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07.ミラーハウス※

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 晩秋の乾いた風が吹き抜ける中、郊外の廃棄された遊園地は、赤い月に照らされて夢の跡のまどろみに沈んでいた。いたるところにイルミネーションだったものや、ところどころ欠けている列整理の看板が所在なげに揺れている。
 錆びついた巨大なオブジェと化した観覧車は、吹きすさぶ風にキィキィと錆びた音を鳴らす。メリーゴーランドの馬も風に揺られて前に後ろにいったりきたり、ゆらゆらしながら軋んだ音を奏でている。
 
 そんな遊園地のミラーハウスの中。

「ルカ、ごめん、なんかとまんなくて」
「んっ………っ……だいじょ、ぶ」

 鏡の壁に押し付けるようにして、セフィが激しくルカの唇を貪っていた。まわりの鏡はひび割れながらも睦み合う二人を鈍く反射する。天井から差し込む月明かりが中で反射して、ミラーハウスの中は明るかった。
 ルカは悪魔の姿のままで、セフィはさきほどルカが用意した洋服を着ている。

「ん……ルカ、もっと、欲しい」

 角度を変えて何度も唇を塞ぎ、舌を絡める。貪欲な衝動のままに、服の上から執拗にルカの身体をまさぐる。

 廃屋からこの遊園地まで、ルカがセフィを抱きかかえて空を飛んで移動したものの。
 とにかく贄の証がセフィの精気を吸いまくる。道中、何度もキスで補充しながら、ようやく遊園地にたどり着いたのだった。

 よれよれとルカが降り立ったのが、このミラーハウスの屋上。ここならば、他の悪魔も立ち寄らない。
 とりあえず天井に空いていた穴から中に入ったものの、精気を吸われすぎたセフィが我慢できなくて、今に至るのだった。

「ん……あぁっ」

 ぎゅっと胸の膨らみを掴まれて、思わずルカが声をあげる。服の上から固く立ち上がる尖端を指でつまむ刺激に、熱い吐息が漏れる。

「かわいい声、もっと聞かせて?」

 服の中をまさぐられたと思えば、もどかしげにルカの秘部を探り当てる。すでに潤んだそこに指が入り込み、そのまま激しく抉るようにルカの中で蠢いた。
 服越しに響く水音が、そこが十分に潤んでいることをルカに知らせてくる。

「あっ……セフィ……そんな、いきなり」
「ごめん、我慢できない。鏡に手をついて、お尻をこっちに向けて」

 半ばセフィに抱きかかえられながら、ルカは立ったまま鏡に手をつく。お尻をちょっと突き出すように掴まれて、なんだか落ち着かなくてちょっと翼を広げてしまう。目の前の鏡の中の自分と目が合って、慌てて目を逸らした。
 もどかしげに服を脱がされて、すぐに熱くてかたいものがルカの入り口にあてがわれる。確認するようにゆるゆると上下に動くその感触に、さっきの廃屋での記憶が蘇り、じわりと身体の奥から熱が滲み出る。それはセフィのものと絡まりささやかな水音を立てた。その潤みをかきまぜるように、セフィの硬い熱が円を描く。
 たまらず、ルカの口から熱い吐息が漏れた。

 鏡越しにちらりと見れば、セフィがじっとルカの身体を見下ろしていた。ふと鏡越しに目が合う。情欲に彩られた視線のまま、ふわりと無垢に笑うアンバランスさに、なんだか見てはいけないものを見てしまった気がして目を逸らす。
 
「ルカ、また俺で気持ちよくなって。もう、何も気にしなくていいから」
「ふ……ああっ」

 ゆっくりと大きくて硬い熱がルカの中に入ってくる。一気に真奥まで貫かれて、その刺激に反射的に逃げようとするも前の鏡に阻まれて逃げられない。
 何度も奥を抉られながら、わななく足に必死に力をいれる。身体の奥のひきつるような熱につられて、無意識におなかの奥に力が入るのがとめられない。

「ん……ルカ、そんなにしたら、俺のほうがもたない」

 今までのゆっくりとした動きと一転、まるで焦るみたいに激しい水音がルカとセフィの間で弾ける。奥を突かれるたびに、またルカの中に快楽が降り積もり、すぐに溢れそうになる。

「セフィ、また、いっちゃいそ……ああっ」

 身体の奥の熱さのままに身のうちを引き絞る。背中から抱きしめてくるセフィが小さく身体を震わせたことから、彼もまた達したのだとルカは知った。

「ルカ、ルカ、かわいい」

 ルカの首筋に、うなじに、何度も名前を呼ばれながらキスを落とされる。埋め込まれたものはいまだ抜かれる気配がなく、むしろまた硬くなりつつある気がした。

「まだ足りない、もっとしよ?ほらこっち」
「ひゃっ!?」

 挿れたまま抱え上げられ、セフィのあぐらをかいた膝の上に乗せられる。目の前には鏡。いまだ深くセフィを埋めたままのルカの姿が綺麗に映っていた。
 びっくりして足を閉じようとするも、大きく左右に開かれて、一度腰をうちつけるように下から揺さぶられる。

「ほら、鏡をみて、ルカの中にたくさん入ってる。ここ触ると気持ちいい?」
「あっ……んっ……いいっ」

 花芯をこねられる刺激にたまらず腰が動く。それに合わせるように何度もゆるく下から突き上げられた。

「ルカが、気持ちよさそうな顔、鏡に全部映して見せて」

 うつむくこめかみに、何度もキスを落とされる。そのキスに導かれるように鏡の方を向けば、随分と淫蕩な顔をしたセフィと目があって、なおさらお腹の奥の熱が増す。

「あっ……ああっ………やっ」

 ぎゅっと翼ごと強く抱きしめられ、激しく下からうちつけられ、またすぐにでもルカは達してしまいそうだった。


 ようやくセフィの衝動がなんとかおさまったのは、さらに何回かした後のことだった。

 またあの衝動が襲って来る前に、イザベラを見つけ出して解除させようということで、ミラーハウスをあとにして廃遊園地内を二人で歩く。
 サバトが行われるのは、ミラーハウスとは反対側の地下駐車場。遊園地の真ん中にある城のようなオブジェをぐるりと迂回していくので、そこそこ距離がある。
 人気ひとけの無い夜の遊園地は、月明かりに照らされるままに、歪な影を長く伸ばす。その影を、ぴょんぴょんと踏んだり踏まなかったりしながら、ルカが半分飛ぶみたいにして進む。

「贄の証、こわいね。時々、自分が自分じゃないみたいに感じる」

 ため息をつきながら、セフィが首輪を忌々しげに撫でた。結局、キスで我慢できずに最後まで、しかも何度もしてしまったのが、やや不本意だったらしい。

「ルカも疲れてない?大丈夫?」
「悪魔だから平気」
「さすが悪魔」

 微笑みながらセフィがルカの髪を撫でた。ふわふわした紅蓮の髪がセフィの手の下で嬉しそうにはねる。

「セフィ!」

 ぎゅっと、ルカがセフィに抱きついた。

「わわっ」
「悪魔だからって褒められたのはじめて!ありがとう」
「え、そうなの。そんなお礼をいわれるほどのものかな」

 戸惑いつつも、さらにわしゃわしゃと紅蓮の髪を撫でる。

「この赤い髪もきれいだし、角も強そうでかっこいいし、翼だってつやつやで空を飛べるし、褒めるところいっぱいあるよ?あと、ルカは素直でかわいいよね」
「そんなにいっぱい褒めてくれるなんて」

 ルカが両手を顔に当てて翼をバサリと身体の前に巻きつけて嬉しそうに目をつぶる。

「嬉しい。セフィ、大好き」

ちっちゃく囁いた声に、セフィは嬉しそうに目を細めた。
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