1 / 50
1. 一日目夜 ➀※
しおりを挟む
腕の中でふるえる少女のおっぱいを生で揉みながら、ゼンはちょっと困っていた。
このおっぱいは良い。悪くない。張りがあり、揉みごこちもよく、ゼンの大きな手にもほどよい大きさだ。揉みあげるたびに、可愛い吐息が漏れたりするのも良い。ずっと揉んどきたいくらいだ。
問題は、この相手である。ゼンの膝の中にすっぽり入り、背を向けて身体をゼンにあずけて、おっぱい揉まれまくっている少女。商売女ならともかく、そうじゃない。
しゃべるのは苦手なゼンだが、さすがにずっとだまっているわけにはいかず、気力をふるいたたせて声をかける。
「シウ、こういう経験は?」
耳元でささやくと、少女⸺シウが、ふるふると首を振った。
まあそうだよな、と思いつつ、身をかがめて耳たぶにキスして、乳首を指で挟んでかるくしごく。
「ぁ…………ふ……」
小柄な少女は綺麗にゼンの膝の中におさまり、小さく身体を震わせている。ゼンは、やや窮屈にちぢこまりながら少女の耳に、頬に、唇でふれた。
「んっ……っ……」
「今、何歳?」
「じゅ、十六です」
ゼンより五歳以上も年下である。
なるほど、それでこの弾力か。
納得しながら乳首を押し込むようにぐりぐりと揉む。弾む感触が手に気持ち良い。
「あっ、はぁ……やぁっ」
肩越しに見上げてくる琥珀色の瞳は、ちょっとうるんで泣きそうだ。眉もへにょっとしたハの字になっている。
ゼンの知るかぎり、彼女⸺シウは街の小さな菓子店で働いているごく普通の女の子で、ゼンはその店の常連客だ。
ところどころ金の混じる栗色の髪に、色白だが健康的な肌。ゼンは顔の美醜についてはうといが、それでもシウが整っている部類だということはわかる。
つまり、本来ならゼンみたいな生業の男が、おっぱい揉める子ではない。
「タジルに、どこまで触られた?」
「ん、服の、うえから、胸を」
タジルは服越しなのに、ゼンは生で揉んでしまっている。しまったなと思いながらも、おっぱいを寄せて軽く持ち上げた。
すぐに汚く笑うハゲ親父が、たわわなふくらみを揉んでいるところをつい想像してしまう。タジルはいわゆる奴隷商だ。ちょっとした出来心から、奴隷女を物色してみようと思いたち、タジルの店をのぞきにいったのが、今日の昼過ぎのこと。
店の中に入ったとたん、服を乱したシウが勢いよくゼンにぶつかったのが、今思えば発端である。タジルによれば、シウは大事な商品ということだった。ゼンはすぐにその場をおさめ、タジルの言い値でシウを買い取った。
「他には、唇も触られて……んっ」
あのハゲ親父は、キスもしてやがったらしい。思わず、おっぱいを揉む手に力が入る。
なんの説得力もないが、ゼンはシウを買い取ったからといって、彼女の身体をどうこうしようというつもりはなかった。おっぱい揉むつもりもなかった。今は乳首とんとんしているが。
「唇、どんな風に?」
ゼンの踏みこんだ質問に、シウがひるむのがわかった。さすがに自分から、どんな風にタジルに唇を奪われたのか説明するのは恥ずかしいのだろう。
ゼンの目論見どおりである。
「無理なら、ここでやめておけ」
むしろ、やめるって言ってほしい。ゼンはおっぱい揉みながら、そう思った。
タジルからシウを買い取ったあと、ゼンはシウに言ったのだ。
どこへでもいけ、と。
もう自由だ、と。
ところが、行くところがないから置いてくれとしがみつかれた。「夜の相手もできない子供に用はない」とがんばって突き放したら「子供じゃないです」と真っ赤な顔で言いかえしてくる。
結局、シウはゼンの服のはしっこをつかんで、家まで着いてきた。ずっと泣きそうなシウに「俺は外で寝るから」と布団をぽんぽんしてやったら「ちゃんとできます」とおっぱいをゼンの手に押しつけてきて今である。
基本的に口下手なゼンは、どうしたものかと悩みながらもおっぱいの魅力にあらがえず、とりあえず揉んでいるのだった。
だからできれば、シウからやめたいと言ってほしかった。ゼンが断る理由はあまりないが、シウが断る理由はたくさんあるはずだ。
変に覚悟を決めずに、わがままに身勝手に拒絶してほしい。ゼンが、ちょっとどうかと思うくらいの大金をタジルに支払ったことなど、気にしないでほしい。
そう思いながら、おっぱいを揉む。
シウの働く菓子屋に行くたびに、エプロン越しに揺れるこのふくらみに興味がなかったといえば嘘になる。ひとり寝の夜に、シウで妄想したことも、一度や二度はある。いや、もう少し回数は多かったか。ほぼ毎日だったかもしれない。
でも、あの可憐な笑顔を、本当に汚したいとは思っていなかった。ただ、彼女自身は平和に幸せに、いつも笑顔であれば良いと思っていた。
唇に、遠慮がちに触れる指の感触。ふるえる吐息は、すぐ近くにあった。さきほどゼンがたずねた、どんな風にキスをしたか、の回答らしい。
間近で目が合う。真っ赤な顔したシウが、さっと目をつぶりそのまま唇を重ねてくる。
まさかの、言葉ではなく実演での説明。
”恥ずかしいことを言わせて嫌がられる作戦”はあえなく失敗した。
そんな真面目にしなくていいのに。
無理ですっていって、逃げてくれていいのに。
そう思いながら、シウの唇を受け入れる。唇が触れる瞬間、ゼンは無意識に拳を握りしめた。
おずおずと触れるだけのキスは次第に深さを増し、思わずゼンは息をひそめる。少し顔をかたむけながら、腰と肩に手をまわして抱きしめる。散々揉みまくったおっぱいが、今度は硬い胸筋のうえでつぶれた。
ぎこちないキスだった。ほとんど、キスなんてしたことないのだろう。
(なんとか、キスくらいでやめておかないと)
少しずつ深さを増すキスに内心焦りながら、ゼンは思考をめぐらす。
もっと嫌がられるように仕向けて、シウから拒絶させるのだ。不本意だが、ちょっと泣かせてしまうくらいは覚悟して。
「ん!? ……んむっ!」
顎をつかみ、荒々しく唇に噛みつくように吸いたてる。驚いたシウの隙をつき、口の中に無理やり舌を押し入れ、彼女のそれに絡ませる。激しく角度を変えながら、わざと音をたてた。
「んむっ、……むむっ!」
息苦しいのか、シウがいやいやするように首を振り、逃れようと身をよじる。
(嫌がられる方向性としては間違っていないな)
確信を得たゼンは、シウを押し倒し、さらに激しく彼女の唇をむさぼる。といっても、ゼンの重みで苦しくないよう気をつけることは忘れない。
簡素なマットレスにシーツと薄い毛布を敷いただけのゼンの寝床。きっといつもふわふわのベッドで寝ていたシウからすれば、床と変わらないだろう。
息継ぎをするように一度唇を離す。二人の間をつなぐ光る糸に、ゼンは動揺のあまりもう一度唇を重ねた。さきほど一瞬見てしまった色づく唇や、うるんだ琥珀色の瞳が、どうにも頭から離れない。
「ん……く……」
小さくシウの喉が動く。涙目で何を飲み込んでいるのか。あえて深く考えず、ゼンは柔らかな唇を堪能する。
シウの唇からこぼれる透明な筋を指でぬぐい、キスしながらおっぱいをまさぐる。あおむけに押し倒していても、その存在感は変わらない。吸いつく感触に指を沈めながら、シウの唇をぺろりと舐めた。
「美味いか?」
「は、はい……美味しい、です」
顔を真っ赤にし、目をうるませてシウがつぶやく。
少し遠くを見ているようなぼんやりとした琥珀色の瞳でみつめられて、ゼンはくらっとした。
予想していた反応と違う。
もうやめてくださいとか、嫌ですとか、あるんじゃないのか。
つまり、”ちょっと気持ち悪いキス作戦”も失敗した。
困りつつ、シウのおっぱいを揉む。上から押さえつけるようにぎゅむぎゅむとわし掴んで指を沈める。仰向けになるとまた感じ方が違うのか、シウが静かに熱い吐息を漏らしている。釣られてゼンの胸の奥の熱がゆらりとうごめいた気がして、思わず顔をそむけた。
窓の外はすでに暗い。ランプの灯りが、ざらついて白く濁る玻璃窓に規則的に反射している。
ゼンがあれこれするより、シウに無理やり何かさせたほうがいいのかもしれない。
新たな作戦でいくことにした。
シウの前で、上着を脱ぎ上半身を晒す。鍛え上げられた筋肉はランプの灯りを照りかえし、隙間ないほどに刻まれた古傷が濃い陰影を彩る。切り傷、猛獣の爪痕、尖ったもので穿たれた傷、焼けただれた痕。
腹にも背中にもびっしりとついた傷跡を見て、シウが小さく息を飲む。ゼンの身体は、女性からみて気持ちが良いものではないはずだ。今日ばかりは自分の古傷に感謝した。これなら、シウも嫌がるだろう。
華奢な腕を掴んで乱暴に引き起こし、自身の胸元にシウの顔を押し当てる。
「俺を喜ばせてみろ」
てっきり、できませんって言われると思ったのに。
すぐに古傷に口づけられて、ぴくりとゼンの身体がふるえた。経験が無いわりに、意外とうまい。ぎこちないながら、ゼンの身体に舌を這わせ、愛撫めいたものをしてくる。あっという間に、ゼンの方が音をあげかけた。
あんまり攻められ慣れてなかったな、と、ゼンは今ごろ気づいたがもう遅い。
こうして、”無理やり舐めさせて嫌がられる作戦”もあっさり失敗におわった。
主導権を握らせたらダメ、ということかもしれない。
ゼンは、危機感を演出してみることにした。
紅い舌で丹念にゼンの乳首を舐めているシウの腰を掴み、服越しに彼女の股間に自身のモノを押しあてる。今までの刺激で十分すぎるほど、ゼンの身体は反応していた。男性経験が少ないならば、これを押しつければ怖がるだろう。
「あ……やっ……」
小さく怯える声にかまわず、腰を押しつけて何度も下から突きあげるようにこする。身体をかがめて、豊かなおっぱいに唇を押しあてた。膨らみを唇でこねながら乳首を食めば、小さくシウの身体がふるえる。
手で触るのもいいが、舐めるのもいい。ずっと反応がよくて、それがまたゼンをたかぶらせた。
身体を引いて逃げようとするシウのふくらみを追って、さらに深く唇を埋め込む。彼女が反応するたびに揺れるので、そのたびに執拗に咥えなおす。
「やぁっ……待って、待ってください」
シウの懇願の声に、ゼンは安堵のため息をつく。やっと拒絶してくれた、と。
ほっとして身体を離すゼンの耳に、衣擦れの音が響く。今までシウの下半身を包んでいた服が床に落ちる。
そっと身体を預けてきたシウは、一糸まとわぬ姿だった。見下ろせば、小さく震えるシウの滑らかな背中から続く腰のラインがよく見える。
とりあえず、尻を揉んだ。おっぱいもよかったが、尻もやわらかくて揉み心地が良い。おっぱいほど柔らかくないが、指をはね返す弾力が心地よい。わざと割れ目をひらくように何度も揉みこむ。割れ目の奥で確かにささやかな水音がした。
「んっ……んんっ……」
シウのくぐもった甘い声に誘われて、彼女の頬に、耳に執拗に口づける。
今までで一番だめな作戦が、失敗に終わった瞬間だった。完全に逆効果だった。なぜなら、ゼンがその気になってしまったから。
最初におっぱい押しつけられたときから、ゼンはずっと我慢していた。ここまでしても逃げたり拒絶したりしないのなら、最後までしてしまおうか。乱暴に抱けば、嫌になって出ていくかもしれない。
妥協につぐ妥協のすえ、ゼンの思考は肉欲に完全に流され、ささやかに残る理性はみる影もなかった。
このおっぱいは良い。悪くない。張りがあり、揉みごこちもよく、ゼンの大きな手にもほどよい大きさだ。揉みあげるたびに、可愛い吐息が漏れたりするのも良い。ずっと揉んどきたいくらいだ。
問題は、この相手である。ゼンの膝の中にすっぽり入り、背を向けて身体をゼンにあずけて、おっぱい揉まれまくっている少女。商売女ならともかく、そうじゃない。
しゃべるのは苦手なゼンだが、さすがにずっとだまっているわけにはいかず、気力をふるいたたせて声をかける。
「シウ、こういう経験は?」
耳元でささやくと、少女⸺シウが、ふるふると首を振った。
まあそうだよな、と思いつつ、身をかがめて耳たぶにキスして、乳首を指で挟んでかるくしごく。
「ぁ…………ふ……」
小柄な少女は綺麗にゼンの膝の中におさまり、小さく身体を震わせている。ゼンは、やや窮屈にちぢこまりながら少女の耳に、頬に、唇でふれた。
「んっ……っ……」
「今、何歳?」
「じゅ、十六です」
ゼンより五歳以上も年下である。
なるほど、それでこの弾力か。
納得しながら乳首を押し込むようにぐりぐりと揉む。弾む感触が手に気持ち良い。
「あっ、はぁ……やぁっ」
肩越しに見上げてくる琥珀色の瞳は、ちょっとうるんで泣きそうだ。眉もへにょっとしたハの字になっている。
ゼンの知るかぎり、彼女⸺シウは街の小さな菓子店で働いているごく普通の女の子で、ゼンはその店の常連客だ。
ところどころ金の混じる栗色の髪に、色白だが健康的な肌。ゼンは顔の美醜についてはうといが、それでもシウが整っている部類だということはわかる。
つまり、本来ならゼンみたいな生業の男が、おっぱい揉める子ではない。
「タジルに、どこまで触られた?」
「ん、服の、うえから、胸を」
タジルは服越しなのに、ゼンは生で揉んでしまっている。しまったなと思いながらも、おっぱいを寄せて軽く持ち上げた。
すぐに汚く笑うハゲ親父が、たわわなふくらみを揉んでいるところをつい想像してしまう。タジルはいわゆる奴隷商だ。ちょっとした出来心から、奴隷女を物色してみようと思いたち、タジルの店をのぞきにいったのが、今日の昼過ぎのこと。
店の中に入ったとたん、服を乱したシウが勢いよくゼンにぶつかったのが、今思えば発端である。タジルによれば、シウは大事な商品ということだった。ゼンはすぐにその場をおさめ、タジルの言い値でシウを買い取った。
「他には、唇も触られて……んっ」
あのハゲ親父は、キスもしてやがったらしい。思わず、おっぱいを揉む手に力が入る。
なんの説得力もないが、ゼンはシウを買い取ったからといって、彼女の身体をどうこうしようというつもりはなかった。おっぱい揉むつもりもなかった。今は乳首とんとんしているが。
「唇、どんな風に?」
ゼンの踏みこんだ質問に、シウがひるむのがわかった。さすがに自分から、どんな風にタジルに唇を奪われたのか説明するのは恥ずかしいのだろう。
ゼンの目論見どおりである。
「無理なら、ここでやめておけ」
むしろ、やめるって言ってほしい。ゼンはおっぱい揉みながら、そう思った。
タジルからシウを買い取ったあと、ゼンはシウに言ったのだ。
どこへでもいけ、と。
もう自由だ、と。
ところが、行くところがないから置いてくれとしがみつかれた。「夜の相手もできない子供に用はない」とがんばって突き放したら「子供じゃないです」と真っ赤な顔で言いかえしてくる。
結局、シウはゼンの服のはしっこをつかんで、家まで着いてきた。ずっと泣きそうなシウに「俺は外で寝るから」と布団をぽんぽんしてやったら「ちゃんとできます」とおっぱいをゼンの手に押しつけてきて今である。
基本的に口下手なゼンは、どうしたものかと悩みながらもおっぱいの魅力にあらがえず、とりあえず揉んでいるのだった。
だからできれば、シウからやめたいと言ってほしかった。ゼンが断る理由はあまりないが、シウが断る理由はたくさんあるはずだ。
変に覚悟を決めずに、わがままに身勝手に拒絶してほしい。ゼンが、ちょっとどうかと思うくらいの大金をタジルに支払ったことなど、気にしないでほしい。
そう思いながら、おっぱいを揉む。
シウの働く菓子屋に行くたびに、エプロン越しに揺れるこのふくらみに興味がなかったといえば嘘になる。ひとり寝の夜に、シウで妄想したことも、一度や二度はある。いや、もう少し回数は多かったか。ほぼ毎日だったかもしれない。
でも、あの可憐な笑顔を、本当に汚したいとは思っていなかった。ただ、彼女自身は平和に幸せに、いつも笑顔であれば良いと思っていた。
唇に、遠慮がちに触れる指の感触。ふるえる吐息は、すぐ近くにあった。さきほどゼンがたずねた、どんな風にキスをしたか、の回答らしい。
間近で目が合う。真っ赤な顔したシウが、さっと目をつぶりそのまま唇を重ねてくる。
まさかの、言葉ではなく実演での説明。
”恥ずかしいことを言わせて嫌がられる作戦”はあえなく失敗した。
そんな真面目にしなくていいのに。
無理ですっていって、逃げてくれていいのに。
そう思いながら、シウの唇を受け入れる。唇が触れる瞬間、ゼンは無意識に拳を握りしめた。
おずおずと触れるだけのキスは次第に深さを増し、思わずゼンは息をひそめる。少し顔をかたむけながら、腰と肩に手をまわして抱きしめる。散々揉みまくったおっぱいが、今度は硬い胸筋のうえでつぶれた。
ぎこちないキスだった。ほとんど、キスなんてしたことないのだろう。
(なんとか、キスくらいでやめておかないと)
少しずつ深さを増すキスに内心焦りながら、ゼンは思考をめぐらす。
もっと嫌がられるように仕向けて、シウから拒絶させるのだ。不本意だが、ちょっと泣かせてしまうくらいは覚悟して。
「ん!? ……んむっ!」
顎をつかみ、荒々しく唇に噛みつくように吸いたてる。驚いたシウの隙をつき、口の中に無理やり舌を押し入れ、彼女のそれに絡ませる。激しく角度を変えながら、わざと音をたてた。
「んむっ、……むむっ!」
息苦しいのか、シウがいやいやするように首を振り、逃れようと身をよじる。
(嫌がられる方向性としては間違っていないな)
確信を得たゼンは、シウを押し倒し、さらに激しく彼女の唇をむさぼる。といっても、ゼンの重みで苦しくないよう気をつけることは忘れない。
簡素なマットレスにシーツと薄い毛布を敷いただけのゼンの寝床。きっといつもふわふわのベッドで寝ていたシウからすれば、床と変わらないだろう。
息継ぎをするように一度唇を離す。二人の間をつなぐ光る糸に、ゼンは動揺のあまりもう一度唇を重ねた。さきほど一瞬見てしまった色づく唇や、うるんだ琥珀色の瞳が、どうにも頭から離れない。
「ん……く……」
小さくシウの喉が動く。涙目で何を飲み込んでいるのか。あえて深く考えず、ゼンは柔らかな唇を堪能する。
シウの唇からこぼれる透明な筋を指でぬぐい、キスしながらおっぱいをまさぐる。あおむけに押し倒していても、その存在感は変わらない。吸いつく感触に指を沈めながら、シウの唇をぺろりと舐めた。
「美味いか?」
「は、はい……美味しい、です」
顔を真っ赤にし、目をうるませてシウがつぶやく。
少し遠くを見ているようなぼんやりとした琥珀色の瞳でみつめられて、ゼンはくらっとした。
予想していた反応と違う。
もうやめてくださいとか、嫌ですとか、あるんじゃないのか。
つまり、”ちょっと気持ち悪いキス作戦”も失敗した。
困りつつ、シウのおっぱいを揉む。上から押さえつけるようにぎゅむぎゅむとわし掴んで指を沈める。仰向けになるとまた感じ方が違うのか、シウが静かに熱い吐息を漏らしている。釣られてゼンの胸の奥の熱がゆらりとうごめいた気がして、思わず顔をそむけた。
窓の外はすでに暗い。ランプの灯りが、ざらついて白く濁る玻璃窓に規則的に反射している。
ゼンがあれこれするより、シウに無理やり何かさせたほうがいいのかもしれない。
新たな作戦でいくことにした。
シウの前で、上着を脱ぎ上半身を晒す。鍛え上げられた筋肉はランプの灯りを照りかえし、隙間ないほどに刻まれた古傷が濃い陰影を彩る。切り傷、猛獣の爪痕、尖ったもので穿たれた傷、焼けただれた痕。
腹にも背中にもびっしりとついた傷跡を見て、シウが小さく息を飲む。ゼンの身体は、女性からみて気持ちが良いものではないはずだ。今日ばかりは自分の古傷に感謝した。これなら、シウも嫌がるだろう。
華奢な腕を掴んで乱暴に引き起こし、自身の胸元にシウの顔を押し当てる。
「俺を喜ばせてみろ」
てっきり、できませんって言われると思ったのに。
すぐに古傷に口づけられて、ぴくりとゼンの身体がふるえた。経験が無いわりに、意外とうまい。ぎこちないながら、ゼンの身体に舌を這わせ、愛撫めいたものをしてくる。あっという間に、ゼンの方が音をあげかけた。
あんまり攻められ慣れてなかったな、と、ゼンは今ごろ気づいたがもう遅い。
こうして、”無理やり舐めさせて嫌がられる作戦”もあっさり失敗におわった。
主導権を握らせたらダメ、ということかもしれない。
ゼンは、危機感を演出してみることにした。
紅い舌で丹念にゼンの乳首を舐めているシウの腰を掴み、服越しに彼女の股間に自身のモノを押しあてる。今までの刺激で十分すぎるほど、ゼンの身体は反応していた。男性経験が少ないならば、これを押しつければ怖がるだろう。
「あ……やっ……」
小さく怯える声にかまわず、腰を押しつけて何度も下から突きあげるようにこする。身体をかがめて、豊かなおっぱいに唇を押しあてた。膨らみを唇でこねながら乳首を食めば、小さくシウの身体がふるえる。
手で触るのもいいが、舐めるのもいい。ずっと反応がよくて、それがまたゼンをたかぶらせた。
身体を引いて逃げようとするシウのふくらみを追って、さらに深く唇を埋め込む。彼女が反応するたびに揺れるので、そのたびに執拗に咥えなおす。
「やぁっ……待って、待ってください」
シウの懇願の声に、ゼンは安堵のため息をつく。やっと拒絶してくれた、と。
ほっとして身体を離すゼンの耳に、衣擦れの音が響く。今までシウの下半身を包んでいた服が床に落ちる。
そっと身体を預けてきたシウは、一糸まとわぬ姿だった。見下ろせば、小さく震えるシウの滑らかな背中から続く腰のラインがよく見える。
とりあえず、尻を揉んだ。おっぱいもよかったが、尻もやわらかくて揉み心地が良い。おっぱいほど柔らかくないが、指をはね返す弾力が心地よい。わざと割れ目をひらくように何度も揉みこむ。割れ目の奥で確かにささやかな水音がした。
「んっ……んんっ……」
シウのくぐもった甘い声に誘われて、彼女の頬に、耳に執拗に口づける。
今までで一番だめな作戦が、失敗に終わった瞬間だった。完全に逆効果だった。なぜなら、ゼンがその気になってしまったから。
最初におっぱい押しつけられたときから、ゼンはずっと我慢していた。ここまでしても逃げたり拒絶したりしないのなら、最後までしてしまおうか。乱暴に抱けば、嫌になって出ていくかもしれない。
妥協につぐ妥協のすえ、ゼンの思考は肉欲に完全に流され、ささやかに残る理性はみる影もなかった。
0
お気に入りに追加
178
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる