【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか

文字の大きさ
上 下
9 / 11
番外編

乙女ゲームじゃない?

しおりを挟む
私は、茅野日菜子。16才。朝、バスに乗って高校に行ってたはずが、馬車に乗って魔法学校に行くことになった。

 異世界に転移してしまったみたい。

 はじめは、何が何だか分からず、途方に暮れていたところ、密入国管理所みたいなところで、薄汚れた人達と一緒に、寒い部屋に入れられた。でも、私に強い魔力があると分かった途端、職員が手のひら返し。王立魔法学園に途中入学することになってしまった。

「すごい。テーマパークのお城みたい。」

 日本の高校の10倍ぐらいはある広い魔法学校。
 知らない人ばかりの中で、不安しかないけど、ここを卒業したら、いい仕事に就けるみたい。
 幸いなことに、言語チートがあるみたいで、異世界人との会話には全く困らなかったし、編入試験の数学は余裕だった。歴史と地理は0点だったけど。でも、魔力量が高いから、それだけで入学できたみたい。

 編入したクラスは最下層のEクラス。まあ、仕方ないよね。寮は二人部屋を1人で使ってる。
 クラスメイトは話かけても、遠巻きにして、私のこと無視してるみたい。傷つくなぁ。異世界人いじめ?
 なんか黒髪と黒目は地獄の象徴なんだって。酷くない? この世界。

 でも、そんな私にも友達ができた。なんとなんと、金髪キラキラの本物の王子様! そして、その友達の3人の男子!
 体育会系のデリック君に知的眼鏡のサティアス君、魔術マニアのアンジー君。全員イケメン。
 うわ、これ、もしかして、乙女ゲームの世界に来ちゃった?

 嫌がられる黒髪、黒目をなんとかしようと、魔法訓練ボックスで、毎日、研究していたヘアカラー魔法。残念ながら大失敗。髪がめちゃくちゃ増えて、ぐんぐん伸びて、個室がホラー映画みたいに、みっしりと髪だらけになってしまった。
 それを、通りかかったマキシム王子が助けてくれて、友達になった。
 マキシム王子は、この増毛魔法が気になるみたいで、何度も練習に付き合ってくれたんだけど、まだ1回しか成功してない。
 王子、髪の毛フサフサだけど、将来が心配なのかな?

 でも、王子のおかげで、学校でボッチ脱出。
 増毛魔法の開発を期待した学園長や理事長のおかげで、一気にAクラスに下剋上したし。イケメンたちと毎日ランチ。充実してる。なんか最近、王子のマキシム君との距離感がいい感じになってきたかも。

「え、婚約者?!」

 うわ~。マキシムくんに婚約者がいるの~。なにそれ、私は遊びの相手だったってこと?

「ち、違うんだ。幼い頃に無理やり婚約をさせられて。何度も解消したいと父上に言ってるんだ」

 子供の時から婚約させられるなんて、王族は大変だ。
 なんでも、王家秘蔵の魔導具の維持には、大量の魔力が必要で、魔力の強さだけで婚約者が決まったそうだ。

「殿下がお気の毒です。令嬢は知識を鼻にかける高慢な人物です」

「そうだ、剣術の試合で卑怯な手段を取るようなやつだ。筋肉は、毎日の苦しい修練でこそ鍛えられるんだ。あんなやつは、王子にふさわしくない」

「それに、魔法だって自分のためにしか使わない。魔法は人々の役にたってこそ。自分本意な魔法など僕は認めない」

 婚約者は相当ひどい悪女みたい。ここまで嫌な女だなんて、マキシム王子、かわいそう。

「とにかく、彼女は王太子妃にはふさわしくない。ふさわしいのはあなたのような人だ」

 え。
 なにそれ。もしかしてプロポーズ。
 初めての告白に、ドキドキしてきた。顔が熱い。

「毎日、ヒナコのことを考えている。どうか、私とともに王国を支えてもらえないだろうか」

 ひざまずいて手を取り、上目遣いに見つめてくる王子の青い目に、きゅんっとして、「よろこんで」と、王子の手を握りかえした。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

彼女がいなくなった6年後の話

こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。 彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。 彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。 「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」 何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。 「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」 突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。 ※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です! ※なろう様にも掲載

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

【完結】婚約破棄され毒杯処分された悪役令嬢は影から王子の愛と後悔を見届ける

堀 和三盆
恋愛
「クアリフィカ・アートルム公爵令嬢! 貴様との婚約は破棄する」  王太子との結婚を半年後に控え、卒業パーティーで婚約を破棄されてしまったクアリフィカ。目の前でクアリフィカの婚約者に寄り添い、歪んだ嗤いを浮かべているのは異母妹のルシクラージュだ。  クアリフィカは既に王妃教育を終えているため、このタイミングでの婚約破棄は未来を奪われるも同然。こうなるとクアリフィカにとれる選択肢は多くない。  せめてこれまで努力してきた王妃教育の成果を見てもらいたくて。  キレイな姿を婚約者の記憶にとどめてほしくて。  クアリフィカは荒れ狂う感情をしっかりと覆い隠し、この場で最後の公務に臨む。  卒業パーティー会場に響き渡る悲鳴。  目にした惨状にバタバタと倒れるパーティー参加者達。  淑女の鑑とまで言われたクアリフィカの最期の姿は、良くも悪くも多くの者の記憶に刻まれることになる。  そうして――王太子とルシクラージュの、後悔と懺悔の日々が始まった。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

幼なじみのとばっちりに巻き込まれ、そんな彼女に婚約者を奪われるまでしつこくされ、家族にも見捨てられた私に何を求めているのでしょう?

珠宮さくら
恋愛
カミーユ・サヴィニーは、幼なじみに婚約者を奪われることになった。 実母はそんなことになった結果だけを見て物凄く怒っていた。そして、勘当でも、修道院にでも行かせようとして、恥を晒した娘なんて、家に置いておけないとばかりに彼女の両親はした。実の兄は我関せずのままだった。 そんなカミーユのことを遠縁が養子にしたいと言い出してくれたことで、実家との縁を切って隣国へと行くことになったのだが、色んなことがありすぎたカミーユは気持ちに疎くなりすぎていたからこそ、幸せを掴むことになるとは思いもしなかった。

処理中です...