魔力無し、チート婚約者ができる ~インテグリー=フェイス 婚約者は裏ボスだった!? 死の運命を変え、ゲーム本編をぶっ壊す!~

アイスクリーム仕立て

文字の大きさ
上 下
32 / 89
第ニ章 運命との戦い

第三十二話 新たな主人公、誕生

しおりを挟む
~アミアン北西部にて~

「うおおおお!!」
「グギャア!?」
 ラジ率いるアミアン連合軍は、黒き獣たちによる猛攻を受けながらも耐え切ることができていた。

「しつこいわね~ もう嫌になっちゃうわ」
 ソニアはニコニコ顔で魔獣たちと戦っている。
「ボアァァ!」
 そこに、クマの形をした魔獣が襲ってきた。

「グ・・・ ギ・・・」
「ふふふ~ 悪い子ねえ?」
 ソニアは難なく攻撃を止め、熊型の魔獣の首を鷲掴みした。

「グ・・・ ガァ・・・」
 熊型の魔獣は呼吸することができず、事切れてしまった。

「あれが、バイセン家の実力・・・!」
 周りの戦士たちも、ラジやソニアが戦う姿を見て勇気を出す。
 依然として全体の士気も高いままだった。

 それを良く思わない男がいる。
「・・・なかなかしぶといですねえ。ダリラは・・・ なんだ、死んでしまったのですか」
 男は一人ぶつぶつと呟いている。

「正直あんな奴はどうでもいいのですが・・・ この戦いは我々の負けのようです。ククク・・・ 久々に面白いのが見れました」
 そう言って男は闇の中へ消えていく。

「いずれまた会いましょう。エレーヌ」
 戦士たちは皆こう言う。突然、黒き魔獣は動かなくなったと・・・
 アミアンでの戦争は、ラジたちの勝利として終わりを迎えたのだった。
   


 ~後日、バイセン家にて~


「それでは、皆さん! 乾杯!」
「「「乾杯!」」」
 バイセン家では、戦勝を祝うパーティが開かれていた。

「でな、俺がちょうどのタイミングであの黒い龍を倒したんだ!」
「それは何度も聞いたわ~」

「ああ! 可愛いエレーヌ! 長袖のドレスも似合っているぞ~」
「あまりジロジロ見ないで下さい!」

「レイド君、よくやった。屋敷は一部壊れてしまったが・・・ 全員が生きていたんだ。トドメを刺したのは君のおかげだ」
「いえ、ラジさん。私がダリラを倒せたのは、皆さんの助けがあってこそなので」
「ははは! 君は随分と謙虚じゃないか」
 
 あたりは明るい雰囲気に包まれていた。
「レイド、ちょっといいですか?」
 エレーヌが話しかけてきた。

「ちょっとここじゃ何なので、あちらの方で話をしましょう」
 エレーヌはバルコニーの方に指を差した。

「ああ、分かった」
 そう言ってレイドは、エレーヌについて行ったのだった。

 レイドとエレーヌはバルコニーで二人きりになる。
 エレーヌは黒い長袖のドレスを身に着けている。おそらく、あの痕を目立たせないためだろう。

「・・・」
 二人に静寂が訪れた。少し経ったのち、エレーヌが口を開ける。
「レイド、この度はバイセン家の危機を救ってくれてありがとうございました」
 そう言って、彼女は頭を下げた。

「そんな大したことはしていない。足を引っ張っていたくらいだ」
「また謙遜を・・・ で、それで・・・ その・・・」
 エレーヌはもじもじし始めた。

「それで? なんだ?」
「えーっと、私はもう少ししたら王立学園に入学する予定なんですが・・・」
「へえ、すごいじゃないか」
 
(そうか・・・ エレーヌと離れ離れになってしまうのか・・・)
 内心ショックを受けているレイドであった。

「そ、そこには、魔法だけでは無く剣術も学べるんですよ!」
 エレーヌは大袈裟に言う。

「すごい学校じゃないか! 頑張ってこいよ」
「・・・」
 エレーヌは何か不服そうな顔をしている。なんでだ? 怒らせるようなことはしていないはずだが。

「・・・それで、私一人では心細いな~ と・・・」
「確かにそうだね」
「・・・」
(おいおいなんでそんな怒っているんだよ!) 
 エレーヌはさらに不服そうな顔をする。

「ああもう! じれったい! だから、レイドも一緒に来てくれませんか!」
 エレーヌは顔を真っ赤にしながら言った。

「で、でも・・・ 入学試験に受かるかどうか分からないじゃないか」
「そこらへんは私が教えます!」
「・・・」
 再び、静寂が訪れた。
 
 レイドも段々と恥ずかしくなってきた。
「お、おう・・・ よろしく頼む・・・」
「は、はぃ・・・」
 そうして二人は逃げるように戻るのだった・・・
 
 レイドは運命を変え、本来の歴史を大きく変えてしまった。
 滅んでいたはずのリヨンやアミアンは残っており、レイドもエレーヌも死んでいない。
 すでに前置きから崩壊した状態で、ゲーム本編の学園編がスタートすることになる・・・
 しかし、レイドは知る由も無かった・・・


 第二章 運命との戦い 完




 ~あとがき~
 第二章が完結いたしました! ここまで書けたことに、私は驚きを隠せません。
 ついに学園編の開始です! レイドとエレーヌの更なる活躍にご期待ください!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完結】「別れようって言っただけなのに。」そう言われましてももう遅いですよ。

まりぃべる
恋愛
「俺たちもう終わりだ。別れよう。」 そう言われたので、その通りにしたまでですが何か? 自分の言葉には、責任を持たなければいけませんわよ。 ☆★ 感想を下さった方ありがとうございますm(__)m とても、嬉しいです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...