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ペルシャの前夜(1)
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11月になった
「タキさん」
外苑東通り、乃木坂駅交差点の少し手前に、愛車のボルボXC40を止めて、緑人は運転席の窓から歩道のタキに声をかけた
歩道から駆け寄ってくるタキの頬が心なしか紅潮して見えて、緑人のテンションも上がった
タキと会えるのは月に1、2回、夜から朝にかけてが常だった
しかしその日は、仕事の急なキャンセルがあり、翌々日の朝までフリーとなった
急遽、1日で行って帰ってこられそうな温泉地に宿を取り、初めての旅行に行くことになった
「お仕事は大丈夫でしたか?」
「最近は店に出ることはほとんどないから…」
「ゲームも買いましたよ。よくできてます」
「緑人くん、ゲームするの?!」
「しますよ。俳優始めてからは時間ないけど、ゲーム雑誌に寄稿したこともあります」
緑人はタキがシートベルトを締めたのを確認して、右にハンドルを切った
「旅行なんて久しぶり。誘ってくれてありがとう」
タキが前の車のテールランプに目を細めながら言った
東京から温泉地まで、スムーズに行けば2時間強
それでも着くのは夜10時を回ってしまう
最近、タキといると、夜がもっと長ければいいと願ってしまう
「明日の夕方までには送り届けますけど、2泊で取ってあるので、ゆっくりできると思います」
「お気遣いありがとう」
急な誘いだったにも関わらず、タキは電話口で「行きたい!すぐに支度して向かうね」と言った
明日の夜に、大事な予定があるというが、それでも急な誘いに嬉しそうに応じてくれて、緑人は電話を切った後からその高揚が伝染した状態なのだ
首都高に入りそのまま厚木ICまで東名を走る
東名の交通量を見て、これなら軽い渋滞で済みそうだと緑人はハンドルを握りながらホッとした
新幹線で行けばその間も二人でゆっくりできるが、自分が有名人だという自覚はある
タキが例え、今をときめく作家であって、緑人にとってプラスイメージに働くとしても、いまはスキャンダルは避けたい
その時、ふと自分の考えの違和感に気づいた
(【今は】ってなんだよ。タキさんが男って時点で一生アウトじゃん…)
緑人は横目でタキを見た
こんなきれいな人が男だって、誰がわかるというのだろう
「…タキさんって、女性に間違われたりします?」
「え…何?急に」
「いや、女性で押し通せないかな~と思って」
タキは目を丸くして緑人を見た
「何を?」
「こ、交際宣言とか、け、結婚会見とか…」
「はぁ?!」
タキのきれいな顔が一瞬で崩れた
そして、すぐにお腹を抱えて笑った
「君は本当に面白いね」
「年下扱いはやめてください。半年遅いだけじゃん」
緑人は思いきって敬語をやめてみた
「そうだったそうだった。あーごめん。笑いすぎて涙が出る」
タキは目元をハンカチで拭った
「確かに、ちょっと試してみたい気もするよね。別に性別公表して生きてるワケじゃないんだから。黒滝邦だって、みんな男だと思ってるけど、緑人くんと結婚したら『女だったんた』って思うかもしれない」
「だろ?黙ってればわかんないって」
車がひっそりと寝静まった熱海の市街地を通り抜け宿に着いたのは、ぴったり10時だった
当然、旅館が食事の提供をできる時間は過ぎている
緑人はサービスエリアで買ってきた弁当を広縁のテーブルに置いた
だが、椅子に座った緑人の膝にタキが跨がってきて、それどころではなくなった
タキが腰を浮かせてパンツを下ろすと、白い太ももが露になり、緑人は誘われるまま太ももの奥に指を伸ばした
下着の隙間から指を指し入れ、指が穴の入口に触れるか触れないかのところで、タキの身体がビクッと跳ね上がった
タキの女性のような見た目からは不釣り合いに長いモノが立ち上がって、ボクサーパンツの中で苦しそうにもがいていた
「エロ…」
緑人はタキの下着を脱がせると、タキのペニスをしごきながら、もう片方の手でクルクルと穴の入り口を押し広げていった
タキの身体は不思議で、出会った頃より穴の締まりがきつくなって、以前よりほぐすのに時間がかかるようになった
「本当に仕事してないんだ?」
「そう言った。信じてないの?」
「タキの身体エッチなんだもん。普段エッチしてなくてこんな色気出るもん?」
「出るんだな。これが…」
タキが緑人の唇に自分の唇を押し付けた
「緑人くんの前だと、いくらでもエロくなれる気がするよ」
「くっそ…!」
緑人はタキを膝に乗せたまま腰を浮かせてパンツを下ろした
タキが勃起するよりずっと前にとっくに固くなっている
緑人はまだ十分にほぐしていないタキの中にズブズブと入っていった
「んっ…んっ…」
タキは、シャツの裾を咥えて喘ぐのをこらえている
そんな姿も欲情を掻き立てられるだけだ
タキが腰を浮かすと、そこを追い立てるように緑人が突く
「タキ、きもちいい?」
わかっていても聞いてしまう
どうか「うん」と言ってほしいと願って
「んっんっ…ひょうは」
口を開く度に、シャツによだれが染み込んでいった
「何?」
緑人は耳を近づけた
「ひょうほそいひはい…」
「え?」
タキはシャツの裾を離すと、
「今日こそは緑人くんと一緒にイキたい!」
喘ぎ声よりも響く大きな声だった
「タキさん」
外苑東通り、乃木坂駅交差点の少し手前に、愛車のボルボXC40を止めて、緑人は運転席の窓から歩道のタキに声をかけた
歩道から駆け寄ってくるタキの頬が心なしか紅潮して見えて、緑人のテンションも上がった
タキと会えるのは月に1、2回、夜から朝にかけてが常だった
しかしその日は、仕事の急なキャンセルがあり、翌々日の朝までフリーとなった
急遽、1日で行って帰ってこられそうな温泉地に宿を取り、初めての旅行に行くことになった
「お仕事は大丈夫でしたか?」
「最近は店に出ることはほとんどないから…」
「ゲームも買いましたよ。よくできてます」
「緑人くん、ゲームするの?!」
「しますよ。俳優始めてからは時間ないけど、ゲーム雑誌に寄稿したこともあります」
緑人はタキがシートベルトを締めたのを確認して、右にハンドルを切った
「旅行なんて久しぶり。誘ってくれてありがとう」
タキが前の車のテールランプに目を細めながら言った
東京から温泉地まで、スムーズに行けば2時間強
それでも着くのは夜10時を回ってしまう
最近、タキといると、夜がもっと長ければいいと願ってしまう
「明日の夕方までには送り届けますけど、2泊で取ってあるので、ゆっくりできると思います」
「お気遣いありがとう」
急な誘いだったにも関わらず、タキは電話口で「行きたい!すぐに支度して向かうね」と言った
明日の夜に、大事な予定があるというが、それでも急な誘いに嬉しそうに応じてくれて、緑人は電話を切った後からその高揚が伝染した状態なのだ
首都高に入りそのまま厚木ICまで東名を走る
東名の交通量を見て、これなら軽い渋滞で済みそうだと緑人はハンドルを握りながらホッとした
新幹線で行けばその間も二人でゆっくりできるが、自分が有名人だという自覚はある
タキが例え、今をときめく作家であって、緑人にとってプラスイメージに働くとしても、いまはスキャンダルは避けたい
その時、ふと自分の考えの違和感に気づいた
(【今は】ってなんだよ。タキさんが男って時点で一生アウトじゃん…)
緑人は横目でタキを見た
こんなきれいな人が男だって、誰がわかるというのだろう
「…タキさんって、女性に間違われたりします?」
「え…何?急に」
「いや、女性で押し通せないかな~と思って」
タキは目を丸くして緑人を見た
「何を?」
「こ、交際宣言とか、け、結婚会見とか…」
「はぁ?!」
タキのきれいな顔が一瞬で崩れた
そして、すぐにお腹を抱えて笑った
「君は本当に面白いね」
「年下扱いはやめてください。半年遅いだけじゃん」
緑人は思いきって敬語をやめてみた
「そうだったそうだった。あーごめん。笑いすぎて涙が出る」
タキは目元をハンカチで拭った
「確かに、ちょっと試してみたい気もするよね。別に性別公表して生きてるワケじゃないんだから。黒滝邦だって、みんな男だと思ってるけど、緑人くんと結婚したら『女だったんた』って思うかもしれない」
「だろ?黙ってればわかんないって」
車がひっそりと寝静まった熱海の市街地を通り抜け宿に着いたのは、ぴったり10時だった
当然、旅館が食事の提供をできる時間は過ぎている
緑人はサービスエリアで買ってきた弁当を広縁のテーブルに置いた
だが、椅子に座った緑人の膝にタキが跨がってきて、それどころではなくなった
タキが腰を浮かせてパンツを下ろすと、白い太ももが露になり、緑人は誘われるまま太ももの奥に指を伸ばした
下着の隙間から指を指し入れ、指が穴の入口に触れるか触れないかのところで、タキの身体がビクッと跳ね上がった
タキの女性のような見た目からは不釣り合いに長いモノが立ち上がって、ボクサーパンツの中で苦しそうにもがいていた
「エロ…」
緑人はタキの下着を脱がせると、タキのペニスをしごきながら、もう片方の手でクルクルと穴の入り口を押し広げていった
タキの身体は不思議で、出会った頃より穴の締まりがきつくなって、以前よりほぐすのに時間がかかるようになった
「本当に仕事してないんだ?」
「そう言った。信じてないの?」
「タキの身体エッチなんだもん。普段エッチしてなくてこんな色気出るもん?」
「出るんだな。これが…」
タキが緑人の唇に自分の唇を押し付けた
「緑人くんの前だと、いくらでもエロくなれる気がするよ」
「くっそ…!」
緑人はタキを膝に乗せたまま腰を浮かせてパンツを下ろした
タキが勃起するよりずっと前にとっくに固くなっている
緑人はまだ十分にほぐしていないタキの中にズブズブと入っていった
「んっ…んっ…」
タキは、シャツの裾を咥えて喘ぐのをこらえている
そんな姿も欲情を掻き立てられるだけだ
タキが腰を浮かすと、そこを追い立てるように緑人が突く
「タキ、きもちいい?」
わかっていても聞いてしまう
どうか「うん」と言ってほしいと願って
「んっんっ…ひょうは」
口を開く度に、シャツによだれが染み込んでいった
「何?」
緑人は耳を近づけた
「ひょうほそいひはい…」
「え?」
タキはシャツの裾を離すと、
「今日こそは緑人くんと一緒にイキたい!」
喘ぎ声よりも響く大きな声だった
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