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すっかり紅葉しきったこの季節、宮島学園の修学旅行が始まろうとしていた。
「修学旅行かぁ」
修学旅行に期待で胸を躍らせている黒い髪に前髪が跳ねているのが特徴の少年、平島拓人。
「中学の時は最悪だったな」
中学の修学旅行では高熱を出して全く楽しめなかったのだ。
「体調管理には気をつけたし、風邪薬もあるし、万全だ!」
「拓人!」
「明里!」
後ろから赤い髪でポニーテールの少女が話しかけてくる。
「元気そうじゃない、あの時は初日から顔色悪かったのに」
「当たり前だ、今日という日のために健康には気を遣ったんだ」
美月明里。拓人の幼馴染で中学で同じグループだった。
「マスクをつけたり、野菜を意識して食べたり、早寝早起きしたり……」
「あんたがねぇ……」
「B組ー、出発だぞ」
教師の声が聞こえ、明里は腕時計を見た。
「もうそんな時間!? じゃあ拓人、あとでね」
「ああ」
明里と会話を終え、拓人もバスに乗り込んだ。
綺麗なバスガイドの話に耳を傾けつつ、外の景色を拓人は思いっきり楽しんだ。都会いては絶対に楽しめない光景だ。
「あ、俺だけ景色を楽しんでるのはまずいかな」
隣にの席で本を読む薄い水色の長髪をした雪沢凛だった。クールで学年トップの成績を持っている。人と話さないミステリアスな感じが密かに人気だ。
「あ、あのさ雪沢さん、俺だけ見るの悪いから雪沢さんも景色見ない?」
「興味ないわ」
それだけ言うと雪沢は本を再び読み始めた。
「……」
そんなミステリアスさが良い!自分の手の内を明かさない、高校生離れした良さ!
と拓人は心の中で思っていた。
バスが大きくカーブし、湖が見える。その湖の先に旅館があった。
「あれに泊まれるんだ……!」
思い以上に豪華な旅館にクラスメイトたちはテンションが上がり、盛り上がっていた。
「先生すごい、あんなところに泊まらせてくれるなんて」
「飯も豪華なんだろうなぁ」
クラスメイトたちがはしゃぐ中、隣にいる雪沢はひたすら本を読むだけだった。
「雪沢さんは本当にクールだよな……」
旅館に着くとそれぞれのクラスが旅館に入っていく。
その旅館の中は古めかしいが、建物はピカピカで綺麗だ。
「すごい旅館だ……」
それぞれ割り当てられた部屋に拓人は荷物を置いた。
今は自由行動だ。旅館と旅館の周辺ならどこへ行っても良い。さっそく、さっき別れた明里を探すことにした。
明里の趣味は風景写真だ。外に出て風景写真を撮っているはずだと外に出てみることにした。
案の定、明里は友達と写真を撮っていた。
「明里!」
今度は拓人が後ろから話しかける。
「ああ、拓人じゃん。ここ、空気は良いし、景色は良いし、最高だよね」
「うんうん。って隣の人って……」
明里の隣にいる薄い紫色の髪をした少女。
「ああ、私の友達の……」
「光徳寺日奈です」
「光徳寺……」
まさか……と拓人は思い、ある可能性を頭から消した。
「拓人、あんた1人?なら一緒に周らない?」
「いいのか?」
「当然よ。いいでしょ、日奈?」
「うん」
「決まりね」
拓人と明里と日奈は旅館の周りの風景をたくさん撮った。珍しい鳥や珍しい花も撮影した。
「あっという間だったね」
「ああ、旅館だけで楽しいのにそれ以上はどうなっちまうのかなー」
「もう時間だから1階に集まらないと。拓人のクラスは2階でしょ?」
「うん。じゃあまた後でな、2人とも」
2人と別れ、2階に向かった。
「遅いぞ、平島」
「っ、光徳寺くん……」
拓人を階段前で待ち構えいたのは光徳寺陸夜。薄い紫色の髪をした容姿端麗で学年トップクラスの成績とテニスの大会で優勝した腕前を持つが……その性格には難がある。
「2分……遅れているぞ。お前はクラスの夕食を遅らせたんだぞ」
「すみません」
2分くらいで……なんて言えば火に油を注ぐから黙っていた。
「これだからノロマは困る。俺と同じグループだが、足を引っ張るなよ」
「は、はい……」
こうして2分遅れつつ、夕食が始まった。夕食は豪華で、テレビで見るような豪華絢爛だ。
味は……期待した程ではなかったが、非日常にはちょうど良かった。
そんなこんなで寝る時間、散々枕投げをしつつ、みんなが疲れ果て寝始めた。
しかし、まさかここから本当の非日常が訪れるなんて考えもしなかったのだ。
「修学旅行かぁ」
修学旅行に期待で胸を躍らせている黒い髪に前髪が跳ねているのが特徴の少年、平島拓人。
「中学の時は最悪だったな」
中学の修学旅行では高熱を出して全く楽しめなかったのだ。
「体調管理には気をつけたし、風邪薬もあるし、万全だ!」
「拓人!」
「明里!」
後ろから赤い髪でポニーテールの少女が話しかけてくる。
「元気そうじゃない、あの時は初日から顔色悪かったのに」
「当たり前だ、今日という日のために健康には気を遣ったんだ」
美月明里。拓人の幼馴染で中学で同じグループだった。
「マスクをつけたり、野菜を意識して食べたり、早寝早起きしたり……」
「あんたがねぇ……」
「B組ー、出発だぞ」
教師の声が聞こえ、明里は腕時計を見た。
「もうそんな時間!? じゃあ拓人、あとでね」
「ああ」
明里と会話を終え、拓人もバスに乗り込んだ。
綺麗なバスガイドの話に耳を傾けつつ、外の景色を拓人は思いっきり楽しんだ。都会いては絶対に楽しめない光景だ。
「あ、俺だけ景色を楽しんでるのはまずいかな」
隣にの席で本を読む薄い水色の長髪をした雪沢凛だった。クールで学年トップの成績を持っている。人と話さないミステリアスな感じが密かに人気だ。
「あ、あのさ雪沢さん、俺だけ見るの悪いから雪沢さんも景色見ない?」
「興味ないわ」
それだけ言うと雪沢は本を再び読み始めた。
「……」
そんなミステリアスさが良い!自分の手の内を明かさない、高校生離れした良さ!
と拓人は心の中で思っていた。
バスが大きくカーブし、湖が見える。その湖の先に旅館があった。
「あれに泊まれるんだ……!」
思い以上に豪華な旅館にクラスメイトたちはテンションが上がり、盛り上がっていた。
「先生すごい、あんなところに泊まらせてくれるなんて」
「飯も豪華なんだろうなぁ」
クラスメイトたちがはしゃぐ中、隣にいる雪沢はひたすら本を読むだけだった。
「雪沢さんは本当にクールだよな……」
旅館に着くとそれぞれのクラスが旅館に入っていく。
その旅館の中は古めかしいが、建物はピカピカで綺麗だ。
「すごい旅館だ……」
それぞれ割り当てられた部屋に拓人は荷物を置いた。
今は自由行動だ。旅館と旅館の周辺ならどこへ行っても良い。さっそく、さっき別れた明里を探すことにした。
明里の趣味は風景写真だ。外に出て風景写真を撮っているはずだと外に出てみることにした。
案の定、明里は友達と写真を撮っていた。
「明里!」
今度は拓人が後ろから話しかける。
「ああ、拓人じゃん。ここ、空気は良いし、景色は良いし、最高だよね」
「うんうん。って隣の人って……」
明里の隣にいる薄い紫色の髪をした少女。
「ああ、私の友達の……」
「光徳寺日奈です」
「光徳寺……」
まさか……と拓人は思い、ある可能性を頭から消した。
「拓人、あんた1人?なら一緒に周らない?」
「いいのか?」
「当然よ。いいでしょ、日奈?」
「うん」
「決まりね」
拓人と明里と日奈は旅館の周りの風景をたくさん撮った。珍しい鳥や珍しい花も撮影した。
「あっという間だったね」
「ああ、旅館だけで楽しいのにそれ以上はどうなっちまうのかなー」
「もう時間だから1階に集まらないと。拓人のクラスは2階でしょ?」
「うん。じゃあまた後でな、2人とも」
2人と別れ、2階に向かった。
「遅いぞ、平島」
「っ、光徳寺くん……」
拓人を階段前で待ち構えいたのは光徳寺陸夜。薄い紫色の髪をした容姿端麗で学年トップクラスの成績とテニスの大会で優勝した腕前を持つが……その性格には難がある。
「2分……遅れているぞ。お前はクラスの夕食を遅らせたんだぞ」
「すみません」
2分くらいで……なんて言えば火に油を注ぐから黙っていた。
「これだからノロマは困る。俺と同じグループだが、足を引っ張るなよ」
「は、はい……」
こうして2分遅れつつ、夕食が始まった。夕食は豪華で、テレビで見るような豪華絢爛だ。
味は……期待した程ではなかったが、非日常にはちょうど良かった。
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