Bacato

noiz

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番外編

Dragging*

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敵が殺しに来ればいい運動になるし、それもなければ近隣の建物をパルクールを駆使して登り、身体がなまらないようにしている。単調な筋トレを熟す奴もいるが、アレはとにかくつまらない。護衛という立場は至極単純だ。頭なんか使わなくてもフィーゾさえ護っていればいい。それと引き換えに身体の疲労は程よくある。つまり、最低限の睡眠は必要ってわけだ。
だけどなんだか今夜は眠気が行方不明だ。俺は書籍なんて読まねぇし、動画配信もそれほど興味がない。俺の唯一の興味の対象はベッドで寝ている。

一向にやってこない眠りを追いかけるのをやめて、フィーゾの寝ているベッドに座った。厭味なほど整ったツラが白いシーツに埋まっている。色の抜けたような金髪に手を入れて、ピアスだらけの耳を出した。曝される首筋。俺は頭で考えることもなく、自然にその白い首筋に唇を落としていた。
コンフォータを剥いでシャツの釦を外し、肩から下ろす。半端に肌蹴たその素肌に指を伸ばした。首筋から胸元へ。胸元から脇腹へ、そっと指先で身体のラインを辿っていく。微かに息を詰めて身体を震わせたフィーゾの背筋を撫で上げる。

「…ディズ」

微睡んでるまま囁くように漏れた声が聞こえた。薄く開いたフィーゾの瞳は、まだ寝てるみてぇだ。どうせいつも寝てるんだか起きてるんだかわかんねぇような寝方しかできないんだから、どっちでもいいだろう。俺はフィーゾの下肢を弄った。性器を掴んで手を上下させる。その内フィーゾの寝息みたいだった呼吸は呻くように熱っぽくなりだして、もう少しで吐息が声に変わりそうだった。チェストの抽斗に手を伸ばして、ローションを出す。フィーゾの履いてたストレートパンツを引き摺り降ろし、身体を横にさせると掌にローションを垂らして中へ突っ込んだ。

ノる気にならねぇ時は殴ってでもやめさせられるか、もしくは返り討ちにあって俺が啼かされるのが常だが、今日のフィーゾは面倒くさくて放っておいてるって態度だ。されるまま。俺も今はべつに盛ってるわけでもなく、ただ暇つぶしにヤるか、くらいにしか思っていないから、だらだら指先でフィーゾの中へ緩い刺激を与え続けた。

「んん…はぁ…ぁ…」

乱れた髪の間から、フィーゾが薄く開いた目で時々こっちを見た。けどダルそうにすぐに目を閉じて、与えられる快楽に身を任せている。俺は時間をかけてゆっくり中を探り、壁を撫でたり前立腺を掠めたりして遊んでいた。ヤリてぇってそればっかの時はなにも考えないが、こうしてダラけたセックスなんかしていると、どうでもいいようなことが頭を過ぎる。ギャングのヘッドと護衛がこんな錆び付いた倉庫の中でヤッてるなんて、バカげた話だけ。毎日街を支配するためなのか、組織を維持するだけのためなのか、とにかく何かと頭を使って組織を動かしているフィーゾは、何を考えているのかよくわからない。俺達は多分どこも目指しているわけではないし、きっと全てが暇つぶしなのだろう。非生産的なこの性行為と同じだ。

俺はチェストの抽斗の下の扉に入っている箱を引きずり出した。ドギツいピンクや紫の玩具が一通り揃ってる。別に俺とフィーゾの趣味で集めたわけでもないが、他の組織やら企業やら構成員やら、どこかしらからこの手のものが流れてくる。そのままになって使っていなかったらしいこれを、俺はフィーゾに何度か使われて遊ばれた。むかつくけどブッ飛ぶくらい気持ち悦いのもあったから俺も満更でもなくなってはいるが、フィーゾのやり方はいつも俺を追い詰めるようなやり方だから結構辛い。快楽も過ぎると地獄だ。それを解っててやってるフィーゾは相当性格が歪んでいる。

やっぱ挿れられるより挿れる方が楽しいのは確かだ。俺だって男だし。俺は弱めのバイブを引っ張り出して、ローションで濡れたフィーゾの奥へ突っ込んだ。

「あぁ…ッ…ん、んん…」

フィーゾの身体は一瞬強張ったけど、慣れてるだけあってすぐに力を抜いた。スムーズに奥へ入っていく。重たそうな仕草でフィーゾの手がシーツを掴んだ。
スイッチを入れると中から軽い振動音が響き、フィーゾの呼吸の乱れも甘ったるくなっていった。俺が触れないまま、一人で快楽に侵されていく。

「はぁ…あぁぁ…あ―…う、んんッ…」

譫言みたいな緩い喘ぎが漏れ出していった。どろどろの熱の中にいるようなフィーゾの表情に、俺も少しづつ煽られた。軽いバイブの刺激だけではイケないフィーゾの性器を扱いてやる。根元から擦り上げ、先端を擦る。それを何度か続けるうちに、フィーゾはだらだらと射精した。それでもバイブを止めずにいたら、フィーゾは眉根を寄せて俺を睨んだ。

「抜けよ…もう…んッ」

フィーゾの中をバイブは相変わらず静かに刺激し続ける。フィーゾは堪えるように甘い吐息を漏らした。俺はバイブをぎりぎりまで引き抜いてから、もう一度奥まで突き入れた。フィーゾが顔を顰めて刺激に身体をビクつかせる。

「う、んッ…!は、あ、…んんッ…あっ…んぁ…」
「イイ?」
「あ、ディズ…も、抜け…」

何度も入れては抜いてを繰り返していると、フィーゾの性器からは時折思い出したようにだらりと精液が伝った。振動したままのバイブを感じさせるように、壁にそってゆっくり円を描く。入れたり出したりして、前立腺を掠める。

「はぁぁ…あ、あぁ…んッ…あぁ―…」

甘い溜息を繰り返すような声を漏らして、フィーゾはされるままに快楽を受けていた。濡れて焦点の溶けた瞳が、薄く開いては閉じられる。感じていることを隠さないフィーゾの表情は緩やかな熱に溺れていた。俺はバイブを抜くと、フィーゾの様子に反応していた自分の性器を突き入れた。

「んッ……」
「ああっん、ぁぁ…」

絡みつくフィーゾの中は熱く熟れていて、どろどろに溶けていた。腐った果物に突っ込んでるみてぇ。けどフィーゾは搾り取るように締め付けてきて、気持ち悦い。その感覚に、息が上がる。俺はゆっくり動き出した。最奥まで貫いて、壁を擦る感覚に目を閉じながら抜いていく。摩擦を味わうように、また奥まで擦り上げる。フィーゾの性器を掌で軽く扱きながら、腰を打ち付けていった。

「ん、あー…あ、あぁ…はぁ、ぁ、…」
「はぁ…お前ン中、溶けてるみてぇ…」
「う、あ、んんッ…はぁ、あぁぁ…」

長い摩擦の度にだらしなく漏れていくフィーゾの声が鼓膜に絡みつく。盛っているか嬲られているかの乱暴なセックスばかりしているから、こんな溶けるようなダラけたセックスは馴染みが無い。浸透していくみたいな快楽に、じわりと侵されていく。背筋を快楽が走り、脳髄を甘く痺れさせた。ぐちゃぐちゃと水音がして、腐って爛れていくような侵食的なセックス。

「あ…あぁ…もっと、擦れよ…」
「あ?」
「イイとこ…」
「…どっちが淫乱なんだかなァ」

淫乱だのなんだのと俺を詰るくせに、フィーゾの方が余ほど蠱惑的に快楽を欲しがる。俺の髪に手を入れて掴んで、フィーゾは唇を重ねてきた。誘われるまま舌を絡めて、粘膜を撫であう。唾液が垂れるのも気にせずに、何度も唇を離しては重ねあった。

「はぁ…あぁぁ、あ、」
「…朝まで、こうしてるか…」
「んッ…バカ言うな…さっさと、イカせ…ッ!」

わざとそう言うと、フィーゾが睨みつけてきたからすぐに動きを激しくしてやった。フィーゾが好きな場所をゴリゴリ刺激してやって、激しく抽送を繰り返す。

「あっあっ! く、んんぅ…ッ…はぁ…!」

俺の動きに揺さぶられて、フィーゾの身体が規則正しく動くのになんだが煽られた。人形みたいに揺さぶられてる。
俺はフィーゾの脚を掴んで引き寄せ、結合を深くした。

「んんッあっ…あぁぁ、ぅ、はぁ、ん、」
「イカせてやるよ…」
「あぁぁッ…あ、あ、…はぁっ…う、んん…!」

乱れる息を殺して激しく腰を打ちつける。乱暴にフィーゾの袋を捏ねて根元を強く扱き、裏筋を擦って先端に軽く爪を立てた。フィーゾは首を振って快楽に喘ぎ、身を震わせて吐精した。俺は強い締め付けをなんとかやり過ごして、イッたばかりのフィーゾの中を荒らし続けた。

「う、あッも、…あぁっあっ…ッめろ…」
「もうちょっと、付き合えって」
「はぁ…次はッ…泣かすぞ…」

敏感になっているフィーゾの性器を再び扱きながら揺さぶる。フィーゾは宣言したとおり、きっと近いうちに俺を酷く抱くだろう。泣いてやめろと叫ぶまで、攻め立てるのだ。でもそんなことは今はどうでも良かった。俺は涙目で悦がるフィーゾを挿れたまま起こすと、下から突き上げた。行為に慣れているフィーゾは俺の首へ腕を絡めて肩口へ顔を埋める。フィーゾの熱い吐息を身体に感じた。

「んんぅッ…あ、あぁぁっあーあッ…」
「深くていいだろ…?」
「ふ、あっ…んん―ッ…あ、あぁ――!」

フィーゾの腰を持ち上げては、降ろす。屹立した性器に、フィーゾを何度も降ろしてやった。そして深く刺さったまま、小刻みに腰を揺する。フィーゾも腰を振って乱れた。乱れきったフィーゾは、どんな女よりエロい。回すように腰を揺すって、フィーゾは快楽に喘ぎ続けた。

「フィーゾ…お前、エロすぎ…」
「ふあ、あぁ…さっさと…イケよ…!」
「…だな。も、限界…」
「あっ、ぅ、あぁぁ―――!」

起こさせた身体をまた倒して強い突き上げを打ち込むと、搾り取るように締め付けるフィーゾの中へ吐き出した。同時に射精したフィーゾの性器から、白濁が飛ぶ。精液で濡れたフィーゾの腹筋を撫でながら、俺は荒い呼吸を整えた。

「やっぱ、寝れない夜はこれしかねェよなァ…」
「俺を巻き込むんじゃねぇよ…」

乱れた呼吸を宥めながらそんな言葉を交わして、濡れたベッドに沈んでいた。疲れたように髪を掻き上げたフィーゾは、身を起こして煙草に火をつけた。この煙草の匂いも含て、事後の匂いが漂っている。だるい身体に漸く眠りが押し寄せてきたが、もうあまり寝る時間はないだろう。それでも目を閉じると、フィーゾの小さな溜息が聞こえた気がした。


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