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第一章 狂人たちとの出会い
第六話 コレル子爵との出会い
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レイドは、そのまま牢屋へ・・・ というわけにもいかず、コレル子爵邸まで移送されることとなった。
流石に貴族は取り締まれないのだろう。
「ここで待つんだ」
そう兵士に言われた。応接間だろうか・・・
縛られてはいないが、周りには見張りの兵士が数人いる。レイドじゃ到底逃げれないだろう。
しばらくたつと、高価な服を身にまとった中年の男がやってきた。
「・・・・・・」
恐らくコレル子爵だ。 ・・・なんか殺気立っているぞ。
向かい側の椅子に腰かける。
「レイド・フォン・ユーラルだな? 公爵の息子か・・・」
「はい・・・ 初めまして・・・」
「貴様ぁ! この街が滅ぶまで呑気に観察かぁ!? 早く元に戻すんだ!」
コレル子爵がものすごい剣幕で怒鳴りかけてくる。
(なんのことだ!?)
「この手紙を1か月前に送り付けてきたのは貴様だろ! この街を滅ぼすとな!」
「いえ、なんのことかさっぱり・・・」
「しらばっくれるな! そもそも、なぜ貴様があんなところで働いている!」
「実は・・・ お金が無く・・・」
「あ?」
コレル子爵に自身の成り行きを説明する。
公爵家を追放されたこと、自分に戦う力がないこと、荷物がすべて奪われたことなど・・・
「そんなはずが・・・ いや、魔力至上主義のユーラル家だ。社交界にも出ていなかったからな・・・」
コレル子爵考え始める・・・
「すまなかった・・・ なんの証拠もなしに疑ってしまって・・・ 君も大変なのだな・・・」
(まってくれ、この流行り病、人為的に引き起こされたものなのか!?)
「まさか、この流行り病は・・・」
「・・・その通りだ。だから私は犯人捜しをしていたんだ。ああ、どうしよう。娘が、娘が・・・」
コレル子爵が泣き崩れる。娘が発病したのだろう・・・
レイドはこのことには関係ない。さっさとこの街を出ていきたい。しかしそうとも言ってられない事情が出てきた。救わないと自分が死ぬのだ。
(待てよ・・・ そうしたらあの商隊は・・・)
レイドは先ほどの出領していなかった商隊を思い出す。
ユーラル家が農業生産品など輸出しない。何かのカモフラージュと見た方が良い。しかし、レイドは戦えない。見つけたところで「敵」に殺されることは確かだろう。
(これは、コレル子爵に協力を仰ぐチャンスではないのか?)
コレル子爵は軍を保有している。彼らに護衛してもらえれば問題ないだろう。
「コレル子爵、お話ししたいことがあります。この流行り病、人為的に引き起こされたものならば、犯人に目星がついております」
「・・・それはまことか!」
コレル子爵が食いついた。
そして、レイドは推理したことをコレル子爵に話す。
コレル子爵がこれだ、と言わんばかりに顔を変える。
「おい、庁長を呼んで来い! 事実確認をする!」
コレル子爵がそう命令する。
「はっ、このモーリス、すでに到着しております」
モーリスは既に着いていたのだ。
「話は途中から耳にしておりました。レイド様がおっしゃったことは全て真実です。この機会を逃す手は無いかと」
「よし! 兵を集めるんだ。例の商隊を探すぞ!」
「「「はっ!!」」」
兵士が移動し始めた。
コレル子爵がこちらに目を向ける。
「レイド殿、情報提供、感謝する!」
「大丈夫です、困ったときはお互い様ですからね!」
レイドがそう言うと、コレル子爵はまた泣き出した。
(ははーん、こいつ、ちょろいなあ)
レイドは全くそんなことは思っていない。あくまで自分が助かるためである。
「レイド殿、捜索を手伝ってほしい。君の聡明な頭なら見つけてくれるはずだ!」
コレル子爵はそう頼んできた。
「任してください! 必ずや、見つけてまいりましょう」
こうしてレイドは兵士の統率権を手に入れたのだった。
レイドは軍の集結地点に移動した。総勢50名の兵士がすでに集まっていた。
レイドに近づいてくる人がいた。カインと・・・ マリー隊長!?
「レイド様、お久しぶりです」
「マリーさん、お久しぶりです。敬語は無しでいいですよ。これから戦う可能性があるんですから」
「・・・それは助かる。先日、盗賊を討伐した。これが、取られていた荷物だろう?」
そう言って、マリーが手荷物を差し出す。
「感謝します。カイン、お前もいたのか」
「ああ、兵士に連れ去られたと、モーリスとかいうやつが言ってきてよ」
「すまなかったな、今から元凶を倒しに行くんだ」
「今、俺も聞いたぜ。まさか、人為的だったとはなあ・・・ それなら、一ついそうなところがある」
カインが思い出したように話す。
「スラム街だよ・・・ 俺は診療所の厨房で働いているんだけどさ・・・ スラム街に近いほど重症化した患者が多いんだよ・・・」
マリーが驚いた顔をしている。
「確かに、スラム街が多く発症していることは把握していたが、まさか衛生環境の問題じゃなかったのか・・・?」
「決まりですね。スラム街を捜索しましょう。そこに何かがあるはずです」
カインはそう言う。異論はないようだ。
さあ、やってやろうではないか。この街を救いに・・・
流石に貴族は取り締まれないのだろう。
「ここで待つんだ」
そう兵士に言われた。応接間だろうか・・・
縛られてはいないが、周りには見張りの兵士が数人いる。レイドじゃ到底逃げれないだろう。
しばらくたつと、高価な服を身にまとった中年の男がやってきた。
「・・・・・・」
恐らくコレル子爵だ。 ・・・なんか殺気立っているぞ。
向かい側の椅子に腰かける。
「レイド・フォン・ユーラルだな? 公爵の息子か・・・」
「はい・・・ 初めまして・・・」
「貴様ぁ! この街が滅ぶまで呑気に観察かぁ!? 早く元に戻すんだ!」
コレル子爵がものすごい剣幕で怒鳴りかけてくる。
(なんのことだ!?)
「この手紙を1か月前に送り付けてきたのは貴様だろ! この街を滅ぼすとな!」
「いえ、なんのことかさっぱり・・・」
「しらばっくれるな! そもそも、なぜ貴様があんなところで働いている!」
「実は・・・ お金が無く・・・」
「あ?」
コレル子爵に自身の成り行きを説明する。
公爵家を追放されたこと、自分に戦う力がないこと、荷物がすべて奪われたことなど・・・
「そんなはずが・・・ いや、魔力至上主義のユーラル家だ。社交界にも出ていなかったからな・・・」
コレル子爵考え始める・・・
「すまなかった・・・ なんの証拠もなしに疑ってしまって・・・ 君も大変なのだな・・・」
(まってくれ、この流行り病、人為的に引き起こされたものなのか!?)
「まさか、この流行り病は・・・」
「・・・その通りだ。だから私は犯人捜しをしていたんだ。ああ、どうしよう。娘が、娘が・・・」
コレル子爵が泣き崩れる。娘が発病したのだろう・・・
レイドはこのことには関係ない。さっさとこの街を出ていきたい。しかしそうとも言ってられない事情が出てきた。救わないと自分が死ぬのだ。
(待てよ・・・ そうしたらあの商隊は・・・)
レイドは先ほどの出領していなかった商隊を思い出す。
ユーラル家が農業生産品など輸出しない。何かのカモフラージュと見た方が良い。しかし、レイドは戦えない。見つけたところで「敵」に殺されることは確かだろう。
(これは、コレル子爵に協力を仰ぐチャンスではないのか?)
コレル子爵は軍を保有している。彼らに護衛してもらえれば問題ないだろう。
「コレル子爵、お話ししたいことがあります。この流行り病、人為的に引き起こされたものならば、犯人に目星がついております」
「・・・それはまことか!」
コレル子爵が食いついた。
そして、レイドは推理したことをコレル子爵に話す。
コレル子爵がこれだ、と言わんばかりに顔を変える。
「おい、庁長を呼んで来い! 事実確認をする!」
コレル子爵がそう命令する。
「はっ、このモーリス、すでに到着しております」
モーリスは既に着いていたのだ。
「話は途中から耳にしておりました。レイド様がおっしゃったことは全て真実です。この機会を逃す手は無いかと」
「よし! 兵を集めるんだ。例の商隊を探すぞ!」
「「「はっ!!」」」
兵士が移動し始めた。
コレル子爵がこちらに目を向ける。
「レイド殿、情報提供、感謝する!」
「大丈夫です、困ったときはお互い様ですからね!」
レイドがそう言うと、コレル子爵はまた泣き出した。
(ははーん、こいつ、ちょろいなあ)
レイドは全くそんなことは思っていない。あくまで自分が助かるためである。
「レイド殿、捜索を手伝ってほしい。君の聡明な頭なら見つけてくれるはずだ!」
コレル子爵はそう頼んできた。
「任してください! 必ずや、見つけてまいりましょう」
こうしてレイドは兵士の統率権を手に入れたのだった。
レイドは軍の集結地点に移動した。総勢50名の兵士がすでに集まっていた。
レイドに近づいてくる人がいた。カインと・・・ マリー隊長!?
「レイド様、お久しぶりです」
「マリーさん、お久しぶりです。敬語は無しでいいですよ。これから戦う可能性があるんですから」
「・・・それは助かる。先日、盗賊を討伐した。これが、取られていた荷物だろう?」
そう言って、マリーが手荷物を差し出す。
「感謝します。カイン、お前もいたのか」
「ああ、兵士に連れ去られたと、モーリスとかいうやつが言ってきてよ」
「すまなかったな、今から元凶を倒しに行くんだ」
「今、俺も聞いたぜ。まさか、人為的だったとはなあ・・・ それなら、一ついそうなところがある」
カインが思い出したように話す。
「スラム街だよ・・・ 俺は診療所の厨房で働いているんだけどさ・・・ スラム街に近いほど重症化した患者が多いんだよ・・・」
マリーが驚いた顔をしている。
「確かに、スラム街が多く発症していることは把握していたが、まさか衛生環境の問題じゃなかったのか・・・?」
「決まりですね。スラム街を捜索しましょう。そこに何かがあるはずです」
カインはそう言う。異論はないようだ。
さあ、やってやろうではないか。この街を救いに・・・
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