亡国の近衛騎士 ~追放された王家直属の最強護衛、幼なじみの旅商人と共に世界を回ることにする~

アイスクリーム仕立て

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第1話 俺があいつの護衛になった理由 1

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 ――とある街道にて……

「グハハハッ! 見ろっ! 女と護衛がたった一人だぜ!」
「ひひっ、こいつはカモだ!」

 ――襲い掛かってくる盗賊たち。
 奴らの目的は、奪い、殺し、もてあそぶ。それだけだ。

「ねぇ、シュベルト…… このままじゃ、追い付かれる……」
「……大丈夫だ。俺に任せておけ」
「え!? 何してるの!?」

 そのまま俺は馬車から飛びおりた。さて、もう逃がしはしない。 
 
「……ぉお? 誰か降りてきやがったぜ? ついに諦めやがったか! ガハハッ!」
「…………」
 
 ――魔法陣展開 生成 棘……

「ふっ、そんな剣一本で? 俺様に? ……まぁいい。このガレン様に立ち向かう勇気だけは褒めてやる」

 そのまま、盗賊頭と思われるガレンは俺の目の前までやってきた。

「おい坊主、何か言い残すことはねえのか?」
「……その必要はない」 
「はぁ? もういい。おいおまえら! まずは逃げた馬車を追え! って…… なんだ?」

 しかし、後ろには、誰も生きている者などいない。既に皆、死んでいた。
 今、俺の周り、そして盗賊たちの死体あたりに、たくさんの魔法陣が青白く光を放っている。
 そこから棘が出て、彼らを貫いたのだ。

「なっ、ぁ、ぇ……?」
 あり得ないような光景を見て、ガレンは自然と後ろに下がってしまう。

「少々古風な戦い方でな、これを見るのは初めてか?」
「ま、魔法陣だと…… それも無詠唱…… そんな廃れた、やり方で…… これほどの使い手が…… まさ、か…… ガッ」

 ガレンはこれ以上話すことなく、倒れる。
 こいつも棘で一刺しだ。少しは戦えると一瞬期待したんだが、違うかったようだな。
 ……さて、早くメルサのところへ戻るとしよう。

「お~い! シュベルト、大丈夫だった?」
「……あぁ、問題ない」

「はぁ、良かったわ。こっちがヒヤヒヤするじゃない……」
「…………」

 ――俺はわけあって、今は幼なじみの旅商人の護衛をしている。
 数日前には、全く考えもしなかったことだ……



 ~さかのぼること数日前、王座の間にて~


 
「近衛騎士シュベルト、貴様を王女護衛から解任することにした」
「……は?」

 国王アルデリウスは、そう冷淡に言った。

「貴様は国家の重要機密を持ち出し、他国に漏らしたことは分かっている」
「恐れながら国王よ。 その様なことは……」

「黙れっ! 王に対する反逆者め! 平民ごときがやすやすと話しかけるな!」
「クッ……」

 国家反逆? 機密情報? そんなもの知るわけがない。
 こんなのでっち上げに決まっている…………!

「……以上の罪状によって、貴様を極刑に処す」
「ちょっと待ってください、おじ様! シュベルトはそのようなことをしておりません!」
「ローザ様……」

 俺は王女、ローザ様の護衛をしている。
 別に誇るつもりはないが、何百、何千との暗殺者から彼女を守ってきたのだ。

「王女よ、あなた様もその反逆者にたぶらかされているのです。何と恐ろしい……」

 イグナスも一緒になってこっちを攻めてくる。
 汚い物を見るような目。こいつ……

「おじ様も、彼の実力は知っているでしょう! 彼は国防の要ですよ!」
「……別に大したことは無いだろう。我から見ても、やつは無能だと考えるが」
「そんなわけがないでしょう!」
 
「いいや! 気をお確かに、王女様! 実際、こやつが何もしていないのを目にしているでしょう!」
「それは彼が魔術師で……」
「魔術師? ありもしないことを抜かしている詐欺師だ!」

 まるで駄目だ。奴らは聞く耳を持たない。
 俺は腰に手をあて、剣を抜く一歩手前までに迫る。……いや、まだ抜く時じゃない。冷静にだ。

「もう決まったことだ。異論は認めない」
「そ、んな……」
 ローザはうつむき、絶望の表情を浮かべた。
 あまりにも、おかしい! 何だ、何の目的でこんなことを……

「…………」
「そういえば、王よ。後任はどうされますか?」
「……何も決めておらぬ」
  
「では、王女護衛の後任は我が息子、ゲオルグでどうでしょうか? 彼は王都の士官学校を卒業しており……」
「ふむ…… 考えておこう」

 宰相イグナスはそれを聞き、ニヤリと笑った。
 それに比べて、ローザは苦い表情を浮かべるだけだ。

 ――こいつ、自分の息子と王女を近づけさせるためだけに、俺を……!

 なんだか馬鹿らしくなってきた。今までなぜここを守ってきたのだろうか。
 ああ、もういい。好きにやってやる……!

「……イグナス殿。本当は自分のご子息とローザ様をくっつけたいだけでは?」
「しゅ、シュベルト…… それをここで言うのは……」

「なっ…… ぶ、無礼者っっ! 今、私を侮辱したなっ! ゆ、許さんぞっ!」
「よし、やつを地下牢に連れていけ。もう邪魔だ」
「…………っ! クソッ!」

「!? ま、待ってください! シュベルト! シュベルトっ!」

 ローザは涙ながらに俺に手を伸ばしてくる。
 ……いや、取ったら駄目だ。彼女もここに居た方が幸せだろう。
 まだ王城にはローザ派の人たち……メイド長など、彼女を守ってくれる人がいる。
 対して俺は一人だけだ。すまない……

 俺は彼女の手を……取ることはなかった。
 
「シュベルトぉ……! ねえっっ!!! おいてかないでっっ!!」
「やつが逃げたぞ! 追え! 追えぇぇぇっ!!」

 そのまま、俺は一目散に王城から飛び出すことになったのだ……


 ~~


「チッ、しつこいな……」

 俺は真っすぐに下町へと向かい、裏路地でまこうと考えた。あそこなら人は少ない。
 しかし、追手はどうも諦めてくれない。まだ俺のことを探しているようだ。

「あっ、いたぞ! こっちだ!」
「クッ…… こっちか」

「発見! 発見っっ!!」
「こっちも駄目か!!」

 

 ――まずいな。段々俺を囲うように布陣していっている。
 そうなったら戦いは避けられない、できれば殺し合いにはなりたくないのだが……
 
 仕方ない、ここは屋根を伝って逃げるしか……!
 ……ここはどうか? いや、駄目か…… じゃあ、あっちは……

「……え? な、ちょちょっと! 前! 前!」
「……あ? なっ!」

 ――!? しまった! 気を取られすぎていた。
 目の前に少女が! ぶつかるっ!

「ふぎゃっ!」
「……っっ、っておい。大丈夫か?」

「ぅ…… 前くらい見てよ!」
「す、すまない……」

 俺の前には尻もちをついたアクアブルーの髪の少女がいる。
 ん? どこかで見たことのあるような……

 じー………………

 ってそんなことをやっている暇なんてない! 早く逃げないと!

 ――魔法陣展開 付与 跳躍
 そう心の中で唱える。

「と、とにかく今は時間がないんだ! それじゃ!」
「あっ、待って! ……と、飛んだ?」

「また後で会えたら会おう!」
「……………………あっ!」

 彼女の前にあるのは粉々になった陶器たちである。
「わ、私の商品がぁ! …………あいつ、絶対に見つけ出して弁償さしてやるんだから!」

 彼女の拳には、力がこもるのであった……


 ~~
 
 
「おい! まだ見つからんのか!」
「す、すみません! どうも、われわれの包囲陣から抜けられたようです……」
「クソッ、どこから逃げた……?」

 屋根を飛び移りながら、兵士たちの話し声が聞こえてくる。
 よし、とりあえずはまけたようだ。

 逃げ続けてはや2時間、相手も諦めかけている。

「まあ、せいぜい逃げ回ってろ。どうせここから出ることはできん……」

 ――まあ、確かにそうだな。
 ここ、ラーペン王国王都、ハライルは四方を高い外壁で囲われている。
 突破できるだろうが…… できれば戦いたくない。

 …………本当に大丈夫か? どうしたものか。

「おい、そろそろ手配書を出すんだ。こうなったら仕方ない」
「はっ! 直ちに!」
 
 ――それだ!
 まだ手配書が回っていないうちに、とりあえず冒険者ギルドへ行ってみよう。
 もしかしたら、協力してくれる人がいるかもしれない。

 そうして、俺は街の中心部へと向かうのだった。




 ~あとがき~

 
 ここまで読んでくれてありがとうございます!
 新作投稿初日ということで、今日は合計12話分投稿しようと思います。
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