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Tale26:繁盛の秘訣は、やはりハリのあるお尻?
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PvPの闘技大会に参加の申し込みを行った、次の日。
私たちは、セッチさんのところに給仕服を返しに行くことにする。
レベル上げも必要なのだけれど、スラリアの格好がハレンチすぎてそわそわしてしまって仕方がないのだ。
「まず、着替えが必要か。どこかでスラリアの新しい服を買わないとね」
いつもの街の大通りを、服屋さんを探しながらきょろきょろ歩く。
いつも通りに、スラリアは私の腕を組んですりすりと腕に頬擦りしていた。
「なんか、防具ですよっ! っていう感じじゃないお店ないかなー」
さっきから見つかる服屋――というか防具屋? 装備屋?――のどれも、無骨な店主がやっていそうなお店で、女の子用でも機能性重視の鎧みたいな物しか売っていなかったのだ。
「スラリアは、どういう服がいいの?」
実を言うと、ファッションというものにてんで興味がなかったから、自分のセンスに自信がない。
「うーん、本当は裸が楽なのですが……」
「裸になりたかったら、スライム状態に戻ってね?」
私が笑顔で告げると、スラリアは怯えたように縮こまった。
なによ、どうして恐がるの? 優しいご主人様でしかないでしょ?
「はっ、はいぃ……それなら、お姉様と同じ物がいいですぅ……」
あら、可愛いやつだな。
しかし、私と同じとなると、初級冒険者の装備ってことになる……いや、違うな。
「そうか、二人いっしょの服を買えばいいのか」
“スラリアの新しい服を”という考えにとらわれていて、自分の服の新調が頭から抜けていた。
そういえば、ちょっと前から初期装備を新しくしようと思っていたのだった。
「じゃあ、おそろいにしようっ」
「やったー、おそろいおそろいーっ」
嬉しそうに跳ねるスラリアのお尻とかが、たぶんチラチラ見えていたかもしれないけど。
本当に嬉しそうだったし、無粋なことはなにも言わないことにした。
どうせ新しい服を買ったら、そんな心配しなくて済むからね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「――どうして、こうなったのかな……?」
確かに、新しい装備を買ったのだ。
30,000リラちょっとしか所持金がなかったし、スラリアとお揃いで二着購入しないといけないし。
だから、上級装備とはいかないまでも、魔法耐性が付与された中級装備。
動きやすさを重視して、青を基調とした袖なしワンピース。
選んだ決め手は、裾が白いのとベルトが可愛かったことだった。
裾はちょっと短いけれど、下に白いショートパンツが付いているので安心だと思ったのだ。
それなのに。
「リリアちゃん! ポテトグラタン、できたから持っていってっ」
「このリラってなんのお金? えっ、写真?」
私とスラリアは、せっかちお姉さんのセッチさんのお店で、いかがわしいマイクロミニのエプロンドレスを着させられて。
私たちを目当てに押し寄せた、大量のお客さんを捌かなければいけなくなっている。
「ポテトグラタンです! 熱いので気をつけてくださいねっ」
「写真は一枚500リラです! 私とスラリアいっしょに撮るなら900リラでお得ですけど、どうします?」
いや、借りていたエプロンドレスを返しに来たら、手伝ってほしいとお願いされたのだ。
恥ずかしい格好させられるんだもん、断固拒否!
そう言ったのだけれど、冒険者ギルドを通さないから多く稼げるよ、などという卑劣な甘言に乗せられて、私とスラリアはお尻を出しながら頑張っている。
えっと……違う違う、普通の軽食屋さんだよ?
お尻を出した子一等賞的な意味合いでの“お尻を出しながら”だからね?
ちなみに、どこから噂を聞きつけたのか、ボーイッシュちゃんとおかっぱちゃんも来店していて。
「今日もぷにぷにする?」
そんなスラリアの言葉に、二人とも見ていて可愛そうになるぐらいに慌てていた。
それにしても、いったいどこをぷにぷにさせようと思ったのだろうか。
リリアならともかく私の身体にはぷにぷにする場所が――って、うるさいな、ぶっ飛ばすぞ?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
お手伝いを始めてから三時間ぐらい経っただろうか、お客さんの波がようやく落ち着いてきた。
ふふっ、さっき買った新しい装備分とはいかないまでも、それなりのリラを稼ぐことができたんじゃないかな。
こっそりとほくそ笑んでいると、ふいに背中にぞわっとする感覚が走った。
なに、スラリアがイタズラして氷でも入れた……?
「っ! お姉様!」
切迫感が漂うスラリアの声が聞こえて、私は振り向く。
嫌な予感がしなくても、嫌なことというのは起こるものだ。
「女神様ぁぁんっ! すべすべ生スパッツぅ、拝みに来たよぉっ」
お店の入り口には、気持ち悪さMAXで身体をくねらすチャラ赤髪と、その後ろで憮然としているスキンヘッドの大男がいた。
私たちは、セッチさんのところに給仕服を返しに行くことにする。
レベル上げも必要なのだけれど、スラリアの格好がハレンチすぎてそわそわしてしまって仕方がないのだ。
「まず、着替えが必要か。どこかでスラリアの新しい服を買わないとね」
いつもの街の大通りを、服屋さんを探しながらきょろきょろ歩く。
いつも通りに、スラリアは私の腕を組んですりすりと腕に頬擦りしていた。
「なんか、防具ですよっ! っていう感じじゃないお店ないかなー」
さっきから見つかる服屋――というか防具屋? 装備屋?――のどれも、無骨な店主がやっていそうなお店で、女の子用でも機能性重視の鎧みたいな物しか売っていなかったのだ。
「スラリアは、どういう服がいいの?」
実を言うと、ファッションというものにてんで興味がなかったから、自分のセンスに自信がない。
「うーん、本当は裸が楽なのですが……」
「裸になりたかったら、スライム状態に戻ってね?」
私が笑顔で告げると、スラリアは怯えたように縮こまった。
なによ、どうして恐がるの? 優しいご主人様でしかないでしょ?
「はっ、はいぃ……それなら、お姉様と同じ物がいいですぅ……」
あら、可愛いやつだな。
しかし、私と同じとなると、初級冒険者の装備ってことになる……いや、違うな。
「そうか、二人いっしょの服を買えばいいのか」
“スラリアの新しい服を”という考えにとらわれていて、自分の服の新調が頭から抜けていた。
そういえば、ちょっと前から初期装備を新しくしようと思っていたのだった。
「じゃあ、おそろいにしようっ」
「やったー、おそろいおそろいーっ」
嬉しそうに跳ねるスラリアのお尻とかが、たぶんチラチラ見えていたかもしれないけど。
本当に嬉しそうだったし、無粋なことはなにも言わないことにした。
どうせ新しい服を買ったら、そんな心配しなくて済むからね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「――どうして、こうなったのかな……?」
確かに、新しい装備を買ったのだ。
30,000リラちょっとしか所持金がなかったし、スラリアとお揃いで二着購入しないといけないし。
だから、上級装備とはいかないまでも、魔法耐性が付与された中級装備。
動きやすさを重視して、青を基調とした袖なしワンピース。
選んだ決め手は、裾が白いのとベルトが可愛かったことだった。
裾はちょっと短いけれど、下に白いショートパンツが付いているので安心だと思ったのだ。
それなのに。
「リリアちゃん! ポテトグラタン、できたから持っていってっ」
「このリラってなんのお金? えっ、写真?」
私とスラリアは、せっかちお姉さんのセッチさんのお店で、いかがわしいマイクロミニのエプロンドレスを着させられて。
私たちを目当てに押し寄せた、大量のお客さんを捌かなければいけなくなっている。
「ポテトグラタンです! 熱いので気をつけてくださいねっ」
「写真は一枚500リラです! 私とスラリアいっしょに撮るなら900リラでお得ですけど、どうします?」
いや、借りていたエプロンドレスを返しに来たら、手伝ってほしいとお願いされたのだ。
恥ずかしい格好させられるんだもん、断固拒否!
そう言ったのだけれど、冒険者ギルドを通さないから多く稼げるよ、などという卑劣な甘言に乗せられて、私とスラリアはお尻を出しながら頑張っている。
えっと……違う違う、普通の軽食屋さんだよ?
お尻を出した子一等賞的な意味合いでの“お尻を出しながら”だからね?
ちなみに、どこから噂を聞きつけたのか、ボーイッシュちゃんとおかっぱちゃんも来店していて。
「今日もぷにぷにする?」
そんなスラリアの言葉に、二人とも見ていて可愛そうになるぐらいに慌てていた。
それにしても、いったいどこをぷにぷにさせようと思ったのだろうか。
リリアならともかく私の身体にはぷにぷにする場所が――って、うるさいな、ぶっ飛ばすぞ?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
お手伝いを始めてから三時間ぐらい経っただろうか、お客さんの波がようやく落ち着いてきた。
ふふっ、さっき買った新しい装備分とはいかないまでも、それなりのリラを稼ぐことができたんじゃないかな。
こっそりとほくそ笑んでいると、ふいに背中にぞわっとする感覚が走った。
なに、スラリアがイタズラして氷でも入れた……?
「っ! お姉様!」
切迫感が漂うスラリアの声が聞こえて、私は振り向く。
嫌な予感がしなくても、嫌なことというのは起こるものだ。
「女神様ぁぁんっ! すべすべ生スパッツぅ、拝みに来たよぉっ」
お店の入り口には、気持ち悪さMAXで身体をくねらすチャラ赤髪と、その後ろで憮然としているスキンヘッドの大男がいた。
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