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僕の異変
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そうしてる間にハ月も終わりに近づき、大学が始まる頃になると宗二は目に見えて忙しくなった。
彼は一緒にいられる時間が減ると嘆いていたけど、リョウは正直ホッとしていた。
「こら、 T シャツはこう畳むの」
「こう」
「左なら左、右なら右に統一しなよ」
向きがバラバラで統一感がまるでないたたみ方にダメ出ししながら、一から全てを教え込む。
それを嬉しそうに聞いている彼にだいぶ調子を崩し、悪態をため息に変えた。
「リョウ、聞いて聞いてぇ♪」
ふわりと現れたミカに顔を上げると、彼女は透けていた身体がさらに透けていた。
「私ねぇ、ようやく見つかったのぉ。あの女も男も捕まってねー」
ピッと一人でに着いたテレビは、連行されていく派手な男女を映す。
あれがミカを殺した後輩とその本命なのだろう。
「もう最高の気分!」
「逝くの?」
「うん、お別れの挨拶しに来たんだ。これで最後だからさ」
「…そう」
そっけなく言うとミカは少しだけ寂しそうに頷いて、それを払うように笑った。
「じゃあね、リョウ、お兄さん♪」
言うと同時に光が弾ける。
ミカの身体は眩しい光に変わって、天井に吸い込まれて消えていった。
「寂しくなるね…」
「はっ、なるわけないでしょ? うるさかっただけだよ」
宗二の言葉を一蹴して、畳んだ洗濯物を置きに行く。
胸の内に時折感じる違和感を押し殺すように、一歩一歩存在を刻みつけながら歩いた。
ーーーーーー
さて、どうしたものか…。
キッチンに立ち、リョウは冷蔵庫から出した食材を前に頭を悩ませていた。というのも、ろくな材料がない。
今ある材料でできるものと言ったら、卵焼き、目玉焼き、スクランブルエッグにオムレツ ぐらいだろう。
「買って来いって言ったのに…」
完全に忘れられている。
このところ、大学のレポートやらバイトやらで大変なのはわかる。
夜遅くまで調べ物をしていたり、頑張っていることも知っている。お陰であの件を追及されずに済んでいるから助かってもいる。
けれど、彼は本来、一人暮らしなのだ。
食料を買わなければ 口に入ることはない。
「ないものは仕方ないけどさ…」
ため息をつき、夕食にオムレツを手早く作る。その傍らで卵を茹でて水に放り込み、殻を剥くのだがこれが結構疲れる。
手で触れられたらと思うのはこういう時だ。
殻を剥いた卵を麺つゆを入れたら冷蔵庫に保存し、これで明日の朝食の一品は決まった。
オムレツをリビングに飛ばすと、資料を広げて頭を抱えていた宗二が顔を上げる。
「もう八時だし、食べてからにしたら?」
そう言ってテーブルの空いている部分にご飯を置く。
何の付け合わせもないオムレツオンリーの皿を見て、頼んでいた買い物を忘れて帰ってきたことを思い出したのだろう。
その表情がわずかに青ざめる。
「ごめん、俺…」
「別にいいよ。困るのは君だけだし」
食べられないリョウにとって、食料はあってもなくても構わないもの。
なくて困るのは全面的に宗二だけだ。
「それより、早く食べたら?」
「ありがとう」
レポート用紙を横によけ、箸を手に取る。
反応は気になるところだが、なんとなく見ているのも悪い気がしてテレビをつけた。
彼は一緒にいられる時間が減ると嘆いていたけど、リョウは正直ホッとしていた。
「こら、 T シャツはこう畳むの」
「こう」
「左なら左、右なら右に統一しなよ」
向きがバラバラで統一感がまるでないたたみ方にダメ出ししながら、一から全てを教え込む。
それを嬉しそうに聞いている彼にだいぶ調子を崩し、悪態をため息に変えた。
「リョウ、聞いて聞いてぇ♪」
ふわりと現れたミカに顔を上げると、彼女は透けていた身体がさらに透けていた。
「私ねぇ、ようやく見つかったのぉ。あの女も男も捕まってねー」
ピッと一人でに着いたテレビは、連行されていく派手な男女を映す。
あれがミカを殺した後輩とその本命なのだろう。
「もう最高の気分!」
「逝くの?」
「うん、お別れの挨拶しに来たんだ。これで最後だからさ」
「…そう」
そっけなく言うとミカは少しだけ寂しそうに頷いて、それを払うように笑った。
「じゃあね、リョウ、お兄さん♪」
言うと同時に光が弾ける。
ミカの身体は眩しい光に変わって、天井に吸い込まれて消えていった。
「寂しくなるね…」
「はっ、なるわけないでしょ? うるさかっただけだよ」
宗二の言葉を一蹴して、畳んだ洗濯物を置きに行く。
胸の内に時折感じる違和感を押し殺すように、一歩一歩存在を刻みつけながら歩いた。
ーーーーーー
さて、どうしたものか…。
キッチンに立ち、リョウは冷蔵庫から出した食材を前に頭を悩ませていた。というのも、ろくな材料がない。
今ある材料でできるものと言ったら、卵焼き、目玉焼き、スクランブルエッグにオムレツ ぐらいだろう。
「買って来いって言ったのに…」
完全に忘れられている。
このところ、大学のレポートやらバイトやらで大変なのはわかる。
夜遅くまで調べ物をしていたり、頑張っていることも知っている。お陰であの件を追及されずに済んでいるから助かってもいる。
けれど、彼は本来、一人暮らしなのだ。
食料を買わなければ 口に入ることはない。
「ないものは仕方ないけどさ…」
ため息をつき、夕食にオムレツを手早く作る。その傍らで卵を茹でて水に放り込み、殻を剥くのだがこれが結構疲れる。
手で触れられたらと思うのはこういう時だ。
殻を剥いた卵を麺つゆを入れたら冷蔵庫に保存し、これで明日の朝食の一品は決まった。
オムレツをリビングに飛ばすと、資料を広げて頭を抱えていた宗二が顔を上げる。
「もう八時だし、食べてからにしたら?」
そう言ってテーブルの空いている部分にご飯を置く。
何の付け合わせもないオムレツオンリーの皿を見て、頼んでいた買い物を忘れて帰ってきたことを思い出したのだろう。
その表情がわずかに青ざめる。
「ごめん、俺…」
「別にいいよ。困るのは君だけだし」
食べられないリョウにとって、食料はあってもなくても構わないもの。
なくて困るのは全面的に宗二だけだ。
「それより、早く食べたら?」
「ありがとう」
レポート用紙を横によけ、箸を手に取る。
反応は気になるところだが、なんとなく見ているのも悪い気がしてテレビをつけた。
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