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第三章 学園入学編 ~崩壊した本編~
第四十九話 避けられぬ脅威
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「ありがとう。この話は参考にさしてもらおう」
「はい、それでは・・・ 戻ってもいいですか」
レイドは教師たちに”黒き魔獣”についての説明を終えた。
「ああ、構わない。 気を付けてな」
「レイド君、またね~」
ロイクはレイドに手を振った。レイドも申し訳無さげに振り返す。
そうしてこの場から離れていった。
「レイド君は・・・ Cクラスの生徒かね?」
「はい、僕が担任を受け持ってますよ~ ミゲル教頭?」
ミゲル教頭と呼ばれた初老の男性は、髭を触りながら問い続ける。
「ふむ・・・ あれ程の子がなぜCクラスにいる? Aクラスでもトップの成績と身分を持っているはず・・・」
「まあ、Cクラスには入学試験トップ3が全員いますからね」
教師陣はざわつき始める。
「ロマン君・・・ ちょっといいか?」
「は、はい。何でしょうか・・・」
「・・・君はあの学年からは降りてもらおう」
「え・・・ なぜ・・・?」
ロマンは突然のことに戸惑う。
「・・・あの生徒たちがAクラスに居たら今回の事故は防げたとは思えんか?」
「そ、そしたらCクラスが被害を受ける羽目になったでしょう! たまたま、あのレイドとかいう生徒がいただけで・・・」
「はぁ。私にここまで言わせるか・・・ ロマン戦士長、いや、ここではロマン・べレーターか?」
「な!? 貴方は・・・ いや、貴様はどこまで知っている・・・!」
ロマンの表情は急変。とても険しいものに変わった。
「ロマン・べレーター? 平民ではなかったのか?」
「べレーター家? 聞いたことのない家名だな。外国か・・・?」
他の教師もこそこそ話し始める。
「・・・さあ、選ぶんだ。戦士長ロマンとして去るか、それとも国賊としてか、な?」
ロマンはしばらく黙り込む。
「チッ・・・ ここは去らしてもらおう・・・」
「そうか。今までご苦労だったな・・・」
「・・・貴様の顔なんて見たくもねえぜ」
そして、ロマンはどこかへと行ってしまった・・・
教師たちは皆、あっけに取られている。
「・・・それでは皆さん、気を取り直して、今後の対応をしていきましょう」
ミゲルは一人にっこりと笑ったのだった・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それからなんやかんやあって、あれは不幸な事故として処理された。
責任を取ったのか、ロマンは学園からいなくなった。
「ケッ、絶対に俺らが一位になったはずなのによぉ、うやむやにされてしまったぜ」
「カイン、仕方ないさ。死者が出たからな・・・」
「・・・その中の一人は、ファブリスらしいな」
「ああ、目の前で見たから間違いない」
ユーラル家の子息が死んだことは大きな騒ぎになったが、幸いもう一人兄が健在なので、後継ぎは問題ない。
ファブリスは学校中から嫌われていたらしく、彼の死を悼む人はただ一人を除いて誰もいなかった。
「それより聞いたか、マルクの奴、王位継承権から外れたらしいぜ?」
「だからあいつは最近、学園に来ていないのか・・・」
マルクは度重なる失態で、王の失望を買ったらしい。まあ、自業自得だ。
「あ、いっけね! 俺、もう剣術の講義があるんだった! じゃあな、レイド!」
「おう、頑張って来いよ!」
変わったことがまだある。Cクラスが、自由に講義を受けられるようになったのだ。
今回の事件で、大きくレイドが活躍した為である。
学園では、取りたい科目を好きなだけ受講できる形だ。
レイドは何を受講しているかというと・・・?
「あ、レイド! 探しましたよ!」
「おう、エレーヌ。元気そうだな」
「これから魔術についての講義を受けるんですよ! その為に学園へ来たようなものですから!」
「そうか・・・? 忙しくなった気がするんだが・・・」
「何言ってるんですか? レイドも魔術の講義を受けるのに」
そう。レイドはエレーヌと同じ魔術理論の講義を受ける予定だ。
「・・・まぁ、魔術には興味があるしな?」
「ん・・・? ちょっと他のも見せてください」
「あ! ちょっと!」
エレーヌは勝手にレイドの受講カードを覗いた。
「はい・・・ 何というか・・・ 私とほぼ同じじゃないですか・・・」
「そ、そうか? 奇遇だな! ハハハ!」
(たまたま、たまたまだ! お互いに興味のあるものが同じなんだな!)
・・・心の中までごまかそうとするレイドであった。
「まあ、レイドと一緒なら、安心できますね・・・」
ぽつり、とエレーヌがつぶやいた。
「ん? 何か言ったか?」
「い、いいえ! なんでもありません。それより、まだ時間があります。どこかへ食べに行きませんか?」
「・・・よし! 乗った!」
そうしてレイドとエレーヌは共に歩き始める。
レイドたちの学園生活は始まったばかりだ。
ついに動き始める、”本編キャラクター”。未だに正体が分からぬ”黒き脅威”・・・
未来は決して明るくは無いが、当分は心配しなくていいだろう。
なぜなら、”最強”のダッグが、運命を変えるのだから・・・
第三章 学園入学編 ~崩壊した本編~ 完
「はい、それでは・・・ 戻ってもいいですか」
レイドは教師たちに”黒き魔獣”についての説明を終えた。
「ああ、構わない。 気を付けてな」
「レイド君、またね~」
ロイクはレイドに手を振った。レイドも申し訳無さげに振り返す。
そうしてこの場から離れていった。
「レイド君は・・・ Cクラスの生徒かね?」
「はい、僕が担任を受け持ってますよ~ ミゲル教頭?」
ミゲル教頭と呼ばれた初老の男性は、髭を触りながら問い続ける。
「ふむ・・・ あれ程の子がなぜCクラスにいる? Aクラスでもトップの成績と身分を持っているはず・・・」
「まあ、Cクラスには入学試験トップ3が全員いますからね」
教師陣はざわつき始める。
「ロマン君・・・ ちょっといいか?」
「は、はい。何でしょうか・・・」
「・・・君はあの学年からは降りてもらおう」
「え・・・ なぜ・・・?」
ロマンは突然のことに戸惑う。
「・・・あの生徒たちがAクラスに居たら今回の事故は防げたとは思えんか?」
「そ、そしたらCクラスが被害を受ける羽目になったでしょう! たまたま、あのレイドとかいう生徒がいただけで・・・」
「はぁ。私にここまで言わせるか・・・ ロマン戦士長、いや、ここではロマン・べレーターか?」
「な!? 貴方は・・・ いや、貴様はどこまで知っている・・・!」
ロマンの表情は急変。とても険しいものに変わった。
「ロマン・べレーター? 平民ではなかったのか?」
「べレーター家? 聞いたことのない家名だな。外国か・・・?」
他の教師もこそこそ話し始める。
「・・・さあ、選ぶんだ。戦士長ロマンとして去るか、それとも国賊としてか、な?」
ロマンはしばらく黙り込む。
「チッ・・・ ここは去らしてもらおう・・・」
「そうか。今までご苦労だったな・・・」
「・・・貴様の顔なんて見たくもねえぜ」
そして、ロマンはどこかへと行ってしまった・・・
教師たちは皆、あっけに取られている。
「・・・それでは皆さん、気を取り直して、今後の対応をしていきましょう」
ミゲルは一人にっこりと笑ったのだった・・・
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それからなんやかんやあって、あれは不幸な事故として処理された。
責任を取ったのか、ロマンは学園からいなくなった。
「ケッ、絶対に俺らが一位になったはずなのによぉ、うやむやにされてしまったぜ」
「カイン、仕方ないさ。死者が出たからな・・・」
「・・・その中の一人は、ファブリスらしいな」
「ああ、目の前で見たから間違いない」
ユーラル家の子息が死んだことは大きな騒ぎになったが、幸いもう一人兄が健在なので、後継ぎは問題ない。
ファブリスは学校中から嫌われていたらしく、彼の死を悼む人はただ一人を除いて誰もいなかった。
「それより聞いたか、マルクの奴、王位継承権から外れたらしいぜ?」
「だからあいつは最近、学園に来ていないのか・・・」
マルクは度重なる失態で、王の失望を買ったらしい。まあ、自業自得だ。
「あ、いっけね! 俺、もう剣術の講義があるんだった! じゃあな、レイド!」
「おう、頑張って来いよ!」
変わったことがまだある。Cクラスが、自由に講義を受けられるようになったのだ。
今回の事件で、大きくレイドが活躍した為である。
学園では、取りたい科目を好きなだけ受講できる形だ。
レイドは何を受講しているかというと・・・?
「あ、レイド! 探しましたよ!」
「おう、エレーヌ。元気そうだな」
「これから魔術についての講義を受けるんですよ! その為に学園へ来たようなものですから!」
「そうか・・・? 忙しくなった気がするんだが・・・」
「何言ってるんですか? レイドも魔術の講義を受けるのに」
そう。レイドはエレーヌと同じ魔術理論の講義を受ける予定だ。
「・・・まぁ、魔術には興味があるしな?」
「ん・・・? ちょっと他のも見せてください」
「あ! ちょっと!」
エレーヌは勝手にレイドの受講カードを覗いた。
「はい・・・ 何というか・・・ 私とほぼ同じじゃないですか・・・」
「そ、そうか? 奇遇だな! ハハハ!」
(たまたま、たまたまだ! お互いに興味のあるものが同じなんだな!)
・・・心の中までごまかそうとするレイドであった。
「まあ、レイドと一緒なら、安心できますね・・・」
ぽつり、とエレーヌがつぶやいた。
「ん? 何か言ったか?」
「い、いいえ! なんでもありません。それより、まだ時間があります。どこかへ食べに行きませんか?」
「・・・よし! 乗った!」
そうしてレイドとエレーヌは共に歩き始める。
レイドたちの学園生活は始まったばかりだ。
ついに動き始める、”本編キャラクター”。未だに正体が分からぬ”黒き脅威”・・・
未来は決して明るくは無いが、当分は心配しなくていいだろう。
なぜなら、”最強”のダッグが、運命を変えるのだから・・・
第三章 学園入学編 ~崩壊した本編~ 完
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