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17. 決意表明
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17. 決意表明
無事ギルドの依頼を達成することが出来た私たちはそのまま『妖精の隠れ家』に帰ることにする。
「あのエステル?」
「ん?どうかした?」
「私……その……」
ミルフィは少し俯きながら何かを言おうとしているのだが、中々言い出せないでいるようだ。私はそんな彼女を見かねて助け舟を出すことにした。
「ふぅ。サポートするのは私の仕事だから、今さら1人増えたところで変わらないわよ」
「エステル……」
「ミルフィ姉さんも仲間になってくれるの?それはアゲアゲだね!」
「よろしくねミルフィちゃん!」
「ボクも精一杯お手伝いしますからね!頼ってください!」
3人にそう言われ、ようやく決心できたのか彼女の表情に笑顔が戻った。
「みんなありがとう!これから一緒に頑張りましょう!よろしくお願いしますわ!」
こうして私たち5人は正式にパーティを組むことになった。そしてそのまま『妖精の隠れ家』に戻り、ミルフィはみんなに挨拶をした。一番はアリシアさんが喜んでいたけどね。
その後ミルフィは案内された自分の部屋へと戻っていき、今は2階の部屋で寝ている。今日はかなり疲れたみたいだしゆっくり休んでもらいたい。
さてと、それじゃあ明日に向けての準備をしなくちゃいけないな。私は残りのマッピングの作業をしていく。細かく作るのが私の仕事だから。
「あら?まだ起きていたのエステルちゃん。」
「あっアリシアさん。明日のダンジョン攻略のために必要なので作っているんですよ。」
「そう。なんか色々押し付けちゃってごめんね?」
「いえいえ、気にしないでください。これは私がやりたいことなので。それに……みんなの役に立てるなら嬉しいですから。」
私はそう言って微笑む。するとアリシアさんは私にホットミルクを出してこう言った。
「少し話を聞いてくれないかしら?エステルちゃんには聞いてほしいことがあるの。」
「えっと……はい。」
一体なんの話だろうと思いつつ私はカップに入った温かいミルクを口にする。うん美味しい。やっぱり夜になると冷えるし、温かい飲み物があるといいよね。
「ありがとう。それでねエステルちゃん。あなたにはキルマリアちゃん。リーゼちゃん。そしてルシルちゃんのことを話しておこうと思ってね」
「えっ!?」
まさかここで3人の話を聞けるとは思っていなかった。どうして急に?と思ったけど、とりあえず最後まで聞くことにしよう。
「まず最初にキルマリアちゃんについて話すわね。彼女はね……結構有名なパーティーにいたのよ。でもね強くなればなるほど、彼女は『アサシン』としてしか必要とされなくなった。ほらキルマリアちゃんはおしゃべりでしょ?だからパーティーから追放されたの。」
「……」
「次はリーゼちゃんね。彼女は小さい頃から力のコントロールができない子でね。親からも捨てられたのよ。それを私が拾ったんだけど、最初は心を閉ざしていて何も喋ってくれなかった。だから無理矢理連れ出して一緒に魔物討伐をするようになったのよ。」
「……」
「最後はルシルちゃん……いやルシオ君ね。彼は可愛い物が大好きな心優しい少年だった。だけどそのせいで周りの子たちに嫌われていじめられていたの。そして更に家からも追い出された。」
アリシアさんはそう言うと懐かしそうな顔をしていた。確かに3人とも私にとっては大切な仲間だ。だけど彼女たちにも色々な過去があったんだと思うと胸が苦しくなった。
「ねえエステルちゃん。今のみんなはさ、なんのしがらみもなく自由に生きていると思わない?少しでも『妖精の隠れ家』がみんなのためになっているなら、私がクランを作った意味があるんだと思うんだ。」
アリシアさんの言葉はとても優しく私の心に響いた。そうだよね。今までだって私はいろんな人に支えてもらってきた。だから私も誰かを支えられるようにならないとダメなんだ。そんな存在になりたい。
「あのアリシアさん。私はもっと強くなります。みんなのために戦えるくらいに強くなって、そして私もこの『妖精の隠れ家』を守りたいんです。」
「そう……それがあなたの答えなのね?」
そう、これは私の決意表明でもある。だからこそ私はアリシアさんの目を見てはっきりと答える。すると彼女はとても嬉しそうに微笑んでくれた。
「ふふふ。やっぱりあなたをスカウトして良かったわ。これからもよろしくねエステルちゃん!」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
改めてみんなの過去を知り、私はこれからみんなと共に『妖精の隠れ家』で頑張っていくことを決めたのだった。
無事ギルドの依頼を達成することが出来た私たちはそのまま『妖精の隠れ家』に帰ることにする。
「あのエステル?」
「ん?どうかした?」
「私……その……」
ミルフィは少し俯きながら何かを言おうとしているのだが、中々言い出せないでいるようだ。私はそんな彼女を見かねて助け舟を出すことにした。
「ふぅ。サポートするのは私の仕事だから、今さら1人増えたところで変わらないわよ」
「エステル……」
「ミルフィ姉さんも仲間になってくれるの?それはアゲアゲだね!」
「よろしくねミルフィちゃん!」
「ボクも精一杯お手伝いしますからね!頼ってください!」
3人にそう言われ、ようやく決心できたのか彼女の表情に笑顔が戻った。
「みんなありがとう!これから一緒に頑張りましょう!よろしくお願いしますわ!」
こうして私たち5人は正式にパーティを組むことになった。そしてそのまま『妖精の隠れ家』に戻り、ミルフィはみんなに挨拶をした。一番はアリシアさんが喜んでいたけどね。
その後ミルフィは案内された自分の部屋へと戻っていき、今は2階の部屋で寝ている。今日はかなり疲れたみたいだしゆっくり休んでもらいたい。
さてと、それじゃあ明日に向けての準備をしなくちゃいけないな。私は残りのマッピングの作業をしていく。細かく作るのが私の仕事だから。
「あら?まだ起きていたのエステルちゃん。」
「あっアリシアさん。明日のダンジョン攻略のために必要なので作っているんですよ。」
「そう。なんか色々押し付けちゃってごめんね?」
「いえいえ、気にしないでください。これは私がやりたいことなので。それに……みんなの役に立てるなら嬉しいですから。」
私はそう言って微笑む。するとアリシアさんは私にホットミルクを出してこう言った。
「少し話を聞いてくれないかしら?エステルちゃんには聞いてほしいことがあるの。」
「えっと……はい。」
一体なんの話だろうと思いつつ私はカップに入った温かいミルクを口にする。うん美味しい。やっぱり夜になると冷えるし、温かい飲み物があるといいよね。
「ありがとう。それでねエステルちゃん。あなたにはキルマリアちゃん。リーゼちゃん。そしてルシルちゃんのことを話しておこうと思ってね」
「えっ!?」
まさかここで3人の話を聞けるとは思っていなかった。どうして急に?と思ったけど、とりあえず最後まで聞くことにしよう。
「まず最初にキルマリアちゃんについて話すわね。彼女はね……結構有名なパーティーにいたのよ。でもね強くなればなるほど、彼女は『アサシン』としてしか必要とされなくなった。ほらキルマリアちゃんはおしゃべりでしょ?だからパーティーから追放されたの。」
「……」
「次はリーゼちゃんね。彼女は小さい頃から力のコントロールができない子でね。親からも捨てられたのよ。それを私が拾ったんだけど、最初は心を閉ざしていて何も喋ってくれなかった。だから無理矢理連れ出して一緒に魔物討伐をするようになったのよ。」
「……」
「最後はルシルちゃん……いやルシオ君ね。彼は可愛い物が大好きな心優しい少年だった。だけどそのせいで周りの子たちに嫌われていじめられていたの。そして更に家からも追い出された。」
アリシアさんはそう言うと懐かしそうな顔をしていた。確かに3人とも私にとっては大切な仲間だ。だけど彼女たちにも色々な過去があったんだと思うと胸が苦しくなった。
「ねえエステルちゃん。今のみんなはさ、なんのしがらみもなく自由に生きていると思わない?少しでも『妖精の隠れ家』がみんなのためになっているなら、私がクランを作った意味があるんだと思うんだ。」
アリシアさんの言葉はとても優しく私の心に響いた。そうだよね。今までだって私はいろんな人に支えてもらってきた。だから私も誰かを支えられるようにならないとダメなんだ。そんな存在になりたい。
「あのアリシアさん。私はもっと強くなります。みんなのために戦えるくらいに強くなって、そして私もこの『妖精の隠れ家』を守りたいんです。」
「そう……それがあなたの答えなのね?」
そう、これは私の決意表明でもある。だからこそ私はアリシアさんの目を見てはっきりと答える。すると彼女はとても嬉しそうに微笑んでくれた。
「ふふふ。やっぱりあなたをスカウトして良かったわ。これからもよろしくねエステルちゃん!」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
改めてみんなの過去を知り、私はこれからみんなと共に『妖精の隠れ家』で頑張っていくことを決めたのだった。
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