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第五章 覚醒

第八十話 親友

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 あれから少し時が経ち、遺跡のけっこう中まで入っていた。
 エレーヌが中心となり、照明魔法で辺りを照らしている。

「それにしても、何かおかしいですね。敵が一人もいません」
「本当に誰もいないのか? そんなはずがない。確かに足跡があったはずだ」

「しかし、間違いは無いはず・・・ です」

 先ほどロイクが探知魔法を使い、遺跡の構造を把握、そして敵の有無を確認した。
 しかし、敵は一匹たりともかからない。

 ――前に来た時は、ガーディアンが居たはずだが・・・
 

「・・・だけど、完璧には消しきれてないようだね~」
「ああ、私も同意見だ」

 ロイクとミゲルが辺りを見回しながらそう言った。

「え? どういうことだ?」
「・・・戦った形跡があるということさ」

「まさか、あのガーディアンたちは全滅でもしたというのか?」
「恐らくね。多分ここは、黒き魔獣によって支配されている」

「じゃあなんで敵がいないんだ・・・?」
「さあ、僕にも分からないよ。今回は、相手の誘いに乗ろうじゃないか~ フッフフ~ン~」

 (・・・陽気だな。まあ、いつものあいつというか)
 

「お? なんか大きな空間があるぜ。ここが中心部じゃねえか?」
「・・・うん。どうやらそのようだ」

 レイドたちがたどり着いたのは、当初、エレーヌとレイドが遺跡に落ちてきた場所、まさにその場所であった。

「レイド、私は反射魔術の研究をしていたと言ってたな。なぜ、ここがそうか分かるかね?」
「・・・確かに、理由を聞いていませんでしたね」

「レイド君、英雄ジャン・コレルについて知っているかね?」
「はい。この前、エレーヌと演目を」

「ハーン? エレーヌと? そんなことがあったのかー」
「静かにしてくれ、カイン」

「はいはい、わかったよ」


「ジャンにミアっていう妻が居ただろう。これは、そのミアの墓だ」
「だから、どうしたって言うんだい?」

 ロイクがそう質問した。 

「ミアって言うのは、ジャンと結婚した人なんだ。その人がこのインテグリ―を作ったとされている」
「・・・なるほどね~ その剣、魔法を反射しちゃうし」

「ミアは、戦いのさなかに死んでしまうんですよ。痛ましいことです」
「エレーヌ君、それは違うのだよ」

「・・・え? そうなんですか?」


 
「あれは、綺麗に話をまとめる為に作った嘘だ。実は、彼女はジャンによって・・・ 殺されている」
「・・・はぁ!? なぜ、、、」

 エレーヌは何か言い始めようとしたが、自然と止まってしまう。

「・・・エレーヌ、分かるかい?」
「はい。敵・・・ ですね」

「どうやら、話はまた後になるな」

 ロイクが剣を抜いたことにより、全員が臨戦態勢に移る。

「・・・こちらに急接近してきます。人型です!!」
「っっ!」

 ――すると、前から何かが、現れたことが分かった。

 
「・・・皆さん、お集りのようで・・・ どうされたんでしょうかぁ?」
「君は・・・ ロマンか」

「お久しぶりです!! ミゲル教頭! あの時は、どうも。ありがとうございました」

 現れたのは、ロマンだった。
 話し方も、服装も、色々と前とは違う。

「・・・あれがロマンなのか? 話し方が全然違うじゃないか」
「お? これはこれは、レイド君もいらっしゃるのですかぁ・・・ 好都合なことですねぇ」

「ロマン、聞きたい質問はこれだけだ。君が黒幕ってことで良いのかな?」
「・・・そうですねぇ。私の名は、ロマン・ベレーター! 人類を正しい道に導く、救世主ですっ!!!」

 ロマンは大きく腕を上げ、そう宣言した。

「はっ、救世主? 笑わせてくれるね~」
「まぁ、劣等種に理解など求めていませんし。貴方たちをこれから殺す・・・ だけですしねぇ」

「はっ、たかが一人で僕たちを倒せると思わないでね~」
「一人・・・ 一人ですか。ククク・・・ やっぱり鈍いですねぇ」

(!? まさか・・・!)

「おい! ロベルト! 居るんだろう! 出て来い!」
「・・・ロベルト? こんなところにいるわけ・・・」




「・・・すまない。こっそり後を付けていた」
「なっ・・・ 認識、阻害魔法ですか・・・」

 ロベルト、レシティアが背後から現れた。

「・・・これは誤算だね~ ロベルト単体だったら、認識阻害魔法なんてできないはずだったから、油断してたよ」
「ちょっと、なんで敵意を向けられているわけ? ロベルト何かしたの?」

「レシティア! 今すぐロベルトから離れるんだ!!」
「・・・え? どういうことよ」

「あいつは裏切っている! あっち側だ!」
「・・・何を勘違いしているんだ。俺は裏切ってなどいない!」

「嘘をつくな!」

 しかし、ロベルトは依然として堂々と立っている。
 レシティアやエレーヌ、ミゲルは混乱している様子だ。

「ククク・・・ 滑稽滑稽」

 ロマンはこんな感じだ。

 ――何が面白いんだよ・・・
 レイドがそう思った矢先だった。

「なあ・・・ レイド、ロベルトが裏切ってるって、ほんとか?」
「ああ、今まで黙ってたが、そうだ」

「だから、俺は裏切ってなどいない!」
「もう、どうなっているのよ!」

「どうするよ?」
「・・・二人を相手するしかないな」

 カインは一歩一歩、レイドに近づいている。

「・・・! おい、レイド!」
「黙れ! 裏切り者の話など聞くつもりは無い!」




「なぁ・・・ レイド。こんなに面白いことって、あるか?」 
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