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#3 無惨

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「薬を使われたわ。気づいたら、数人がかりで犯されてた」

 Dの目がすっと細まった。

 さもありなん。
 Ilinxよりさらに何でもありの裏サロンEclipseでさえ、いや、だからこそ、薬物と無理強いは絶対の禁忌だ。

 それを、両方。よりにもよって蝶子に。

「眩しかったの」
「?」
「身体がいうことをきかなくて、どうしてこんなにって思うのだけれど、眩しくて目が開けてられなくて」

 顔すらも定かでないほど薄暗い、あの店内で。
 何をどれだけ使えば、それほど感覚が狂うのか。
 そして視覚がそうならば、他は一体どれほどの。

「飲み物ですか」
「いいえ、中に、直接」
「……」
「たぶん、錠剤」
「……」

 険しい表情には、きっと素のDの片鱗があらわれているだろう。
 だが、全てではない。この謎めいた男は、まだまだ底が知れない。

「ねえ、D。私、仕返ししたいの。手伝って」
「だめです。こちらで始末をつけます。徹底的に」
「いいえ、だめよ。許せないわ。だってあいつ、私をそのへんの女のように扱ったのよ。この手で仕返ししてやらなくちゃ、おさまらない」

 噂が本当なら、犯人は必ず再来する。

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