682 / 693
609. 姫は『振られる』そうです
しおりを挟む
609. 姫は『振られる』そうです
玲奈ちゃんの凸待ちの翌日。時間は23時少し前。オレはえるるちゃんこと柊明日香ちゃんにオレが『姫宮ましろ』だと話すために事務所の会議室で待っている……のだが……
「明日香遅くない?」
「いや。まだ23時じゃないから……というかなんで日咲さんがいるんだ?」
「収録が長引いてさ?帰ろうかと思ったけど、颯太が正体を話すんだっけ?って思い出したから来た」
「思い出したから来たって……別に遊びじゃないんだが?」
「いいじゃん。颯太だってあたしが居た方が話しやすいでしょ?あたしが最高のタイミングで颯太に振ってあげるからさ!」
話しやすいとかそういう問題ではないんだけどな。最高のタイミング……全然期待できない。ただ面白がってるだけだよな日咲さん。
「そういえばさっき収録にえるるのマネちゃんがいたんだけど、『ついにこの日が来ましたね!』ってめっちゃ嬉しそうだったよw」
「え?オレが正体を明かすのがそんなに嬉しいことなのか?」
「嬉しいというより……秘密の共有でしょ?あたし思うけど、意外にマネージャーさんやスタッフさんのほうが気をつけてるんじゃない?」
「確かにそうかもな……」
「でもさ、『姫宮ましろが男である』という秘密を会社が守ってるんだから、それだけ颯太に期待してるんだろうね?」
「嬉しい限りだよ本当に」
だからこそ、会社が必要な時以外は絶対に秘密を守る必要がある。それだけFmすたーらいぶの『姫宮ましろ』は大きい存在だからな。そんなこと思っていると会議室の扉が開かれ、明日香ちゃんがやってくる。
「お疲れ様です。え?神崎マネージャーさん?七海ちゃん?」
「お疲れ。そこ座りなよ明日香」
「え。アタシこの会議室で合ってます?」
「合ってるって。ねぇ颯太?」
「ああ……」
とりあえずオレの目の前に座る明日香ちゃん。というか……日咲さんが居て完全にタイミングを逃しているのだが……
「明日香。今日何してたの?」
「ボイトレとダンスレッスンだよ。すたライの。ほら4期生のオリジナル曲の」
「おお……大変だね。あたしたち1期生は今回ないから。あっでもオリジナルユニットあるか。明日香は姫のところだっけ?」
「そうなんだよ~!アタシ大丈夫かな……姫先輩と会ったことないし、普通に音痴だしさ……七海ちゃんアドバイスとかある?」
「颯太に聞いたら?」
「神崎マネージャーさんに?」
突然無茶振りする日咲さん。雑すぎるぞ……さすがにここで本題に入れるわけがない。
「というか、奏さんと栄美さんに聞いたんだけどお2人って仲良いんですね?」
「まぁね。ほらあたしと颯太は……ね?」
「親友だよな?」
「え?」
「羨ましい~!アタシも異性の親友ほしいなぁ~」
日咲さんはオレのことをジト目で見てくる。いやいや、そんな振りじゃオレは納得しないよ?ここまで来たら完璧な振りをして貰わないと。と何故か配信みたいなことを思いながら、雑談をし30分が経っていた。
「あの……そういえば、今日何で呼ばれたんですかね?アタシ、マネちゃんから言われて来たんで何も知らないんですけど……何か聞いてます?」
「あー……あたしは関係ないんだよねw」
「え?」
「颯太が明日香に用があるんだよね?」
完全に飽きたのか、オレに振る日咲さん。うん……まぁいいか。いつまでも雑談に付き合わせるのも悪いしな。オレは一呼吸置いて、明日香ちゃんに話を切り出す。
「えっと明日香ちゃん、日咲さんの言う通り、今日はオレが明日香ちゃんに大事な話があって呼んだんだ。いいかな?」
「はっはい……」
オレの真剣な表情に驚いたのか、明日香ちゃんは背筋を伸ばす。そんなに畏まらなくてもいいんだが……いやオレが緊張させているのかもな。なら早めに終わらせた方がいいな。オレは気持ちを切り替えて本題を話し始める。
「……さっき話に出ていた通り、今回のすたライはオリジナルユニットを組むことになっているんだけど、明日香ちゃんは『姫と親衛隊』。だから話さなければならないことがあるんだ。それは……Fmすたーらいぶ1期生の『姫宮ましろ』はオレなんだ」
「へ?」
オレの発言に明日香ちゃんは目を丸くし、口をポカーンと開けていた。まぁ……そうだよな。でもオレは話を続ける。
「えっと……信じられないかもしれないけど、本当にオレが『姫宮ましろ』なんだ。それで今回、明日香ちゃんが『姫と親衛隊』のユニットを組むから話しておかないといけなくて。他の人は全員知っているから」
「え?いや……ちょっと待ってください!神崎マネージャーさんは男性ですよね!?姫先輩って……女性じゃないんですか!?」
完全にパニックになる明日香ちゃん。まぁ……そうだよな。今まで女性だと思っていた人が男だったなんて言われたら、誰だってこうなるよな。あとは明日香ちゃんが認めてくれるかどうかだな。
玲奈ちゃんの凸待ちの翌日。時間は23時少し前。オレはえるるちゃんこと柊明日香ちゃんにオレが『姫宮ましろ』だと話すために事務所の会議室で待っている……のだが……
「明日香遅くない?」
「いや。まだ23時じゃないから……というかなんで日咲さんがいるんだ?」
「収録が長引いてさ?帰ろうかと思ったけど、颯太が正体を話すんだっけ?って思い出したから来た」
「思い出したから来たって……別に遊びじゃないんだが?」
「いいじゃん。颯太だってあたしが居た方が話しやすいでしょ?あたしが最高のタイミングで颯太に振ってあげるからさ!」
話しやすいとかそういう問題ではないんだけどな。最高のタイミング……全然期待できない。ただ面白がってるだけだよな日咲さん。
「そういえばさっき収録にえるるのマネちゃんがいたんだけど、『ついにこの日が来ましたね!』ってめっちゃ嬉しそうだったよw」
「え?オレが正体を明かすのがそんなに嬉しいことなのか?」
「嬉しいというより……秘密の共有でしょ?あたし思うけど、意外にマネージャーさんやスタッフさんのほうが気をつけてるんじゃない?」
「確かにそうかもな……」
「でもさ、『姫宮ましろが男である』という秘密を会社が守ってるんだから、それだけ颯太に期待してるんだろうね?」
「嬉しい限りだよ本当に」
だからこそ、会社が必要な時以外は絶対に秘密を守る必要がある。それだけFmすたーらいぶの『姫宮ましろ』は大きい存在だからな。そんなこと思っていると会議室の扉が開かれ、明日香ちゃんがやってくる。
「お疲れ様です。え?神崎マネージャーさん?七海ちゃん?」
「お疲れ。そこ座りなよ明日香」
「え。アタシこの会議室で合ってます?」
「合ってるって。ねぇ颯太?」
「ああ……」
とりあえずオレの目の前に座る明日香ちゃん。というか……日咲さんが居て完全にタイミングを逃しているのだが……
「明日香。今日何してたの?」
「ボイトレとダンスレッスンだよ。すたライの。ほら4期生のオリジナル曲の」
「おお……大変だね。あたしたち1期生は今回ないから。あっでもオリジナルユニットあるか。明日香は姫のところだっけ?」
「そうなんだよ~!アタシ大丈夫かな……姫先輩と会ったことないし、普通に音痴だしさ……七海ちゃんアドバイスとかある?」
「颯太に聞いたら?」
「神崎マネージャーさんに?」
突然無茶振りする日咲さん。雑すぎるぞ……さすがにここで本題に入れるわけがない。
「というか、奏さんと栄美さんに聞いたんだけどお2人って仲良いんですね?」
「まぁね。ほらあたしと颯太は……ね?」
「親友だよな?」
「え?」
「羨ましい~!アタシも異性の親友ほしいなぁ~」
日咲さんはオレのことをジト目で見てくる。いやいや、そんな振りじゃオレは納得しないよ?ここまで来たら完璧な振りをして貰わないと。と何故か配信みたいなことを思いながら、雑談をし30分が経っていた。
「あの……そういえば、今日何で呼ばれたんですかね?アタシ、マネちゃんから言われて来たんで何も知らないんですけど……何か聞いてます?」
「あー……あたしは関係ないんだよねw」
「え?」
「颯太が明日香に用があるんだよね?」
完全に飽きたのか、オレに振る日咲さん。うん……まぁいいか。いつまでも雑談に付き合わせるのも悪いしな。オレは一呼吸置いて、明日香ちゃんに話を切り出す。
「えっと明日香ちゃん、日咲さんの言う通り、今日はオレが明日香ちゃんに大事な話があって呼んだんだ。いいかな?」
「はっはい……」
オレの真剣な表情に驚いたのか、明日香ちゃんは背筋を伸ばす。そんなに畏まらなくてもいいんだが……いやオレが緊張させているのかもな。なら早めに終わらせた方がいいな。オレは気持ちを切り替えて本題を話し始める。
「……さっき話に出ていた通り、今回のすたライはオリジナルユニットを組むことになっているんだけど、明日香ちゃんは『姫と親衛隊』。だから話さなければならないことがあるんだ。それは……Fmすたーらいぶ1期生の『姫宮ましろ』はオレなんだ」
「へ?」
オレの発言に明日香ちゃんは目を丸くし、口をポカーンと開けていた。まぁ……そうだよな。でもオレは話を続ける。
「えっと……信じられないかもしれないけど、本当にオレが『姫宮ましろ』なんだ。それで今回、明日香ちゃんが『姫と親衛隊』のユニットを組むから話しておかないといけなくて。他の人は全員知っているから」
「え?いや……ちょっと待ってください!神崎マネージャーさんは男性ですよね!?姫先輩って……女性じゃないんですか!?」
完全にパニックになる明日香ちゃん。まぁ……そうだよな。今まで女性だと思っていた人が男だったなんて言われたら、誰だってこうなるよな。あとは明日香ちゃんが認めてくれるかどうかだな。
13
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
催眠アプリで恋人を寝取られて「労働奴隷」にされたけど、仕事の才能が開花したことで成り上がり、人生逆転しました
フーラー
ファンタジー
「催眠アプリで女性を寝取り、ハーレムを形成するクソ野郎」が
ざまぁ展開に陥る、異色の異世界ファンタジー。
舞台は異世界。
売れないイラストレーターをやっている獣人の男性「イグニス」はある日、
チートスキル「催眠アプリ」を持つ異世界転移者「リマ」に恋人を寝取られる。
もともとイグニスは収入が少なく、ほぼ恋人に養ってもらっていたヒモ状態だったのだが、
リマに「これからはボクらを養うための労働奴隷になれ」と催眠をかけられ、
彼らを養うために働くことになる。
しかし、今のイグニスの収入を差し出してもらっても、生活が出来ないと感じたリマは、
イグニスに「仕事が楽しくてたまらなくなる」ように催眠をかける。
これによってイグニスは仕事にまじめに取り組むようになる。
そして努力を重ねたことでイラストレーターとしての才能が開花、
大劇団のパンフレット作製など、大きな仕事が舞い込むようになっていく。
更にリマはほかの男からも催眠で妻や片思いの相手を寝取っていくが、
その「寝取られ男」達も皆、その時にかけられた催眠が良い方に作用する。
これによって彼ら「寝取られ男」達は、
・ゲーム会社を立ち上げる
・シナリオライターになる
・営業で大きな成績を上げる
など次々に大成功を収めていき、その中で精神的にも大きな成長を遂げていく。
リマは、そんな『労働奴隷』達の成長を目の当たりにする一方で、
自身は自堕落に生活し、なにも人間的に成長できていないことに焦りを感じるようになる。
そして、ついにリマは嫉妬と焦りによって、
「ボクをお前の会社の社長にしろ」
と『労働奴隷』に催眠をかけて社長に就任する。
そして「現代のゲームに関する知識」を活かしてゲーム業界での無双を試みるが、
その浅はかな考えが、本格的な破滅の引き金となっていく。
小説家になろう・カクヨムでも掲載しています!
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
元勇者のデブ男が愛されハーレムを築くまで
あれい
ファンタジー
田代学はデブ男である。家族には冷たくされ、学校ではいじめを受けてきた。高校入学を前に一人暮らしをするが、高校に行くのが憂鬱だ。引っ越し初日、学は異世界に勇者召喚され、魔王と戦うことになる。そして7年後、学は無事、魔王討伐を成し遂げ、異世界から帰還することになる。だが、学を召喚した女神アイリスは元の世界ではなく、男女比が1:20のパラレルワールドへの帰還を勧めてきて……。
お兄ちゃんは今日からいもうと!
沼米 さくら
ライト文芸
大倉京介、十八歳、高卒。女子小学生始めました。
親の再婚で新しくできた妹。けれど、彼女のせいで僕は、体はそのまま、他者から「女子小学生」と認識されるようになってしまった。
トイレに行けないからおもらししちゃったり、おむつをさせられたり、友達を作ったり。
身の回りで少しずつ不可思議な出来事が巻き起こっていくなか、僕は少女に染まっていく。
果たして男に戻る日はやってくるのだろうか。
強制女児女装万歳。
毎週木曜と日曜更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる