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第一章 狂人たちとの出会い
第八話 リヨン出立
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「ア、ガ、ァ・・・」
黒き人が一人、また一人と倒れていく。ついには全てが動くことは無くなった。
「な、何が・・・ 終わったのか・・・?」
マリーはそうつぶやく。
さっきまで、兵士たちの雄たけびと共に戦いの音が聞こえていたのに・・・
今は嘘なくらいに静かだ。
「おーい! マリー!」
レイドとカインの声が聞こえてくる。こちらまで走ってきたようだ。
「君たち・・・! どうしたんだ? まさか、やったのか?」
レイドはうなづく。
「はい。どうやら荷台に積まれていた人間の怨念が呪いかなんかに代わり、こうした事態を引き起こしたのでしょう。俺は、彼の望みに従って殺しました」
黒幕の正体は分からないが、事態は収束したと言っても良いだろう。
「そうか・・・ 沢山の犠牲者が出てしまったが・・・ ひとまずは、我々の、勝利だ!」
「「「万歳!」」」
兵士たちが剣を上に持ち上げ、魔術師は空に祝砲を打つ。
黒き人の街、リヨン。そうなる運命をレイドは変えてしまったのだ。
「これで・・・ 俺は死なずに済むのか・・・?」
レイドはそんなことばかりを考えていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
完全に侵食されていなかった患者たちは元通りになり、普段の生活が戻った。
リヨンの封鎖が解除され、街には活気が戻り始める。
レイドたちは、コレル子爵邸に客として招かれた。
疲れを癒すと良いと・・・ 久々のふかふかなベッドだ。
しばらくたったのち、コレル子爵とまた会うことになった。
「ありがとう! レイド君! 君はこの街の救世主だ!」
応接間に入った瞬間、コレル子爵が飛び出してきた。
「娘の容態も回復した! まだ完全とは言えないが・・・ 命の恩人だ」
「・・・・・・!?」
レイドは困惑している。こういう時どんな反応すれば良いのかが分からないのだ。
「さあ、街の人々も君にお礼を言いたがっている! さあ、外に出るんだ!」
そう言われて、レイドは連れ出された。
「ちょ、何を・・・」
抵抗むなしく、レイドは外にでる。
「あなたが例の救世主? ありがとう!」
「助かったよ! 良かったらこれを持って行ってくれ!」
「貴方がいなければ、夫は助からなかったでしょう・・・ 貴方は命の恩人です!」
レイドが外に出るや否や、次々に街の人々がお礼を言ってきた。
(俺は、ただ自分が助かるためにしただけなのに・・・)
レイドはまだ困惑している。ただ、悪い気分ではない。何か、じんわりと胸にこみあげてくる・・・
「ありがとう、みんな。別に俺一人の力だけでは無い。兵士のみんな、そして友人たちの力がなければ成し遂げれなかったことだ。その人たちにもお礼を言ってくれ」
自然と言葉がつづられる。
「なんだよ、照れるな・・・」
カインがもじもじしながら言う。
「レイド、君は本当に英雄だ・・・」
マリー。
「まさか、貴方が街を救うとは・・・」
「そのまさかですね・・・」
モーリス。アンヌ。
「さあ、皆の者、レイド殿に盛大な拍手を!」
コレル子爵が大きな声を出しながらレイドの肩に腕をのせる。
辺りに盛大な拍手が巻き起こる。
(・・・やってよかったな)
レイドから自然と笑みが浮かぶのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
レイドの凱旋パレードが終わって少し経った頃、レイドたちはバイセン領へ向かう関所に来ていた。
「本当に行ってしまうのか・・・ もう少しいてくれても良かったのだぞ、何ならうちの娘と会わないか?」
コレル子爵は名残惜しそうに言う。
(それだけは勘弁してくれ!)
非常にめんどくさいことになりそうだ。遠慮さしてもらおう。
「すみませんが、そろそろ出立しないといけません」
いつまでもバイセン家に着かないようじゃ、死んだと勘違いされるだろう。
「そうか・・・」
コレル子爵は残念そうにしている。
「では、せめてこれは持って行ってくれ。ほら、出すんだ」
そういうと兵士がなにやら立派な剣を取り出す。
「この剣は、インテグリー、という剣でな。うちの先祖が使用した剣ならしい。ぜひ君に使ってもらいたい」
そうしてインテグリーを手渡される。
銀色に輝く長身の剣。柄には何やら魔石も入っているようだ。
「ありがとうございます! こんなものもらっていいんですか・・・?」
「いいんだ、勇気ある君に使ってもらいたい。いつぞやの先祖みたいにな」
「いいなあ、レイド様よ」
カインは口惜しそうにしている。まあ、レイドは剣を扱えないが・・・
「そうだ、マリー。レイド殿たちをバイセン領まで護衛してくれ。街道に出てくる魔物くらいなら問題ないだろう」
「はっ、仰せのままに」
マリーがこちらに向かってくる。
「てなわけで、私はまだ君たちと付き合う必要がありそうだ」
「ああ、頼むよ。マリー」
レイドたちは歩み始める。
(すべては、俺たちが生き残るためだ!)
インテグリー。それは主人公フィリップが、リヨン解放作戦の際に手に入れる伝説の剣だ。そんな剣をレイドが手に入れてしまった。
もう、シナリオは崩壊し始めている・・・ しかし、レイドは知る由もない。
~あとがき~
第一章前半が終了しました!
「面白かった!」
「続きが気になる!」
と思った方は是非、応援よろしくお願いします!
黒き人が一人、また一人と倒れていく。ついには全てが動くことは無くなった。
「な、何が・・・ 終わったのか・・・?」
マリーはそうつぶやく。
さっきまで、兵士たちの雄たけびと共に戦いの音が聞こえていたのに・・・
今は嘘なくらいに静かだ。
「おーい! マリー!」
レイドとカインの声が聞こえてくる。こちらまで走ってきたようだ。
「君たち・・・! どうしたんだ? まさか、やったのか?」
レイドはうなづく。
「はい。どうやら荷台に積まれていた人間の怨念が呪いかなんかに代わり、こうした事態を引き起こしたのでしょう。俺は、彼の望みに従って殺しました」
黒幕の正体は分からないが、事態は収束したと言っても良いだろう。
「そうか・・・ 沢山の犠牲者が出てしまったが・・・ ひとまずは、我々の、勝利だ!」
「「「万歳!」」」
兵士たちが剣を上に持ち上げ、魔術師は空に祝砲を打つ。
黒き人の街、リヨン。そうなる運命をレイドは変えてしまったのだ。
「これで・・・ 俺は死なずに済むのか・・・?」
レイドはそんなことばかりを考えていた。
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完全に侵食されていなかった患者たちは元通りになり、普段の生活が戻った。
リヨンの封鎖が解除され、街には活気が戻り始める。
レイドたちは、コレル子爵邸に客として招かれた。
疲れを癒すと良いと・・・ 久々のふかふかなベッドだ。
しばらくたったのち、コレル子爵とまた会うことになった。
「ありがとう! レイド君! 君はこの街の救世主だ!」
応接間に入った瞬間、コレル子爵が飛び出してきた。
「娘の容態も回復した! まだ完全とは言えないが・・・ 命の恩人だ」
「・・・・・・!?」
レイドは困惑している。こういう時どんな反応すれば良いのかが分からないのだ。
「さあ、街の人々も君にお礼を言いたがっている! さあ、外に出るんだ!」
そう言われて、レイドは連れ出された。
「ちょ、何を・・・」
抵抗むなしく、レイドは外にでる。
「あなたが例の救世主? ありがとう!」
「助かったよ! 良かったらこれを持って行ってくれ!」
「貴方がいなければ、夫は助からなかったでしょう・・・ 貴方は命の恩人です!」
レイドが外に出るや否や、次々に街の人々がお礼を言ってきた。
(俺は、ただ自分が助かるためにしただけなのに・・・)
レイドはまだ困惑している。ただ、悪い気分ではない。何か、じんわりと胸にこみあげてくる・・・
「ありがとう、みんな。別に俺一人の力だけでは無い。兵士のみんな、そして友人たちの力がなければ成し遂げれなかったことだ。その人たちにもお礼を言ってくれ」
自然と言葉がつづられる。
「なんだよ、照れるな・・・」
カインがもじもじしながら言う。
「レイド、君は本当に英雄だ・・・」
マリー。
「まさか、貴方が街を救うとは・・・」
「そのまさかですね・・・」
モーリス。アンヌ。
「さあ、皆の者、レイド殿に盛大な拍手を!」
コレル子爵が大きな声を出しながらレイドの肩に腕をのせる。
辺りに盛大な拍手が巻き起こる。
(・・・やってよかったな)
レイドから自然と笑みが浮かぶのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
レイドの凱旋パレードが終わって少し経った頃、レイドたちはバイセン領へ向かう関所に来ていた。
「本当に行ってしまうのか・・・ もう少しいてくれても良かったのだぞ、何ならうちの娘と会わないか?」
コレル子爵は名残惜しそうに言う。
(それだけは勘弁してくれ!)
非常にめんどくさいことになりそうだ。遠慮さしてもらおう。
「すみませんが、そろそろ出立しないといけません」
いつまでもバイセン家に着かないようじゃ、死んだと勘違いされるだろう。
「そうか・・・」
コレル子爵は残念そうにしている。
「では、せめてこれは持って行ってくれ。ほら、出すんだ」
そういうと兵士がなにやら立派な剣を取り出す。
「この剣は、インテグリー、という剣でな。うちの先祖が使用した剣ならしい。ぜひ君に使ってもらいたい」
そうしてインテグリーを手渡される。
銀色に輝く長身の剣。柄には何やら魔石も入っているようだ。
「ありがとうございます! こんなものもらっていいんですか・・・?」
「いいんだ、勇気ある君に使ってもらいたい。いつぞやの先祖みたいにな」
「いいなあ、レイド様よ」
カインは口惜しそうにしている。まあ、レイドは剣を扱えないが・・・
「そうだ、マリー。レイド殿たちをバイセン領まで護衛してくれ。街道に出てくる魔物くらいなら問題ないだろう」
「はっ、仰せのままに」
マリーがこちらに向かってくる。
「てなわけで、私はまだ君たちと付き合う必要がありそうだ」
「ああ、頼むよ。マリー」
レイドたちは歩み始める。
(すべては、俺たちが生き残るためだ!)
インテグリー。それは主人公フィリップが、リヨン解放作戦の際に手に入れる伝説の剣だ。そんな剣をレイドが手に入れてしまった。
もう、シナリオは崩壊し始めている・・・ しかし、レイドは知る由もない。
~あとがき~
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