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23 灰色の世界〜リュカ2
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「……殿下? リュカ殿下?」
楽しい夢想にふけっていたのに、ギルベルトが現実に戻した。
ああ、ほんと、邪魔だなぁ。
「このまま一緒に生徒会室に行きましょう。皆で手分けすれば、すぐに終わります。僕も、今日こそはアリアに会いに行きたいので」
そうはさせない。
二人を引き離さないと。
俺は、廊下の向こうから、こっちをじっとりと見つめる緑の女を指さした。
「たまには婚約者の相手をしてあげないと、彼女は嫉妬で誰かを殺しそうだよ」
「まさか? 彼女は、ただの契約相手で」
「彼女はそう思ってないだろうね。君の隣の席の令嬢は、学園を休んでいるだろう。彼女の嫌がらせが原因だそうだよ」
「そんなことが? ブリーゼ嬢は少し変わっているけれど、アリアを心配して、僕の代わりに届けものをしたいと言ってくれた優しい人のはずなのに」
「は? なにそれ? 君の従妹に会わせたの? バカじゃない?」
頭が痛くなってきた。こいつは自分の感情を持たないだけでなく、他人の感情も分からない愚か者か? まさか、アリアちゃんの家にあいつを行かせたんじゃないよな?
「いや、ブリーゼ嬢は僕がアリアを守りたいと思う気持ちを分かってくれて、自分も一緒に守りたいと言って……」
「今すぐやめろ! 従妹を守りたいんだったら、自分の婚約者を遠ざけろ! ちゃんと見張っておけ! 危害を加えられてからじゃ遅いんだぞ!」
大声を出すと、ギルベルトはびくりと固まった。
「自分の婚約者をよく見ておけ! いいか、これは生徒会長としての命令だ。彼女が行ったいじめについて、苦情が出ている。早急に解決しろ」
「! 了解しました」
金色の魔力をまとわせて命令を下すと、ギルベルトは直立不動の姿勢で礼をとった。公爵の跡継ぎとしての教育のたまものだ。王族の言葉には逆らえない。
「じゃあ、俺は行くところがあるから、後はギルに全部任せるよ。生徒会の仕事もちゃんと終わらせておいてね」
「殿下! どちらへ?」
非難するような視線を後に、俺は手を振って廊下を駆ける。
アリアに会いに行くのは俺だよ。
鈍いギルベルトは婚約者の相手でもしてろよ。
アリアにはもう兄は必要ない。
これからは俺がいるからね。
でも、俺は兄なんて存在で終わるつもりはない。警戒させないようにゆっくり進めて行こう。
楽しい夢想にふけっていたのに、ギルベルトが現実に戻した。
ああ、ほんと、邪魔だなぁ。
「このまま一緒に生徒会室に行きましょう。皆で手分けすれば、すぐに終わります。僕も、今日こそはアリアに会いに行きたいので」
そうはさせない。
二人を引き離さないと。
俺は、廊下の向こうから、こっちをじっとりと見つめる緑の女を指さした。
「たまには婚約者の相手をしてあげないと、彼女は嫉妬で誰かを殺しそうだよ」
「まさか? 彼女は、ただの契約相手で」
「彼女はそう思ってないだろうね。君の隣の席の令嬢は、学園を休んでいるだろう。彼女の嫌がらせが原因だそうだよ」
「そんなことが? ブリーゼ嬢は少し変わっているけれど、アリアを心配して、僕の代わりに届けものをしたいと言ってくれた優しい人のはずなのに」
「は? なにそれ? 君の従妹に会わせたの? バカじゃない?」
頭が痛くなってきた。こいつは自分の感情を持たないだけでなく、他人の感情も分からない愚か者か? まさか、アリアちゃんの家にあいつを行かせたんじゃないよな?
「いや、ブリーゼ嬢は僕がアリアを守りたいと思う気持ちを分かってくれて、自分も一緒に守りたいと言って……」
「今すぐやめろ! 従妹を守りたいんだったら、自分の婚約者を遠ざけろ! ちゃんと見張っておけ! 危害を加えられてからじゃ遅いんだぞ!」
大声を出すと、ギルベルトはびくりと固まった。
「自分の婚約者をよく見ておけ! いいか、これは生徒会長としての命令だ。彼女が行ったいじめについて、苦情が出ている。早急に解決しろ」
「! 了解しました」
金色の魔力をまとわせて命令を下すと、ギルベルトは直立不動の姿勢で礼をとった。公爵の跡継ぎとしての教育のたまものだ。王族の言葉には逆らえない。
「じゃあ、俺は行くところがあるから、後はギルに全部任せるよ。生徒会の仕事もちゃんと終わらせておいてね」
「殿下! どちらへ?」
非難するような視線を後に、俺は手を振って廊下を駆ける。
アリアに会いに行くのは俺だよ。
鈍いギルベルトは婚約者の相手でもしてろよ。
アリアにはもう兄は必要ない。
これからは俺がいるからね。
でも、俺は兄なんて存在で終わるつもりはない。警戒させないようにゆっくり進めて行こう。
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