魔力無し、チート婚約者ができる ~インテグリー=フェイス 婚約者は裏ボスだった!? 死の運命を変え、ゲーム本編をぶっ壊す!~

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第ニ章 運命との戦い

第二十四話 呪いの紋章

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 レイドが実戦経験をしてからもう3週間が経っていた。
 カインは一人前の弓兵として訓練され、この家の第一線を担うまでの人材までになっていた。
 やはり、素質の違いだろう・・・ カインは元々戦えたからな。
 
 それに比べてレイドは前衛職が既にいることもあり、家で待機していることが多かった。
(俺も魔獣退治、やってみたいなあ)
 レイドはそんな願望を抱くのだった。

 そんな今日は魔獣退治におもむくことは無く、家族全員で集まることになっていた。
 その中には、カインも含まれている。
 廊下を歩いていると、カインと出会った。

「あ、おっす、レイド様よ」
「ああ、カイン・・・ お前は良いよな・・・」
「? 急に何言ってんだ?」
 
「お前は魔獣退治に同行しているんだろ、俺も参加したかったということさ」
「・・・別に大したことじゃねえよ。いつの間にかロイクの兄貴とラジさんがすべて倒してしまっているからよ、やることは偵察くらいだ」
 カインはつまらなそうに話す。しかし、レイドにとってはうらやましいことには変わりは無い。

「ほう・・・ 偵察ねえ・・・」
「・・・なんだよ、そんな言い方。とりあえず今日はそれについて話があるんだろ、お前にもいずれ役割が与えられるさ」
「だといいがな・・・」

 そうして、レイドたちはラジがいる部屋へと向かった。

 しばらく歩いたのち、部屋に着いた。
 レイドとカインは扉を開ける。
 既にそこには、ラジ、ソニア、ロイクがいた。

「レイド君、カイン。おはよう」
「「おはようございます」」
「うむ。今日は重要なことを君たちに伝える為に用意した場だ。これは君の将来に関わることだから、皆で相談すべきと思ったんだ」

「将来に関わること・・・ ですか」
 レイドには全く見当がつかない。

「父上、まだエレーヌが来ていないようですが・・・」
 ロイクがそうラジに話しかけた。
「エレーヌが寝坊するなんてことは滅多にないんだがな・・・ 仕方ない、もうレイド君もいることだし、先に内容を伝えるか」

「じゃあ、私がエレーヌを起こしに行ってくるわ~」
 そうして、ソニアは部屋から出て行った。

「・・・では、レイド君、カイン。本題と行こうか」
 レイドとカインは無言でうなづいた。

「・・・カインは薄々気付いているだろうが、我が領には大きな問題を抱えているんだ」
「大きな・・・ 問題?」
「ああ、実はな・・・ 森に新種の魔獣が出没しているんだ・・・ それも、全身真っ黒の魔獣だ・・・」

(全身・・・ 真っ黒だと・・・!)
 レイドは全身の毛が逆立つのを感じた。

「後でカインから聞いて驚いたんだが・・・ リヨンの争乱でも真っ黒の人が襲ってきたらしいな。それがまた起こったわけだ」

 先ほどまで黙っていたロイクが口を開ける。
「それが、僕たちでは対処しきれないほど多くなっていてね~ 近々アミアンで戦闘が起きると見ているんだ」
「そんな・・・ 呪いの発生源とかはわかっているんですか!?」

 確か、リヨンでも発生源となるものがいた。それを排除さえすればいいはずだ。
 しかし、ラジの表情は未だ険しい・・・

「・・・カインからその話も聞いている。私たちでも探ってみたんだが、断定はできなかったんだ・・・」
「そんな・・・」

(そんな、森の中に発生源があるとしたら、見つかるわけがない!)
 レイドは事の深刻さに絶望していた。

「そこでだが・・・ レイド君。君は他家の人間だ。事前に逃げることが出来る。どうだね?」
 ラジがそのような提案をしてきた。

 つまり、ここはいずれ戦場になるから逃げたかったら逃げてくれということだろう。
 レイドは、しばらく悩み始めた。
(ここが、運命の分かれ道だろう・・・ 多分、前の俺はここで逃げずに死んだんだ。 ・・・見捨てるのもありか)

「レイド君・・・」
 ラジが真剣な眼差しでこちらを見ている。レイドは重要なことを忘れていることに気が付いた。

(・・・俺が、初めて手に入れた家族。俺のことを受け入れてくれた人を見捨てるというのか? そんなことは出来ない。そして、エレーヌ。彼女は・・・ 俺の・・・)
 レイドは決心がついたようだ。

「ラジさん。俺も、戦わせて下さい!」
 レイドはそう意気込んだ声でそう言った。

「・・・! 本当かね、レイド君!」
「・・・俺もレイド様についていくぜ」
 カインも、同じ道を歩むことを決めたようだ。

「よし、その意気だよ~ レイド君! 僕たちが、この街、そして家族を守るんだ!」
 ロイクが高々に声をあげた。

「・・・そういえば、エレーヌもソニアもまだ帰ってこないな」
 ラジが話題を変える。
「・・・おかしいね、もう来てもいいはずなのに」

「エレーヌ! エレーヌ! 大丈夫なの!?」
 突如、ソニアの悲鳴ともとれる声が聞こえてきた。
 部屋の中にいた人たちは、その声を聞くなりエレーヌのもとへ駆けつける。

 悲鳴の先には、必死の形相で話しかけるソニアと、廊下に倒れているエレーヌがいる!

 一体何が起こったんだ・・・!
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