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第5章 使用人とメイドさんとお友だち
49. 使用人と正直者
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49. 使用人と正直者
パフェを食べたあとは、エルナリア様が行きたいお店などを見て回る。そうして王都の街並みを見ていくうちに、オレもなんだか楽しくなってきていた。
マリアさんとエルナリア様を見ると令嬢とメイドではなくて、同世代の女の子同士の友達に見えてくる。
「ふぅ……さすがに少し疲れたわね」
「そうですね。それならあそこのベンチで休みましょうか?」
そう言ってマリアさんが指をさす方向に日差し避けのパラソルが付いたテーブル席があり、そこで休憩する事にした。
「あぁ~……疲れた~……」
椅子に座って背もたれにもたれかかるエルナリア様からは気品なんてものが一切感じられず、完全にだらけ切っていた。それを見たマリアさんが注意する。
「あの……エルナリア様だらしないですよ?もう少し貴族令嬢らしくしてください」
「今日は友達同士の遊びでしょ?そんな堅苦しいこと言わないでいいじゃない。そうは思わないカイル?」
「ちゃんとカイル君からも言ってほしいな。」
2人はオレに話を振ってきた。なんですかこのオレを求めるような視線は……。2人の美少女からのご褒美ですか?ありがとうございます!神様!
もちろんオレはマリアさんの意見に賛成だ。誰がなんと言おうともだ!オレを頼っても無駄だぞ銀髪ツインテールよ。
「マリアさんの言う通りですよ。友達でもあり、あなたは貴族令嬢なんですから、もうちょっと貴族の自覚を持ちましょう!」
「……ふーん。クビ」
「今日くらいは良くないですかマリアさん?いや~喉乾きましたね~」
「……格好悪いよカイル君」
うおおおおおお!クビを出すのは卑怯だぞ銀髪ツインテール!せっかくマリアさんの味方したのに!マリアさんのオレの印象が下がるだけなんだが!?
そのあとエルナリア様も喉が乾いたと言ってマリアさんは飲み物を買いに行ってしまう。なんか……悪いことしたよな。初対面の馬車の時と同じエルナリア様と2人きりになる。せっかくだから聞いておきたいことがあったので聞くことにする。
「あのエルナリア様?マリアさんは分かるんですけど、なんでオレまでお付きの使用人に?オレそんなに仕事できます?」
「は?あんたは仕事できないわよ。それに遅刻はするし、ご主人の胸は見るし、特別格好良くもないし、性格だって別に普通だし、本当に男として10点くらいの男よ」
……オレ泣いちゃうよ?ってかそんなハッキリ言われると心に来るものがあるんだが……。まぁ事実だけどさ……。でもそこまではっきり言わなくてもよくない?オレが落ち込んでいるとエルナリア様は続けて話す。
「でもね。あんたは私のこと『目付きの悪い銀髪ツインテール』って言った。そんなことを言われたのは初めて。だからあなたは嘘をつかない正直者で信頼できるって思ったの。それだけよ」
そう言いながら微笑むエルナリア様の顔はとても可愛かった。これが俗に言うギャップ萌えというやつか……。
「そっか。じゃあ改めてこれからよろしくお願いしますエルナリア様。」
オレが握手を求めて手を差し出すと、少し照れくさそうにして手を握り返してきた。そして2人で笑い合う。するとマリアさんが帰ってきた。
「あれ?何してるの?2人とも仲良しさんだね!」
「べ、別に仲良くなんてないわ!それより飲み物買ってきたんでしょ!?早く渡しなさい!」
恥ずかしそうにするエルナリア様を見て、マリアさんはニコニコしながら紙コップを渡してきた。
「はいどうぞ。カイル君の分もあるからね」
「ありがとうございます」
「それじゃあ飲み物を飲んだらお屋敷に戻りましょうか。あまり遅いとイライザ様やメリッサさんに怒られそうだし」
「えぇ!まだまだ遊び足りないわ!もっと遊びましょう!」
「ダメですよ。それにまた遊べます。私たちは友達ですから」
マリアさんはそう可愛く言ってウインクをした。その姿はまさに女神だった。オレも思わずドキッとする。やっぱりマリアさんが好きだ。絶対に振り向かせてみせるぞ!
こうしてお忍びのお出掛けは終了した。ちなみにお屋敷に帰り、案の定オレとマリアさんとエルナリア様は、イライザ様とメリッサさんに怒られたのだった。
パフェを食べたあとは、エルナリア様が行きたいお店などを見て回る。そうして王都の街並みを見ていくうちに、オレもなんだか楽しくなってきていた。
マリアさんとエルナリア様を見ると令嬢とメイドではなくて、同世代の女の子同士の友達に見えてくる。
「ふぅ……さすがに少し疲れたわね」
「そうですね。それならあそこのベンチで休みましょうか?」
そう言ってマリアさんが指をさす方向に日差し避けのパラソルが付いたテーブル席があり、そこで休憩する事にした。
「あぁ~……疲れた~……」
椅子に座って背もたれにもたれかかるエルナリア様からは気品なんてものが一切感じられず、完全にだらけ切っていた。それを見たマリアさんが注意する。
「あの……エルナリア様だらしないですよ?もう少し貴族令嬢らしくしてください」
「今日は友達同士の遊びでしょ?そんな堅苦しいこと言わないでいいじゃない。そうは思わないカイル?」
「ちゃんとカイル君からも言ってほしいな。」
2人はオレに話を振ってきた。なんですかこのオレを求めるような視線は……。2人の美少女からのご褒美ですか?ありがとうございます!神様!
もちろんオレはマリアさんの意見に賛成だ。誰がなんと言おうともだ!オレを頼っても無駄だぞ銀髪ツインテールよ。
「マリアさんの言う通りですよ。友達でもあり、あなたは貴族令嬢なんですから、もうちょっと貴族の自覚を持ちましょう!」
「……ふーん。クビ」
「今日くらいは良くないですかマリアさん?いや~喉乾きましたね~」
「……格好悪いよカイル君」
うおおおおおお!クビを出すのは卑怯だぞ銀髪ツインテール!せっかくマリアさんの味方したのに!マリアさんのオレの印象が下がるだけなんだが!?
そのあとエルナリア様も喉が乾いたと言ってマリアさんは飲み物を買いに行ってしまう。なんか……悪いことしたよな。初対面の馬車の時と同じエルナリア様と2人きりになる。せっかくだから聞いておきたいことがあったので聞くことにする。
「あのエルナリア様?マリアさんは分かるんですけど、なんでオレまでお付きの使用人に?オレそんなに仕事できます?」
「は?あんたは仕事できないわよ。それに遅刻はするし、ご主人の胸は見るし、特別格好良くもないし、性格だって別に普通だし、本当に男として10点くらいの男よ」
……オレ泣いちゃうよ?ってかそんなハッキリ言われると心に来るものがあるんだが……。まぁ事実だけどさ……。でもそこまではっきり言わなくてもよくない?オレが落ち込んでいるとエルナリア様は続けて話す。
「でもね。あんたは私のこと『目付きの悪い銀髪ツインテール』って言った。そんなことを言われたのは初めて。だからあなたは嘘をつかない正直者で信頼できるって思ったの。それだけよ」
そう言いながら微笑むエルナリア様の顔はとても可愛かった。これが俗に言うギャップ萌えというやつか……。
「そっか。じゃあ改めてこれからよろしくお願いしますエルナリア様。」
オレが握手を求めて手を差し出すと、少し照れくさそうにして手を握り返してきた。そして2人で笑い合う。するとマリアさんが帰ってきた。
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「はいどうぞ。カイル君の分もあるからね」
「ありがとうございます」
「それじゃあ飲み物を飲んだらお屋敷に戻りましょうか。あまり遅いとイライザ様やメリッサさんに怒られそうだし」
「えぇ!まだまだ遊び足りないわ!もっと遊びましょう!」
「ダメですよ。それにまた遊べます。私たちは友達ですから」
マリアさんはそう可愛く言ってウインクをした。その姿はまさに女神だった。オレも思わずドキッとする。やっぱりマリアさんが好きだ。絶対に振り向かせてみせるぞ!
こうしてお忍びのお出掛けは終了した。ちなみにお屋敷に帰り、案の定オレとマリアさんとエルナリア様は、イライザ様とメリッサさんに怒られたのだった。
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