89 / 105
Second Tales:生意気なドラゴンにどちらが上かわからせます
Tale21:やめておきなさい、そこに挟まると死にますよ
しおりを挟む
相互ブックマークの欄からアキラちゃんを探して、転移許可のメッセージを送る。
何事もなく送ることができたので、ちょうど『テイルズ』の世界に入ってきているようだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【名前】アキラ
【レベル】27
【ジョブ】ナイト
【使用武器】ハイミスリル・ソード:習熟度7
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しばらくして転移が許可されて、私の視界はふわっと切り替わった。
がやがやと人混みの音がする。
周囲を確認すると、いつものカラフルな煉瓦造りの街並みが確認できた。
アキラちゃんとキャロちゃんは私と同じ街を拠点にしているから、おそらく冒険の準備かなにかをしているところだったのかな?
「こんにちは、リリア様」
「こんにちは」
私が転移してくるからだろう、道の端に寄ってくれていた二人がそれぞれぺこりとしてきた。
背が高めで凜々しい顔つきのアキラちゃんと、おかっぱ頭で可愛らしいキャロちゃんの組み合わせはなんだかすごく収まりがいい。
「こんにちは、デート中にごめんね? 私たちに気を遣わないで、手を繋いだままでよかったのに」
「えっ、み、見ていたんですか?」
びっくりした様子で目を丸くするアキラちゃん。
その横から、察しがいいキャロちゃんが発言を遮ろうとしたが、間に合わなかったようだ。
「いや、冗談のつもりだったんだけど」
まさか、本当に手繋ぎデートの真っ最中だったとは思わなんだ。
ようやく自分が墓穴を掘ったことに気づいたアキラちゃん。
一気に耳まで赤くなる反応が初々しく、ボーイッシュな見た目とのギャップがなんともたまらない。
そして、キャロちゃんは「もう、ばか……」とつぶやいたきり、口をとがらせてそっぽを向いてしまった。
もしかしたら、意外とキャロちゃんの方が尻に敷くタイプなのだろうか。
うん、それはそれでアリだと思う。
「お盛んってことですか?」
わかっているのかいないのか、きょとんとした顔で問いかけるスラリア。
真意の読めないその問いかけに、アキラちゃんもキャロちゃんもさらに押し黙ってしまう。
パートナーとして、ちゃんとスラリアを注意しなければ。
「スラリアっ、そっとしておかないとダメ、馬に蹴られちゃうんだから」
「えっ、お馬さんいませんよ?」
スラリアの頭をぺしっとたたき、私は顔を寄せつつ言う。
すると、きょろきょろと辺りを見回しながら、スラリアはすっとんきょうなことを返してきた。
たまに有名な慣用句でも伝わらないことがあるのよね、まあ可愛いからいいんだけど。
「そういう例えなの、好きな人同士のいちゃいちゃを邪魔するとバチが当たるっていうね」
まったく、外野からからかわれることが、どれだけ好き合う二人の障害になると思っているのか。
ほんと、反省した方がいい。
「ほえー、そんな意味があるのですか……好きな人同士のアキラとキャロ、ごめんね?」
「この子スライムだから、ちょっと空気が読めないの。許してあげてね?」
私とスラリアが謝っても、アキラちゃんとキャロちゃんの二人は、そわそわもじもじして俯いたままだ。
よく見るとキャロちゃんの耳も真っ赤になっている。
うーむ、これだけ恥ずかしがらせてしまった後で申し訳ないのだが、今回は装備作成のお願いのために来たのだ。
もし断られてしまったら、早く他の手段を考えなければいけないし。
切り出しづらいと思いながらも、私は口を開く。
「それで、キャロちゃんにお願いがあるの」
「えっ、私、ですか……?」
意外な申し出だったのか、キャロちゃんは顔が赤くなっているのも気にせず前を向いた。
おそらく、転移してきたときにアキラちゃんにメッセージを送ったからだろう。
キャロちゃんとも相互ブックマークであるのに、ということだ。
「うん、どうせアキラちゃんといっしょにいるだろうと思ったから」
時間短縮、ブクマの欄はアキラちゃんの方が先に出てくるからね。
キャロちゃんは口をぱくぱくさせるだけで、私が言ったことに反論してこないし。
常にいっしょにいるのは事実なのだろう。
「あぅ……あの、お願いってなんですか?」
やがて、さっさと話を始めるのが最善だと気づいたキャロちゃん。
頬を赤らめた状態で、おずおずと聞いてくる。
「えっと、かくかくしかじかで、攻撃に特化した装備を作ってほしいの」
「かくかくしかじか……?」
ここも時間短縮しようとしたのだが、キャロちゃんの頭上には疑問がいっぱい浮かんでいた。
どうやら、いくらゲームの世界とはいえ小説とか漫画みたいに都合良くはいかないようだ。
このあと私は、狼ちゃんの故郷の話からホワイトドラゴンへのリベンジの話までをかいつまんで説明するのだった。
何事もなく送ることができたので、ちょうど『テイルズ』の世界に入ってきているようだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【名前】アキラ
【レベル】27
【ジョブ】ナイト
【使用武器】ハイミスリル・ソード:習熟度7
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しばらくして転移が許可されて、私の視界はふわっと切り替わった。
がやがやと人混みの音がする。
周囲を確認すると、いつものカラフルな煉瓦造りの街並みが確認できた。
アキラちゃんとキャロちゃんは私と同じ街を拠点にしているから、おそらく冒険の準備かなにかをしているところだったのかな?
「こんにちは、リリア様」
「こんにちは」
私が転移してくるからだろう、道の端に寄ってくれていた二人がそれぞれぺこりとしてきた。
背が高めで凜々しい顔つきのアキラちゃんと、おかっぱ頭で可愛らしいキャロちゃんの組み合わせはなんだかすごく収まりがいい。
「こんにちは、デート中にごめんね? 私たちに気を遣わないで、手を繋いだままでよかったのに」
「えっ、み、見ていたんですか?」
びっくりした様子で目を丸くするアキラちゃん。
その横から、察しがいいキャロちゃんが発言を遮ろうとしたが、間に合わなかったようだ。
「いや、冗談のつもりだったんだけど」
まさか、本当に手繋ぎデートの真っ最中だったとは思わなんだ。
ようやく自分が墓穴を掘ったことに気づいたアキラちゃん。
一気に耳まで赤くなる反応が初々しく、ボーイッシュな見た目とのギャップがなんともたまらない。
そして、キャロちゃんは「もう、ばか……」とつぶやいたきり、口をとがらせてそっぽを向いてしまった。
もしかしたら、意外とキャロちゃんの方が尻に敷くタイプなのだろうか。
うん、それはそれでアリだと思う。
「お盛んってことですか?」
わかっているのかいないのか、きょとんとした顔で問いかけるスラリア。
真意の読めないその問いかけに、アキラちゃんもキャロちゃんもさらに押し黙ってしまう。
パートナーとして、ちゃんとスラリアを注意しなければ。
「スラリアっ、そっとしておかないとダメ、馬に蹴られちゃうんだから」
「えっ、お馬さんいませんよ?」
スラリアの頭をぺしっとたたき、私は顔を寄せつつ言う。
すると、きょろきょろと辺りを見回しながら、スラリアはすっとんきょうなことを返してきた。
たまに有名な慣用句でも伝わらないことがあるのよね、まあ可愛いからいいんだけど。
「そういう例えなの、好きな人同士のいちゃいちゃを邪魔するとバチが当たるっていうね」
まったく、外野からからかわれることが、どれだけ好き合う二人の障害になると思っているのか。
ほんと、反省した方がいい。
「ほえー、そんな意味があるのですか……好きな人同士のアキラとキャロ、ごめんね?」
「この子スライムだから、ちょっと空気が読めないの。許してあげてね?」
私とスラリアが謝っても、アキラちゃんとキャロちゃんの二人は、そわそわもじもじして俯いたままだ。
よく見るとキャロちゃんの耳も真っ赤になっている。
うーむ、これだけ恥ずかしがらせてしまった後で申し訳ないのだが、今回は装備作成のお願いのために来たのだ。
もし断られてしまったら、早く他の手段を考えなければいけないし。
切り出しづらいと思いながらも、私は口を開く。
「それで、キャロちゃんにお願いがあるの」
「えっ、私、ですか……?」
意外な申し出だったのか、キャロちゃんは顔が赤くなっているのも気にせず前を向いた。
おそらく、転移してきたときにアキラちゃんにメッセージを送ったからだろう。
キャロちゃんとも相互ブックマークであるのに、ということだ。
「うん、どうせアキラちゃんといっしょにいるだろうと思ったから」
時間短縮、ブクマの欄はアキラちゃんの方が先に出てくるからね。
キャロちゃんは口をぱくぱくさせるだけで、私が言ったことに反論してこないし。
常にいっしょにいるのは事実なのだろう。
「あぅ……あの、お願いってなんですか?」
やがて、さっさと話を始めるのが最善だと気づいたキャロちゃん。
頬を赤らめた状態で、おずおずと聞いてくる。
「えっと、かくかくしかじかで、攻撃に特化した装備を作ってほしいの」
「かくかくしかじか……?」
ここも時間短縮しようとしたのだが、キャロちゃんの頭上には疑問がいっぱい浮かんでいた。
どうやら、いくらゲームの世界とはいえ小説とか漫画みたいに都合良くはいかないようだ。
このあと私は、狼ちゃんの故郷の話からホワイトドラゴンへのリベンジの話までをかいつまんで説明するのだった。
0
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
ユニーク職業最弱だと思われてたテイマーが最強だったと知れ渡ってしまったので、多くの人に注目&推しにされるのなぜ?
水まんじゅう
SF
懸賞で、たまたま当たったゲーム「君と紡ぐ世界」でユニーク職業を引き当ててしまった、和泉吉江。 そしてゲームをプイイし、決まった職業がユニーク職業最弱のテイマーという職業だ。ユニーク最弱と罵られながらも、仲間とテイムした魔物たちと強くなっていき罵ったやつらを見返していく物語
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる