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第1章 魔法使いしかいない世界

第7話 二人とギルドと初戦闘②

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――流石に建物の中でドンパチやるのはまずいと言う事で、俺達はギルドの前にある広場で戦う事になった。

 ”魔法が使えない冒険者志望の男女がBランク冒険者と戦う“という話題は瞬く間に拡がり、見物人が凄いことになっていた。

「ヒヒッ! とっととパンナ様に平伏しておけば痛い目を見ずに済んだのになあ男野郎!」

「パンナ様にあの女は負ける。それにお前は俺達に負ける!」

「黙れ下っ端AB。起こしたくない揉め事起こされて俺ちょっと怒ってるんだよ......」

 ヤリナ&モクナ(下っ端AB)VS俺。

「フッ......可愛い女の子に手を出すのはいつも気が引けるなぁ......手加減してやろう」

「本気でくから、死なないように頑張んなさい」

 パンナVSホノラ。

――――

 「怒ってるだァ!? 魔法すら使えない雑魚が俺達二人にどうやって勝つって言うんだよぉ!」

 下っ端Aが吠え、杖を懐から取り出す。先端に石のようなものが付いた、30cm程の木の棒だ。

「俺の故郷には『弱い犬程よく吠える』って言葉があるんだよ。腰巾着風情がイキんな」

 俺も刀を構える。今回は殺し合いでは無いので両者戦闘準備を整えてからの開始だ。

「誰が腰巾着だァ!? 一撃で終わらせてやる! 【中位岩石魔法・尖石大散弾ストーンフルバースト】!!」

「いけぇモクナ! ミンチにしちまえぇ!!」

 尖った石の塊が俺めがけて無数に放たれる。恐らく範囲攻撃系の魔法だが、俺のいる部分に範囲を狭めることによって逃げ場を無くした感じか? 色々と考えられているところは腐ってもBランク冒険者という事だろうか

『その通り~!』

〈うおっびっくりした! ナマコ神様急に出てこないでくれよ!〉

『いやあ心配でね! それでどうするの?』

〈俺はグレンの元で5年間修行した。何も闇雲に木刀を振っていた訳じゃないって事だよ〉

『? どういう事?』

〈元の世界で俺の親父は俺に剣術を教えてくれた事があったんだ。最も親父と俺とじゃ動きの次元が違いすぎてその時はすぐに諦めたんだけど、今は剣士として冒険者になるって目標がある......だから取り敢えず見様見真似で頑張って鍛錬したんだよ、そしたら――〉

『そしたら?』

「まあ見てろって――」

「なっ!? お前いつの間に俺達の足元に!?」

「魔法使いだもんなぁ! 接近戦は弱いよなぁ!?」

 俺はちょっと本気で走って下っ端の懐に潜り込んだ。そんな経験は初めてだったようで、二人はすぐに反応する事が出来ない。

「速すぎ――!」

双連そうれんダーマ

「ガッ.......!」

 二人は捉える事すらできなかったであろう高速の2連撃がその首を刈り取り、下っ端ABはその場に崩れ落ちた。

「峰打ちだから、多分死んではいないだろ......」

「うぉぉぉぉ! すげぇぜ兄ちゃん!」

「今のが魔法無し!? ホントか!?」

「いや、インチキに決まってる!」

 疑念や羨望、様々な思いの乗った歓声が降り注ぐ。

 めっっっっちゃいい気分!

――さて、ホノラ達の方は......

「な......ヤリナとモクナがこんな男にやられるとは......」

「アンタも似たような目にあわせてあげるわ!」

 なんとビックリまだ始まってすらいなかった! いやまぁコッチが数秒で終わったから当然といえば当然なのだが。

「おーいホノラー! とっとと終わらせて、飯でも食べて帰ろうぜー!」

「良いわよ! ギルドの中の酒場、ご飯美味しいらしいから、そこで食べま――――」

「ハッ! この俺の前で余所見とはいい度胸だなぁ! 服でも燃やして辱めを受けさせてやる! 喰らえ!!!! 【上位溶岩魔法・死で別つ恋路デッドエンド・ラヴァー】!!!!」

 地面から吹き上がる三本の溶岩の柱がホノラに襲いかかる。しかも上位魔法とは...よく知らないが、その名前と目の前の惨状から察するにこのパンナも相当な実力者のようだ。って感心してる場合じゃねぇ! これホノラ相当やばいん
じゃ――――

「あっついわね!」

 ボゴン!

 ホノラは襲いかかる溶岩柱を拳圧で吹き飛ばした。え、なんで?

「そんなバカな――!」

 いやほんとにそんなバカなだよ! 上位魔法とか言う聞くだけで凄そうな魔法を殴ってかき消すとかそんなバカな話あってたまるかってんだ!

 ホノラはもう二本の柱も同じように吹き飛ばし、ズンズンとパンナの真正面まで近付いた。

「じゃあマツルは耐えられた267発、耐えられるか試してみましょ?」

「ま、待――!」

「いーち!」

「ぅおごうぬっ!」

 綺麗なボディーブローがパンナの腹に命中する。パンナは一瞬宙に浮き上がった後、その場にうずくまってしまった。

「ま......待ってくれホノラちゃん! 俺もう降参だ――」

「駄目。にーい!」

「ぅべいっ!!!!」

 今度は脇腹に蹴りが入る。一撃目ではギリギリ意識を保っていたパンナもこれで完璧に気を失ってしまった。

 えぐい......俺が喰らってたのもうちょっと優しかったよな......愛ってやつだな。きっと。

「マツル、そっちに転がってる下っ端ABもちょうだい」

「ん? おう......」

 ホノラは一体何を始める気なんだ?
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