3 / 113
ペルシャ(2)
しおりを挟む
タキは自分のペニスは触らないプレイスタイルを貫いている
ローションを口に含み、腰を前屈みに丸めて後ろの穴めがけて垂らした
「今日はどれにします?」
部屋の背後の棚には各種玩具が並んでいて、客はプレイヤーに使ってもらいたいものがあればオプション料金で2つまで指定することができる
「まずは指でお願いします」
タキはうなずいてクロさんの言う通りにした
中指、人差し指、薬指の順にゆっくりと挿入していく
スピードや激しさを求める客もいれば、スローペースを好む客もいて、クロさんは典型的な後者だった
それに、不必要なあえぎ声にも不快感を示すことがあった
タキがオナニーでしか感じないということは、オナニーで必ず感じると言うわけではないが、クロさんの静かでストイックな瞳に射ぬかれると、背中の毛が逆立つような快感に襲われて激しくイキそうになる
そんな状況であえぎ声NGはきつかった
しばらく指で攻め続けると、泡立った汁が臀裂の方に流れ出てきた
スピーカーからクロさんがベルトを外す音が聞こえた
ほとんどの客ならこれから盛り上がるところだが、クロさんの場合は低空飛行でいくのが最適解だ
タキはクロさんによく見えるように、片手を背中の後ろについて膝を立て背中をそらした
※※※※※※※※※※
結局タキは指だけでイキ、クロさんも手でしごいてイッた
このまま続けさせる客もいるが、クロさんは、
「タキさんも休憩して」
と言ってワンドリンクオーダーのオレンジジュースを飲んだ
タキは体を拭いてから、両脚を揃えて座り裾を手繰り寄せた
クロさんがジュースを飲んでいる間、タキはやることがないので、クロさんの動きをじっと見ていた
やがて、オレンジジュースを飲み終えたクロさんが、
「つかぬことをお聞きしてもいいですか?」
と聞いてきた
「はい」
「タキさんは霊感がありますか?」
唐突な質問に、客に対していつも冷静で丁寧なタキも思わず「は?」と返してしまった
「やっぱり、おかしな質問でしたよね。忘れてください」
「いいえ。おかしな質問ってことはないので大丈夫ですよ。でも、霊感はないと思います」
「それじゃあ霊媒体質とか…」
「え…さらにないと思いますけど…」
タキが正直に答えると、クロさんは「そうですか」とつぶやいて心底残念そうにうなだれた
「何かあったんですか?」
「いえ…」
クロさんの視線が気まずそうに泳いだ
「今日は、これで帰ります。お金は1時間分払って帰るので…」
クロさんは急に椅子から立ち上がり、上着をつかむとそそくさと部屋から出ようとした
「ちょっと待って…!」
タキは部屋と部屋を仕切るガラスに詰め寄った
「お時間が大丈夫なようでしたら、少し話していきませんか?ドリンクサービスするんで」
タキの好奇心がうずいた
と、同時にタキは、自分が話を聞いてやらねばと思った
それがどんな荒唐無稽なことだろうと、いま、クロさんを癒せるのは自分しかいない
タキはインターホンでスタッフを呼んで、オーダーを取りに来てもらった
クロさんは恐縮しながらアイスコーヒーを頼んだ
話す意志があるということに、まず安心した
「なんで突然、僕の霊感なんて気になったんですか?」
「突然でもないんですが、タキさんを見てると、そうじゃないかな?と思うことが多々あって」
タキ本人ですらそんな自覚はない
一体、どんなところでそう思ったのか
俄然興味が湧いた
クロさんは膝の上で爪をいじった
「僕は妻を亡くしてるんですが、ふとした瞬間にタキさんが妻に見えて、それで…」
それで足繁く通ってくれていたのか
「でも、似てるからって霊感があるとか憑依体質とかってのは飛躍しすぎじゃないですか?単純に似てるって言う方が僕は運命を感じます」
憑依されているから通ってくれているだとすると、クロさんが会いに来ているのはあくまで奥さんでタキではない
それは面白くなかった
「でも、決して顔や背格好が似てるとかではないんです!本当に妻がタキさんに重なって見えて…毎回じゃないんですけど…」
クロさんは、次第に、自信なげにうつむき出した
「それで、オナニーする日もあれば、しない日もあったんですね」
クロさんが済まなそうにうなずいた
「じゃあ今日は見えたんですね?」
「はい」
「それはよかったです。ちなみに会話とかはできるんですか?」
「会話はできないけど、機嫌とかはわかります」
幽霊に機嫌があるのかどうかも怪しい
それでもタキはクロさんを笑ったりはしない
本当に大切な人なら、幽霊でも幻覚でも、例え頭が狂っているんだとしても会いたいし、そばにいたいと思う
「話したらすっきりしました。タキさんは、俺のこと気味悪がったりしないんですね」
「誰かに話したことがあるんですか?」
「妻の両親に話しました。でもそれから会ってくれなくなって、俺が墓参りに行くだけでも怒るんです」
クロさんは肩を落としてうつむいた
「ご両親も娘さんを亡くされてお辛いのかもしれないですね。時間が経てばきっと」
奥さんがいなくなれば、義実家との縁なんていつかは消えてしまうだろう
タキは、気休めしか言えない自分を情けなく思った
「聞いてくれてありがとうございます。やっぱり今日は帰ります」
アイスコーヒーを飲み終えたクロさんが、また立ち上がった
タキにはまだ聞きたいことがあった
だが、また来てくれる保証はどこにもない
タキは思いきって聞いてみることにした
「やっぱり、奥さんのことと、喪服って関係あるんでしょうか?!」
クロさんは目を見開いてタキを見ると
「それはまた次回にでも」
と言って、部屋から出ていった
ローションを口に含み、腰を前屈みに丸めて後ろの穴めがけて垂らした
「今日はどれにします?」
部屋の背後の棚には各種玩具が並んでいて、客はプレイヤーに使ってもらいたいものがあればオプション料金で2つまで指定することができる
「まずは指でお願いします」
タキはうなずいてクロさんの言う通りにした
中指、人差し指、薬指の順にゆっくりと挿入していく
スピードや激しさを求める客もいれば、スローペースを好む客もいて、クロさんは典型的な後者だった
それに、不必要なあえぎ声にも不快感を示すことがあった
タキがオナニーでしか感じないということは、オナニーで必ず感じると言うわけではないが、クロさんの静かでストイックな瞳に射ぬかれると、背中の毛が逆立つような快感に襲われて激しくイキそうになる
そんな状況であえぎ声NGはきつかった
しばらく指で攻め続けると、泡立った汁が臀裂の方に流れ出てきた
スピーカーからクロさんがベルトを外す音が聞こえた
ほとんどの客ならこれから盛り上がるところだが、クロさんの場合は低空飛行でいくのが最適解だ
タキはクロさんによく見えるように、片手を背中の後ろについて膝を立て背中をそらした
※※※※※※※※※※
結局タキは指だけでイキ、クロさんも手でしごいてイッた
このまま続けさせる客もいるが、クロさんは、
「タキさんも休憩して」
と言ってワンドリンクオーダーのオレンジジュースを飲んだ
タキは体を拭いてから、両脚を揃えて座り裾を手繰り寄せた
クロさんがジュースを飲んでいる間、タキはやることがないので、クロさんの動きをじっと見ていた
やがて、オレンジジュースを飲み終えたクロさんが、
「つかぬことをお聞きしてもいいですか?」
と聞いてきた
「はい」
「タキさんは霊感がありますか?」
唐突な質問に、客に対していつも冷静で丁寧なタキも思わず「は?」と返してしまった
「やっぱり、おかしな質問でしたよね。忘れてください」
「いいえ。おかしな質問ってことはないので大丈夫ですよ。でも、霊感はないと思います」
「それじゃあ霊媒体質とか…」
「え…さらにないと思いますけど…」
タキが正直に答えると、クロさんは「そうですか」とつぶやいて心底残念そうにうなだれた
「何かあったんですか?」
「いえ…」
クロさんの視線が気まずそうに泳いだ
「今日は、これで帰ります。お金は1時間分払って帰るので…」
クロさんは急に椅子から立ち上がり、上着をつかむとそそくさと部屋から出ようとした
「ちょっと待って…!」
タキは部屋と部屋を仕切るガラスに詰め寄った
「お時間が大丈夫なようでしたら、少し話していきませんか?ドリンクサービスするんで」
タキの好奇心がうずいた
と、同時にタキは、自分が話を聞いてやらねばと思った
それがどんな荒唐無稽なことだろうと、いま、クロさんを癒せるのは自分しかいない
タキはインターホンでスタッフを呼んで、オーダーを取りに来てもらった
クロさんは恐縮しながらアイスコーヒーを頼んだ
話す意志があるということに、まず安心した
「なんで突然、僕の霊感なんて気になったんですか?」
「突然でもないんですが、タキさんを見てると、そうじゃないかな?と思うことが多々あって」
タキ本人ですらそんな自覚はない
一体、どんなところでそう思ったのか
俄然興味が湧いた
クロさんは膝の上で爪をいじった
「僕は妻を亡くしてるんですが、ふとした瞬間にタキさんが妻に見えて、それで…」
それで足繁く通ってくれていたのか
「でも、似てるからって霊感があるとか憑依体質とかってのは飛躍しすぎじゃないですか?単純に似てるって言う方が僕は運命を感じます」
憑依されているから通ってくれているだとすると、クロさんが会いに来ているのはあくまで奥さんでタキではない
それは面白くなかった
「でも、決して顔や背格好が似てるとかではないんです!本当に妻がタキさんに重なって見えて…毎回じゃないんですけど…」
クロさんは、次第に、自信なげにうつむき出した
「それで、オナニーする日もあれば、しない日もあったんですね」
クロさんが済まなそうにうなずいた
「じゃあ今日は見えたんですね?」
「はい」
「それはよかったです。ちなみに会話とかはできるんですか?」
「会話はできないけど、機嫌とかはわかります」
幽霊に機嫌があるのかどうかも怪しい
それでもタキはクロさんを笑ったりはしない
本当に大切な人なら、幽霊でも幻覚でも、例え頭が狂っているんだとしても会いたいし、そばにいたいと思う
「話したらすっきりしました。タキさんは、俺のこと気味悪がったりしないんですね」
「誰かに話したことがあるんですか?」
「妻の両親に話しました。でもそれから会ってくれなくなって、俺が墓参りに行くだけでも怒るんです」
クロさんは肩を落としてうつむいた
「ご両親も娘さんを亡くされてお辛いのかもしれないですね。時間が経てばきっと」
奥さんがいなくなれば、義実家との縁なんていつかは消えてしまうだろう
タキは、気休めしか言えない自分を情けなく思った
「聞いてくれてありがとうございます。やっぱり今日は帰ります」
アイスコーヒーを飲み終えたクロさんが、また立ち上がった
タキにはまだ聞きたいことがあった
だが、また来てくれる保証はどこにもない
タキは思いきって聞いてみることにした
「やっぱり、奥さんのことと、喪服って関係あるんでしょうか?!」
クロさんは目を見開いてタキを見ると
「それはまた次回にでも」
と言って、部屋から出ていった
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる