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47. タイダルウェイブ
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47. タイダルウェイブ
オレと咲夜さんは偽りの恋人を演じながら茜と冬馬と水族館に遊びに来ている。今は館内を歩いているが、オレの前の方では冬馬が咲夜さんに話しかけている。が。咲夜さんはほとんど無視しているようだ。
咲夜さんはいつものモブキャラ生徒Aのままなので、オレは特になにもすることはない。このままなら別に付き合ってることにしなくてもやり過ごせそうな気がするな。
そんなことを考えていると学級委員長の城山茜がオレに話しかけてくる。
「ん?霧ヶ谷君!楽しんでる?」
「え?ああ」
「あー。分かった。柊さんに緊張してるんでしょ?美人だし、可愛いし、クールでミステリアスだよね~」
「そ、そうだな……」
茜はやたらと饒舌だった。しかも、なんかニヤついてるぞ……?
「なんだよ?」
「霧ヶ谷君って……柊さんのこと好きでしょ?ずっと柊さんのことばっかり見てるよ!」
「いや、それは……」
「またまたぁ~隠さなくていいから!応援してあげるよ!」
茜はそう言ってオレの腕を組んでくる。ちょっと待て!柔らかいものが当たってんだよ……これはまずいだろ!?
「おい!離せよ!!」
「ほら!早くしないと置いてかれちゃうよ?」
くっ……。仕方ないのか……?こんなところでバレるのは嫌だが、もう諦めようか……?それからしばらくして、イルカショーの会場に着いた。なぜか咲夜さんが不機嫌なような気がする。
「あの……」
「なんですか?」
「あっいえ……」
すると咲夜さんは2人には聞こえないくらい小さな声でオレに話しかけてくる。
「城山さんとずいぶん仲良いのね?霧ヶ谷君はああいう頭が良くて、明るくて、器量があって、身長が低くて、胸が大きくて、私とは正反対な人が好みなのね?」
「いや、別にそういうわけじゃ……」
「どうせ私は可愛げもないし、愛想もないわよ」
「……」
これってもしかしてヤキモチなのか?だとしたらめっちゃ嬉しいんだが……。それとも偽りの恋人だから?咲夜さんの徹底振りならあり得る……。どっちなんだ?
「あ、あの……怒ってます?」
「怒っていないわ」
絶対嘘だ!!だって顔はいつも通りのモブキャラ生徒Aだけどどことなく目が笑ってねぇもん!怖いよぉおおお!!!謝ろう。どっちにしても咲夜さんの誤解を解かないと!
「あの咲……」
そう言いかけた瞬間。大きな水飛沫が上がる音がした。そして次の瞬間。オレの顔に水が掛かる。
そう。イルカショーの水がかかったのだ。それもかなり盛大に。つまり……。
「おい霧ヶ谷と柊さん大丈夫か?」
「ああ……」
オレは返事をする。咲夜さんを見るとびしょ濡れになっていた。髪の毛からは雫が落ちていて、服も少し透けている。オレはすぐに自分の上着を脱いで咲夜さんに差し出す。
「これ羽織って」
「あ。……ありがとう」
茜と冬馬はタオルを借りに行ってくれた。咲夜さんは『ふふ。水属性耐性があって良かったわ。タイダルウェイブが来るなんて予想外ね』と呟いていた。その顔はどこか楽しそうだった。
オレと咲夜さんは偽りの恋人を演じながら茜と冬馬と水族館に遊びに来ている。今は館内を歩いているが、オレの前の方では冬馬が咲夜さんに話しかけている。が。咲夜さんはほとんど無視しているようだ。
咲夜さんはいつものモブキャラ生徒Aのままなので、オレは特になにもすることはない。このままなら別に付き合ってることにしなくてもやり過ごせそうな気がするな。
そんなことを考えていると学級委員長の城山茜がオレに話しかけてくる。
「ん?霧ヶ谷君!楽しんでる?」
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「そ、そうだな……」
茜はやたらと饒舌だった。しかも、なんかニヤついてるぞ……?
「なんだよ?」
「霧ヶ谷君って……柊さんのこと好きでしょ?ずっと柊さんのことばっかり見てるよ!」
「いや、それは……」
「またまたぁ~隠さなくていいから!応援してあげるよ!」
茜はそう言ってオレの腕を組んでくる。ちょっと待て!柔らかいものが当たってんだよ……これはまずいだろ!?
「おい!離せよ!!」
「ほら!早くしないと置いてかれちゃうよ?」
くっ……。仕方ないのか……?こんなところでバレるのは嫌だが、もう諦めようか……?それからしばらくして、イルカショーの会場に着いた。なぜか咲夜さんが不機嫌なような気がする。
「あの……」
「なんですか?」
「あっいえ……」
すると咲夜さんは2人には聞こえないくらい小さな声でオレに話しかけてくる。
「城山さんとずいぶん仲良いのね?霧ヶ谷君はああいう頭が良くて、明るくて、器量があって、身長が低くて、胸が大きくて、私とは正反対な人が好みなのね?」
「いや、別にそういうわけじゃ……」
「どうせ私は可愛げもないし、愛想もないわよ」
「……」
これってもしかしてヤキモチなのか?だとしたらめっちゃ嬉しいんだが……。それとも偽りの恋人だから?咲夜さんの徹底振りならあり得る……。どっちなんだ?
「あ、あの……怒ってます?」
「怒っていないわ」
絶対嘘だ!!だって顔はいつも通りのモブキャラ生徒Aだけどどことなく目が笑ってねぇもん!怖いよぉおおお!!!謝ろう。どっちにしても咲夜さんの誤解を解かないと!
「あの咲……」
そう言いかけた瞬間。大きな水飛沫が上がる音がした。そして次の瞬間。オレの顔に水が掛かる。
そう。イルカショーの水がかかったのだ。それもかなり盛大に。つまり……。
「おい霧ヶ谷と柊さん大丈夫か?」
「ああ……」
オレは返事をする。咲夜さんを見るとびしょ濡れになっていた。髪の毛からは雫が落ちていて、服も少し透けている。オレはすぐに自分の上着を脱いで咲夜さんに差し出す。
「これ羽織って」
「あ。……ありがとう」
茜と冬馬はタオルを借りに行ってくれた。咲夜さんは『ふふ。水属性耐性があって良かったわ。タイダルウェイブが来るなんて予想外ね』と呟いていた。その顔はどこか楽しそうだった。
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