【王都最強の崖っぷちクラン誕生!?】~戦えないやつはいらん。と追放されたスカウトはスカウトされたので、個性派メンバーを超絶サポートします!~

夕姫

文字の大きさ
上 下
47 / 51

47. いつもと違う?

しおりを挟む
47. いつもと違う?



 私たちは宿屋に戻り、ロデンブルグの北の山の中で発見された魔物の巣に向かうことをみんなに話した。そして翌日そのための準備をすることにする。

 私とキルマリアとリーゼは街に向かいアイテムや食料を買うことにした。リーゼは荷物持ちしてくれるので助かる。まぁキルマリアはただの暇潰しだと思うけどさ……。

「なんでキルマリアまでついてくるの?」

「ひどっ!あたしたちずっ友だと思ってたのに!」

「いや、だって準備をするだけよ?あなたリーゼみたいに荷物持ちしないじゃない」

「そりゃあそうだけど……でもなんかおもしろそーじゃん!」

 ほら、ただの暇潰しだよこいつ。私たちは必要なものを買い揃えていく。

「じゃあキルマリア、これお願いね」

「へ?なにこれ?」

「何って食料とかポーション類よ。あなたも持ちなさい」

「えー。めんどくさい……」

「いいから持って!持たないなら次は連れてこないわよ!」

「それはイヤだ!映えないし!」

「2人とも、なんで私よりお姉ちゃんなのに喧嘩してるんだろ~。ここ外だよ?」

 なんかリーゼに言われてしまった……。結局私が無理やり持たせたのだが、なんだかキルマリアがずっとブツブツ言ってたのは無視することにした。

 買い物を終えたあと広場で休憩をすることにした。キルマリアは張り切って飲み物を買いに行っている。本当に騒がしい奴だ。私は少し疲れたのでベンチに座って休む。

「ねぇねぇエステルちゃん。キルマリアちゃんがいると楽しいね!」

「楽しいというより騒がしいかな。でもまぁ退屈はしないよね」

「えー。でもエステルちゃん楽しそうだよ?」

 ……マジ?楽しくなくはないけどさ……。そんな風に思われてるのがなぜか気に入らないけど。そんなことを考えているとキルマリアが戻ってきた。

「あれ?どうしたの?」

「なんでもないわよ。うるさいわね」

「え?エステル姉さんなぜか激おこ!?あたしなんかした!?とりあえずこのベリージュースあげるから機嫌直してよ!」

 キルマリアから受け取ったジュースを飲む。うん美味しい。ちょっと落ち着いたかも。

「あのさエステル姉さん。もう買い物は終わったんでしょ?なら、あたしの買い物に付き合ってよ!」

「キルマリアの買い物?」

「なんか欲しいものあるのキルマリアちゃん?」

「マジ?あたしいつもと違くない?どんだけあたしに興味ないの2人とも?」

 うるさい。別にキルマリアなんかに興味ないわよ。というか早く行きたいんだけど……。早く宿屋に帰りたいし。

「わかったわよ。どこに行けばいいの?」

「やった!ありがとエステル姉さん!んじゃ行こう!」

 そう言ってキルマリアに連れられて歩き出す。しばらく歩くと一軒の防具屋にたどり着いた。

「防具?」

「もう!まだわかんないかな?トレードマーク!あたしのスカーフ!この前焦げたじゃん?今日は緑色でしょ?やっぱり赤じゃないと映えないし!」

 あんたはアサシンでしょ。映えるな。というか暖色系を選ぶな。少しくらい忍んだほうがいいわよキルマリアは。

「だから新しいの買いに来たんだよ。赤色のやつ!」

「ん~。それだったらこれなんてどうかな?」

 リーゼが赤い色のスカーフを見せてくれた。でも……キルマリアなら確かに似合うかもしれない。

「おぉ!めっちゃ良いじゃん!それにする!」

 決めるの早いわね……。まぁいいか。私たち3人はお金を払って店を出る。そして宿屋に戻ることにした。キルマリアは帰るや否や買った赤いスカーフを身につけて喜んでいる。

「ほらほら!見てみて!可愛いでしょ!映えてない?」

「はいはい。良かったわね」

「うぅ~。なんか冷たい反応だな~エステル姉さんは!ゲイルのおじさんやレミーナ姉さんはわかってくれるよね?」

「オレに聞くなよ」

「猫柄じゃないならどれも一緒です」

「ほらほら!みんな冷たくない?あたしの個性を大事にしてくれない!ぴえん!」

 お前は個性を主張するな。アサシンらしく静かに生きなさいよ。まったく……。

「私はキルマリアちゃんの赤いスカーフ可愛くて似合ってると思うよ!」

「おお~!リーゼ!心の友よ~!」

 キルマリアがリーゼに抱きつく。なんか微笑ましい光景だな。とにかく今は明日の準備をしないと。私たちはこうして明日の準備をしていくのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

いい子ちゃんなんて嫌いだわ

F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが 聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。 おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。 どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。 それが優しさだと思ったの?

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

【短編】追放した仲間が行方不明!?

mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。 ※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。

勇者、追放される ~仲間がクズばかりだったので、魔王とお茶してのんびり過ごす。戻ってこいと言われても断固拒否。~

秋鷺 照
ファンタジー
 強すぎて勇者になってしまったレッグは、パーティーを追放され、一人で魔王城へ行く。美味しいと噂の、魔族領の茶を飲むために!(ちゃんと人類も守る)

処理中です...