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Tale4:もふもふにしますか? それとも……ぷにぷに?
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【使用武器】の交換を行いますか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
目の前に出てきた、黒い画面の意味を考える。
使用武器の交換……?
テイマーの使用武器は、魔物だ。
よって、スラリアと小狼を交換するか、ということだろう。
「くぅん……?」
伏せの姿勢のまま、小狼は少し潤んだ瞳で私を見上げてくる。
銀色の毛並みは柔らかそうで、きっと触ったらもっふもふなのだろう。
「……でも、ごめんね」
“いいえ”を選択して、私は黒い画面の右上を触って消した。
すると、小狼は起き上がり、こちらにタタタッと向かってくる。
「わぉ、わぉん」
「わっ、なに? ふふっ、くすぐったい」
私の周りをくるくると回りながら、小狼は脚にすり寄ってきた。
もふもふの銀毛が、ショートパンツとブーツの間、特に膝裏をこしょばしく撫でる。
しばらくそうしているうちに、小狼は淡い光になって消えていった。
別れのあいさつ、のようなものだったのかな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【レベル】が、4になりました!
【ステータス】を10ポイント付与します!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「おー、やったね」
もらったポイントは、魔力と物理攻撃に振ることにしよう。
スライム強化のスキルはたくさん使用できた方が良さそうだし、スラリアの攻撃力不足を私が補うために物理攻撃も必要だし。
「これで依頼達成かな? スラリア、冒険者ギルドに戻ろうか」
「ぷにゅ……」
あれ? なんとなくだけど、スラリアの元気がない。
私の腕の中のスラリアはいつもの張りがなく、でろんとしているような気もする。
もしかして、そう思って話しかける。
「……ねえ、スラリア?」
「ぷぷにゅ……?」
スラリアを両手で掲げて、顔の前まで持ち上げた。
スラリアには目が――それどころか顔も――無いけれど、視線を合わせる。
「私は、あなたをパートナーに選んだの。ガチャガチャで引いた偶然ではなく、私が、自分の意志で、選んだ」
「ぷにゅ……」
「他の人からすると、あなたは弱いのかもしれない。でも、私は強くなければいけないと思っていない」
ゲームが得意な人たちは、どんどんとレベルを上げてどんどんと強くなることを目的にしているかもしれない。
いや、レベルが上がるのは私も嬉しいけどね。
「わくわくする冒険は、ぷにぷにしているあなたと乗り越えていった方が、きっと楽しい」
「……ぷにぷにゅ?」
「ふふっ……うん、これからもよろしくね、スラリアっ」
「ぷにゅぷにっ!」
草原の遠くから、家畜さんたちの鳴き声が微かに聞こえてくる中で。
嬉しそうに揺れるスラリアをぎゅっと抱きしめながら、私たちはくるくると踊るように回るのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「でも、もふもふ……くぅ、もっふもふ……」
街への帰り道、小狼の銀色なもふもふを思い出して、私は悔やみのつぶやきを漏らす。
スラリアを目の前にしていながら、罪な女であった。
「ぷにゅっぷに!」
「お母さんがアレルギーでね。現実では、もふもふを飼えないの……」
「ぷにゅう……」
ゲームの世界が現実の世界に近すぎるのも、考え物だな。
仮想空間でなんでもできる、なんていうことになったら欲望に際限がなくなってしまうかもしれない。
「ぷにっ!」
人間の醜さについて考えていると、スラリアがぽよんと私の腕から離れて地面に降りた。
「どうしたの?」
私のもふもふへの未練がましい言葉に、怒ったのだろうか。
スラリアはぷよぷよと、少しだけ私から距離を取って動きを止める。
「スラリア?」
「ぷにゅぷにゅぷにゅぷにゅ――」
私が声をかけた瞬間、スラリアが小刻みに振動しはじめた。
そして、うにょうにょと形を変えて。
丸かったフォルムから、徐々に凹凸がわかるようになっていく。
「まさか!? 小狼の姿を再現できるの?」
すごいっ、スラリア!
そんな特殊技能を持っているなんて、私は嬉しいよ!
「――ぷにゅぷにゅ……ぷにょんっ」
ついに小狼の姿を模したスラリアが、私に向かって吠える。
その姿は、まさに小狼……ということには、ならなかった。
毛並みまでは表現できなかったのだろう、その身体はぷよんとなめらかで。
足先とか尻尾とか顔などのディテールは、ぽよんと曖昧だ。
形は小狼だけど、まあ、なんだろう……再現度は20%ぐらいかな。
でも、なんか間抜けで、ひじょうにかわいい。
「ぷにょっ、ぷにょんっ」
必死に吠えようとするけど、上顎と下顎らしい箇所がぷにゅっとくっつくところも愛らしい。
「スラリアっ! すごいね! ワンちゃんだね!」
「ぷにゅにゅにゅっ」
私が駆け寄って頭をわしわしすると、スラリアは、違うよ犬じゃなくて狼だよ、とでも言いたげに唸るのだった。
いや、唸ることもできていなかったけどね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【名前】リリア
【レベル】4
【ジョブ】テイマー
【使用武器】スライム:習熟度3
【ステータス】
物理攻撃:10 物理防御:25
魔力:25 敏捷:5 幸運:15
【スキル】スライム強化、なつき度強化、勇敢
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【使用武器】の交換を行いますか?
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目の前に出てきた、黒い画面の意味を考える。
使用武器の交換……?
テイマーの使用武器は、魔物だ。
よって、スラリアと小狼を交換するか、ということだろう。
「くぅん……?」
伏せの姿勢のまま、小狼は少し潤んだ瞳で私を見上げてくる。
銀色の毛並みは柔らかそうで、きっと触ったらもっふもふなのだろう。
「……でも、ごめんね」
“いいえ”を選択して、私は黒い画面の右上を触って消した。
すると、小狼は起き上がり、こちらにタタタッと向かってくる。
「わぉ、わぉん」
「わっ、なに? ふふっ、くすぐったい」
私の周りをくるくると回りながら、小狼は脚にすり寄ってきた。
もふもふの銀毛が、ショートパンツとブーツの間、特に膝裏をこしょばしく撫でる。
しばらくそうしているうちに、小狼は淡い光になって消えていった。
別れのあいさつ、のようなものだったのかな。
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【レベル】が、4になりました!
【ステータス】を10ポイント付与します!
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「おー、やったね」
もらったポイントは、魔力と物理攻撃に振ることにしよう。
スライム強化のスキルはたくさん使用できた方が良さそうだし、スラリアの攻撃力不足を私が補うために物理攻撃も必要だし。
「これで依頼達成かな? スラリア、冒険者ギルドに戻ろうか」
「ぷにゅ……」
あれ? なんとなくだけど、スラリアの元気がない。
私の腕の中のスラリアはいつもの張りがなく、でろんとしているような気もする。
もしかして、そう思って話しかける。
「……ねえ、スラリア?」
「ぷぷにゅ……?」
スラリアを両手で掲げて、顔の前まで持ち上げた。
スラリアには目が――それどころか顔も――無いけれど、視線を合わせる。
「私は、あなたをパートナーに選んだの。ガチャガチャで引いた偶然ではなく、私が、自分の意志で、選んだ」
「ぷにゅ……」
「他の人からすると、あなたは弱いのかもしれない。でも、私は強くなければいけないと思っていない」
ゲームが得意な人たちは、どんどんとレベルを上げてどんどんと強くなることを目的にしているかもしれない。
いや、レベルが上がるのは私も嬉しいけどね。
「わくわくする冒険は、ぷにぷにしているあなたと乗り越えていった方が、きっと楽しい」
「……ぷにぷにゅ?」
「ふふっ……うん、これからもよろしくね、スラリアっ」
「ぷにゅぷにっ!」
草原の遠くから、家畜さんたちの鳴き声が微かに聞こえてくる中で。
嬉しそうに揺れるスラリアをぎゅっと抱きしめながら、私たちはくるくると踊るように回るのだった。
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「でも、もふもふ……くぅ、もっふもふ……」
街への帰り道、小狼の銀色なもふもふを思い出して、私は悔やみのつぶやきを漏らす。
スラリアを目の前にしていながら、罪な女であった。
「ぷにゅっぷに!」
「お母さんがアレルギーでね。現実では、もふもふを飼えないの……」
「ぷにゅう……」
ゲームの世界が現実の世界に近すぎるのも、考え物だな。
仮想空間でなんでもできる、なんていうことになったら欲望に際限がなくなってしまうかもしれない。
「ぷにっ!」
人間の醜さについて考えていると、スラリアがぽよんと私の腕から離れて地面に降りた。
「どうしたの?」
私のもふもふへの未練がましい言葉に、怒ったのだろうか。
スラリアはぷよぷよと、少しだけ私から距離を取って動きを止める。
「スラリア?」
「ぷにゅぷにゅぷにゅぷにゅ――」
私が声をかけた瞬間、スラリアが小刻みに振動しはじめた。
そして、うにょうにょと形を変えて。
丸かったフォルムから、徐々に凹凸がわかるようになっていく。
「まさか!? 小狼の姿を再現できるの?」
すごいっ、スラリア!
そんな特殊技能を持っているなんて、私は嬉しいよ!
「――ぷにゅぷにゅ……ぷにょんっ」
ついに小狼の姿を模したスラリアが、私に向かって吠える。
その姿は、まさに小狼……ということには、ならなかった。
毛並みまでは表現できなかったのだろう、その身体はぷよんとなめらかで。
足先とか尻尾とか顔などのディテールは、ぽよんと曖昧だ。
形は小狼だけど、まあ、なんだろう……再現度は20%ぐらいかな。
でも、なんか間抜けで、ひじょうにかわいい。
「ぷにょっ、ぷにょんっ」
必死に吠えようとするけど、上顎と下顎らしい箇所がぷにゅっとくっつくところも愛らしい。
「スラリアっ! すごいね! ワンちゃんだね!」
「ぷにゅにゅにゅっ」
私が駆け寄って頭をわしわしすると、スラリアは、違うよ犬じゃなくて狼だよ、とでも言いたげに唸るのだった。
いや、唸ることもできていなかったけどね。
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【名前】リリア
【レベル】4
【ジョブ】テイマー
【使用武器】スライム:習熟度3
【ステータス】
物理攻撃:10 物理防御:25
魔力:25 敏捷:5 幸運:15
【スキル】スライム強化、なつき度強化、勇敢
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