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4. 組み合わせを考えましょう
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4. 組み合わせを考えましょう
夜も更け、ベッドに入り今日の事を思い出す。私は『妖精の隠れ家』の一員となった。後から聞いて驚いたのだけどこの『妖精の隠れ家』はギルドに認められた冒険者クランらしい。
この王都のギルドは『ソロ・パーティー制』と『クラン制』がある。
『ソロ・パーティー制』とは、一人から五人までの少人数で組むパーティーだ。冒険者は、まず最初に『ソロ・パーティー制』を選ぶ者が多い。これは、気楽に仲間を募れる利点があるからだ。自由度が高い。
そして、パーティーを組んでみて、どうしても相容れないメンバーがいたりすると、パーティーを脱退や追放をしたりできる。私みたいに……。ギルドが管理する依頼をこなすので報酬の3割はギルド側に持っていかれるけど保証はある。
一方『クラン制』は、様々な冒険者が大人数で組む。メリットとしては、メンバーの仲が深まることだろう。ギルドの依頼も全員で受けることになるし、連携も取りやすい。
人気のあるクランには優秀なパーティーが多数参加している話も聞くし、依頼人がギルドを通さずに直接依頼をするケースもある。その場合の報酬は全額もらえる。
で。『妖精の隠れ家』は一応ギルドに認められたクランの1つらしいけど……実績もなければ、貧民街に拠点があることもあり、全く存在が知られていないようだ。
でも、ギルドが認めるのだからアリシアさんは昔、相当実績がすごかったに違いない。
そしてメンバー。一言で言えば超がつくほどの個性派集団だ。
時代遅れのジョブ『スカウト』の私。
すごくおしゃべりな陽キャの『アサシン』のキルマリア。
腰痛持ちでドクターストップ診断されてる剣聖の『ソードマスター』のゲイルさん。
すぐ物を壊す怪力の破壊魔少女『ストライカー』のリーゼ。
超絶美少女の男の娘『クレリック』のルシル。いやルシオ。
そしてなぜかすぐ殺したがるリーダーの『ハイウィザード』のアリシアさん。
あとは非戦闘員だけど、何でも作れるけど中途半端に料理が不味い料理人のロザリーさん。
無表情で愛想なし、メイドの格好をしている看板娘レミーナさん。
という感じだ。なんかまともなの私だけでは?でも、この個性的な面々が私は嫌いではない。むしろ今は好きだと思ってしまっている。こんな人たちと一緒なら楽しくやっていけそうな気がする。
「明日からも頑張ろう」
そう思いながら眠りについた。
朝になり目を覚ます。今日も天気が良い。カーテンを開けると太陽の光が差し込んできた。
身支度を整えて部屋を出ると、そこにはキルマリアとリーゼ、そしてルシルがいた。
「おは!エステル姉さん」
「おはようエステルちゃん!」
「おはようございますエステルさん」
この3人は私より年下だから話しやすい。挨拶をして一緒に店内に向かう。するとすでにロザリーさんの料理が並んでいた。
「さぁさぁ元気が出るようにいっぱい食べるなの!」
「どれも美味しそうね。みんな食べ……」
私がそう言ったと同時に3人はものすごい勢いでお目当ての物を持っていく。
「あたしはミルクだけでいいや!」
「私はこのフルーツ!」
「ボクはこのパンで!」
そしていなくなる……。そしてその場には私とロザリーさんが取り残される。目の前にはロザリーさんの料理……。
「なんなのあの子達?せっかく作ったのに」
「私はいただきますよ」
「ありがたいなのー。残さず食べるなの!」
私はロザリーさんが作った料理を口に運ぶ。うっ……美味しくない……。というかマズイ。食べれないことはないから、それがまたムカつく。見た目は綺麗なのに味が全くしない。何これ!?
「どうしたなの?」
「いえ……なんでもないです!」
私は涙目で朝食を終えた。そして準備を整え店の外に出ると、そこにキルマリアとルシルが待っていた。
「あっエステル姉さん。早速ロザリーさんの料理の洗礼どうだった?不味すぎてマジでウケるでしょ?」
「ウケはしない。なんか胃が痛いような気がするけどね……」
「これ解毒のポーションです飲んでください。」
ルシルそれは失礼でしょ。いくらなんでも。とりあえず私はそのポーションを飲み、2人と共にギルドの依頼を探しに行くことにする。本当はリーゼも一緒だったんだけど、昨日壊した扉を直すため大工の手伝いに行ったようだ。
ちなみに『妖精の隠れ家』はギルドの依頼をする人と酒場で働く人がいる複合クランでもある。
しばらくキルマリアの後をついて行くとギルドにたどり着く。その頃には解毒ポーションが効いたのか胃は痛くなくなっていた。本当に毒が入ってたりして?とかは考えないようにする。ギルドに入り、クエストボードの前に立つ。
「どれにしようかな~」
うーん。私たちのジョブは『スカウト』『アサシン』『クレリック』だからあまり討伐系の依頼は受けられない。そうなると……やっぱり採取とかになるよね。
「よし!決めたお姉さんこれよろ!」
キルマリアは一枚の依頼書を取り受け付けに渡す。私もそれを見てみる。
『ブラックウルフ討伐』
報酬額:銀貨1枚
場所:東の森
依頼主 :冒険者ギルド
草生えた。なんで討伐依頼なんだ……。
「はい。確かに受理しました。では気をつけて行ってきてください」
こうして私の新たな場所での初めての依頼が始まるのだった。
夜も更け、ベッドに入り今日の事を思い出す。私は『妖精の隠れ家』の一員となった。後から聞いて驚いたのだけどこの『妖精の隠れ家』はギルドに認められた冒険者クランらしい。
この王都のギルドは『ソロ・パーティー制』と『クラン制』がある。
『ソロ・パーティー制』とは、一人から五人までの少人数で組むパーティーだ。冒険者は、まず最初に『ソロ・パーティー制』を選ぶ者が多い。これは、気楽に仲間を募れる利点があるからだ。自由度が高い。
そして、パーティーを組んでみて、どうしても相容れないメンバーがいたりすると、パーティーを脱退や追放をしたりできる。私みたいに……。ギルドが管理する依頼をこなすので報酬の3割はギルド側に持っていかれるけど保証はある。
一方『クラン制』は、様々な冒険者が大人数で組む。メリットとしては、メンバーの仲が深まることだろう。ギルドの依頼も全員で受けることになるし、連携も取りやすい。
人気のあるクランには優秀なパーティーが多数参加している話も聞くし、依頼人がギルドを通さずに直接依頼をするケースもある。その場合の報酬は全額もらえる。
で。『妖精の隠れ家』は一応ギルドに認められたクランの1つらしいけど……実績もなければ、貧民街に拠点があることもあり、全く存在が知られていないようだ。
でも、ギルドが認めるのだからアリシアさんは昔、相当実績がすごかったに違いない。
そしてメンバー。一言で言えば超がつくほどの個性派集団だ。
時代遅れのジョブ『スカウト』の私。
すごくおしゃべりな陽キャの『アサシン』のキルマリア。
腰痛持ちでドクターストップ診断されてる剣聖の『ソードマスター』のゲイルさん。
すぐ物を壊す怪力の破壊魔少女『ストライカー』のリーゼ。
超絶美少女の男の娘『クレリック』のルシル。いやルシオ。
そしてなぜかすぐ殺したがるリーダーの『ハイウィザード』のアリシアさん。
あとは非戦闘員だけど、何でも作れるけど中途半端に料理が不味い料理人のロザリーさん。
無表情で愛想なし、メイドの格好をしている看板娘レミーナさん。
という感じだ。なんかまともなの私だけでは?でも、この個性的な面々が私は嫌いではない。むしろ今は好きだと思ってしまっている。こんな人たちと一緒なら楽しくやっていけそうな気がする。
「明日からも頑張ろう」
そう思いながら眠りについた。
朝になり目を覚ます。今日も天気が良い。カーテンを開けると太陽の光が差し込んできた。
身支度を整えて部屋を出ると、そこにはキルマリアとリーゼ、そしてルシルがいた。
「おは!エステル姉さん」
「おはようエステルちゃん!」
「おはようございますエステルさん」
この3人は私より年下だから話しやすい。挨拶をして一緒に店内に向かう。するとすでにロザリーさんの料理が並んでいた。
「さぁさぁ元気が出るようにいっぱい食べるなの!」
「どれも美味しそうね。みんな食べ……」
私がそう言ったと同時に3人はものすごい勢いでお目当ての物を持っていく。
「あたしはミルクだけでいいや!」
「私はこのフルーツ!」
「ボクはこのパンで!」
そしていなくなる……。そしてその場には私とロザリーさんが取り残される。目の前にはロザリーさんの料理……。
「なんなのあの子達?せっかく作ったのに」
「私はいただきますよ」
「ありがたいなのー。残さず食べるなの!」
私はロザリーさんが作った料理を口に運ぶ。うっ……美味しくない……。というかマズイ。食べれないことはないから、それがまたムカつく。見た目は綺麗なのに味が全くしない。何これ!?
「どうしたなの?」
「いえ……なんでもないです!」
私は涙目で朝食を終えた。そして準備を整え店の外に出ると、そこにキルマリアとルシルが待っていた。
「あっエステル姉さん。早速ロザリーさんの料理の洗礼どうだった?不味すぎてマジでウケるでしょ?」
「ウケはしない。なんか胃が痛いような気がするけどね……」
「これ解毒のポーションです飲んでください。」
ルシルそれは失礼でしょ。いくらなんでも。とりあえず私はそのポーションを飲み、2人と共にギルドの依頼を探しに行くことにする。本当はリーゼも一緒だったんだけど、昨日壊した扉を直すため大工の手伝いに行ったようだ。
ちなみに『妖精の隠れ家』はギルドの依頼をする人と酒場で働く人がいる複合クランでもある。
しばらくキルマリアの後をついて行くとギルドにたどり着く。その頃には解毒ポーションが効いたのか胃は痛くなくなっていた。本当に毒が入ってたりして?とかは考えないようにする。ギルドに入り、クエストボードの前に立つ。
「どれにしようかな~」
うーん。私たちのジョブは『スカウト』『アサシン』『クレリック』だからあまり討伐系の依頼は受けられない。そうなると……やっぱり採取とかになるよね。
「よし!決めたお姉さんこれよろ!」
キルマリアは一枚の依頼書を取り受け付けに渡す。私もそれを見てみる。
『ブラックウルフ討伐』
報酬額:銀貨1枚
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依頼主 :冒険者ギルド
草生えた。なんで討伐依頼なんだ……。
「はい。確かに受理しました。では気をつけて行ってきてください」
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