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Second Tales:生意気なドラゴンにどちらが上かわからせます
Tale5:やっぱりもふもふにしますか?
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【エリアボス】シルバニア・ジャイアントウルフの
討伐実績を解除しました!
【レベル】が、28になりました!
【ステータス】を10ポイント付与します!
【スキル】統率を取得しました!
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この狼ちゃんを倒したという内容だろう、黒い画面が現れる。
スキルの取得は久しぶりだし、あとで効果を確認しておくとしよう。
しかし、狼ちゃんは淡い光にならずに地面に伏せたままだけど、なんでだろう?
「うぅ、ぼくがこんなちっちゃい人間に負けるなんて……」
まあ、もふもふできるから消えないでくれて嬉しいんだけどね。
私は狼ちゃんの首の横に潜り込むようにして、その柔らかさを堪能している。
この子に刃が通らなかったのは毛が硬いからではなく、クッションのように衝撃を吸収していたからだと思う。
「まだ大きいとか小さいとかの話をするの? もっと決定的なとどめを刺してもいいのよ、首を落とすとか」
「ひぃぃ、ごめんなさいぃ……」
私が脅すと、縮こまるように怯える狼ちゃん。
それでも大きいことに変わりはないけど、ふふっ、可愛らしい。
「ふふん、これからは小さいものにも敬意を払うように気をつけることね」
「はい、そうしますぅ」
うんうん、わかればいいのよ。
このもふもふに免じて、許してあげることにしましょう。
「ところで、お姉様はテイマーですよね?」
あら、お姉様呼びをされちゃった。
というか、どうしてスラリアもこの子も私をお姉様って呼ぶのかしら。
「うん、テイマーだよ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【使用武器】の交換を行いますか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私が頷きつつ返答すると、もふもふの首にうずめる顔の横に黒い画面が現れた。
「へえ、意外。あなた、いっしょに来られるのね」
他のエリアボスを何度か倒したこともあったが、テイムできたのは初めてだ。
普通の魔物よりも、テイム可能になるかどうかの確率が低く設定されているのかもしれない。
「お姉様にだったら、着いていってもいいかなぁって」
すりすりしてきながら、そんなことを言ってくれる狼ちゃん。
でも、私にはスラリアがいて、あっ、すっごいもふもふ。
お日様の匂いを感じるような、温かな肌触りに包まれる。
まあ、スラリアのぷにゅぷにゅには負け……もふっ、もふもふもっふ。
「……ちょっと、お姉様?」
いつの間にか、スラリアが私の顔を覗きこむように隣に立っていた。
怒っているとはっきりわかるぐらいに頬が膨れている。
なによ、可愛いじゃない。
「うそうそ、交換なんてしないから」
画面の問いに“いいえ”と答えて、狼ちゃんをテイムするのは諦めることにする。
「じゃあ、早く離れてください」
両手を腰に当てて、呆れたように告げてくるスラリア。
尻に敷かれるというのはこんな感じなのだろうか。
まあ、悪い気はしないかな。
スラリアに言われたとおりに、私は狼ちゃんの首もとから離れる。
「自分で言うのも変かもしれないけど、ぼくをテイムできる機会はそうそうないよ? 本当に交換しなくていいの?」
いままで伏せていた狼ちゃんが、よっこいせと身体を起こしつつ言った。
近くで見ると、より大きく感じる。
これだけ大きいと連れ歩きづらいから、さっきの選択は間違いではないだろう。
「ええ、私のパートナーはこの子って決めてるから」
それに、私の一番はいつだってスラリアだ。
隣にいたスラリアを抱き寄せて、狼ちゃんに見せつける。
ぅへへっと気味の悪い声が横から聞こえてくるが、それでも一番だ。
「なるほどね、1対2だったらそりゃ負けるか」
わんちゃんがするように、私たちに鼻の辺りをすりすりさせてくる狼ちゃん。
犬、飼いたいなぁ。
いつか一人暮らしするようになったら、考えることにしよう。
「ところで、私たちがここに来たのは、お茶を採りに来る人間を襲わないようにお願いするためなの」
本当は退治してしまえば安心だと思うけど、せっかく話が通じるのだ。
実害が出ないのであれば、わざわざ追い出さなくてもいい。
「わかった、ぼくの子たちにも言い聞かせるようにしておくから」
戦って負けたからだろうが、狼ちゃんは素直に受け入れてくれる。
「うん、お願いね」
「ぼくたちもここ気に入ってるから、出てけって言われなくてよかったよ」
気づくと、狼ちゃんの周りにはたくさんのシルバー・ウルフがいた。
さっき私たちが倒した子たちがリスポーンしてきたのかな。
「そういえば、どうしてここに来たの?」
この場所は、いちおう“はじまりの森”だし。
セッチさんやお茶採りの男の人の話から考えると、もともといたわけではないだろう。
私の問いに、狼ちゃんは苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべた後。
遠くの方に顔を向けて、小さなため息をひとつ吐く。
「生意気なドラゴンのやつに、ぼくたちは故郷を追われたんだ」
そして、そう憎々しげに話すのであった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【名前】リリア
【レベル】28
【ジョブ】テイマー
【使用武器】スライム:習熟度8
【名前】スラリア
【使用武器】ローゼン・ソード:習熟度5
【ステータス】
物理攻撃:105 物理防御:55
魔力:80 敏捷:35 幸運:50
【スキル】
スライム強化:使用武器スライムのステータスが、一時的に大程度だけ増加します。
なつき度強化:隠れステータス、魔物のなつき度の上昇値が大程度だけ増加します。
勇敢:恐怖の状態異常への耐性が、大程度だけ増加します。
知恵の泉:思考速度を零程度だけ増加します。
魅了:NPCに与える好感度を零程度だけ増加します。
同調:テイマー専用、習熟度5以上の魔物を一定時間、身体に宿すことができます。
不器用:物理防御のステータス値を、10%だけ増加します。
統率:範囲内の任意の対象のステータスを、小程度だけ増加します。
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【エリアボス】シルバニア・ジャイアントウルフの
討伐実績を解除しました!
【レベル】が、28になりました!
【ステータス】を10ポイント付与します!
【スキル】統率を取得しました!
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この狼ちゃんを倒したという内容だろう、黒い画面が現れる。
スキルの取得は久しぶりだし、あとで効果を確認しておくとしよう。
しかし、狼ちゃんは淡い光にならずに地面に伏せたままだけど、なんでだろう?
「うぅ、ぼくがこんなちっちゃい人間に負けるなんて……」
まあ、もふもふできるから消えないでくれて嬉しいんだけどね。
私は狼ちゃんの首の横に潜り込むようにして、その柔らかさを堪能している。
この子に刃が通らなかったのは毛が硬いからではなく、クッションのように衝撃を吸収していたからだと思う。
「まだ大きいとか小さいとかの話をするの? もっと決定的なとどめを刺してもいいのよ、首を落とすとか」
「ひぃぃ、ごめんなさいぃ……」
私が脅すと、縮こまるように怯える狼ちゃん。
それでも大きいことに変わりはないけど、ふふっ、可愛らしい。
「ふふん、これからは小さいものにも敬意を払うように気をつけることね」
「はい、そうしますぅ」
うんうん、わかればいいのよ。
このもふもふに免じて、許してあげることにしましょう。
「ところで、お姉様はテイマーですよね?」
あら、お姉様呼びをされちゃった。
というか、どうしてスラリアもこの子も私をお姉様って呼ぶのかしら。
「うん、テイマーだよ」
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【使用武器】の交換を行いますか?
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私が頷きつつ返答すると、もふもふの首にうずめる顔の横に黒い画面が現れた。
「へえ、意外。あなた、いっしょに来られるのね」
他のエリアボスを何度か倒したこともあったが、テイムできたのは初めてだ。
普通の魔物よりも、テイム可能になるかどうかの確率が低く設定されているのかもしれない。
「お姉様にだったら、着いていってもいいかなぁって」
すりすりしてきながら、そんなことを言ってくれる狼ちゃん。
でも、私にはスラリアがいて、あっ、すっごいもふもふ。
お日様の匂いを感じるような、温かな肌触りに包まれる。
まあ、スラリアのぷにゅぷにゅには負け……もふっ、もふもふもっふ。
「……ちょっと、お姉様?」
いつの間にか、スラリアが私の顔を覗きこむように隣に立っていた。
怒っているとはっきりわかるぐらいに頬が膨れている。
なによ、可愛いじゃない。
「うそうそ、交換なんてしないから」
画面の問いに“いいえ”と答えて、狼ちゃんをテイムするのは諦めることにする。
「じゃあ、早く離れてください」
両手を腰に当てて、呆れたように告げてくるスラリア。
尻に敷かれるというのはこんな感じなのだろうか。
まあ、悪い気はしないかな。
スラリアに言われたとおりに、私は狼ちゃんの首もとから離れる。
「自分で言うのも変かもしれないけど、ぼくをテイムできる機会はそうそうないよ? 本当に交換しなくていいの?」
いままで伏せていた狼ちゃんが、よっこいせと身体を起こしつつ言った。
近くで見ると、より大きく感じる。
これだけ大きいと連れ歩きづらいから、さっきの選択は間違いではないだろう。
「ええ、私のパートナーはこの子って決めてるから」
それに、私の一番はいつだってスラリアだ。
隣にいたスラリアを抱き寄せて、狼ちゃんに見せつける。
ぅへへっと気味の悪い声が横から聞こえてくるが、それでも一番だ。
「なるほどね、1対2だったらそりゃ負けるか」
わんちゃんがするように、私たちに鼻の辺りをすりすりさせてくる狼ちゃん。
犬、飼いたいなぁ。
いつか一人暮らしするようになったら、考えることにしよう。
「ところで、私たちがここに来たのは、お茶を採りに来る人間を襲わないようにお願いするためなの」
本当は退治してしまえば安心だと思うけど、せっかく話が通じるのだ。
実害が出ないのであれば、わざわざ追い出さなくてもいい。
「わかった、ぼくの子たちにも言い聞かせるようにしておくから」
戦って負けたからだろうが、狼ちゃんは素直に受け入れてくれる。
「うん、お願いね」
「ぼくたちもここ気に入ってるから、出てけって言われなくてよかったよ」
気づくと、狼ちゃんの周りにはたくさんのシルバー・ウルフがいた。
さっき私たちが倒した子たちがリスポーンしてきたのかな。
「そういえば、どうしてここに来たの?」
この場所は、いちおう“はじまりの森”だし。
セッチさんやお茶採りの男の人の話から考えると、もともといたわけではないだろう。
私の問いに、狼ちゃんは苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべた後。
遠くの方に顔を向けて、小さなため息をひとつ吐く。
「生意気なドラゴンのやつに、ぼくたちは故郷を追われたんだ」
そして、そう憎々しげに話すのであった。
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【名前】リリア
【レベル】28
【ジョブ】テイマー
【使用武器】スライム:習熟度8
【名前】スラリア
【使用武器】ローゼン・ソード:習熟度5
【ステータス】
物理攻撃:105 物理防御:55
魔力:80 敏捷:35 幸運:50
【スキル】
スライム強化:使用武器スライムのステータスが、一時的に大程度だけ増加します。
なつき度強化:隠れステータス、魔物のなつき度の上昇値が大程度だけ増加します。
勇敢:恐怖の状態異常への耐性が、大程度だけ増加します。
知恵の泉:思考速度を零程度だけ増加します。
魅了:NPCに与える好感度を零程度だけ増加します。
同調:テイマー専用、習熟度5以上の魔物を一定時間、身体に宿すことができます。
不器用:物理防御のステータス値を、10%だけ増加します。
統率:範囲内の任意の対象のステータスを、小程度だけ増加します。
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