3 / 33
3 魔力核
しおりを挟む
かっこいい王子様! 私の作った聖水で命を救われたって! 私の作った聖水を美しいって褒めてくれた。生まれて初めて、私を認めてくれた素敵な王子様。
ああ!
頭の中がキラキラした王子様の笑顔でいっぱいになった。
あの笑顔が私に向けられたものだったらいいのに。
お姉様だけ、ずるい。
お姉様だけが、あんな素敵な王子様とお話できて、そんなの、ずるいよ……。
だって、おかしいよね? 聖水を作ってるのは私だよ。どうしてお姉様の手柄になってるの? 聖水を作るのが聖女の仕事なら、私が聖女ってことなんじゃないの?
そうだよ、お姉様は聖女なんかじゃない。
お姉さまには聖水は作れないもの。
ひどいよ、お姉様。
王子様に嘘をつかないで!
私の作った聖水を取らないで!
ちゃんと、王子様に言ってよ。お姉様じゃなくて、私が聖水を作ってるって。
お姉様が言ってくれないんなら、私が言わなきゃ。
綺麗な王子様が帰ってしまう前に、はやく言わなきゃ!
急いで走って、迷路の曲がり角で誰かにぶつかった。
「きゃあ!」
すぐに立ち上がって相手を見たら、うちの使用人じゃなかった。見たことのない女の子だ。ピンク色の変わった髪の色をしてる。
「もうっ、走ったらあぶないでしょ。あなた、ここの使用人なの?」
ピンクの髪の女の子は、キイキイした声で私を詰った。
知らない人とは喋っちゃいけない。いつも言い聞かされている言葉を守って、私はただ、うつむいて首をふった。
「ねえ、この迷路から出たいんだけど。王子様と神殿長様とはぐれてしまったの。早く行かないと叱られるわ」
王子様? もしかして、あの素敵な王子様と一緒に来たお客様なの?
お客様に見られたことがバレたらまた叱られる。逃げなきゃ。
「ちょっと、どこに行くのよ! 私、さっきからずっとここから出られないのよ。出口に連れていきなさいよ。あなた使用人でしょ。私は聖女になるんだから」
聖女? それなら。
「私は、使用人じゃない。私も聖女」
「はぁ? 何言ってんのよ。いいから早く、案内しなさいよ。人のこと平民だと思ってバカにしてるの? 私はここの家の後見をもらって聖女になって、神殿に行くんだから」
「私は、ここの娘。聖水を作ってる」
一生懸命説明したのに、女の子はバカにするように鼻を鳴らした。
「ああ、はいはい。もう作り話はいいから、さっさと案内してよ。そんなくだらないこと言ってると、本物のお嬢様のリリアーヌ様に叱られるわよ」
「私はリリアーヌの妹。お姉様に魔力をあげたり、聖水を作ってる」
「もう、いい加減にしてよね。……あら、あなた、その顔はどうしたの?」
「!」
女の子は私の前髪で隠した顔をのぞきこんだ。
「いや! 気持ち悪い!」
私の顔を見た瞬間に、女の子は叫び声をあげた。
「なによ、あんた。うわぁ、気持ち悪い顔! それで聖女になるつもり? 頭おかしいんじゃない」
私の左半分には小さい時に負ったやけどの跡がある。顔から腕、足まで続く焼けただれた跡をみんなが気持ち悪がって、私から目をそらす。だからいつも髪の毛で隠していたのに。
「嘘じゃない! 本当に聖水を作ってるんだから! 私は聖女で、王子様と結婚するの! 王子様が褒めてくれた聖水は、お姉様が作ってるんじゃない! 私が作ってるの!」
絶対に、言わなきゃいけない。だから、力いっぱいそう言ったのに。女の子は汚いものを見たような目をして、私から離れて行った。
「顔だけじゃなくて、頭もおかしいのね。変な言いがかりで、リリアーヌ様を貶めるのはやめてよね。これから私の後見人になってもらうんだから」
「ちがうっ! 嘘じゃない。本当のこと!」
一生懸命に説明したけど、ぜんぜん分かってもらえない。それどころか、執事のセオドアに見つかってしまった。
「オディット様、ここにいたのですか?」
「あっ、すみません。きれいなお庭を見てたら、迷子になってしまったんですぅ」
女の子は執事の方を向いて可愛らしい声を出した。さっきまでとは違って、かわい子ぶって謝っている。執事は女の子の後ろに隠れていた私に気が付き、眉をしかめた。
「おまえはここで何をしている」
「ああ、この使用人が仕事をサボって嘘ばっかりついてますよ。ちゃんと躾けたほうがいいですよ」
あれだけ訴えたのに、女の子は私のことを信じてくれずに、執事に告げ口した。
「失礼しました。この子は醜い火傷の跡があるために孤児院に捨てられていたところ、お優しいリリアーヌ様が使用人として雇ってあげたのです。とんだお目汚しを」
「ふーん、そうなんだ。あ、殿下のところに早く行かなきゃ。案内してくださーい」
「こちらです。皆様、応接室でお待ちです」
女の子はこっちを振り返りもせずに、ピンク色の髪を揺らしながら去っていった。残った私には、信じてもらえなかった悔しさと、両親のお仕置きがあるだけだった。
それからの私は、用心深くなった。もう、誰も信じられない。地下室でひたすら本を読み、使用人の言動に気を配るようになった。なぜ、自分がこんな目に合うのか。これからどうなるのか知りたかった。私が閉じ込められてる地下室は元々は書庫だったため、本だけはたくさんあったから、運動の時間以外はずっと本を読んでいた。そして、毎晩、あの太陽のような王子様のことを想いながら眠りについた。ここから逃げ出して、王子様にもう一度会いたい。あの方と話がしてみたい。あの方の聖女になりたい。
そんな日々が続いた後、いつもと違う日が来た。
その日の昼食は、調味料を使わない健康的な料理ではなく、味の濃い肉やスープ、柔らかいパンに甘いデザートまであった。
今日は何かのお祝いなの? 今まで誕生日さえ祝ってもらえてなかったのに……。味のある食べ物は、いい魔力が育たないからと禁止されてたのに……。訝しく思いながらも、初めての味を楽しんだ。
食事は美味しかったけれど、残念なことにあまり食べられなかった。
食べている途中で、頭がくらくらして、眠くて眠くて仕方なくなったから。
そして、目が覚めたら、硬い板の上に乗っていた。目は開くけれど、他はどこも、指先さえも動かせない。口も開けないし、声も出せない。目玉だけを動かして、まわりの様子をうかがった。まぶしいライトの先には、台の上に横たわるお姉様がいた。それから、お姉様の横に立つお父様とお母様。
初めて見る若い黒髪の男の人もいる。手にはピカピカのナイフを持っていた。
「では、始めるとしましょう。魔力核を抜き取ると、妹様の方は確実に死にますが、それで本当に良いのですか」
「むしろさっさと片付けたくてね。でも、本当にリリアーヌは大丈夫だろうか。これで、魔力が増えるとは言っても、命に危険があるのでは?」
「そうよ、リリアーヌ、今からでもやめたほうがいいわ。聖女にならなくても、あなたは私たちの大切な娘なのよ」
お父様とお母様が、一生懸命にお姉様に話しかけている。
何をするの? 私はこれからどうなるの?
「お母様、私は殿下のために聖女になりたいの。今の魔力核では聖水が作れないでしょう? それではダメなの。殿下の側にいたいの」
「でも、リリアーヌ」
「ああ、そんな危険なことをしなくても」
心配そうな両親の声に、若い男性の声が続いた。
「どうしますか、やめてもかまいませんよ。ご両親の同意がなくては、違法な手術などやりたくはないですから」
これから、何が始まるの? いやだ。こわい。お父様、お母様。私のことも見て。私もあなた達の子供でしょ!
「ゼオン様、お願いします。私にそれの魔力核を移植してください」
お姉様の静かで冷たい声が響いた。
魔力核の移植? なんの話? そのナイフで私に何をするの? やめて! そんなことしないで!
お姉様が薬で眠り、両親が心配そうに部屋から出ていくまで、私は心の中でずっと泣き叫んでいた。
いやだ! 私を、殺さないで! こっちを見て、お父様!
お母様! 助けて!
黒髪の死神は動けない私に近づいてきて、赤い瞳でじっと私の目を見つめた。
私は、願いを込めて見つめ返した。
助けて! いやだ! 死にたくない!
死神のきれいな顔が、少し笑ったように見えた。
私の願いは叶えられず、死神は私の腕に針を突き刺した。薬がゆっくりと体をめぐり、私は目を閉じ、意識を手放した。
そして、私、ジュエと呼ばれた魔力人形は死んだ。
姉に魔力を与えるためだけに生み出され、最後は魔力核を奪われる人生の幕がおりた。
ああ!
頭の中がキラキラした王子様の笑顔でいっぱいになった。
あの笑顔が私に向けられたものだったらいいのに。
お姉様だけ、ずるい。
お姉様だけが、あんな素敵な王子様とお話できて、そんなの、ずるいよ……。
だって、おかしいよね? 聖水を作ってるのは私だよ。どうしてお姉様の手柄になってるの? 聖水を作るのが聖女の仕事なら、私が聖女ってことなんじゃないの?
そうだよ、お姉様は聖女なんかじゃない。
お姉さまには聖水は作れないもの。
ひどいよ、お姉様。
王子様に嘘をつかないで!
私の作った聖水を取らないで!
ちゃんと、王子様に言ってよ。お姉様じゃなくて、私が聖水を作ってるって。
お姉様が言ってくれないんなら、私が言わなきゃ。
綺麗な王子様が帰ってしまう前に、はやく言わなきゃ!
急いで走って、迷路の曲がり角で誰かにぶつかった。
「きゃあ!」
すぐに立ち上がって相手を見たら、うちの使用人じゃなかった。見たことのない女の子だ。ピンク色の変わった髪の色をしてる。
「もうっ、走ったらあぶないでしょ。あなた、ここの使用人なの?」
ピンクの髪の女の子は、キイキイした声で私を詰った。
知らない人とは喋っちゃいけない。いつも言い聞かされている言葉を守って、私はただ、うつむいて首をふった。
「ねえ、この迷路から出たいんだけど。王子様と神殿長様とはぐれてしまったの。早く行かないと叱られるわ」
王子様? もしかして、あの素敵な王子様と一緒に来たお客様なの?
お客様に見られたことがバレたらまた叱られる。逃げなきゃ。
「ちょっと、どこに行くのよ! 私、さっきからずっとここから出られないのよ。出口に連れていきなさいよ。あなた使用人でしょ。私は聖女になるんだから」
聖女? それなら。
「私は、使用人じゃない。私も聖女」
「はぁ? 何言ってんのよ。いいから早く、案内しなさいよ。人のこと平民だと思ってバカにしてるの? 私はここの家の後見をもらって聖女になって、神殿に行くんだから」
「私は、ここの娘。聖水を作ってる」
一生懸命説明したのに、女の子はバカにするように鼻を鳴らした。
「ああ、はいはい。もう作り話はいいから、さっさと案内してよ。そんなくだらないこと言ってると、本物のお嬢様のリリアーヌ様に叱られるわよ」
「私はリリアーヌの妹。お姉様に魔力をあげたり、聖水を作ってる」
「もう、いい加減にしてよね。……あら、あなた、その顔はどうしたの?」
「!」
女の子は私の前髪で隠した顔をのぞきこんだ。
「いや! 気持ち悪い!」
私の顔を見た瞬間に、女の子は叫び声をあげた。
「なによ、あんた。うわぁ、気持ち悪い顔! それで聖女になるつもり? 頭おかしいんじゃない」
私の左半分には小さい時に負ったやけどの跡がある。顔から腕、足まで続く焼けただれた跡をみんなが気持ち悪がって、私から目をそらす。だからいつも髪の毛で隠していたのに。
「嘘じゃない! 本当に聖水を作ってるんだから! 私は聖女で、王子様と結婚するの! 王子様が褒めてくれた聖水は、お姉様が作ってるんじゃない! 私が作ってるの!」
絶対に、言わなきゃいけない。だから、力いっぱいそう言ったのに。女の子は汚いものを見たような目をして、私から離れて行った。
「顔だけじゃなくて、頭もおかしいのね。変な言いがかりで、リリアーヌ様を貶めるのはやめてよね。これから私の後見人になってもらうんだから」
「ちがうっ! 嘘じゃない。本当のこと!」
一生懸命に説明したけど、ぜんぜん分かってもらえない。それどころか、執事のセオドアに見つかってしまった。
「オディット様、ここにいたのですか?」
「あっ、すみません。きれいなお庭を見てたら、迷子になってしまったんですぅ」
女の子は執事の方を向いて可愛らしい声を出した。さっきまでとは違って、かわい子ぶって謝っている。執事は女の子の後ろに隠れていた私に気が付き、眉をしかめた。
「おまえはここで何をしている」
「ああ、この使用人が仕事をサボって嘘ばっかりついてますよ。ちゃんと躾けたほうがいいですよ」
あれだけ訴えたのに、女の子は私のことを信じてくれずに、執事に告げ口した。
「失礼しました。この子は醜い火傷の跡があるために孤児院に捨てられていたところ、お優しいリリアーヌ様が使用人として雇ってあげたのです。とんだお目汚しを」
「ふーん、そうなんだ。あ、殿下のところに早く行かなきゃ。案内してくださーい」
「こちらです。皆様、応接室でお待ちです」
女の子はこっちを振り返りもせずに、ピンク色の髪を揺らしながら去っていった。残った私には、信じてもらえなかった悔しさと、両親のお仕置きがあるだけだった。
それからの私は、用心深くなった。もう、誰も信じられない。地下室でひたすら本を読み、使用人の言動に気を配るようになった。なぜ、自分がこんな目に合うのか。これからどうなるのか知りたかった。私が閉じ込められてる地下室は元々は書庫だったため、本だけはたくさんあったから、運動の時間以外はずっと本を読んでいた。そして、毎晩、あの太陽のような王子様のことを想いながら眠りについた。ここから逃げ出して、王子様にもう一度会いたい。あの方と話がしてみたい。あの方の聖女になりたい。
そんな日々が続いた後、いつもと違う日が来た。
その日の昼食は、調味料を使わない健康的な料理ではなく、味の濃い肉やスープ、柔らかいパンに甘いデザートまであった。
今日は何かのお祝いなの? 今まで誕生日さえ祝ってもらえてなかったのに……。味のある食べ物は、いい魔力が育たないからと禁止されてたのに……。訝しく思いながらも、初めての味を楽しんだ。
食事は美味しかったけれど、残念なことにあまり食べられなかった。
食べている途中で、頭がくらくらして、眠くて眠くて仕方なくなったから。
そして、目が覚めたら、硬い板の上に乗っていた。目は開くけれど、他はどこも、指先さえも動かせない。口も開けないし、声も出せない。目玉だけを動かして、まわりの様子をうかがった。まぶしいライトの先には、台の上に横たわるお姉様がいた。それから、お姉様の横に立つお父様とお母様。
初めて見る若い黒髪の男の人もいる。手にはピカピカのナイフを持っていた。
「では、始めるとしましょう。魔力核を抜き取ると、妹様の方は確実に死にますが、それで本当に良いのですか」
「むしろさっさと片付けたくてね。でも、本当にリリアーヌは大丈夫だろうか。これで、魔力が増えるとは言っても、命に危険があるのでは?」
「そうよ、リリアーヌ、今からでもやめたほうがいいわ。聖女にならなくても、あなたは私たちの大切な娘なのよ」
お父様とお母様が、一生懸命にお姉様に話しかけている。
何をするの? 私はこれからどうなるの?
「お母様、私は殿下のために聖女になりたいの。今の魔力核では聖水が作れないでしょう? それではダメなの。殿下の側にいたいの」
「でも、リリアーヌ」
「ああ、そんな危険なことをしなくても」
心配そうな両親の声に、若い男性の声が続いた。
「どうしますか、やめてもかまいませんよ。ご両親の同意がなくては、違法な手術などやりたくはないですから」
これから、何が始まるの? いやだ。こわい。お父様、お母様。私のことも見て。私もあなた達の子供でしょ!
「ゼオン様、お願いします。私にそれの魔力核を移植してください」
お姉様の静かで冷たい声が響いた。
魔力核の移植? なんの話? そのナイフで私に何をするの? やめて! そんなことしないで!
お姉様が薬で眠り、両親が心配そうに部屋から出ていくまで、私は心の中でずっと泣き叫んでいた。
いやだ! 私を、殺さないで! こっちを見て、お父様!
お母様! 助けて!
黒髪の死神は動けない私に近づいてきて、赤い瞳でじっと私の目を見つめた。
私は、願いを込めて見つめ返した。
助けて! いやだ! 死にたくない!
死神のきれいな顔が、少し笑ったように見えた。
私の願いは叶えられず、死神は私の腕に針を突き刺した。薬がゆっくりと体をめぐり、私は目を閉じ、意識を手放した。
そして、私、ジュエと呼ばれた魔力人形は死んだ。
姉に魔力を与えるためだけに生み出され、最後は魔力核を奪われる人生の幕がおりた。
18
お気に入りに追加
1,092
あなたにおすすめの小説
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
婚約破棄されたから、執事と家出いたします
編端みどり
恋愛
拝啓 お父様
王子との婚約が破棄されました。わたくしは執事と共に家出いたします。
悪女と呼ばれた令嬢は、親、婚約者、友人に捨てられた。
彼女の危機を察した執事は、令嬢に気持ちを伝え、2人は幸せになる為に家を出る決意をする。
準備万端で家出した2人はどこへ行くのか?!
残された身勝手な者達はどうなるのか!
※時間軸が過去に戻ったり現在に飛んだりします。
※☆の付いた話は、残酷な描写あり
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる