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お家デートがしたい
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仕方なくDVDを借りて帰ると、ちょうど帰ってきた大家の日野さんと会った。
「こんにちは、梅雨も明けないうちから暑いですね」
「あー、本当に猛暑が続くね」
ふーって重い息をこぼし、中年太りが心配だという大家さんは灰色のハンカチで汗を拭う。
「どう、怪奇現象の方は大丈夫?」
「この頃は楽しめてるんで大丈夫です」
心配そうな顔をする大家さんに答え、最近あった怪談話をリョウのことだけを伏せて話して聞かせた。
「そんなことが起こって平然としてられるなんて、高見さんは豪胆だねぇ。私なんて生首が飛んできた段階で飛び出したのに…」
思い出したのか大家さんはブルリと震え、ナンマイダブ、ナンマイダブと宗二の部屋の方に向かって手を合わせた。
「ところで、あの部屋に中学生ぐらいの男の子が住んでいたことってありますか?」
「中学生…、ああ、あるよ。望くんっていう いたずら好きな子とを洋くんっていう大人しい子の二人」
「兄弟ですか?」
「いや、望くんが家族で海に行って溺れて亡くなってね。あそこは、家族仲が良くて週末にはいつも出かけてたから本当にショックだったと思うよ? で、その後に引っ越してきたのが洋くんの家族」
あごに手を当て、大家は当時のことを思い出すように視線を斜め上に向ける。
「その時は、怪奇現象はなかったんですか?」
「わからないな。洋くんは大人しい子だったから、親御さんも仕事人間で全く帰ってこなかったし、今で言うネグレクト気味 っていうのかなぁ? 誰にも言えなかっただけかもしれない」
「その子はどうして亡くなったんですか?」
「いやいや、亡くなってないよ。洋くんはご両親と海外に引っ越していったんだ。今頃はようやく家族水入らずで暮らしてるんじゃないかな?」
首と手を振って否定した大家さんは肩をすくめて笑う。つまり、リョウの正体はその望という子である可能性が高い。
でも、どうも釈然としなかった。
「でもどうして、そんなこと聞くの?」
「なんとなく聞いてみただけです」
「ふーん、じゃあ、熱中症には気をつけてね?」
「はい、大家さんも」
不思議そうな顔をする彼に軽く礼をしてその背を見送ると、宗二も暑さから逃げるように自分の部屋へと急いだ。
「こんにちは、梅雨も明けないうちから暑いですね」
「あー、本当に猛暑が続くね」
ふーって重い息をこぼし、中年太りが心配だという大家さんは灰色のハンカチで汗を拭う。
「どう、怪奇現象の方は大丈夫?」
「この頃は楽しめてるんで大丈夫です」
心配そうな顔をする大家さんに答え、最近あった怪談話をリョウのことだけを伏せて話して聞かせた。
「そんなことが起こって平然としてられるなんて、高見さんは豪胆だねぇ。私なんて生首が飛んできた段階で飛び出したのに…」
思い出したのか大家さんはブルリと震え、ナンマイダブ、ナンマイダブと宗二の部屋の方に向かって手を合わせた。
「ところで、あの部屋に中学生ぐらいの男の子が住んでいたことってありますか?」
「中学生…、ああ、あるよ。望くんっていう いたずら好きな子とを洋くんっていう大人しい子の二人」
「兄弟ですか?」
「いや、望くんが家族で海に行って溺れて亡くなってね。あそこは、家族仲が良くて週末にはいつも出かけてたから本当にショックだったと思うよ? で、その後に引っ越してきたのが洋くんの家族」
あごに手を当て、大家は当時のことを思い出すように視線を斜め上に向ける。
「その時は、怪奇現象はなかったんですか?」
「わからないな。洋くんは大人しい子だったから、親御さんも仕事人間で全く帰ってこなかったし、今で言うネグレクト気味 っていうのかなぁ? 誰にも言えなかっただけかもしれない」
「その子はどうして亡くなったんですか?」
「いやいや、亡くなってないよ。洋くんはご両親と海外に引っ越していったんだ。今頃はようやく家族水入らずで暮らしてるんじゃないかな?」
首と手を振って否定した大家さんは肩をすくめて笑う。つまり、リョウの正体はその望という子である可能性が高い。
でも、どうも釈然としなかった。
「でもどうして、そんなこと聞くの?」
「なんとなく聞いてみただけです」
「ふーん、じゃあ、熱中症には気をつけてね?」
「はい、大家さんも」
不思議そうな顔をする彼に軽く礼をしてその背を見送ると、宗二も暑さから逃げるように自分の部屋へと急いだ。
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