魔力無し、チート婚約者ができる ~インテグリー=フェイス 婚約者は裏ボスだった!? 死の運命を変え、ゲーム本編をぶっ壊す!~

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第五章 覚醒

第七十九話 遺跡の中へ

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「ギャルルゥ!!」
「グォォォォッ!!」

「ひぇ~、どこもかしこも黒き魔獣だらけだよ~」
「うおっ、危ねえ!」

 ――ドォォンッ!!
 ――バガァァン!!

 黒き魔獣たちは、レイドたちを見るや否や一目散にこちら目掛けて攻撃を仕掛けてくる!

「ですが、動きがどれも単調ですね。確かに早くて強力ですが・・・」
「やっぱり、力が大きくなる代償があったということだね~」

(おい、なんで余裕そうに話をしているんだよ!?)
 ――レイドは走ったり避けるのに精いっぱいだ。
 エレーヌとロイクだけが異常なのだろう・・・

 改めてバイセン家の化け物じみた身体能力に驚くのだった。

「グァァァァッ!!」
「ゴォォ・・・」

「おい、前が塞がれちまったぞ! どうすんだよ!」

 カインがそう言う。
 前には、黒化ジャイアントベアーが壁になるように待ち構えていた。

「うーん、横が開いていないなら、やっぱり上だよね~ それぇっ!」
「ガァァッ!?」

「おい、ロイクの兄貴は上を飛んだぞ!?」
「いったい人間何個分の高さだ!? 仕方ない、俺たちは・・・」

(攻撃する余裕はない・・・ ならば!)

「股を潜り抜けるぞ!」

 すると、レイドはわざと黒化ジャイアントベアーの前に止まった。

「グゥゥ・・・? ゴァァァッ!!」

 ――ドゴォォォン!!

「隙ありだ!」

 大ぶりの攻撃をわざとさせ、その時の隙を逃さずレイドは、後ろにかいくぐることが出来た。

「カイン! 大丈夫か!」
「ああ・・・ なんとか、な」

「後は・・・ ミゲルか」
「どうすんだよ! あいつ、潜り抜けるのか?」

「おや。私がどうかしたか?」
「うおっ! ミゲル・・・ 将軍。どうやって・・・」

「どうやってって・・・ 普通に飛んだだけなのがね」
「「・・・・・・」」

 修正。どうやら化け物はもう一人いたようだ・・・

「・・・もうすぐ森に入ります。あと少しの辛抱です!」
「みんな、頑張れ~ おや? レイド、少し遅れてるんじゃないか~?」

 (あいつ、後ろ向きで走ってやがる・・・! てか、なんでそんな楽しそうなんだよ!)
 
「おやおや、私も真似しますかな。はっはっはっ!」

 ミゲルもそう言って、同じことをし始めた。
 何だろう、温度差がすごく激しい・・・

 そのまま、レイドたちは森へと入っていくのだった・・・



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「はぁ、はぁ、はぁ・・・ た、助かったぜ・・・」
「良いウォーミングアップだったね~」

 何とか黒き魔獣たちを振り切ることが出来た。
 森の中は、不自然と思えるほど魔獣が居なく、とても静かである・・・

「・・・後は、遺跡を目指すだけですね。で、どこに行けば良いんですか?」
「「「・・・・・・」」」

「え? もしかして、誰も知らないパターンですか?」
「「「・・・・・・」」」

「とりあえず、北西部に進めばいいんじゃないかな~?」
「北西部ってどっちですか?」

「「「・・・・・・」」」

 辺り一帯、木、木、木・・・ 方角が分かるものなんて一切ない。

「どうすんだ、これ・・・」
「別に探知魔法を使ってもいいですが・・・ 魔力を浪費するのは嫌ですね・・・」

 結局、一同は黙り切ってしまった。

「・・・お? なんか痕がねえか?」

 カインが突如、指をさしてそう言った。

「・・・んん~? あ、ほんとだね~ すごい。素晴らしい観察眼だ」
「・・・確かに、、、 あるな。流石は弓使いといったところか。探している素振りなんか一切無かったのに」

「ん? あ? そうか? まあ、とりあえず確認してみようぜ」


「どうやら、人間の足跡のようですね。新しいものです。追ってみますか?」
「ああ、そうしよう」

 ――すると、ロイクがこっちに近寄ってきて耳打ちをしてきた。

(もしかしたら・・・ ロベルトのかもしれないね)
(ああ、そうだな。念のため、待ち伏せには気を付けよう)

「よし、じゃあ、れっつご~!」


 30分後・・・


「・・・ありゃりゃ、本当に付いてしまったよ~」
「これは、入り口だな。エレーヌと入ったときは、ここから出てきた」

「ええ、そうですね。門番はもう倒しているはずです」

 足跡はそのまま遺跡の中に入って行っている。
 どうやら、この中に入ったのは確かなようだ・・・

「・・・敵がいる可能性は高い。皆、慎重に探索するぞ」
「ああ、分かってるぜ」

「とりあえず、中をある程度把握しますか・・・ 少し中に入ってみましょう」

 そうして、レイドたち一行は中に入っていくのであった。
 後ろから、観察している者がいるとも知らずに・・・


「ちょっとロベルト。ほんとに良かったの・・・? 認識阻害魔法までかけるなんて・・・」
「今はあいつらに俺らのことを悟られてはいけない。もう少し我慢してくれ・・・」

 ――レシティアとロベルトだ。彼らは、ばれないようにこっそり尾行してきていたのである。

「俺たちも中に入るぞ。あいつらの手助けをする」
「じゃあ、先に声をかけた方が良かったじゃない!」

「・・・・・・」
「あ、ちょっと、待ってよ・・・」

「しかし、未だに誰か分からんな・・・」
「何の事?」

「いや、独り言だ。忘れてくれ」

 しばらく経った後、彼らも遺跡の中へ入っていくのだった。
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