4 / 51
4. 組み合わせを考えましょう
しおりを挟む
4. 組み合わせを考えましょう
夜も更け、ベッドに入り今日の事を思い出す。私は『妖精の隠れ家』の一員となった。後から聞いて驚いたのだけどこの『妖精の隠れ家』はギルドに認められた冒険者クランらしい。
この王都のギルドは『ソロ・パーティー制』と『クラン制』がある。
『ソロ・パーティー制』とは、一人から五人までの少人数で組むパーティーだ。冒険者は、まず最初に『ソロ・パーティー制』を選ぶ者が多い。これは、気楽に仲間を募れる利点があるからだ。自由度が高い。
そして、パーティーを組んでみて、どうしても相容れないメンバーがいたりすると、パーティーを脱退や追放をしたりできる。私みたいに……。ギルドが管理する依頼をこなすので報酬の3割はギルド側に持っていかれるけど保証はある。
一方『クラン制』は、様々な冒険者が大人数で組む。メリットとしては、メンバーの仲が深まることだろう。ギルドの依頼も全員で受けることになるし、連携も取りやすい。
人気のあるクランには優秀なパーティーが多数参加している話も聞くし、依頼人がギルドを通さずに直接依頼をするケースもある。その場合の報酬は全額もらえる。
で。『妖精の隠れ家』は一応ギルドに認められたクランの1つらしいけど……実績もなければ、貧民街に拠点があることもあり、全く存在が知られていないようだ。
でも、ギルドが認めるのだからアリシアさんは昔、相当実績がすごかったに違いない。
そしてメンバー。一言で言えば超がつくほどの個性派集団だ。
時代遅れのジョブ『スカウト』の私。
すごくおしゃべりな陽キャの『アサシン』のキルマリア。
腰痛持ちでドクターストップ診断されてる剣聖の『ソードマスター』のゲイルさん。
すぐ物を壊す怪力の破壊魔少女『ストライカー』のリーゼ。
超絶美少女の男の娘『クレリック』のルシル。いやルシオ。
そしてなぜかすぐ殺したがるリーダーの『ハイウィザード』のアリシアさん。
あとは非戦闘員だけど、何でも作れるけど中途半端に料理が不味い料理人のロザリーさん。
無表情で愛想なし、メイドの格好をしている看板娘レミーナさん。
という感じだ。なんかまともなの私だけでは?でも、この個性的な面々が私は嫌いではない。むしろ今は好きだと思ってしまっている。こんな人たちと一緒なら楽しくやっていけそうな気がする。
「明日からも頑張ろう」
そう思いながら眠りについた。
朝になり目を覚ます。今日も天気が良い。カーテンを開けると太陽の光が差し込んできた。
身支度を整えて部屋を出ると、そこにはキルマリアとリーゼ、そしてルシルがいた。
「おは!エステル姉さん」
「おはようエステルちゃん!」
「おはようございますエステルさん」
この3人は私より年下だから話しやすい。挨拶をして一緒に店内に向かう。するとすでにロザリーさんの料理が並んでいた。
「さぁさぁ元気が出るようにいっぱい食べるなの!」
「どれも美味しそうね。みんな食べ……」
私がそう言ったと同時に3人はものすごい勢いでお目当ての物を持っていく。
「あたしはミルクだけでいいや!」
「私はこのフルーツ!」
「ボクはこのパンで!」
そしていなくなる……。そしてその場には私とロザリーさんが取り残される。目の前にはロザリーさんの料理……。
「なんなのあの子達?せっかく作ったのに」
「私はいただきますよ」
「ありがたいなのー。残さず食べるなの!」
私はロザリーさんが作った料理を口に運ぶ。うっ……美味しくない……。というかマズイ。食べれないことはないから、それがまたムカつく。見た目は綺麗なのに味が全くしない。何これ!?
「どうしたなの?」
「いえ……なんでもないです!」
私は涙目で朝食を終えた。そして準備を整え店の外に出ると、そこにキルマリアとルシルが待っていた。
「あっエステル姉さん。早速ロザリーさんの料理の洗礼どうだった?不味すぎてマジでウケるでしょ?」
「ウケはしない。なんか胃が痛いような気がするけどね……」
「これ解毒のポーションです飲んでください。」
ルシルそれは失礼でしょ。いくらなんでも。とりあえず私はそのポーションを飲み、2人と共にギルドの依頼を探しに行くことにする。本当はリーゼも一緒だったんだけど、昨日壊した扉を直すため大工の手伝いに行ったようだ。
ちなみに『妖精の隠れ家』はギルドの依頼をする人と酒場で働く人がいる複合クランでもある。
しばらくキルマリアの後をついて行くとギルドにたどり着く。その頃には解毒ポーションが効いたのか胃は痛くなくなっていた。本当に毒が入ってたりして?とかは考えないようにする。ギルドに入り、クエストボードの前に立つ。
「どれにしようかな~」
うーん。私たちのジョブは『スカウト』『アサシン』『クレリック』だからあまり討伐系の依頼は受けられない。そうなると……やっぱり採取とかになるよね。
「よし!決めたお姉さんこれよろ!」
キルマリアは一枚の依頼書を取り受け付けに渡す。私もそれを見てみる。
『ブラックウルフ討伐』
報酬額:銀貨1枚
場所:東の森
依頼主 :冒険者ギルド
草生えた。なんで討伐依頼なんだ……。
「はい。確かに受理しました。では気をつけて行ってきてください」
こうして私の新たな場所での初めての依頼が始まるのだった。
夜も更け、ベッドに入り今日の事を思い出す。私は『妖精の隠れ家』の一員となった。後から聞いて驚いたのだけどこの『妖精の隠れ家』はギルドに認められた冒険者クランらしい。
この王都のギルドは『ソロ・パーティー制』と『クラン制』がある。
『ソロ・パーティー制』とは、一人から五人までの少人数で組むパーティーだ。冒険者は、まず最初に『ソロ・パーティー制』を選ぶ者が多い。これは、気楽に仲間を募れる利点があるからだ。自由度が高い。
そして、パーティーを組んでみて、どうしても相容れないメンバーがいたりすると、パーティーを脱退や追放をしたりできる。私みたいに……。ギルドが管理する依頼をこなすので報酬の3割はギルド側に持っていかれるけど保証はある。
一方『クラン制』は、様々な冒険者が大人数で組む。メリットとしては、メンバーの仲が深まることだろう。ギルドの依頼も全員で受けることになるし、連携も取りやすい。
人気のあるクランには優秀なパーティーが多数参加している話も聞くし、依頼人がギルドを通さずに直接依頼をするケースもある。その場合の報酬は全額もらえる。
で。『妖精の隠れ家』は一応ギルドに認められたクランの1つらしいけど……実績もなければ、貧民街に拠点があることもあり、全く存在が知られていないようだ。
でも、ギルドが認めるのだからアリシアさんは昔、相当実績がすごかったに違いない。
そしてメンバー。一言で言えば超がつくほどの個性派集団だ。
時代遅れのジョブ『スカウト』の私。
すごくおしゃべりな陽キャの『アサシン』のキルマリア。
腰痛持ちでドクターストップ診断されてる剣聖の『ソードマスター』のゲイルさん。
すぐ物を壊す怪力の破壊魔少女『ストライカー』のリーゼ。
超絶美少女の男の娘『クレリック』のルシル。いやルシオ。
そしてなぜかすぐ殺したがるリーダーの『ハイウィザード』のアリシアさん。
あとは非戦闘員だけど、何でも作れるけど中途半端に料理が不味い料理人のロザリーさん。
無表情で愛想なし、メイドの格好をしている看板娘レミーナさん。
という感じだ。なんかまともなの私だけでは?でも、この個性的な面々が私は嫌いではない。むしろ今は好きだと思ってしまっている。こんな人たちと一緒なら楽しくやっていけそうな気がする。
「明日からも頑張ろう」
そう思いながら眠りについた。
朝になり目を覚ます。今日も天気が良い。カーテンを開けると太陽の光が差し込んできた。
身支度を整えて部屋を出ると、そこにはキルマリアとリーゼ、そしてルシルがいた。
「おは!エステル姉さん」
「おはようエステルちゃん!」
「おはようございますエステルさん」
この3人は私より年下だから話しやすい。挨拶をして一緒に店内に向かう。するとすでにロザリーさんの料理が並んでいた。
「さぁさぁ元気が出るようにいっぱい食べるなの!」
「どれも美味しそうね。みんな食べ……」
私がそう言ったと同時に3人はものすごい勢いでお目当ての物を持っていく。
「あたしはミルクだけでいいや!」
「私はこのフルーツ!」
「ボクはこのパンで!」
そしていなくなる……。そしてその場には私とロザリーさんが取り残される。目の前にはロザリーさんの料理……。
「なんなのあの子達?せっかく作ったのに」
「私はいただきますよ」
「ありがたいなのー。残さず食べるなの!」
私はロザリーさんが作った料理を口に運ぶ。うっ……美味しくない……。というかマズイ。食べれないことはないから、それがまたムカつく。見た目は綺麗なのに味が全くしない。何これ!?
「どうしたなの?」
「いえ……なんでもないです!」
私は涙目で朝食を終えた。そして準備を整え店の外に出ると、そこにキルマリアとルシルが待っていた。
「あっエステル姉さん。早速ロザリーさんの料理の洗礼どうだった?不味すぎてマジでウケるでしょ?」
「ウケはしない。なんか胃が痛いような気がするけどね……」
「これ解毒のポーションです飲んでください。」
ルシルそれは失礼でしょ。いくらなんでも。とりあえず私はそのポーションを飲み、2人と共にギルドの依頼を探しに行くことにする。本当はリーゼも一緒だったんだけど、昨日壊した扉を直すため大工の手伝いに行ったようだ。
ちなみに『妖精の隠れ家』はギルドの依頼をする人と酒場で働く人がいる複合クランでもある。
しばらくキルマリアの後をついて行くとギルドにたどり着く。その頃には解毒ポーションが効いたのか胃は痛くなくなっていた。本当に毒が入ってたりして?とかは考えないようにする。ギルドに入り、クエストボードの前に立つ。
「どれにしようかな~」
うーん。私たちのジョブは『スカウト』『アサシン』『クレリック』だからあまり討伐系の依頼は受けられない。そうなると……やっぱり採取とかになるよね。
「よし!決めたお姉さんこれよろ!」
キルマリアは一枚の依頼書を取り受け付けに渡す。私もそれを見てみる。
『ブラックウルフ討伐』
報酬額:銀貨1枚
場所:東の森
依頼主 :冒険者ギルド
草生えた。なんで討伐依頼なんだ……。
「はい。確かに受理しました。では気をつけて行ってきてください」
こうして私の新たな場所での初めての依頼が始まるのだった。
15
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
拝啓、私を追い出した皆様 いかがお過ごしですか?私はとても幸せです。
香木あかり
恋愛
拝啓、懐かしのお父様、お母様、妹のアニー
私を追い出してから、一年が経ちましたね。いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
治癒の能力を持つローザは、家業に全く役に立たないという理由で家族に疎まれていた。妹アニーの占いで、ローザを追い出せば家業が上手くいくという結果が出たため、家族に家から追い出されてしまう。
隣国で暮らし始めたローザは、実家の商売敵であるフランツの病気を治癒し、それがきっかけで結婚する。フランツに溺愛されながら幸せに暮らすローザは、実家にある手紙を送るのだった。
※複数サイトにて掲載中です
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる