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32. まだまだ崖っぷち
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32. まだまだ崖っぷち
グランたちとの勝負を終え、私たち『妖精の隠れ家』はダンジョン攻略を成功することができた。
まあ、課題は結構残ったし、私はほとんど何もしてないんだけどね……。それでも今は素直に喜ぶことにした。
ちなみに負けたグランたちは何でも言うことを1つ聞くことになっていたので一週間『妖精の隠れ家』のビラを王都で配るらしい。
私は今、ミルフィと共に王都のカフェに来ている。まぁ報酬も入ったし、少しくらい贅沢したいしね!私も女性らしくなってきたわね……なんて思いながら紅茶を飲む。うん、美味しい。
「いやー、しかし今回は本当に死ぬかと思いましたわね……」
ミルフィはしみじみと呟いた。
「確かにね。でもみんな無事だったんだから良かったじゃない」
私がそう返すと、彼女は大きなため息をつく。
「それはそうなんですけど……。なんというかもっとスマートに攻略したかったですわよね?」
「まぁ、そうね。」
あの時は必死だったから仕方がないとはいえ、もう少し余裕があったらよかったかなとは思う。まだまだ私は修行が足りないようだ。
「まぁ、次は大丈夫よ。私たちは強くなってきてるんだもの!」
私のその言葉を聞いて、ミルフィは小さく微笑む。そしてカップを口に運ぶと再び話し始めた。
「それより聞きました?北のロデンブルグの件。なんでも魔物が活発化していて、騎士団まで動き出しているようですわよ」
「えっ!?それ本当!?」
まさかそんなことになってたなんて……。
「ええ。つい最近わかったみたいですけど、どうやらかなり大規模なスタンピードが発生する可能性があるとか……」
「うへぇ~、そりゃ大変ね~」
私は大きく伸びをしながら答えた。
「他人事ではありませんわよ。ここもいつ襲われるかわかりませんわ。それにギルドにも依頼がくる可能性もありますし。」
「まあ、その時はその時でしょ。今は私たちが出来ることをしましょう」
そう言って残りの紅茶に口をつける。まさかあんなことになるなんて、この時の私は知る由もなかった……。
◇◇◇
-妖精の隠れ家-
「はい!?今なんて言ったんですかアリシアさん!?」
「だーかーらー、北のロデンブルグの魔物討伐に『妖精の隠れ家』が参戦するって言ったの」
「参戦するって……私たちこの前初めてダンジョン攻略したパーティーですよ!?いくらなんでも早すぎじゃ……」
私の言葉を聞いたアリシアさんの表情が変わる。
「あら、何か勘違いしているようだけどこれは指名依頼だから拒否権はないわよエステルちゃん。」
「ええっ!?指名依頼!?」
予想外のことに思わず声を上げる。するとそれを聞いていたリーゼとルシルがこちらにやってきた。
「マスター、指名依頼なんかこの『妖精の隠れ家』にくるの?そんなに有名になっちゃったの?」
「ええ!?ダンジョン攻略したくらいでそこまで……ぼっボクたち有名になったんですか?」
「ふふっ。違うわよ。私たちはこの前のダンジョン攻略で、なんとかクランを継続できるようになったの。っで。そこでギルドから『クランの継続をしたいのならロデンブルグの魔物討伐に参加して功績をあげろ』って言われたのよ!まだまだ私たちは崖っぷちクランなのよね。」
まだまだ私たちは崖っぷちクランなのよね。じゃないですよアリシアさん……しかもなんか笑ってるし……。
「みんなに拒否権は無いから覚悟しておいてね。拒否したら殺すから?」
「……はい。やります。」
笑顔なのに怖いってどういう事ですか……。最近アリシアさん、私に厳しくなってないですか?気のせいですか?
「ふふ。素直な子は好きよ。とりあえず出発までは時間があるから、しっかりと準備をするようにね。」
時間があるとはいえ、魔物討伐の依頼ということだよね。私って何かの役にたつのかしらね?
こうして私たちはロデンブルグに向かうことになったのだが、まだこの時は知らなかった。この先起こる事件の大きさを。そして、これが新たな出会いの始まりになることを……。
グランたちとの勝負を終え、私たち『妖精の隠れ家』はダンジョン攻略を成功することができた。
まあ、課題は結構残ったし、私はほとんど何もしてないんだけどね……。それでも今は素直に喜ぶことにした。
ちなみに負けたグランたちは何でも言うことを1つ聞くことになっていたので一週間『妖精の隠れ家』のビラを王都で配るらしい。
私は今、ミルフィと共に王都のカフェに来ている。まぁ報酬も入ったし、少しくらい贅沢したいしね!私も女性らしくなってきたわね……なんて思いながら紅茶を飲む。うん、美味しい。
「いやー、しかし今回は本当に死ぬかと思いましたわね……」
ミルフィはしみじみと呟いた。
「確かにね。でもみんな無事だったんだから良かったじゃない」
私がそう返すと、彼女は大きなため息をつく。
「それはそうなんですけど……。なんというかもっとスマートに攻略したかったですわよね?」
「まぁ、そうね。」
あの時は必死だったから仕方がないとはいえ、もう少し余裕があったらよかったかなとは思う。まだまだ私は修行が足りないようだ。
「まぁ、次は大丈夫よ。私たちは強くなってきてるんだもの!」
私のその言葉を聞いて、ミルフィは小さく微笑む。そしてカップを口に運ぶと再び話し始めた。
「それより聞きました?北のロデンブルグの件。なんでも魔物が活発化していて、騎士団まで動き出しているようですわよ」
「えっ!?それ本当!?」
まさかそんなことになってたなんて……。
「ええ。つい最近わかったみたいですけど、どうやらかなり大規模なスタンピードが発生する可能性があるとか……」
「うへぇ~、そりゃ大変ね~」
私は大きく伸びをしながら答えた。
「他人事ではありませんわよ。ここもいつ襲われるかわかりませんわ。それにギルドにも依頼がくる可能性もありますし。」
「まあ、その時はその時でしょ。今は私たちが出来ることをしましょう」
そう言って残りの紅茶に口をつける。まさかあんなことになるなんて、この時の私は知る由もなかった……。
◇◇◇
-妖精の隠れ家-
「はい!?今なんて言ったんですかアリシアさん!?」
「だーかーらー、北のロデンブルグの魔物討伐に『妖精の隠れ家』が参戦するって言ったの」
「参戦するって……私たちこの前初めてダンジョン攻略したパーティーですよ!?いくらなんでも早すぎじゃ……」
私の言葉を聞いたアリシアさんの表情が変わる。
「あら、何か勘違いしているようだけどこれは指名依頼だから拒否権はないわよエステルちゃん。」
「ええっ!?指名依頼!?」
予想外のことに思わず声を上げる。するとそれを聞いていたリーゼとルシルがこちらにやってきた。
「マスター、指名依頼なんかこの『妖精の隠れ家』にくるの?そんなに有名になっちゃったの?」
「ええ!?ダンジョン攻略したくらいでそこまで……ぼっボクたち有名になったんですか?」
「ふふっ。違うわよ。私たちはこの前のダンジョン攻略で、なんとかクランを継続できるようになったの。っで。そこでギルドから『クランの継続をしたいのならロデンブルグの魔物討伐に参加して功績をあげろ』って言われたのよ!まだまだ私たちは崖っぷちクランなのよね。」
まだまだ私たちは崖っぷちクランなのよね。じゃないですよアリシアさん……しかもなんか笑ってるし……。
「みんなに拒否権は無いから覚悟しておいてね。拒否したら殺すから?」
「……はい。やります。」
笑顔なのに怖いってどういう事ですか……。最近アリシアさん、私に厳しくなってないですか?気のせいですか?
「ふふ。素直な子は好きよ。とりあえず出発までは時間があるから、しっかりと準備をするようにね。」
時間があるとはいえ、魔物討伐の依頼ということだよね。私って何かの役にたつのかしらね?
こうして私たちはロデンブルグに向かうことになったのだが、まだこの時は知らなかった。この先起こる事件の大きさを。そして、これが新たな出会いの始まりになることを……。
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