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帰ってきたフフ
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日曜の朝も駿太はご飯を持って祠に行った
だが、またしてもフフはいなかった
それどころか、昨日お供えしたホットケーキも手付かずのままだった
仕方なく蟻がたかったホットケーキを回収して、昨日の夕飯の餃子を山盛りのせた皿を置いた
昨日と同じようにフフが現れるのをしばらく待ったが、雨が降ってきたためあきらめて帰った
雨は夜通し降り続けた
雨音を聞きながら、駿太は図書館で借りてきた本を読んでは気になるところをメモしていった
日本書紀にはヤマトタケルノミコトが白い犬に助けられるという神話があった
その他にもフフを彷彿とさせるような白犬の記述はいくつかあったが、それがフフと同一の犬なのかは不明だった
古事記と日本書紀の現代語訳を読み終え考察本に移ると、中国やキリスト教の天地創造との比較があった
そこにはチルヒメが逃れてきたとされる蛇の記述も多数存在した
アダムとイブを誘惑した生き物として有名な蛇だが、その他にも、中国神話で天地を創造したとされる女媧と伏義の下半身も蛇である
その本には蛇が表しているものに関しても言及されていた
繁栄、性交、男性器
考察は様々だったが、駿太はフフを思い出して勃起した
※※※※※※※※※※※
月曜日の朝も不安と期待と緊張を抱えて祠に向かった
真っ先にお供え物をチェックするのが癖になっている
友子と二人で作った餃子が、昨晩の雨で水浸しになっていた
「フフ、どこに行っちゃったの…」
駿太の目に涙が溢れてきた
もう丸2日会っていない
いまどこにいるのだろう
怪我はしていないか
お腹は減っていないか
雨に濡れて風邪をひいていないか
いてもたってもいられないが、探すあてもない
放課後、神社にも探しに行ってみようかと思い、きびすを返したその時、祠の扉の隙間から白い毛が挟まっているのが見えた
祠の扉を開けると、大きな体をぎゅうぎゅうに詰めてうずくまっているフフを発見した
フフの白い毛は泥で茶色く汚れていて、足の裏は傷だろけで血がにじんでいた
毛もむしられたように短くなっているところがあり、口の端からも血を流していた
「フフ!」
フフは肺をめいっぱい使って息をしていた
とても自力でお供え物を食べられる状態ではないと判断した駿太は、「ごめん!」と言ってフフを抱き抱えると、階段を駆け降り家に連れて帰った
だが、またしてもフフはいなかった
それどころか、昨日お供えしたホットケーキも手付かずのままだった
仕方なく蟻がたかったホットケーキを回収して、昨日の夕飯の餃子を山盛りのせた皿を置いた
昨日と同じようにフフが現れるのをしばらく待ったが、雨が降ってきたためあきらめて帰った
雨は夜通し降り続けた
雨音を聞きながら、駿太は図書館で借りてきた本を読んでは気になるところをメモしていった
日本書紀にはヤマトタケルノミコトが白い犬に助けられるという神話があった
その他にもフフを彷彿とさせるような白犬の記述はいくつかあったが、それがフフと同一の犬なのかは不明だった
古事記と日本書紀の現代語訳を読み終え考察本に移ると、中国やキリスト教の天地創造との比較があった
そこにはチルヒメが逃れてきたとされる蛇の記述も多数存在した
アダムとイブを誘惑した生き物として有名な蛇だが、その他にも、中国神話で天地を創造したとされる女媧と伏義の下半身も蛇である
その本には蛇が表しているものに関しても言及されていた
繁栄、性交、男性器
考察は様々だったが、駿太はフフを思い出して勃起した
※※※※※※※※※※※
月曜日の朝も不安と期待と緊張を抱えて祠に向かった
真っ先にお供え物をチェックするのが癖になっている
友子と二人で作った餃子が、昨晩の雨で水浸しになっていた
「フフ、どこに行っちゃったの…」
駿太の目に涙が溢れてきた
もう丸2日会っていない
いまどこにいるのだろう
怪我はしていないか
お腹は減っていないか
雨に濡れて風邪をひいていないか
いてもたってもいられないが、探すあてもない
放課後、神社にも探しに行ってみようかと思い、きびすを返したその時、祠の扉の隙間から白い毛が挟まっているのが見えた
祠の扉を開けると、大きな体をぎゅうぎゅうに詰めてうずくまっているフフを発見した
フフの白い毛は泥で茶色く汚れていて、足の裏は傷だろけで血がにじんでいた
毛もむしられたように短くなっているところがあり、口の端からも血を流していた
「フフ!」
フフは肺をめいっぱい使って息をしていた
とても自力でお供え物を食べられる状態ではないと判断した駿太は、「ごめん!」と言ってフフを抱き抱えると、階段を駆け降り家に連れて帰った
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