魔力無し、チート婚約者ができる ~インテグリー=フェイス 婚約者は裏ボスだった!? 死の運命を変え、ゲーム本編をぶっ壊す!~

アイスクリーム仕立て

文字の大きさ
上 下
22 / 89
第ニ章 運命との戦い

第二十二話 ソニアの本性

しおりを挟む
 レイドとエレーヌはバイセン家に帰還した。
 エレーヌはレイドに怒り心頭なようで、先ほどから口を利いてくれない・・・

「ああ、どうしよう・・・」
 レイドが頭を抱えて悩んでいると、ロイクがこちらに近づいてきた。

「いったいどうしたんだよ~ レイド君?」
 顔で分かる。今のロイクは満面の笑みを隠せずにいる。

「そうかそうか~ エレーヌと喧嘩しちゃったのか~ まあ仕方ないねえ」
(分かっているじゃないか!)
「・・・ほっといてくださいよ、どうすれば良いか分からないんです」
「僕が話を聞いてあげようか~?」

 いやだめだ。こいつは妹に関しては一番信用が出来ない。
 他の信頼できる人は・・・ おっと、あいつがいるじゃないか。

「いえ、結構です。それより、カインはどこにいますか?」
「つれないなあ。僕の方がエレーヌとの付き合いは長いのに・・・」
「結構です!」
(こいつめ・・・ ああ、もう!)

 ロイクの追及は終わらない。こいつに何を言っても同じことを繰り返されるだけだろう・・・
 レイドは早急にロイクのもとから離れることにした。
「ああ~ 待ってよ~ レイド君~」

(消えろ!)
 レイドは全力疾走で屋敷の中に入った。
 カインを探し始めるが、やはりいない・・・

 しばらく屋敷内を歩いていると、エレーヌの母、ソニアとすれ違った。

「あらあら~ レイド君じゃないの~」
 ソニアは相変わらずのニコニコ顔で話しかけてくる。
「あ、ソニアさん・・・ こんにちは」
「初めての実践経験お疲れ様ね~ ・・・エレーヌが何も言わずに部屋に閉じこもってしまったの。 何かあったのかしら~」

「はい、まあ・・・」
「・・・詳しく話してくれるかしら?」
 ソニアが真剣な眼差しでこちらを見てくる。どうやら逃がす気は無いらしい・・・

「・・・実は」
 レイドがことの顛末を話す。ジャイアントベアのことや、遺跡のことなど・・・
「ということがありまして・・・」

 ソニアは相変わらずニコニコしたままだ。
「あら~ そんなことがあったの~」
「はい・・・」

 急にソニアの雰囲気がどす黒いものになる。
「レイド君? 貴方は・・・ エレーヌが貴方のことを、心配してくれていたことを分かっているかしら?」
「え、ええ・・・ もちろん・・・」

「男の変なプライドかどうか分からないけど・・・ エレーヌは貴方よりはるかに強いのも分かっているわね? そして、貴方の護衛としてレイドに付いていたことも・・・」
「は、はい・・・」

「じゃあおとなしく従っておきなさいよ! エレーヌの信頼を傷つけるとかどういう神経してんだよ!」
「ぐはぁ!」
 ソニアから突然の膝蹴りを食らう。全く反応できなかった・・・
 内臓が潰れたかもしれない・・・

「いいわね? 今すぐどんな手段を使ってでも、許してもらうまで誠心誠意謝ることよ! それ以外の選択肢は認めないわ!」
「ぅ・・・ はぃ・・・」
 レイドは声を振り絞ってそう言った。

 ソニアはいつもの表情に戻る。
「そうそう。それじゃあレイド君、またね~」
 そうして彼女は行ってしまった・・・

 しばらく廊下にうずくまっていると、ラジがやってきた。
「レイド君? どうしたんだ?」
「ラジ・・・ さん。ソ、ソニアさんに・・・」

 ラジはある程度把握したようだ。
「そうか・・・ ソニアは、怒ると怖いんだ・・・ ものすごく気持ちは分かる」
「そ、そうですか・・・」
「ま、まあ・・・ 大変だとは思うが、強く生きるんだぞ?」

 そして、ラジは後味悪そうにその場を去ってしまった。
(どうすれば、エレーヌと会えるだろうか・・・)

 部屋に籠りきりでは、思うように会うことが出来ない。
(こういう時こそ、カインに聞いてみるか・・・)

 レイドは何とか立ち上がり、カインを再び探し始める。
 厨房に立ち寄ってみたところ、ちょうどカインが裏口から帰ってきたところだった。

「おっす、レイド様。どうしたんだ? そんなに顔を悪くして」
「ああ、カイン。実はな・・・」
 カインにもことの顛末を話す。

「ぎゃはははははは!!!! バッカじゃねえの! いくら婚約者の前だからと見栄を張ってさ!」
「くっ・・・ そして、どうやって謝ればよいか分からないんだ・・・」

 カインは笑うのを止めて、しばらく悩み始める。
「・・・じゃあさ、一旦覗いてみるか?」
「覗くって、何を?」
「もちろん、エレーヌの部屋だよ」

「はあ? 第一、どうやって?」
「俺はな、ロイクの兄貴から弓の扱い方を学んでいるんだよ。それの一環で偵察もできるのさ」
「何? こんな一瞬で?」

「まあ、俺には才能があるんじゃないか?」
 カインはまんざらでもない顔をしている。

(本当にできるのか・・・?)
 カインの言っていることについては半信半疑だが、今はそれにすがるしかない。
 レイドはカインの提案を呑むことにした。

「おっしゃ、じゃあ今すぐに行こうぜ」
「お、おう・・・」
 そして、レイドとカインは庭に出たのだった・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

処理中です...