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母の想い
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仮眠から目が覚めたお母さんは、
わたしが作った梅しそおにぎりを美味しそうに頬張りながらも、暫く考え込んでいた。
「真梨…今回のこの1件について、母さん達は話し合ったのだけれど思ったよりも厄介かもしれない。
知り合いの教授に頼んで、ウィルスのサンプル品の粒子を色々と調べてみたのだけれど…」
母親は真剣な表情で、わたしに向かい合った。
「このウィルスは人の体内に取り込まれると、体の組織を司る司令塔細胞を直撃して、免疫不全を起こすことがわかったの…」
「え、それってどういうこと…」
「つまりね、簡単にいうと今まで正常に働いていた組織までもが簡単に壊されていってしまうの。」
「それってまさか…」
「そう、まさにAIDSウィルスみたいね。
そして研究を進めるうちに更に分かってきた厄介なことというのは、このウィルスは進化を遂げている」
淡々と母親は話していた。
「アンタも知ってると思うけれど、不活化ワクチンをつくるためにはウィルスのサンプルなり病原体そのものを取り出さないといけない。
父さんと2人で、母さんは色々試行錯誤してみたの。
だけどね…このウィルスはどうやら変異してるみたいで途中で成分が変わってしまう。
いまはまだラットでの実験段階だけど、
体内に入った途端べつのものとして、ウィルスそのものが正常に働いていた細胞組織まで破壊してしまうことが、わかってきた…。
それが罹患すると中々治癒しない原因なんだよ」
母親の眉間にシワを寄せた様子から、この事態はかなり深刻だということがわかった。
「でも、それってどうにか出来ないの…?」
わたしなりにない頭を使って
どうすれば良いか考えてみようとした。
「例えば、最初に体内に入る成分と、体内に入った後の成分が二段構造になるワクチンとか…。」
「確かにそれも考えた。
だけど、ウィルスがどんな変異の仕方をしているか確かめないことには母さん達は、それに対しての対応が取れないんだよ。
このウィルスは一定の温度で保たれているというわけでもない。
大抵のウィルスは熱を通したり、
極端に温度を下げたりすると死んでしまうものだけれど、今回の場合はそういうわけでも無さそうだしね…」
ココはクゥンと鳴いて心配そうにわたし達の様子を見つめていた。
わたしが作った梅しそおにぎりを美味しそうに頬張りながらも、暫く考え込んでいた。
「真梨…今回のこの1件について、母さん達は話し合ったのだけれど思ったよりも厄介かもしれない。
知り合いの教授に頼んで、ウィルスのサンプル品の粒子を色々と調べてみたのだけれど…」
母親は真剣な表情で、わたしに向かい合った。
「このウィルスは人の体内に取り込まれると、体の組織を司る司令塔細胞を直撃して、免疫不全を起こすことがわかったの…」
「え、それってどういうこと…」
「つまりね、簡単にいうと今まで正常に働いていた組織までもが簡単に壊されていってしまうの。」
「それってまさか…」
「そう、まさにAIDSウィルスみたいね。
そして研究を進めるうちに更に分かってきた厄介なことというのは、このウィルスは進化を遂げている」
淡々と母親は話していた。
「アンタも知ってると思うけれど、不活化ワクチンをつくるためにはウィルスのサンプルなり病原体そのものを取り出さないといけない。
父さんと2人で、母さんは色々試行錯誤してみたの。
だけどね…このウィルスはどうやら変異してるみたいで途中で成分が変わってしまう。
いまはまだラットでの実験段階だけど、
体内に入った途端べつのものとして、ウィルスそのものが正常に働いていた細胞組織まで破壊してしまうことが、わかってきた…。
それが罹患すると中々治癒しない原因なんだよ」
母親の眉間にシワを寄せた様子から、この事態はかなり深刻だということがわかった。
「でも、それってどうにか出来ないの…?」
わたしなりにない頭を使って
どうすれば良いか考えてみようとした。
「例えば、最初に体内に入る成分と、体内に入った後の成分が二段構造になるワクチンとか…。」
「確かにそれも考えた。
だけど、ウィルスがどんな変異の仕方をしているか確かめないことには母さん達は、それに対しての対応が取れないんだよ。
このウィルスは一定の温度で保たれているというわけでもない。
大抵のウィルスは熱を通したり、
極端に温度を下げたりすると死んでしまうものだけれど、今回の場合はそういうわけでも無さそうだしね…」
ココはクゥンと鳴いて心配そうにわたし達の様子を見つめていた。
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