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斬裂の風
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山頂、もはや死の淵と化したこの場所で息を忘れた妖達が談笑に耽っていた。
「鵺がやられたらしいなぁ..」
「はぁ? アイツ死んだワケ!?
結局クチだけじゃない、喧嘩売るだけ売ってさ~。」
「相手はいつもの連中か?」
「他に誰がいる」
「..まぁ、それもそうだな。」
妖同盟はあくまで同志の集い、仲間や絆といった強固な繋がりは無い。味方が死のうが斬り刻まれようが〝知り合いの葬式〟程度の感覚である。
「次は誰が行くんだぁー?」
「アタシがいくわ、丁度新しい力を試したくてウズウズしてんのよ!」
「鎌鼬《かまいたち》か、本体は鎌か? 鼬なのか?」
「どっちでもいいでしょっ!」
安価な捨て台詞吐きながら山を降りていく。仲間意識の無い妖共は味方同様人にも関心が無く、手頃なエサもしくは遊び道具としての認識程度しか無い。
「待っていなさい侍共。
アタシが八つ裂きにしてあげる..!」
よって人を殺める事も、餓鬼の遊びと変わらない。
「よっ、帰ってきたか大将。」
「..無事のようだな、お前達」
「無事って訳でも...無ぇんだけどな」「..ほう」
早助と吾太郎は、お互いに起きた出来事を話した。
唯の一つ目が傷を受けて巨大化した事、鵺が地形を変えた事。
「てぇ事はあれか?
その鵺ってのは戦いやすい場所を...」
「己で創り上げた。」
現実の地形に幻想の地形を
死という概念を超越した事で力の際限が無くなり妖力が最大限の展開をするようになった。
「何でそんな事が出来るんだ?」
「..おそらくだが、奴等は既に死んでいる
死者に底なし、縄を切られた荒れ狂う暴獣と化しているのだろう。」
「嘘だろ...そんな事、だが不思議としっくりくるな」
強靭な鬼、力有る一つ目..どれもタガを外したように目一杯の腕力を奮っていた。恐れも無ければ心も無くただ暴れるだけの文字通りの化け物のようだった。
「一体誰がそんな事を?」
「確か..」
『そんなの誰だっていいじゃないっ!』
頭上から声が聞こえる。甲高く、酷く耳障りな声。
「誰だてめぇっ!?」
『また質問? 好きね質問、アタシは大っ嫌い!』
「..鎌鼬、今度は貴様か。」
『何よ、知ってるヤツいるじゃない!
そうアタシは鎌鼬! 操るのは風、受けてみてよ!』
両手に鎌を大きく振るい、隊を巻き込む竜巻を発生させる。巻き込まれた隊士と隊長達はバラバラの方角へ吹き飛び四方へ放たれた。
『キャハハハッ!! さぁてと、この中で面白そうなのは~..アイツとアイツッ!!』
視線の先には隊長と副隊長、早助と吾太郎だ。
『ヌエを殺したのはどっちかなっと..こっち?』
勘を働かせ、早助の方角へ転換する。
『そっちはお願いね風ちゃん!』
吾太郎の方角へは小さな竜巻を幾つか飛ばし、二人の方角を大きく囲うように己の戦場を展開する。
『逃がしゃしないわよ?
後の連中はどーでもいーけどー。』
隊士は何組かに分けゴミのように適当に捨てた。山の住人が不法投棄とは笑えない暴挙であるが、住処をどう使おうが家主の勝手である。
「イテテ...おい、起きろ!」
「...俺たちどうなっちまったんだ?」
何でもない山道の飛ばされる者達
「おい..小屋まで戻されてるぞ...!」
来た道を還される者達
「.......ん...」
『…ケケッ..!』
「....おい、嘘だろ..?」
妖の住処に誘われた者。
流れ着いた先は正に様々である。
『ケケケケッ..!』
「待て、待てぇ~っ!!」
(なんで俺だけ河童の群れに!?)
「鵺がやられたらしいなぁ..」
「はぁ? アイツ死んだワケ!?
結局クチだけじゃない、喧嘩売るだけ売ってさ~。」
「相手はいつもの連中か?」
「他に誰がいる」
「..まぁ、それもそうだな。」
妖同盟はあくまで同志の集い、仲間や絆といった強固な繋がりは無い。味方が死のうが斬り刻まれようが〝知り合いの葬式〟程度の感覚である。
「次は誰が行くんだぁー?」
「アタシがいくわ、丁度新しい力を試したくてウズウズしてんのよ!」
「鎌鼬《かまいたち》か、本体は鎌か? 鼬なのか?」
「どっちでもいいでしょっ!」
安価な捨て台詞吐きながら山を降りていく。仲間意識の無い妖共は味方同様人にも関心が無く、手頃なエサもしくは遊び道具としての認識程度しか無い。
「待っていなさい侍共。
アタシが八つ裂きにしてあげる..!」
よって人を殺める事も、餓鬼の遊びと変わらない。
「よっ、帰ってきたか大将。」
「..無事のようだな、お前達」
「無事って訳でも...無ぇんだけどな」「..ほう」
早助と吾太郎は、お互いに起きた出来事を話した。
唯の一つ目が傷を受けて巨大化した事、鵺が地形を変えた事。
「てぇ事はあれか?
その鵺ってのは戦いやすい場所を...」
「己で創り上げた。」
現実の地形に幻想の地形を
死という概念を超越した事で力の際限が無くなり妖力が最大限の展開をするようになった。
「何でそんな事が出来るんだ?」
「..おそらくだが、奴等は既に死んでいる
死者に底なし、縄を切られた荒れ狂う暴獣と化しているのだろう。」
「嘘だろ...そんな事、だが不思議としっくりくるな」
強靭な鬼、力有る一つ目..どれもタガを外したように目一杯の腕力を奮っていた。恐れも無ければ心も無くただ暴れるだけの文字通りの化け物のようだった。
「一体誰がそんな事を?」
「確か..」
『そんなの誰だっていいじゃないっ!』
頭上から声が聞こえる。甲高く、酷く耳障りな声。
「誰だてめぇっ!?」
『また質問? 好きね質問、アタシは大っ嫌い!』
「..鎌鼬、今度は貴様か。」
『何よ、知ってるヤツいるじゃない!
そうアタシは鎌鼬! 操るのは風、受けてみてよ!』
両手に鎌を大きく振るい、隊を巻き込む竜巻を発生させる。巻き込まれた隊士と隊長達はバラバラの方角へ吹き飛び四方へ放たれた。
『キャハハハッ!! さぁてと、この中で面白そうなのは~..アイツとアイツッ!!』
視線の先には隊長と副隊長、早助と吾太郎だ。
『ヌエを殺したのはどっちかなっと..こっち?』
勘を働かせ、早助の方角へ転換する。
『そっちはお願いね風ちゃん!』
吾太郎の方角へは小さな竜巻を幾つか飛ばし、二人の方角を大きく囲うように己の戦場を展開する。
『逃がしゃしないわよ?
後の連中はどーでもいーけどー。』
隊士は何組かに分けゴミのように適当に捨てた。山の住人が不法投棄とは笑えない暴挙であるが、住処をどう使おうが家主の勝手である。
「イテテ...おい、起きろ!」
「...俺たちどうなっちまったんだ?」
何でもない山道の飛ばされる者達
「おい..小屋まで戻されてるぞ...!」
来た道を還される者達
「.......ん...」
『…ケケッ..!』
「....おい、嘘だろ..?」
妖の住処に誘われた者。
流れ着いた先は正に様々である。
『ケケケケッ..!』
「待て、待てぇ~っ!!」
(なんで俺だけ河童の群れに!?)
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