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615. 姫は『楽しみ』らしいです

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615. 姫は『楽しみ』らしいです




 無事に『ルート47。あなたの街にお邪魔しちゃいます!』の撮影を終え、Vlogカメラで撮影したデータをスタッフさんに渡してオレは部屋に戻る。

「明日は……戻ってから、事務所のスタジオでオープニングとエンディングを撮影か。あとオリジナルユニット曲の仮歌の確認もしないと、あ。コラボの日程いつだっけ……」

 ……この時期は忙しいな。普段の配信に更に『すたライ』の歌とダンスの練習など……本当に頭がパンクしそうだ。そんなことを考えながらやらなければいけない物をまとめていると、部屋の扉がノックされる。

 ……誰だろう?こんな時間に。扉を開けると、そこには両手にコンビニで買ったお菓子やらお酒の入った袋を持った七海と明日香ちゃんの姿があった。

「……なに?」

「お~い。ずいぶん冷たいんじゃない?せっかく遊びに来たのにさ」

「せっかくだから颯太っちと飲みたいな~って。入っていいでしょ?ほらほら、お邪魔しま~すw」

 2人は遠慮なく部屋の中に入ってきてしまった。オレに断る権利はないのか?

「まだ作業が残ってるんだが?」

「ん?あたしもサイン書くから」

「アタシは4期生のユニット曲を覚えないと」

「なら自分の部屋で良くないか?」

「あのさ。こんなに可愛い年下の女の子が2人で、1人寂しく作業してる颯太を心配してきたんだよ?そんな言い方ないじゃん」

「え……ごめん……」

 そう言われてしまうと反論出来ないな。確かにわざわざ誘ってくれたんだもんな……というわけで、各々作業をしながら3人で軽く飲むことになった。まぁ少しくらいならいいか。

「颯太。残り今年1ヶ月だけど何かやることあるの?」

「やること?まぁ……この前の姓名判断のコラボは今年中にやるつもりだよ」

「あれ良かったですよね!企画は彩芽ちゃんでしたっけ?目の付け所が違いますよね!アタシもああいう企画考えたいw」

「そうだね。彩芽ちゃんはだいぶ成長したよ。というか、一ノ瀬さんから聞いたけど来年から土日の20時に4期生と5期生が公式のバラエティー枠やるんでしょ?」

「そうなの?明日香スゴいじゃん」

 来年からは4期生と5期生が、それぞれ20時から2時間の枠をもらうことになっている。……本当にありがたい話だ。こうして事務所に育ててもらっていることに感謝しかないな。

「そうなんですよ!しかも事務所の方針で4期生は1人1時間で隔週、5期生は色々な組み合わせで2時間らしくて……」

「いいじゃん。どうせ4期生は仲悪いんだしw」

「それやめてよw別に仲悪くないから。というか4期生にスパルタ過ぎませんか?って感じですよw」

「まぁでも、4期生はそもそもVパレスプロダクションのバラエティー枠の対抗の人選だし、運営も4期生に自分の企画を持ってもらいたいんじゃない?『グランメゾン・リリィ』や『シスターいのりのお悩み相談室』みたいな。1期生と2期生はなんか今さら感あるし、3期生は箱のイメージがあるし、5期生はまだ認知度が低い。オレは4期生が適任だと思うよ」

「そうだよ。あたしなんて自分の企画ないんだからね?」

「そっか。七海ちゃんお先w」

「何マウント取ってんだよお前w罰として飲めw」

 七海と明日香ちゃんは笑いながらビールを飲む。本当に仲良いな2人は。

「みんな何やるか決めてるの明日香?」

「奏さんは『かなえの音楽部屋』。ゲストを呼んで雑談と歌を歌うって。なんか他箱のライバーさんや個人勢、歌い手さんなんかも将来的に呼びたいって言ってた」

「夢花かなえらしくていいんじゃない?個人勢の時の知り合いとかもいそうだしな。それこそ他箱のライバーさんとの絡みが増えるなら嬉しいことだよ」

「で、栄美さんは『華麗なる一族三姉妹』、凛花さんは『ラビラビカジノ』をやるって」

「そこはシリーズ化ね。配信も反響はあったし、確かに2人の企画ではあるよね。明日香は何やるの?」

「ふっふっふ。アタシはなんと……『えるるラボ』です!莉央さんとユニット組むことになったんですよ!秋の配信ウィークで言っていたことが実現したんです!最高!」

 確かにそんなこと言っていたか。こうやって後輩が成長していくのを見ると、先輩としては嬉しいよな。今は総勢21名のライバーがいるFmすたーらいぶ。来年からも楽しみだな。
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