Dune

noiz

文字の大きさ
上 下
14 / 24

Dune 14*

しおりを挟む





「んっ…はぁ…」

深いキスをして、舌を絡ませただけで頭がじんと痺れた。冷えた強張った心も身体も、甘く溶けていく気がした。

指先で解いたフォービアの軍服の下には、傷だらけの肌があった。切り傷や銃創の痕をなぞって、掌で触れた左胸の下には、確かな鼓動が脈打っていた。フォービアの存在が俺の傍にあると感じた。俺は今、彼の命に触れている。

フォービアは、俺の剥き出しの肌を見て、昏い瞳をした。眉根を寄せて、辛そうに俺の手を取り、傷の残る手首にそっとキスしてくれた。

フォービアの掌が俺の肌を撫でて、指先がそっと敏感なところを辿っていく。唇が首筋に触れ、控えめに耳朶を舌が這う。
ベッドの上で見下ろされても、フォービアの深い瞳を見ればなにも怖くなかった。

「んんッ…ぁ…」

甘く溶かしていくゆったりとした愛撫は、やがて熱を帯び始めた場所に触れた。温めるような掌に包まれて、奥底からじんわり快楽を引き出された。その優しい温度に、大切にされているのだと安堵できた。俺は、道具じゃない。男と寝る為の道具なんかじゃ、ない。

「トゥルー、怖くないか」
「大丈夫…気持ち、いい…」

甘く零れる吐息の合間に答えると、あの壊れ物に触れるようなやり方で、頬を撫でられて唇を重ねる。下を刺激されながら、少し息苦しいキスを続けた。徐々に高められていく熱に浮かされて、唇を離すと濡れた声が漏れた。

「は、あぁっ…」

フォービアの手の動きが早くなる。快楽の波が熱を上げていき、腰に力が入った。

「トゥルー」
「んっ…イ、ク…フォービア…!」
「ああ。出していい…」

優しい愛撫が強くなって、感じるところを激しく擦られた。吐き出してもゆっくり上下されて、その手に快楽を搾り取られるように、身体の芯が痺れて熱の残滓をどろりと溢れさせた。

「はぁっ…は…フォー、ビア…」
「トゥルー…眠ってもいい」

甘い倦怠感の中で、フォービアが俺の額にキスしてそう囁いた。たしかにこのまま眠っていけたら、とても気持ち良さそうだった。でも。俺はフォービアと繋がりたい。そうでなくちゃ、意味がないんだ。俺は首を振る。

「来て…フォービア…中へ」
「トゥルー…」
「ちゃんと、感じたい…フォービアのこと」
「…わかった。辛かったら言えよ」

髪を梳いてくれるフォービアに微笑い掛けて、俺は頷いた。そして、俺の吐き出した精液で濡れた指で、長すぎるくらい丁寧に中を解された。俺がずっと触れて欲しいと思っていた、あの指が中に入ってるんだと思うと、どうしたって俺は中を締め付けてしまう。

「はぁ…ぁ…ん…」
「平気か?」
「ぅ、ん…大丈夫…」
「指、増やすぞ」

粘膜を傷つけないよう、フォービアはゆっくり擦って拡げていく。やさしく回すように、キツい中を溶かしていく。

「あっ…! んッ…あっあッ…!」

乱れてしまう箇所を探り当てて、フォービアは俺を翻弄する。触れて欲しいのにやめてほしいような、慣れない快楽の強さに、フォービアの服を握り締めていた。

「あぁ、ぁ…う、あ、んんぅ…!」

気持ち良くて、もうイッてしまいそうで、俺はフォービアに縋り付いて強請る。

「フォービア…もう、」
「イッていい」
「ちが、う…フォービア、中にほしい。はやく、きて…」
「トゥルー、本当に大丈夫なのか…?」
「大丈夫だから、お願い…」

俺はフォービアの性器を服の上から弄った。

「トゥルー、わかったから」

フォービアはやさしく囁いて、俺の手を制しシーツに縫いとめると、片手でベルトを外した。俺の瞳を見つめながらそうするフォービアは、俺の見たことのない熱を孕んだ顔をしていて、腰がじんと疼いてしまい、思わず俺は目を逸らした。その間にスキンを付けたフォービアは、俺の脚を拡げて引き寄せると、昂った性器を押し当てた。

「う、あっ…あぁっ…んッ…!」
「…はッ…トゥルー…」
「フォービア…!」
「キツい、な…ごめんな。痛いだろう…」
「大、丈夫…フォービア…」

やっと中へ挿れてくれたフォービアの首へ腕を回して抱き締める。繋がりが深くなって苦しかったけど、苦しくったって痛くたって良かった。

ああ、俺は。こんなにこの人に焦がれてる。

「フォービア、フォービア…好き…」
「俺もだよ、トゥルー」
「愛してる…」
「俺も愛してる」

詰まりそうな呼吸の中で、それだけは伝えたかった。言わずにはいられなかった。
額を合わせて吐息と共に囁かれた言葉と、身体のいちばん奥に宿る熱は、俺が夢見た瞬間の全てだった。
身体よりも心で求めていた、フォービアと繋がること。

「んっ…も、動いて…」

そう強請ると、俺の掌をフォービアが握ってくれた。指を絡めて、温かく握り締める。
そうして始まった突き上げは、意識が細切れに飛ぶくらい悦かった。

「あっあっ…はっあぁっ…や、あぁぁっ!」

すぐに覚えられた俺の反応するところを、フォービアが強く突く。甘く溶かすように中を回したり、ゆっくり壁を前後に擦ったりして、強弱を付けて俺の中を熱くしていく。

「う、あ、あぁぁ…あ、あぁ…はぁ…んんッ…!」

フォービアは手前から奥に何度もストロークして、敏感な場所を小刻みに突いた。焼けるような熱で中を掻き回されて、嬌声が喉から押し上げられていく。

全然、ちがう。
シリルにされたのとは。 

甘く溶けてしまいそうな快楽と、微睡に似た意識の浮遊感。

俺に腰を打ち付けて揺さぶるフォービアが息を詰めて、堪えるような吐息を漏らすのを耳元に感じると、たまらなく熱が上がった。

「…んッ……」
「フォービア! あっあぁっ…や、あぁ」
「トゥルー、」
「…んっ…イイ…気持ち、い…あぁっ…!」

打ち付ける波はどんどん激しくなっていって、溜まっていく熱が高みへ駆け上っていく。甘い快楽が背筋を駆けていって、涙が零れた。

「もっあぁっ…! フォービア…!」
「あぁ…いこう。トゥルー…」
「んっイク…あッ…イって…俺の、中で…!」
「トゥルー…!」
「あ、あぁっんッあっ…や、あ、あぁぁッ…!」

感じる場所をぐりぐりと強く刺激されて、いちばん奥へ性器を突き刺される。あまりの快楽に耐え切れずに、熟れたそこから熱が弾けた。締め付けた中へスキン越しにフォービアの熱を感じると、甘い充足感に俺は眼を閉じた。フォービアの体温を感じながら、俺はとても満たされた思いで、意識を手放した。



 +++



「フォービア。次はいつ、発つの…」
「お前を置いていけない」

フォービアの腕枕で俺がそう訊くと、フォービアは枕にされた手で俺の髪を梳きながらそう答えた。
こんな、甘い時間を過ごしているなんて、まるで嘘みたいだ。夢みたい、だ。夢なら醒めないでほしい。けど、

「ううん。いいんだよ。フォービア」
「トゥルー…?」
「俺、待ってるから。だから。行ってきて」

本当は。

行かないでと縋り付きたい。毎日ベッドで抱き合っていたい。フォービアの温度に溺れていたい。ずっとそうして過ごせたらいいのにと、思う。なにもかも忘れて放り出して。

「フォービアが、軍人を辞めないって。あんな通信寄越したの、理由があるんだろ。なら、俺の為にそれを捨てることない」
「トゥルー、」
「フォービアの腕が、今までもきっと誰かを守って救ってきたんだろ。フォービアの腕は、人を救える腕なんだ」

俺が独り占めするわけに、いかない。

「フォービア、俺はまだ大人じゃないけど、でも、男だよ。大丈夫。待てるよ。フォービアが俺のこと、ちゃんと愛してるって言ってくれたから。だからもう大丈夫」

もう、あんな足場のないような不安はないから。俺の想いが伝わっていないような、フォービアが俺をどう思っているのかも曖昧なような、そんな不確かなものじゃないから。
凄惨なはずの戦場なんかに行くほどの想いを、俺の為に投げ出すことはない。引き返せないと言ったフォービアにはフォービアのやらなくちゃならないことがきっとあって、そういうフォービアを切り捨てて俺の為だけの存在に成ることはない。俺がここに、縛り付けていいわけない。

「だけど必ず帰って来て。それだけは約束して。」
「ああ、必ず帰って来るよ。お前だけが、俺の帰るところだ、トゥルー。」

どんなことがあっても。たとえもし、またなにか、酷いめに遭ったとしても。フォービアが帰って来てくれるなら、俺は平気だ。もう、耐えていける。
手足が震えても。言葉をなくしても。俺の心も、フォービアに帰っていくから。繋がっていると、信じられるから。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

2人でいつまでも

むちむちボディ
BL
親父と息子の様なガチデブ2人の秘密の関係

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

性奴の夜

くねひと
BL
Sのセイヤ、そしてMのユウキ……。マッチングアプリで知り合った二人のSMプレイがユウキの視点で語られる。この日も、ユウキはいつものように素裸で緊縛され、セイヤの前にひざまずいていた。でもいつもと少し勝手が違う。なぜって、二人の他に、少年がいるから………。

山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜

ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。 高校生×中学生。 1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

騎士団長が民衆に見世物として公開プレイされてしまった

ミクリ21 (新)
BL
騎士団長が公開プレイされる話。

憧れの先輩に抱かれたくて尿道開発している僕の話

聖性ヤドン
BL
主人公の広夢は同じ学生寮に住む先輩・日向に恋をしている。 同性同士だとわかっていながら思い余って告白した広夢に、日向は「付き合えないが抱けはする」と返事。 しかしモテる日向は普通のセックスには飽きていて、広夢に尿道でイクことを要求する。 童貞の広夢に尿道はハードルが高かった。 そんな中、広夢と同室の五十嵐が広夢に好意を抱いていることがわかる。 日向に広夢を取られたくない五十嵐は、下心全開で広夢の尿道開発を手伝おうとするのだが……。 そんな三つ巴の恋とエロで物語は展開します。 ※基本的に全シーン濡れ場、という縛りで書いています。

公開凌辱される話まとめ

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 ・性奴隷を飼う街 元敵兵を性奴隷として飼っている街の話です。 ・玩具でアナルを焦らされる話 猫じゃらし型の玩具を開発済アナルに挿れられて啼かされる話です。

処理中です...