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第四話 月蝕〜マスカレード・ナイト

#9 生贄に熱い楔を-2

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「あ、あ、あ……」

 くちゅっ、ぬちゅん──

「知ってるよ? ここでしょ?」

 ぐつっ、と掻き回した先を、ねっとりと捏ねられた。

(あ)

 指でなんども慰められたそこを、比べようもなく熱く太く硬い楔で責められる。いや、責められるなどというものではない。蹂躙とはこういうことを言うのだろう。じっと動かずいてさえ、圧倒的な力で完全に支配し、びっちりと侵し尽くすような。

(ぁ…)

 熱い。中に居る。

 ばちゅん──!

「あっ、っ…、んっ!」

 奥の弱いところを重く突かれるたびに、意識が飛びそうになる。
 合間合間に器用に前を弄られ、さらには跳ねた胸の先を舌先で転がされ、どこもかしこも追い詰められる。

「やっ! あっ! 待っ、…んあっ!あっ!あああっ!」

 だめだ。
 手の内を知られすぎている。

 ぢゅうぅっ、ぢゅぅっ、ぢゅぢゅぢゅっ、ばちゅっ、ばちゅんっ!

「んぅ…、ひぁ…! や、あああああっ!」

 熱くて重い楔の圧迫感。
 全方位にこすられ、抜かれる時にすら、ぞくぞくと走る快感の波にもっていかれる。

(あ、あ、あぁぁ…)

 動きがゆっくりなほど、ねっとりと密着して、絡みつく。熱い襞の一つひとつが、じわじわと押し広げられ、嬲られ、Dの形に沿わされる。
 逃げ場がない。蝶子の中という中がDで埋め尽くされていた。

(熱い…)

「指やオモチャとは違うからね」

 ずん、と最奥を犯されて、声もなく痙攣している間も、Dは待ってくれない。

「あっ、あっ、あああぁぁぁぁ……、ぁ、ッツ……!!!」

 追い討ちをかけて捏ねられ、掻き回され、また突かれて、何もかも男の意のままだ。
 髪の先まで翻弄される。

 ぐりっ、ごりっ、ごりっ、ごりっ──

「あっ! ひぁ! 待っ、あッ…!」

「ねえ、もしかして、“本物”は久しぶり?」

 びくびくびくんッ──

 低く囁く声でも犯され、続けざまに穿たれて、制御不能な官能が押し寄せる。

「またイッたの。数えておけばよかったな」

「は、あっ、ぃぁっ! あ! んあぁっ」

 腿を抱えていない方のDの手が、蝶子の両手首をまとめて掴んだ。

(あ……)

 背が浮き、ぞくりと戦慄が走る。

 片手ひとつで持ち上げられて、他に支えといえば深々と撃ち込まれた鉄杭ばかりだ。こんなに頼りない体勢で、手も脚も男の手中で。

 どうにでもされてしまう。
 こわい。

(あ、あ、あぁ…)

 泳ぐ目で、思わず見上げた顔が、Dの影の中に入る。
 ステージを煌々と照らす強いライトが蝶子の目を射た。

「やばいね、その顔」

 唇を舐める舌が、ぬらりと光る。

「どうしてそんなに可愛いかな」

 ぱちゅんっ!

「んあああああっ」

 腰を撃ちつけながら両手を手前に引かれ、上体がぐっと引き寄せられた。もうこれ以上ないと思っていた奥がまだあったことを思い知らされる。

 ぢゅぷ、ぢゅぷ、ぢゅぷ、ぢゅぷっ、ずずずず…、ぢゅぷんっ──

「あっ! あっ! ん! も…、ああっ! や、あ、あ、あぁ、ひぁっ…! ぁあっ」

 そのままゆさゆさと手荒く揺すられ、視界が白くとんでいく。
 どこをどう煽るのも、追い詰めるのも、焦らすのも、Dの思惑ひとつ、気まぐれ次第だった。
 両の瞳からぽろぽろと涙がこぼれていることも、もう蝶子本人にはわかっていないだろう。

「まいったな、蝶子さん。そんな初めてみたいに泣かれたら」

 ばちゅんっ!

「ひぁッ──…!!」

「いいよ。もっと酷くしてあげる」

「……!!!」

 生贄とはよく言った。
 飽くことなく苛まれ、限界を超えた快楽を与えられ続けて、悲鳴じみた声で高く低く啼き喘ぐばかりの屈辱の凌辱劇は、男達にとって極上の供物だ。

(あぁ……)

 くらくらと、堕ちていく。

 フロアの男達は、貪りつくす熱視線で蝶子の肢体を舐め回し、脳裏の獲物に思いつくかぎりの淫らな行為を強いて、残酷に嬲っては執拗に弄ぶのだった。



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