6 / 50
6. 二日目夜※
しおりを挟む
ひととおり、やることを終えたころには、西日が窓から差しこんでいた。取りこんだマットレスの上に座って、横に縄をおき、シウはゼンの帰りを待つ。
⸺夜の相手をこなすのもメリット
ふと、昼間打ち消した考えが時間差で舞い戻ってきた。彼と散々行為に及んだ場所にいるせいだろうか。どうにも、彼とのあれこれを思い出してしまう。無意識に手を当てた頬が熱い。
(念のため、ちゃんとできるように準備しておいた方が良いかも)
そんなふうに自分を納得させて、そっと服の下に手をいれて胸を揉む。ゼンの指使いを思い出しながら揉んでみるも、なんだか少し違う。物足りない。
「ん……ふっ……もう、ちょっと」
片手を下着の中にいれて、散々彼を受け入れたところに触れてみる。教えてもらったことを思い出しながら、おそるおそる指を挿れる。最初はうまく行かなかったが、次第に濡れてきて指が入るようになった。
「あぁ……はぁ……ゼンさん」
彼のことを思い出しながら、指を動かしてみるも、どうも違う。彼がくれたような快楽が得られない。
「ん……なんで……」
もどかしさに、涙がにじむ。どんなに触れても自分の指では物足りない。彼の顔を、瞳を、声を、手を、身体を思い出す。それだけで、ずくりとシウの身体の奥が熱くなった。
「あ……ゼンさん、ゼンさん」
手を出してはいけないものに、不用意に手を出した気がした。彼が欲しくてたまらない。また、今朝のように、昨夜のように、さわってほしい。必死で彼のことを思い出しながら自身を刺激する。湿った水音は徐々に大きくなり、太ももを透明な愛液が伝う。
無性に、彼に会いたくてたまらなかった。
そんな風に、夢中でしていたせいだろう。玄関先で小さな物音がしたことに、シウは気づかなかった。そこから、近づいてくる足音にも。
人の気配に気づいた時には、すでにガラリと部屋の扉が開いた後だった。
扉の向こうには、シウが会うことを思い描いていた、妄想すらしまくっていた張本人がいた。
(今!?)
ボタンをはだけ、思いっきり胸も腹も露出したままの姿で、シウは盛大に固まった。
「す、すみませ」
慌てて服を直すも、ばっちり痴態を見られてしまった気がする。あわあわと慌てふためきながらゼンを見て、シウは気づいた。彼が異様な雰囲気をまとっていることに。
ゼンは泥まみれ埃まみれで、服はところどころ破れている。髪が、服が、まるでかぶったように赤く染まっていた。返り血か、それとも彼自身の血か。そして、手には刀をおさめた鞘。こちらにもべったりと血がついている。
息は荒く、前髪の合間から見える金の瞳には、いつもの優しさはない。ただひたすら、獣を思わせる剣呑さが光る。
「なぜ、まだいる」
底冷えのする声だった。
今朝とはまるで別人の様子に、シウの背中を冷たいものが流れる。声をだそうとしても、うまく出せない。
このまま殺されそうな、そんな雰囲気すらあった。
(すごく、怒ってる……?)
シウは、自分の見通しが甘かったことに気づいた。ゼンならなんだかんだと、受け入れてくれる甘さがあると思っていた。
実際のところ、ゼンはシウを金で買った。シウの生殺与奪の権は、ゼンが握っているのに等しい。
「い、今、やっと縄が解けたところです」
震える声で苦しまぎれの嘘をつく。一応、拘束されていたし、ゼンから直接どこかへいけと指示は受けていない。
ガランと音がして、刀が床に落ちる。荒々しく部屋に入ってきたゼンに、思わずシウは後ずさる。伸ばされる太い腕を反射的にかわそうと身をかがめるも、狭い室内に逃げ場などなく、あっさりとシウはゼンに捕まった。勢い良く腕を引かれ、あおむけに押し倒され、首をつかまれる。
息が詰まる苦しさにジタバタするシウに構わず、ゼンは彼女の服を脱がせ乱暴に下着を剥ぎとった。彼自身のズボンの前をゆるめると、前戯もせずに強引に挿入する。
「ゼンさん、待って……ああっ」
幸いにも直前の自慰で濡れていたため、痛みは少ない。むしろ、求めていた刺激をいきなり与えられて、それだけでシウは達しそうになった。
何度も妄想したゼンのもの。想像よりはるかに強烈で刺激的だった。身体の奥に力を入れてゼンをしめつけながら、恍惚のまま、ずっと欲しかったそれをシウは味わう。
ただ、すぐにそんな余裕はシウにはなくなった。
軽く達した奥をぐりぐりとこじあけるようにほぐしたあと、ゼンは体重をのせて激しく何度も奥をえぐる。リズミカルな水音とともに、肉を打つ音が響く。血塗れの両手で腰を掴まれて、引くことも逃げることもシウにはできない。
「あっ、ああっ、やっ、いやっ!」
それは今朝までの行為と全く違った。シウは、ゼンがどれだけ手加減していたのか痛感した。今まで届かなかった奥深くを容赦なくえぐられる。
おそらくゼンは、初めてのシウを気づかって、全部挿入していなかったのだろう。シウがきつくない程度に浅く埋めてくれていたのだ。加えて、体重をかけすぎないよう相当気をつけてくれていた。
今はギリギリまで引き抜いては、体重をかけて思いっきり深く突いてくる。内臓がかき混ぜられるような衝撃に、シウは目がちかちかした。
「あっあっ、ゼン、さっ、はあっ、いやっ、痛っ」
奥を執拗にえぐられる痛みが、少しずつ違うものに変わっていくのが、シウはおそろしかった。今朝感じたふわふわした甘い気持ちよさ。それよりはるかに強い快楽が忍びよる。
どんなにもがいてもガッチリと組み伏せられて身動きできない。できることといえば、声を出すくらいだ。それもゼンの激しさの前に、まともな言葉は出せず、揺さぶられるままに叫ぶことしかできない。
「あんっ、やめ、ああっ、んああっ」
やめてと言っても、肩を叩いても、ゼンは構わずシウの身体をむさぼる。間近で見つめてくる金の瞳に宿る熱は、触れれば火傷しそうだ。執拗に奥を攻められて、シウはあたまがぼんやりしてきた。痛みすらも、気持ちよく、快楽のうねりは次第に膨らんで弾ける。
がくがくと震えながら背を弓なりに反らすシウに対して、ゼンは動きを止めず、ひたすら彼女の中を求めた。
「や、こんな、またっ、ああっ」
震える襞を容赦なく攻められて、シウは再びのぼりつめる。息をつく間もなく、連続して快楽が与えられつづけ、どうにかなりそうだった。シウの意志とは関係なく、涙がにじみ、こめかみを伝う。何度も身体がふるえ、そのたびに身体の中で動き続けるゼンをきつく絞める。
何度目かのシウの絶頂時に、ようやくゼンが動きを止めた。一番奥までうめたまま、絶息状態のシウに唇を重ねる。むせ返る汗の臭いとともに、血の臭いがするキスだった。
ゼンが小さく震えるとともに、お腹の奥が熱くなり、今までとは比べ物にならないほどの快楽がシウを襲う。ゼンは噛み付くように何度もキスをしながら、緩慢に腰を何度か打ちつけて、ずるりと引き抜く。
あふれる白濁液の熱さに、なかで射精されたのだとシウは知った。
こんなふうに有無を言わさず中にだされるのは、すごくショックだった。孕むかもしれないということより、あれだけ頑なにシウを気遣っていたゼンが、容赦なく射精した事実がショックだった。
(ほんとに嫌われちゃった……?)
その考えに思い至った途端、シウの鼻の奥がつんと痛くなる。
「やだ、やだぁ、ゼンさん」
ぐすぐす泣きだしたシウに構わず、ゼンは胸のふくらみに吸いつく。きつく揉まれながら舐められ、吸われて、泣いているシウの息があがる。白いふくらみに、いくつも紅い花が咲いた。
噛まれる痛みすらも気持ち良い。その感覚がこわくて、シウは無意識に身体をよじる。腰をひねったはずみに、横向きに固定され、足の間に無理やりゼンの身体が割り込む。ゼンは、抱えるようにシウの足を大きく開くと、また入り口に硬くて熱いものを押し当て、一気に深く貫いた。圧迫感にシウの息がつまり、頭の芯がぼうっと白く塗りつぶされる。
射精したばかりなのに、さきほどと変わらぬ硬さ、大きさで、さっきとは違う場所を激しくえぐられて、たまらずシウは泣きながらあえいだ。揺さぶられるたびに、身体の奥に快楽が降りつもり、たまらず逃げようともがく。そんなシウをがっちりと掴み、ゼンは斜め上からねじ込むように激しく打ちつけた。
あまりに強く掴むものだから、二の腕に、腰に、赤く手の跡や指の跡がくっきりと浮かぶ。
「あっ、やっ、もう、こんなの、やぁっ」
ゼンが触れるところ全て、痛いくらいに強い刺激なのに、それにすら昂り、シウは無意識に身体の奥を引き絞る。何度も与えられる快楽に、連続した絶頂に、シウが意識を飛ばしかけると、態勢を変えてまた違うところを激しく抉られた。
気づけば四つん這いで尻を高く持ち上げられていた。足の長さが違いすぎるのだろう、軽くシウの膝が浮く。その状態で抱え込むように何度も揺さぶられて、また快楽の波に呑まれ、意識がおぼつかなくなる。
後ろからの挿入は、シウの感じやすい場所に的確に当たり、飛びかけたシウの意識を戻すには効果的だった。ゼンはさらに足を抱え込むように掴み、より深く強く、反応が良いところを抉る。
勢いよく一番奥までうちこまれると同時に、ゼンが動きを止め、シウの中で少し震える。
(また、なかにだされちゃう)
覚悟したシウのうなじに強い痛みが走った。ゼンが噛んだのだ。細いうなじに歯型がつくほど強く噛みながら、シウの中に欲望を吐き出す。熱い体液が結合部の隙間から溢れ、ぱたぱたとシーツを汚した。
痛くて息ができないくらい苦しいのに、またも強烈な快感がシウを襲い、意識が飛びかける。
ぎゅっと胸を掴まれる刺激にシウの意識が引き戻された。変わらず背後から貫かれ、うなじを噛まれたまま、胸の膨らみを武骨な両手が強く握る。痣になるほど強くつかみ、爪をたてて力を込めて揉みしだかれる。
シウの中の圧迫感は、いつの間にか復活しており、変わらぬ存在感で、さきほどより激しくシウの奥を求めてくる。その痛みを、刺激を、首の後ろの荒い息づかいを意識するたびに、シウは身体の奥に埋め込まれた男性の欲望を締めつけてしまう。
「んっ、ああっ、いやっ、もう、ゆるして」
シウは泣きながら、ゼンが与える快楽を明け方近くまで受け止め続けた。
⸺夜の相手をこなすのもメリット
ふと、昼間打ち消した考えが時間差で舞い戻ってきた。彼と散々行為に及んだ場所にいるせいだろうか。どうにも、彼とのあれこれを思い出してしまう。無意識に手を当てた頬が熱い。
(念のため、ちゃんとできるように準備しておいた方が良いかも)
そんなふうに自分を納得させて、そっと服の下に手をいれて胸を揉む。ゼンの指使いを思い出しながら揉んでみるも、なんだか少し違う。物足りない。
「ん……ふっ……もう、ちょっと」
片手を下着の中にいれて、散々彼を受け入れたところに触れてみる。教えてもらったことを思い出しながら、おそるおそる指を挿れる。最初はうまく行かなかったが、次第に濡れてきて指が入るようになった。
「あぁ……はぁ……ゼンさん」
彼のことを思い出しながら、指を動かしてみるも、どうも違う。彼がくれたような快楽が得られない。
「ん……なんで……」
もどかしさに、涙がにじむ。どんなに触れても自分の指では物足りない。彼の顔を、瞳を、声を、手を、身体を思い出す。それだけで、ずくりとシウの身体の奥が熱くなった。
「あ……ゼンさん、ゼンさん」
手を出してはいけないものに、不用意に手を出した気がした。彼が欲しくてたまらない。また、今朝のように、昨夜のように、さわってほしい。必死で彼のことを思い出しながら自身を刺激する。湿った水音は徐々に大きくなり、太ももを透明な愛液が伝う。
無性に、彼に会いたくてたまらなかった。
そんな風に、夢中でしていたせいだろう。玄関先で小さな物音がしたことに、シウは気づかなかった。そこから、近づいてくる足音にも。
人の気配に気づいた時には、すでにガラリと部屋の扉が開いた後だった。
扉の向こうには、シウが会うことを思い描いていた、妄想すらしまくっていた張本人がいた。
(今!?)
ボタンをはだけ、思いっきり胸も腹も露出したままの姿で、シウは盛大に固まった。
「す、すみませ」
慌てて服を直すも、ばっちり痴態を見られてしまった気がする。あわあわと慌てふためきながらゼンを見て、シウは気づいた。彼が異様な雰囲気をまとっていることに。
ゼンは泥まみれ埃まみれで、服はところどころ破れている。髪が、服が、まるでかぶったように赤く染まっていた。返り血か、それとも彼自身の血か。そして、手には刀をおさめた鞘。こちらにもべったりと血がついている。
息は荒く、前髪の合間から見える金の瞳には、いつもの優しさはない。ただひたすら、獣を思わせる剣呑さが光る。
「なぜ、まだいる」
底冷えのする声だった。
今朝とはまるで別人の様子に、シウの背中を冷たいものが流れる。声をだそうとしても、うまく出せない。
このまま殺されそうな、そんな雰囲気すらあった。
(すごく、怒ってる……?)
シウは、自分の見通しが甘かったことに気づいた。ゼンならなんだかんだと、受け入れてくれる甘さがあると思っていた。
実際のところ、ゼンはシウを金で買った。シウの生殺与奪の権は、ゼンが握っているのに等しい。
「い、今、やっと縄が解けたところです」
震える声で苦しまぎれの嘘をつく。一応、拘束されていたし、ゼンから直接どこかへいけと指示は受けていない。
ガランと音がして、刀が床に落ちる。荒々しく部屋に入ってきたゼンに、思わずシウは後ずさる。伸ばされる太い腕を反射的にかわそうと身をかがめるも、狭い室内に逃げ場などなく、あっさりとシウはゼンに捕まった。勢い良く腕を引かれ、あおむけに押し倒され、首をつかまれる。
息が詰まる苦しさにジタバタするシウに構わず、ゼンは彼女の服を脱がせ乱暴に下着を剥ぎとった。彼自身のズボンの前をゆるめると、前戯もせずに強引に挿入する。
「ゼンさん、待って……ああっ」
幸いにも直前の自慰で濡れていたため、痛みは少ない。むしろ、求めていた刺激をいきなり与えられて、それだけでシウは達しそうになった。
何度も妄想したゼンのもの。想像よりはるかに強烈で刺激的だった。身体の奥に力を入れてゼンをしめつけながら、恍惚のまま、ずっと欲しかったそれをシウは味わう。
ただ、すぐにそんな余裕はシウにはなくなった。
軽く達した奥をぐりぐりとこじあけるようにほぐしたあと、ゼンは体重をのせて激しく何度も奥をえぐる。リズミカルな水音とともに、肉を打つ音が響く。血塗れの両手で腰を掴まれて、引くことも逃げることもシウにはできない。
「あっ、ああっ、やっ、いやっ!」
それは今朝までの行為と全く違った。シウは、ゼンがどれだけ手加減していたのか痛感した。今まで届かなかった奥深くを容赦なくえぐられる。
おそらくゼンは、初めてのシウを気づかって、全部挿入していなかったのだろう。シウがきつくない程度に浅く埋めてくれていたのだ。加えて、体重をかけすぎないよう相当気をつけてくれていた。
今はギリギリまで引き抜いては、体重をかけて思いっきり深く突いてくる。内臓がかき混ぜられるような衝撃に、シウは目がちかちかした。
「あっあっ、ゼン、さっ、はあっ、いやっ、痛っ」
奥を執拗にえぐられる痛みが、少しずつ違うものに変わっていくのが、シウはおそろしかった。今朝感じたふわふわした甘い気持ちよさ。それよりはるかに強い快楽が忍びよる。
どんなにもがいてもガッチリと組み伏せられて身動きできない。できることといえば、声を出すくらいだ。それもゼンの激しさの前に、まともな言葉は出せず、揺さぶられるままに叫ぶことしかできない。
「あんっ、やめ、ああっ、んああっ」
やめてと言っても、肩を叩いても、ゼンは構わずシウの身体をむさぼる。間近で見つめてくる金の瞳に宿る熱は、触れれば火傷しそうだ。執拗に奥を攻められて、シウはあたまがぼんやりしてきた。痛みすらも、気持ちよく、快楽のうねりは次第に膨らんで弾ける。
がくがくと震えながら背を弓なりに反らすシウに対して、ゼンは動きを止めず、ひたすら彼女の中を求めた。
「や、こんな、またっ、ああっ」
震える襞を容赦なく攻められて、シウは再びのぼりつめる。息をつく間もなく、連続して快楽が与えられつづけ、どうにかなりそうだった。シウの意志とは関係なく、涙がにじみ、こめかみを伝う。何度も身体がふるえ、そのたびに身体の中で動き続けるゼンをきつく絞める。
何度目かのシウの絶頂時に、ようやくゼンが動きを止めた。一番奥までうめたまま、絶息状態のシウに唇を重ねる。むせ返る汗の臭いとともに、血の臭いがするキスだった。
ゼンが小さく震えるとともに、お腹の奥が熱くなり、今までとは比べ物にならないほどの快楽がシウを襲う。ゼンは噛み付くように何度もキスをしながら、緩慢に腰を何度か打ちつけて、ずるりと引き抜く。
あふれる白濁液の熱さに、なかで射精されたのだとシウは知った。
こんなふうに有無を言わさず中にだされるのは、すごくショックだった。孕むかもしれないということより、あれだけ頑なにシウを気遣っていたゼンが、容赦なく射精した事実がショックだった。
(ほんとに嫌われちゃった……?)
その考えに思い至った途端、シウの鼻の奥がつんと痛くなる。
「やだ、やだぁ、ゼンさん」
ぐすぐす泣きだしたシウに構わず、ゼンは胸のふくらみに吸いつく。きつく揉まれながら舐められ、吸われて、泣いているシウの息があがる。白いふくらみに、いくつも紅い花が咲いた。
噛まれる痛みすらも気持ち良い。その感覚がこわくて、シウは無意識に身体をよじる。腰をひねったはずみに、横向きに固定され、足の間に無理やりゼンの身体が割り込む。ゼンは、抱えるようにシウの足を大きく開くと、また入り口に硬くて熱いものを押し当て、一気に深く貫いた。圧迫感にシウの息がつまり、頭の芯がぼうっと白く塗りつぶされる。
射精したばかりなのに、さきほどと変わらぬ硬さ、大きさで、さっきとは違う場所を激しくえぐられて、たまらずシウは泣きながらあえいだ。揺さぶられるたびに、身体の奥に快楽が降りつもり、たまらず逃げようともがく。そんなシウをがっちりと掴み、ゼンは斜め上からねじ込むように激しく打ちつけた。
あまりに強く掴むものだから、二の腕に、腰に、赤く手の跡や指の跡がくっきりと浮かぶ。
「あっ、やっ、もう、こんなの、やぁっ」
ゼンが触れるところ全て、痛いくらいに強い刺激なのに、それにすら昂り、シウは無意識に身体の奥を引き絞る。何度も与えられる快楽に、連続した絶頂に、シウが意識を飛ばしかけると、態勢を変えてまた違うところを激しく抉られた。
気づけば四つん這いで尻を高く持ち上げられていた。足の長さが違いすぎるのだろう、軽くシウの膝が浮く。その状態で抱え込むように何度も揺さぶられて、また快楽の波に呑まれ、意識がおぼつかなくなる。
後ろからの挿入は、シウの感じやすい場所に的確に当たり、飛びかけたシウの意識を戻すには効果的だった。ゼンはさらに足を抱え込むように掴み、より深く強く、反応が良いところを抉る。
勢いよく一番奥までうちこまれると同時に、ゼンが動きを止め、シウの中で少し震える。
(また、なかにだされちゃう)
覚悟したシウのうなじに強い痛みが走った。ゼンが噛んだのだ。細いうなじに歯型がつくほど強く噛みながら、シウの中に欲望を吐き出す。熱い体液が結合部の隙間から溢れ、ぱたぱたとシーツを汚した。
痛くて息ができないくらい苦しいのに、またも強烈な快感がシウを襲い、意識が飛びかける。
ぎゅっと胸を掴まれる刺激にシウの意識が引き戻された。変わらず背後から貫かれ、うなじを噛まれたまま、胸の膨らみを武骨な両手が強く握る。痣になるほど強くつかみ、爪をたてて力を込めて揉みしだかれる。
シウの中の圧迫感は、いつの間にか復活しており、変わらぬ存在感で、さきほどより激しくシウの奥を求めてくる。その痛みを、刺激を、首の後ろの荒い息づかいを意識するたびに、シウは身体の奥に埋め込まれた男性の欲望を締めつけてしまう。
「んっ、ああっ、いやっ、もう、ゆるして」
シウは泣きながら、ゼンが与える快楽を明け方近くまで受け止め続けた。
0
お気に入りに追加
179
あなたにおすすめの小説
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛
冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる