだ指間に、男の指がずくりと入り込む。
下からも上からも割り入られて、女の指がぴくりと跳ねた。
絡み合う指のありさまは、許しがたく卑猥で、淫らだった。
気づけば大股で二人に迫り、息子の利き手を後ろ手にねじ上げていた。
呻きわめく青年を床に這いつくばらせ、背を膝で踏む。
「お前が抱くなら見ていてやってもよかったが、そうでないなら、そこで見ていろ」
男を柱に縛り、騒ぐ口にさるぐつわを噛ませる。
天蓋から垂れる薄紗を引き裂けば、紐はいくらでもできた。
次は娘だ。
「いや、あ……」
震えている。がくがくと。可哀相なほど。虐めたくなるほど。
怯えきった目で見上げられて、ぬるりと闇が立ち上がった。
とらえた両手を結わえ、寝台につなぐ。
「お願い、そんな……お義父さま……」
やはり、そう呼ぶのか。
ずくん──。
どこかで何かが目を覚ます。
「よがり狂うお前を夫に見せてやれ。やつの知らない女のお前だ」
細い足首は片手でも余る。
「いや、やめて」
「あの日のように、今夜も狂え」
「ぃ、やあぁーーーー…!」
背後で男が獣のように唸っている。
わきあがる黒い衝動のまま、女の両足首を、ことさらゆっくりと開いていった。
あの日からずっと、夢と現(うつつ)の浅瀬にたゆたっている。
あの日。
夜が明けても苛まれつづけていたところに、帰宅した夫が踏み込んできたという。
だが、力で義父に敵うわけがない。
あっさりねじ伏せられ、彼女はそのまま義父に囲われた。
はっきり意識が戻ったのは、翌日だったか、数日後だったのか。
「どこに行くのも、誰と会うのも、お前の自由だ」
長い夢を見ていた気がする。
しあわせだった。
哀しかった。
苦しかった。
怖かった。
切なかった。
それでもたしかに、しあわせだった。
(どうして? そんなわけないのに)
何か大事なことを、忘れている気がする。
「お義父さま……」
見上げた義父の顔は、いくつもの表情が重なり、揺れて、一定しない。
夫の留守にこの人に犯され、何度も彼岸と此岸の行き来を重ねて、どちらが夢かもわからなくなってしまった。
いま、自分がいる“ここ”はどの現実だろう。
何が本当なのだろう。
義父の表情は、見つめるほどに、険しくなっていった。
「あれに抱かれたければ、抱かれるがよい」
だが、新たに与えられた部屋は義父の隣室で、二室は内扉でつながっている。
「誰に抱かれていようと、お前は私のものだ」
夫と彼女の婚姻が続いていようとも。
この家で、当主が“そう”と言えば、それが法だ。
「そして、私はお前のものだ」
顎を取られて、そう頬に囁かれ、娘は身を震わせた。
ぞくん──。
抗いがたい疼きが甘く残響して、内側から娘を崩していく。
「お前が望むなら、欲しいだけ、してやろう」
そう言って寝台に置き去りにされ、そのまま、義父は彼女に指一本触れてこない。
そうして十日近くが、静かに過ぎていった──。
*
ギィ……。
深夜、どこかで扉の開く音がした。
ひそめた足音。
ぼそぼそと囁く声。
また、息子が嫁のもとに忍んできたのだろう。
夜毎、奪われた妻を寝室に訪ね、手を握ってしばらく話し、そのまま帰っていく。
何を腑抜けたことを、と思う。
そんなことだから奪われるのだ。
男はこの日、どうしてか、ふと興が乗った。
生ぬるい逢瀬を冷やかしてやろうと、勢いよく扉を開け放つ。
若い二人が、揃ってぎょっとした顔で彼を見つめた。
寝台に身を起こした女と、その横に腰掛ける男。
女の小さな手が、男の両手に挟まれている。
彼を見るや引っ込めようとしたが、夫にぐ、と押さえられて、とどまった。
華奢な手だ。折れそうに細く、汚したくなるほどに白い。なだめるように撫でられ、ほだされて、とろりとしなだれ落ちる。しどけなく緩んだ指間に、男の指がずくりと入り込む。
下からも上からも割り入られて、女の指がぴくりと跳ねた。
絡み合う指のありさまは、許しがたく卑猥で、淫らだった。
気づけば大股で二人に迫り、息子の利き手を後ろ手にねじ上げていた。
呻きわめく青年を床に這いつくばらせ、背を膝で踏む。
「お前が抱くなら見ていてやってもよかったが、そうでないなら、そこで見ていろ」
男を柱に縛り、騒ぐ口にさるぐつわを噛ませる。
天蓋から垂れる薄紗を引き裂けば、紐はいくらでもできた。
次は娘だ。
「いや、あ……」
震えている。がくがくと。可哀相なほど。虐めたくなるほど。
怯えきった目で見上げられて、ぬるりと闇が立ち上がった。
とらえた両手を結わえ、寝台につなぐ。
「お願い、そんな……お義父さま……」
やはり、そう呼ぶのか。
ずくん──。
どこかで何かが目を覚ます。
「よがり狂うお前を夫に見せてやれ。やつの知らない女のお前だ」
細い足首は片手でも余る。
「いや、やめて」
「あの日のように、今夜も狂え」
「ぃ、やあぁーーーー…!」
背後で男が獣のように唸っている。
わきあがる黒い衝動のまま、女の両足首を、ことさらゆっくりと開いていった。
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