【R18】今夜、私は義父に抱かれる

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二章 接吻

1 そこで見ていろ

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※二章プロローグです。KW:NTR/寝取られ、軽い緊縛、晒され。


 あの日からずっと、夢と現(うつつ)の浅瀬にたゆたっている。

 あの日。
 夜が明けても苛まれつづけていたところに、帰宅した夫が踏み込んできたという。
 だが、力で義父に敵うわけがない。
 あっさりねじ伏せられ、彼女はそのまま義父に囲われた。

 はっきり意識が戻ったのは、翌日だったか、数日後だったのか。

「どこに行くのも、誰と会うのも、お前の自由だ」

 長い夢を見ていた気がする。

 しあわせだった。
 哀しかった。
 苦しかった。
 怖かった。
 切なかった。
 それでもたしかに、しあわせだった。

(どうして? そんなわけないのに)

 何か大事なことを、忘れている気がする。

「お義父さま……」

 見上げた義父の顔は、いくつもの表情が重なり、揺れて、一定しない。

 夫の留守にこの人に犯され、何度も彼岸と此岸の行き来を重ねて、どちらが夢かもわからなくなってしまった。
 いま、自分がいる“ここ”はどの現実だろう。
 何が本当なのだろう。

 義父の表情は、見つめるほどに、険しくなっていった。

「あれに抱かれたければ、抱かれるがよい」

 だが、新たに与えられた部屋は義父の隣室で、二室は内扉でつながっている。

「誰に抱かれていようと、お前は私のものだ」

 夫と彼女の婚姻が続いていようとも。
 この家で、当主が“そう”と言えば、それが法だ。

「そして、私はお前のものだ」

 顎を取られて、そう頬に囁かれ、娘は身を震わせた。

 ぞくん──。

 抗いがたい疼きが甘く残響して、内側から娘を崩していく。

「お前が望むなら、欲しいだけ、してやろう」

 そう言って寝台に置き去りにされ、そのまま、義父は彼女に指一本触れてこない。

 そうして十日近くが、静かに過ぎていった──。


   *


 ギィ……。

 深夜、どこかで扉の開く音がした。

 ひそめた足音。
 ぼそぼそと囁く声。

 また、息子が嫁のもとに忍んできたのだろう。

 夜毎、奪われた妻を寝室に訪ね、手を握ってしばらく話し、そのまま帰っていく。
 何を腑抜けたことを、と思う。
 そんなことだから奪われるのだ。

 男はこの日、どうしてか、ふと興が乗った。
 生ぬるい逢瀬を冷やかしてやろうと、勢いよく扉を開け放つ。

 若い二人が、揃ってぎょっとした顔で彼を見つめた。

 寝台に身を起こした女と、その横に腰掛ける男。

 女の小さな手が、男の両手に挟まれている。
 彼を見るや引っ込めようとしたが、夫にぐ、と押さえられて、とどまった。

 華奢な手だ。折れそうに細く、汚したくなるほどに白い。なだめるように撫でられ、ほだされて、とろりとしなだれ落ちる。しどけなく緩んだ指間に、男の指がずくりと入り込む。
 下からも上からも割り入られて、女の指がぴくりと跳ねた。

 絡み合う指のありさまは、許しがたく卑猥で、淫らだった。

 気づけば大股で二人に迫り、息子の利き手を後ろ手にねじ上げていた。
 呻きわめく青年を床に這いつくばらせ、背を膝で踏む。

「お前が抱くなら見ていてやってもよかったが、そうでないなら、そこで見ていろ」

 男を柱に縛り、騒ぐ口にさるぐつわを噛ませる。
 天蓋から垂れる薄紗を引き裂けば、紐はいくらでもできた。

 次は娘だ。

「いや、あ……」

 震えている。がくがくと。可哀相なほど。虐めたくなるほど。
 怯えきった目で見上げられて、ぬるりと闇が立ち上がった。

 とらえた両手を結わえ、寝台につなぐ。

「お願い、そんな……お義父さま……」

 やはり、そう呼ぶのか。

 ずくん──。

 どこかで何かが目を覚ます。

「よがり狂うお前を夫に見せてやれ。やつの知らない女のお前だ」

 細い足首は片手でも余る。

「いや、やめて」

「あの日のように、今夜も狂え」

「ぃ、やあぁーーーー…!」

 背後で男が獣のように唸っている。

 わきあがる黒い衝動のまま、女の両足首を、ことさらゆっくりと開いていった。
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