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朴山さん
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「駿太、今日は暇?」
登校するとすぐに昴流がやって来た
「ごめん、今日は神社に行こうと思ってるんだ」
「お前、昨日から何か変じゃない?何かあった?」
「ちょっと調べものがあって…」
フフのことは荒唐無稽すぎて、きっと昴流にも信じてはもらえまい
駿太はしばらく自分一人の胸のなかにしまっておこうと思った
「お前が行くなら俺も行こうかな。どうせ暇だし」
「え?!無理しなくても…」
「いいよいいよ。その代わり17セブンティーンアイスおごりな」
神社の境内にはアイスの自動販売機があるのだ
「それ、なんかおかしくない?」
「そう?」
駿太と昴流がじゃれ合っていると、隣の赤石が声をかけてきた
「鋏くんと越野くん、神社に行くの?」
「うん」
さっきまで駿太に絡んでいた昴流が急におとなしくなった
「2組に神社の子がいるよね。朴山さんっていう」
「え?!」
駿太の食いつきに、赤石は少し戸惑いを見せたが、
「わたし小学校も同じだったから。朴山朔弥さんっていう子だよ」
「男?女?」
昴流が聞いた
駿太も昴流も山間部の分校出身で、町の小学校から来た生徒のことはほとんど知らない
「女の子だよ。わたし5年と6年で同じクラスだったの」
「赤石さん、仲いいの?」
「すごく仲がいいわけじゃないけど、たまに一緒に帰ったりはするよ」
駿太は目を輝かせて「紹介して」とお願いした
「朴山さーん!」
赤石が2組の教室の入り口で手を振ると、一時間目の授業の支度をしていた朴山がわざわざ手を止めて駆け寄ってきてくれた
「こちら、同じクラスの越野くんと鋏くん。なんか神社のことが知りたいみたいで連れてきたの」
朴山は二人をチラッと見て「はじめまして」と、うつむきがちに言った
「はじめまして。僕ら第二小で町のことあまり知らないから、第二小の後輩のために町の歴史とか地理とか調べてて…」
自分の口からこんなにスラスラと嘘が出るとは駿太は思ってもいなかった
朴山が赤石に何かを訴えるよな視線を向けた
赤石は「本当だよ」とでも言うようにうなずいた
それを受けて安心したのか、朴山は、
「わたしでわかることなら…」
「今日放課後に実際に行ってみようと思ってるんだけど、あらかじめ情報がほしくて。朴山さんが神社のことで知ってることを教えてほしいんだけど…」
漠然としすぎたかなと駿太は不安になったが、朴山は「ええとね…」と話し始めた
「うちの神社の歴史は古くて、何百年も前からあるっておじいちゃんは言ってる。来月、お祭りもあるよ」
駿太と昴流は顔を見合わせた
「そうだ。祀ってある神様って知ってる?」
それを聞いてくるとフフに約束した
「コノハナチルヒメ。うちに絵があるよ」
コノハナチルヒメの名前を聞いて駿太の胸が高鳴った
フフが言っていた神様の名前だ
「絵って見れる?」
「うん。うちにあるし、掛け軸だから」
「見せてもらえない?!」
駿太の食いつきに、朴山は赤石に救いを求める視線を投げかけた
「鋏くんわたしもついていっていい?」
明石が言った
「もちろん!朴山さんがいいなら」
早く帰ってフフに知らせたかったが、コノハナチルヒメの絵の写真でもあればもっと喜ぶだろう
駿太は逸る心を押さえきれずに、そわそわした気持ちで授業を受けた
登校するとすぐに昴流がやって来た
「ごめん、今日は神社に行こうと思ってるんだ」
「お前、昨日から何か変じゃない?何かあった?」
「ちょっと調べものがあって…」
フフのことは荒唐無稽すぎて、きっと昴流にも信じてはもらえまい
駿太はしばらく自分一人の胸のなかにしまっておこうと思った
「お前が行くなら俺も行こうかな。どうせ暇だし」
「え?!無理しなくても…」
「いいよいいよ。その代わり17セブンティーンアイスおごりな」
神社の境内にはアイスの自動販売機があるのだ
「それ、なんかおかしくない?」
「そう?」
駿太と昴流がじゃれ合っていると、隣の赤石が声をかけてきた
「鋏くんと越野くん、神社に行くの?」
「うん」
さっきまで駿太に絡んでいた昴流が急におとなしくなった
「2組に神社の子がいるよね。朴山さんっていう」
「え?!」
駿太の食いつきに、赤石は少し戸惑いを見せたが、
「わたし小学校も同じだったから。朴山朔弥さんっていう子だよ」
「男?女?」
昴流が聞いた
駿太も昴流も山間部の分校出身で、町の小学校から来た生徒のことはほとんど知らない
「女の子だよ。わたし5年と6年で同じクラスだったの」
「赤石さん、仲いいの?」
「すごく仲がいいわけじゃないけど、たまに一緒に帰ったりはするよ」
駿太は目を輝かせて「紹介して」とお願いした
「朴山さーん!」
赤石が2組の教室の入り口で手を振ると、一時間目の授業の支度をしていた朴山がわざわざ手を止めて駆け寄ってきてくれた
「こちら、同じクラスの越野くんと鋏くん。なんか神社のことが知りたいみたいで連れてきたの」
朴山は二人をチラッと見て「はじめまして」と、うつむきがちに言った
「はじめまして。僕ら第二小で町のことあまり知らないから、第二小の後輩のために町の歴史とか地理とか調べてて…」
自分の口からこんなにスラスラと嘘が出るとは駿太は思ってもいなかった
朴山が赤石に何かを訴えるよな視線を向けた
赤石は「本当だよ」とでも言うようにうなずいた
それを受けて安心したのか、朴山は、
「わたしでわかることなら…」
「今日放課後に実際に行ってみようと思ってるんだけど、あらかじめ情報がほしくて。朴山さんが神社のことで知ってることを教えてほしいんだけど…」
漠然としすぎたかなと駿太は不安になったが、朴山は「ええとね…」と話し始めた
「うちの神社の歴史は古くて、何百年も前からあるっておじいちゃんは言ってる。来月、お祭りもあるよ」
駿太と昴流は顔を見合わせた
「そうだ。祀ってある神様って知ってる?」
それを聞いてくるとフフに約束した
「コノハナチルヒメ。うちに絵があるよ」
コノハナチルヒメの名前を聞いて駿太の胸が高鳴った
フフが言っていた神様の名前だ
「絵って見れる?」
「うん。うちにあるし、掛け軸だから」
「見せてもらえない?!」
駿太の食いつきに、朴山は赤石に救いを求める視線を投げかけた
「鋏くんわたしもついていっていい?」
明石が言った
「もちろん!朴山さんがいいなら」
早く帰ってフフに知らせたかったが、コノハナチルヒメの絵の写真でもあればもっと喜ぶだろう
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