67 / 105
67. レアドロップ
しおりを挟む
67. レアドロップ
次の日の朝。オレは少し早く目を覚ます。夏休みだからこんなに早く起きる必要はないけど、なんか休みの日は早く起きてしまう。そのままあくびをしながら部屋を出てリビングに行くと、異様な光景が待っていた。
「へ?咲夜さん?」
そこには『ブレイブ☆ファンタジア』をプレイする咲夜さん。まさか寝ないでずっと攻略していたのか?テーブルの上には栄養ドリンクまで置いてある……そんなのいつの間に用意したんだ……。
「あぁ……おはよう颯太君……」
「お、おはよう……」
咲夜さんの顔を見ると目の下にクマができていた。これは徹夜明けの顔だな。しかもすごい眠そうだし。
「さすがに寝た方がいいんじゃ……」
「ダメ!ここで諦めたらなんだか負けたような気がするの……おかしいのよ……もうこの神龍を1000回は倒してるのに……出ないのよ……『神龍の杖』が!」
1000回って……どうやら相当苦戦しているようだ。
「ドロップ率が0.1%のはずなのに……くっ確率まで越えてくるのこのゲームは……恐るべしレアドロップ……。」
「そ、そうですか」
そこまでして出したいのか……コレクターの咲夜さんの気持ちはまぁ分からないでもないけど。
「後からまた倒したらいいんじゃないのか?」
そう軽く発言したことをすぐに後悔する。咲夜さんはコントローラーをテーブルに置いて、オレに詰め寄る。
「あのね颯太君。コレクターは順番に集めるのがセオリーなの!しかもこのダンジョンは入り組んでいて、この神龍までたどり着くのだってなかなかの時間もかかるし、第一、この装備は颯太君の武器なんだからいまここで諦めるわけにはいかないのよ。おわかり?」
「はい……」
咲夜さんはスイッチが入るといつもより早口になるんだよな……。でもこれ以上は咲夜さんの身体に負担がかかるし。
「ならオレがやるから、咲夜さんは少し仮眠したら?咲夜さんが倒れたら現実世界の魔王を倒せなくなるだろ?」
「……絶対先にすすまないでよ?もし、もしも、もしもだよ?『神龍の杖』がドロップしたら起こしてね!絶対よ!」
そう言う咲夜さんはすごく悔しそうな顔をしていたが部屋から布団を持ってきてソファーの上で横になった。ここで寝るのかよ咲夜さん……。というか現実世界の魔王ってなんだよオレ……。
そしてゲームを始めたが、隣にいる咲夜さんの寝息や寝顔が気になって正直ゲームに集中できなかった……。朝からオレには刺激が強すぎたのだった。
次の日の朝。オレは少し早く目を覚ます。夏休みだからこんなに早く起きる必要はないけど、なんか休みの日は早く起きてしまう。そのままあくびをしながら部屋を出てリビングに行くと、異様な光景が待っていた。
「へ?咲夜さん?」
そこには『ブレイブ☆ファンタジア』をプレイする咲夜さん。まさか寝ないでずっと攻略していたのか?テーブルの上には栄養ドリンクまで置いてある……そんなのいつの間に用意したんだ……。
「あぁ……おはよう颯太君……」
「お、おはよう……」
咲夜さんの顔を見ると目の下にクマができていた。これは徹夜明けの顔だな。しかもすごい眠そうだし。
「さすがに寝た方がいいんじゃ……」
「ダメ!ここで諦めたらなんだか負けたような気がするの……おかしいのよ……もうこの神龍を1000回は倒してるのに……出ないのよ……『神龍の杖』が!」
1000回って……どうやら相当苦戦しているようだ。
「ドロップ率が0.1%のはずなのに……くっ確率まで越えてくるのこのゲームは……恐るべしレアドロップ……。」
「そ、そうですか」
そこまでして出したいのか……コレクターの咲夜さんの気持ちはまぁ分からないでもないけど。
「後からまた倒したらいいんじゃないのか?」
そう軽く発言したことをすぐに後悔する。咲夜さんはコントローラーをテーブルに置いて、オレに詰め寄る。
「あのね颯太君。コレクターは順番に集めるのがセオリーなの!しかもこのダンジョンは入り組んでいて、この神龍までたどり着くのだってなかなかの時間もかかるし、第一、この装備は颯太君の武器なんだからいまここで諦めるわけにはいかないのよ。おわかり?」
「はい……」
咲夜さんはスイッチが入るといつもより早口になるんだよな……。でもこれ以上は咲夜さんの身体に負担がかかるし。
「ならオレがやるから、咲夜さんは少し仮眠したら?咲夜さんが倒れたら現実世界の魔王を倒せなくなるだろ?」
「……絶対先にすすまないでよ?もし、もしも、もしもだよ?『神龍の杖』がドロップしたら起こしてね!絶対よ!」
そう言う咲夜さんはすごく悔しそうな顔をしていたが部屋から布団を持ってきてソファーの上で横になった。ここで寝るのかよ咲夜さん……。というか現実世界の魔王ってなんだよオレ……。
そしてゲームを始めたが、隣にいる咲夜さんの寝息や寝顔が気になって正直ゲームに集中できなかった……。朝からオレには刺激が強すぎたのだった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
夜汽車の少女
高木康文
青春
・・夜汽車には、ひとつの光の部屋があります。そして人間模様・・そっと慰めるようなことです。
夜汽車に揺られて失意の旅をしたのは、もう半世紀も前だった。車両の電灯がやや黄色がかっている、そんな切ないスポットは、まるで私の心の中のようだと、少青年は想った。車両内にパラパラと空席もあるが、何も意識していない、行く宛も少青年にはもちろんどうでもよかった。そっと手を降ろして拾うと白いハンカチだった・・・。「あ、どうもありがとう。」斜め前にすわっている少女が微笑みながら、受けとった。「・いいえ、」列車がキィーンと泣くような汽笛を鳴らした。少女は十六か十七歳くらいに見える、髪を後ろにまとめた、ポニーテールの感じで、瞳がにこやかな透明な光をしていた。「どこまで行かれるの?」‥「・いえ、特に・・どこでも・・」「私はちえと言います。伯母さんと軽井沢の方へ、帰るところなのよ」・・「・夜汽車で慰められる気がしたので」「つらいわねぇ・・」・・「・・ええ、気力がなくて」「家には部屋だけいっぱいあります。早朝には着くから・・泊まっていきます?私には友だちが居ないの・:・」「・ええ、でもご両親が心配するでしょう」夜汽車はガタン・ゴトンと単調にリズムを刻む。「大丈夫ですよ。弱っている人は、助ける・・これは家訓ですから。私はこの娘の伯母です。」
「うわ、うれしいわ。元気出してね。」ちえさんは喜んで、パッと白と黄色の混ざった光を放った。・・「それでは、お言葉に甘えさせていただきます」少青年は言葉をしぼり出した。「私は光行と言います。・・光に行くという字ですが、光には縁も遠くて・・」「ちえさんは、明るい人ですね」「白いハンカチが何かを光ったのね」「詩は書けるけど・、僕は凡才のまま、母ももう亡くして、どうしたらいいかと考え中なんです。」まるで空から人生を背中にしょい込んだ旅人たちを、そして、宇宙から見守る光があるようだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる